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価値創造

さて、今週は「落ち穂拾い」などで有名なフランス人の農民画家ミレーの世界有数の収蔵を誇る山梨県立美術館が70点目となる幻の作品を購入した事が話題になっていたが、絵画といえば毛色は違うがもう一つ最近話題になったのは競売大手ササビーズのロンドンを中心に活動する覆面芸術バンクシーの絵画オークションか。

同アーティストの作品としては史上最高に並び日本円にして約1億6千万円近くで落札されたのも束の間、直後に額縁に仕掛けられたシュレッダーで無残にも裁断がスタートしたというもの。事情を知らぬ参加者で埋め尽くされた会場は騒然となったが、後に更新したインスタで自身がシュレッダー仕掛けた事を公表するネタばらしとなった。

ササビーズはこの演出を事前に把握していたかどうか明らかにしていないがこの珍事、加えて氏は「ピカソ曰く破壊の衝動は想像の衝動でもある」とし作品を破壊するまでが創作活動だという捉え方もあるという。「赤い風船に手を伸ばす少女」または「少女と赤い風船」と題したこの絵画、気になるその後だが果たして裁断された事によりその価値は更に増し200万ポンド(約2億9,900万円)の値が付く可能性があるという。

規約では落札した作品に傷がついた場合、落札者は買取を拒否する権利があるというが、上記の理由もありで落札者は購入意思を変えることは勿論無いという。今後何所で登場するのか全く未知数ながら、今回の件で一段と有名になった同アーティストの作品が本邦勢含めまた世界の資産家に狙われる事になるのは想像に難くないか。


人工栽培の伸びしろ

本日の日経MJ紙のフードの頁には「初の完全人工栽培」と題し、松茸によく似た近縁種で香りや味が松茸以上ともいわれるバカマツタケの完全人工栽培に肥料メーカーの多木化学が世界初で成功した旨が載っていた。同社は新規事業として2012年に研究開発をスタートし約6年かけて成功した模様。

こんな舞茸以来のサプライズなだけに東証一部に上場している当の多木化学は先週の市場で発表翌日からわずか3営業日でその株価は68%急騰、3日連続ストップ高のあとも世界同時株安のなか日経平均が1,000円以上急落した11日も年初来高値を更新し大幅続伸の離れ業をやってのけた。

このキノコの類で従来人口栽培が不可能といわれていたものでは、今では当たり前に安価でスーパー等で並んでいる舞茸や山伏茸などがあるが、上記の通り舞茸はかつて東証二部に上場していたあの雪国まいたけが人口栽培に成功し囃されたが経緯がある。しかし斯様な企業努力で高級食材が今後ますます安価で手に入るようになってくると、今後の食文化も劇的に変わってくる可能性も十分に考えられる。


ザラバ化の流れ

さて、昨日から大阪堂島商品取引所ではコメ先物取引において原油先物のように随時値決めをするザラバ取引の売買が始まった。注目の初日の売買高は929枚と9月の1日あたり平均を4割ほど上回ったようで、日経紙では取引員の間では慣れないなかではまあまあの数量で限月間の値差が出てくればさらに注文が増えるのではとの旨が書かれていた。

商品といえばかつては総板寄せであったのは周知の通りだが、近年はコモディティーにもHFTの波は押し寄せてきており、今回の売買方式変更に際してはいろいろとゴタゴタもあったようだがこの辺は時代の波、このザラバ移行でまた更に一歩日本の商品市場も風景が変わる。

来週からは秋田県産米が追加で上場となるはこびだが、いずれにしてもこのコメは来年8月までの試験上場となっており、これまで延長を繰り返してきた背景からこれで本上場が認められなければ廃止となる可能性がある。このザラバ移行が奏功するか否か期待と不安が交錯する展開はまだ続く。


VIXの余震

さて、先週末12日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4日ぶりに急反発、世界的な株安連鎖には歯止めがかかったかと思ったのも束の間、週明け本日の日経平均は日米貿易協議を巡り米国が通貨安誘導を封じる為替条項を日本に求める考えを示した事を受け、投資家が警戒を強めた事から再度急反落となった。

世界的株安の連鎖といえば今年2月の光景を思い出すが、先週末の日経紙には「恐怖指数 株安を加速」と題し、今回の株安の根底には投資家の不安心理を映すとされる「VIX指数」の急騰というメカニズムがあり、同指数に連動する形で運用している一部ファンドから機械的な売りが出た模様とあった。

急落した先週11日には国際のVIX短期先物指数が5日続伸し一時17%高まで急騰する場面があったが、週末の一服から本日も再度急反発となっている。今年2月のVIXショックも記憶に新しいが、この時インバースVIX短期ETNが一気に約17分の一まで急落したほか、東京市場ではNEXT NOTES S&P500 VIXインバースETNも早期償還でその姿を消している。

斯様な組成モノが牙を剥くのも近年の特徴だが、上記の通りリスク・パリティ型ファンドの売りなど需給上の要因からショック安も増幅されているという側面も最近では顕著になってきており、世界的な株安連鎖の後ではVIXの余震がどの程度まで続くか投資家も戦々恐々となる。


築地ブランド継承なるか

東京の台所として機能してきた国内最大規模の卸売市場である築地市場だが、数十年前から浮かんでは消えを繰り返し政治に翻弄されてきた移転案も漸く実現が叶い、いよいよ本日より豊洲新市場が開場となった。一方で先週末に閉場となりその83年の歴史に幕を下ろした旧市場は今日から解体工事が始められた。

最後となった鮪のセリもいつも通りの威勢のいい声が飛び交ったが、長年観光客はもとより地元はじめとした小学校の社会科見学には欠かせない場でもあった。味にうるさいプロ行きつけの場内「魚がし横丁」の名店も食すタイミングを逃しまた次の機会にといっているうちに此処ではもう食べられなくなってしまったが、人気店も新市場では棟毎にバラバラに分かれる。

インバウンドの観光名所として近年その存在感を高めていた築地だったが、この築地ブランドはまさに歴史の積み重ねで今後新たな豊洲市場でこの辺をどう構築してゆくのか、初日は付近道路が大渋滞となり目玉施設の千客万来は開業がずれ込むほか試算では新市場は年間約90億円の赤字になるというが、築地市場跡地活用等々絡め今後も山積みの課題を背負ってのスタートとなる。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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