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責任の温度差

さて、直近の4日続落に対する警戒感などから今日は方向感定まらないまま小反発となった日経平均だが、昨日は東証の売買システム「アローヘッド」のシステムトラブルで買い注文が執行出来ずに下げ幅を拡大させた一面もあり、この障害ではSMBC日興をはじめ約40社経由の売買が一時執行出来なくなる事態となった。

メリルリンチ日本証券が通信状況を確認する為に毎朝送るデータを通常の1000倍以上の量で誤送信したのが原因というが、アローヘッドのシステム障害といえば6年前の2月に200を超える多くの銘柄で一時取引停止になったケースがあったが、その後もデリバティブ障害などが幾度か起きている。

証券会社は今回執行出来なかった投資家の注文を自社責任で受け渡しを行わなければいけないが、障害に備え複数系統の接続要請をしていた東証と異常データ送信を受けた東証の問題を指摘する証券各社の温度差から早くもこの賠償責任を巡り両者で対立が表面化している。賠償責任といえば遡ってあのジェイコム誤発注事件を彷彿させるが、上場企業に適宜開示を要請している東証の開示姿勢を指摘する向きもあり事態収拾は一筋縄ではいかなそうだ。


裏口上場未遂

さて、連休明けの日経平均は米長期金利上昇を背景に警戒ムードのなか上海総合指数の急落や円高を受け大幅に4日続落となったが、個別でも先週末の株主総会を睨んで乱高下を演じた末のストップ安に続く大幅続落で目を惹いたのが東証二部外のビート・ホールディングス・リミテッドであった。

この株、仕手系好きな向きには新華ファイナンスといった方が解り易いと思うがこの会社、今年の6月に香港の仮想通貨会社ノア・アーク・テクノロジーズから新株予約権発行で同社の議決権の約50%持ち分保有等の株主提案を出されるなど事実上の買収提案を受けており、賛同に難色を示す同社に対し買い増して筆頭株主に躍り出るなど両者の行方が注目されていた。

結局は先週末の臨時株主総会でノア側の株主提案が否決されることになったが、仮にこれが適った場合は金融庁も認めていない仮想通貨業者の上場が実現してしまったワケでこの辺が一際注目されていた所以でもあった。日本の資本市場で外国勢同士が絡んだ降って湧いたような攻防劇も一先ずの終結で東証の緊張もホッと一息というところだろうが、まだまだハコになりそうな企業を虎視眈々と探す動きは続くか。


いま見る東京ラブストーリー

さて、TVでは来週から始まる新ドラマの告知などをやっているが、所謂月9では女優の鈴木保奈美と俳優の織田裕二が共演する「SUITS」が始まる。月9といえばこの2人で思い出すのはなんといってもバブル世代では「東京ラブストーリー」で、つい最近までこの再放送をやっていた。

懐かしさからつい録画し何話か見てしまったが、当時はまだ街の風景もメガバンクが合併前で三菱銀行などの看板が目立ち、受動喫煙弊害も問題視されておらず会社では上司も部下も煙草をデスクでスパスパ吸い放題、ガラケーさえ普及しておらず公衆電話から自宅へかけるというシーンばかりだったが現在のようにスマホがあったらこの煮え切らないすれ違いの恋愛事情もまた違ったモノにもなっていたのか否か?

ところで先月末の日経紙では「1989年からの視点」と題しバブル景気真っ盛りの頃の様子を回顧する記事を見掛けたが、今月に入ってから日経平均株価は年初来高値を更新、1991年以来約27年ぶりの高値水準にまで上昇したが、奇しくもこの1991年といえばちょうどこの東京ラブストーリーを放映していた年で偶然とはいえなにやら感慨深いものがある。

話は戻るがドラマではファッションもまた懐かしく、男性はルーズなダブルのスーツに女性は肩パッドにトサカヘアー全盛と某芸人そのままだったが、過日の朝番組では若い世代で親や祖父の服を着るのがまた一部で流行りとか、また厚底シューズが流行り出した旨もやっており其処彼処で流行はまた巡り出すのであろうか?


高島屋新館

さて本日は所用で日本橋界隈に出掛けたが、先月24日付けの日経紙でも全面広告が出ていた通り高島屋の出来立てな新館はやはり目に付く。この新館はブランチタイム開店が主流の百貨店にあって早いところでは午前7時半からオープンする店を含めた115店舗の専門店を誘致、本店改装と併せ160億円を投じたという。

斯様に早くからのオープンも近隣で働く会社員等も顧客層と見込んだ為だろうが、人気ベーカリー365日と日本橋に途轍もない列を作り自撮りに勤しむ様や、成城石井の先着限定トートバッグ欲しさにレジに走る様などまだ開業当初のオノボリさんは掃けていない感。それは兎も角も新聞緒折り込みには同館に誘致した店の案内など目にする機会が多くなり近隣住民への啓蒙は粛々と行われている。

先のウォッチメゾンに続き今回の新館建設と日本橋を渡ったところは高島屋包囲網が着々と進んでいるが、日本橋を挟んで向こう側では三越伊勢丹も14年ぶりの大規模改装が行われている最中である。百貨店市場が縮小するなかこの双璧の投資が奏功するのかどうか業界全体を見る上でも今後の動向が注目される。


ノーベル賞2018

周知の通り本日の日経紙一面を飾っていたのは、京都大学の本庶佑特別教が米テキサス大学の教授と共に2018年のノーベル生理学・医学賞を受賞した旨であった。受賞者は16年の東京工業大学の大隅栄誉教授に続き26人目、2年ぶりの快挙とまた日本にとって嬉しいニュースとなった。

2年前の大隅教授の時はオートファジーの仕組みで新たな創薬の道が開かれる可能性が囃されたが、本庶教授は人の体を守る免疫の仕組みを利用してがんを叩く新たな治療法開発に道を開き、これによって小野薬と米ブリストル・マイヤーズががん免疫治療薬オプジーボが開発・発売されている。

そんな背景から本日の株式市場では小野薬品が2016年8月以来、2年2ヵ月ぶりの高値を付けたほか、マザーズのカイオム・バイオサイエンスやキャンバスは揃ってストップ高まで買われ、同じマザーズのメディネットもザラバで大台替えと創薬ベンチャー群は急騰した。2年前の大隅教授の時を彷彿させるような光景となったが、株式市場のバイオ祭りもいまやノーベル賞のこの時期の風物詩として定着しつつある。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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