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尻尾の振れ

本日のETF市場で一際目立っていたのは全市場値下がりランキング第2位となっていたETFSパラジウムの急反落だったが、【GOLD NEWS】の見出しにもある通りパラジウムが自動車販売台数の減少など現物の需要動向やリースレートの低下など地金不足の一服で今後の上値を抑える要因となりそうな旨が昨日の日経紙商品面にて載っている。

足元でパラジウムが日米で史上最高値を更新していた事からPGM系ではプラチナもニューヨーク先物が1週間で4%上昇、連れて世界のETF残高も価値の裏付けとして保有する現物が直近の合計で約73トンとこの一週間だけで4トン増加し年初からの増加率は16%に達している。

パラジウムといえば思い出すのが事実上の強制解け合いにまでなったあのスクイズ事件?が記憶に残るが、当時の高値を超えることはもうないだろうとの業界関係者のコンセンサスは時を経てあっさりと覆った。とはいえ宝飾業界などはプラチナとは逆鞘現象にはなっておらず専ら先物の振れが先行し話題を振り撒いている格好か。


Ivory Market

さて、今週末に映画が全国公開となることで今TVではディズニー「ダンボ」の予告編をよく目にするが、象といえば先週の日経紙夕刊には「象牙の年代証明義務化」と題し、環境省が個人や法人に対し象牙が捕獲された時期を科学的に証明する資料の添付を義務付けるなど国内での象牙取引を厳格化する旨が書かれていた。

他の映画でも例えば16年の「ターザン:REBORN」などでも途中で大量の象牙が運ばれるシーンが鮮明に思い出されるが、鮪から鯨や鰻まで近年ではその捕獲に関して世界中から厳しく糾弾されておりこの象牙取引もまた海外から批判の対象となっている事で環境省も腰を上げた格好だ。

未加工象牙の輸入実績から推測するに現状日本は多くの象牙を在庫しており公表されている取引市場は20億円とされているが、倫理より欲望が勝る一部の富裕層の為のマーケット形成は廃れる事が無いため実態はこれの倍をはるかに超えているのは想像に難くなく、今後世論と併せ何所まで抑止力を発揮出来るのかこの辺が焦点になってくるだろうか。


資本論理と業界秩序

さて、先週の祝日の日経紙投資情報面では「旧村上F系がTOB」と題して、現在投資ファンドと組んでMBOを目指している東証一部上場の廣済堂があの村上世彰氏が関わる不動産会社と投資ファンドが同社に対しTOBを開始する報告を受けたと発表した旨が出ていた。

廣済堂といえば先に発表したMBOについて、米ベインキャピタルと経営陣が実施するTOBの買い付け価格の引き上げを先に発表したばかりだがこれに対抗した格好か。ところでTOBといえば注目を浴びていた伊藤忠商事によるデサントへの敵対的TOBが先に成立の運びとなり、本日はデサント側が伊藤忠側に大幅譲歩する経営陣大幅刷新内容の発表があった。

先月に当欄でもこれを取り上げた時に王子HDの時を彷彿させる敵対型の再来となっており紙戦争の時の三菱商事のようなホワイトナイトが現れるのかどうかと書いたが、資本論理より業界秩序の維持が優先されたかっこうになったこの時の事例を塗り替えるべく大手企業同士で初の成立案件となった。

13年ぶりに動き出したこのケースだが敵対的という言葉だけが独り歩きするという環境も変って来た昨今、一部株主の排除や利益が損なわれる懸念などの課題を踏まえつつ日本ではレアケースとされる敵対的TOBが今後企業価値の向上に繋がってゆくのかどうかこれらの事例と併せ注目して行きたい。


春のIPOラッシュ

さて、昨日IPOの共栄セキュリティーサービスに続いて本日も建設業特化人材派遣のコプロHDに、「みんなの株式」を運営するミンカブ・ジ・インフォノイドなど立て続けの新規上場があった。注目の初値はコプロHDが公開価格を14.6%上回る2,395円で初値形成、ミンカブの方は公開価格を33.3%上回る1,400円で初値形成と好スタートとなった。

また明日は明日でIT人材仲介ベンチャーのギークスが新規上場の予定となっているが、先月の2019年第一号のIPOとなる識学が初日には値付かずで上場2日目にして公開価格の実に2.5倍の初値形成となった事が今月のIPOの好地合いに繋がっており、明日のギークスにもロケットスタートの期待がかかっている。

それは兎も角も今年1〜3月のIPOは前年同期の16社を上回る20社強と一寸したIPOラッシュとなりそうだが、昨年末にマザーズへの上場申請関連書類で内部統制の運用状況詳細を記載する旨の改正が今年7月から適用となるなど一段の審査強化の影響が後半戦にどう出るのかという一抹の不安要素もある。

IPOのハードルが高くなればベンチャーキャピタルの投資回収などにも何れ影響が出て来ようが、来月の働き方改革関連法の一部施行のタイミングで上記のような人材系スタートアップが出て来ており、成長期待の高い予備軍も控えるなど展望は期待のできるものであり新年度以降も引き続き注目されるところ。


肥大化に歯止め

さて、先週末の日経紙一面には「東証一部企業絞り込み」と題し、東京証券取引所が優良企業の集まる上位市場の位置付けを明確にして日本市場の国際競争力を高める狙いで、現在2100社超ある東証一部の上場企業数を時価総額の基準引き上げや英文開示の義務付けなどで絞り込む旨が載っていた。

この辺に関しては同じく先週末に毎日紙が東証一部の上場・降格基準を厳格化し日本経済を牽引するプレミアム市場を創設する旨も報じられていたが、何れにしてもこうした背景にはやはり二部やマザーズ経由での所謂内部昇格が恒常化し、時価総額や売買代金でその格差が看過出来ないところまで露呈されて来ているという部分もあるか。

当欄でもこうした上場区分の見直し機運に関しては昨年10月末に「並存解消機運」と題して新興市場など一寸触れた事があったが、元はといえば今のJPX創設前における上場誘致を巡っての東証と大証が誘致合戦していたところに起因し、02年に東証が出した内部昇格基準等が今になって自身に跳ね返ってきている格好だ。

何れにせよこれによって一部上場企業数の3割強にあたる約720社が除外される計算となってくるが、現状JPXは19年世界の取引所のブランドランキングで12位に甘んじているだけに上位市場を明確にし日本市場の国際競争力を高めるためには致し方なしとの見方もあるが、統合後の市場改革が手付かずだったが為に降格対象企業は翻弄された格好になったか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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