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またも幻か?

さて先週12日付け日経紙一面には「3.9兆円買収提案」と題し、香港取引所がLSE(ロンドン証券取引所)グループへ296億ポンドで全株式を取得し合併するという買収提案をした旨の記事があったが、早速というかすぐさま政治的リスクや買収スキームへの疑念を背景にLSE側は断る意向との報が出ていた。

斯様に今回は初動から雲行きが何とも怪しいが、LSEといえばこれまでザッと振り返ってみても米ナスダックのTOBが不発に終わり、その後の加TMXグループの対等合併も破談となり、後のドイツ証取との経営統合の一件は欧州員会の壁が立ちはだかり破談となった経緯があり難攻不落のイメージしかない。

一方香港取引所といえば2012年にLME(ロンドン金属取引所)を傘下に収めた実績が記憶に新しいが、昨今地盤沈下が進行しつつある同所を取り巻く環境を勘案すればここへきてハードルの高さを押してでも躍起になるのも合点が行く。とはいえアジアから欧州まで射程を広げ世界のマネーを取り込む悲願にはまだ幾多の壁が立ちはだかるだけにこの縁談実現は一筋縄ではいかぬか。


eスポーツ商機

さて、一般公開は週末からだが本日から幕張メッセでは「東京ゲームショウ2019」が開催されている。また、全英から1カ月以上経った今でもなお話題の続く渋野プロが出場している2019・日本女子ゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯もチェリーヒルズゴルフクラブで同じく本日より開幕となった。

ところでこの両者、日本女子ゴルフ選手権の賞金総額は2億円(優勝賞金3600万円)だが、片や7月に開催されたeスポーツ・フォートナイト世界大会で優勝した高校生の優勝賞金は約3億円と今が話題の旬となっている女子ゴルフよりはるかに高額となっているが、この辺に絡んでは昨日の日経紙企業面でも取り上げられていた。

eスポーツといえば家族連れでも楽しめるような競技場施設も近年は出来るなど急拡大が顕著で、そのマーケットは1000億円を超える見通しという。そんな市場拡大期待から物色のテーマ難にあった株式市場ではゲームソフトから関係機器に至るまでその関連銘柄が個人の物色買いの対象となる光景も先月あたりは見られた。

上記の通り多額の賞金が動く背景にあるのはスポンサー企業の急増と同紙でも書かれているが、ゲームとの関連付けでイメージの湧かないメガバンクもスポンサーとして名乗りを上げるなど新たな顧客層の取り込みに熱が入る旨が窺える。従来であればこの手のお堅め?企業は見向きもしなかっただろうが、当分2桁成長が続くとの期待があるだけにこれまで逃して来た商機の挽回に各社がしのぎを削るところか。


第4次再改造内閣

安倍首相は本日の内閣改造・党役員人事で、政権の骨格である副総理、財務相、官房長官を留任させる以外は19閣僚のうち17人がポストを交代し初入閣は安倍内閣最多の13人となるなど大幅な入れ替えとなった。首相の在職日数はこの11月で歴代最長となる見込みだが、はやその後継者争いが既に始まっているか。

その辺は兎も角も中でも目玉は戦後3番目の若さで環境相に抜擢され初入閣となる政界の新星小泉氏だが、若手ならではの斬新な発想期待と共に安倍政権内ではこの環境政策がとても重要視されておりこれらの政策をアピールする要として発信力に定評のあるこの小泉氏に期待する動きとも考えられる。

環境といえば先のG20でも大きく取り上げられた海洋プラスチック問題等があるが、日本は昨年の海洋プラスチック憲章に署名しておらず廃プラはサーマルリサイクルを踏襲してきただけにこの辺は海外に比べ取り組み遅れの感は否めない。利用抑制規制の導入には慎重な判断が必要で課題山積みだが今後の小泉氏の手腕が注目されるところか。


ストック・アプリシエーション・ライト

さて、昨晩は日産自動車が横浜市内の本社で記者会見を開き現CEOが16日付けで辞任すると発表したが、本日の日経紙一面はじめこの件は各紙でも取り上げられていた。内部調査が終了しガバナンス改善の動きも進み一区切りついた事が背景というが事実上の解任というところだろうか。

当欄では6月に日産とルノーに関して取り上げた際の末尾で、カルロスゴーン被告が役員報酬等について主導的な立場を取っていただけに今年の有価証券報告書もまた其々注目度は高そうとして、外部からの目が一段と厳しさを増し一部商習慣の浄化も粛々と進行しようと書いておいたが、果たしてというか株価連動型報酬制度SARが今回は問題になった。

これで10月末まで暫定的CEO体制で臨むところとなるが、果たして今回の辞任(解任)が蜥蜴の尻尾切りではないのかどうか?猜疑心も湧こうというものだが予てより海外に比べ日本の報酬開示は透明性に乏しいのは否めないところで、その乏しさ故にこうしたSARを駆使した後出しジャンケンの不正を蔓延らせるハコとして素地は十分であったともいえるだけに今後の株主総会等でも益々監視の目は厳しさを増そうか。


同時並走現象

先週は金の国際価格指標となるニューヨーク市場の先物価格は2013年4月以来、6年5か月ぶり高値を付けたが、昨日の日経紙総合面には「ドルと同時上昇リスク回避映す」と題し米中貿易戦争の長期化で景気が減速するとの観測から、金価格が景気の下振れリスクが米国より高い新興国や、ブレグジット問題やイタリア政局への不安が残る欧州でも現地通貨建てで相次いで過去最高値となっている旨が載っていた。

また先週当欄で取り上げたバリック・ゴールド、アングロ・ゴールド、アシャンティなど主要金鉱株の所謂「BAANG株」の昨年末から先月末までの上昇率はダウ工業株30種平均の同期間のそれを大きく上回る旨も書いてあったが、斯様な関連セクターの同時並走は兎も角も教科書的には逆相関とされる株式などのリスク資産との同時上昇が今年は目立つところ。

逆相関を覆す同時並走といえば冒頭の通り、市場規模が大きい基軸通貨ドルの代替投資先とされる金は資産価値が減り難く無国籍通貨の側面がある金とは教科書で逆相関とされるが、これまた昨今はこれらの同時並走が目立つ。従前はレアケースとされた現象が緊張が続く米中両国関係を背景に今年は何所まで続くのか今後も注目が怠れない。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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