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3年のモラトリアム

本日の日経平均は大幅続落となったが、そんな中で前場に突飛高が目立ったのは低位系で東証二部の「倉庫精練」は寄り後の数十分でストップ高にまで暴騰し引けでも全市場の値上がり6位となった。この系統では同じく東証二部の「カネヨウ」や「北日本紡績」等も前場早い時間に急騰し商いも共に前日の10倍以上に膨らんでいた。

これらに共通していたのは旧大証単独銘柄で東証と大証が現物株を統合した際に時価総額の上場廃止適用猶予期間に入っていたモノで、本日の日経紙投資情報面でこの辺について取り上げられていたのが材料視されたというところだろうか。

猶予期間が今月末に迫り各々も兼松や東レ、帝人など蜜な部分もあり何等かの対策が出るのではとの期待にイナゴ投資家勢が集結した格好だが、東証の看板を手に入れ3年間のモラトリアムは早く感じたか遅く感じたか、いずれにせよそれぞれの答えが何れ明らかになる。


東商取金現物取引スタート

本日から東京商品取引所では金の現物取引がスタートした。ユーザーは取引員等を通じ東京商品取引所が運営するオンライン上で注文を記入、条件が合えば取引が成立する仕組みで売買対象は100グラムと1キログラムの金地金、100グラムも対象に入れたところが小口需要も視野に入れているか。

実際にこの辺は初日には14枚の売買があったが、100グラム対象のものであった。渡しは偽物流通防止もあって出来ない仕組みになっており、先物から現引きするようなパターンでも特に好みのブランド指定は出来ないが、ここでも田中貴金属工業などのブランド力の高い企業の地金はなかなかお目に懸かれそうにもないという。

ところで田中貴金属工業といえば、同社が先に発表した1〜6月の金地金販売量は前年同期比で30%増となった模様。ブレグジットを切っ掛けに金融市場の混乱や経済不安から中長期的な投資資金の分散先として金が見直されている格好だが、東商取もこの機に乗じての現物取引スタートというところだろう。大手店頭販売からETFまで現物取引は多岐にわたるが、ニッチの取り込みでブランド力の劣勢までカバー出来るか否かに注目したい。


デリバティブ刷新

さて、今週は連休明けからJPX傘下の大阪証券取引所がシステム刷新し「J-GATE」が稼働を始めた。注文受注してから約定・通知返信までの処理速度は従来の20倍に上がり、取引時間も日中取引が従前より15分早まり、夜間取引も従前より拡大し午前5時半まで延長されることとなった。

これに伴ってデリバティブの上場も4商品が増える事となったが、特にマザーズ先物は鳴り物入りの登場。マザーズ市場はスタートして17年が経過するがこれまでヘッジ手段が無かっただけに、これまで投資対象外としていた機関投資家の参入が見込まれ、また個人も日経ミニ並みの投資資金から参入し易いと期待されている。

ちなみに初日は静かな滑り出しを見せ、個別ではマザーズの代表格であるそーせいグループは前週からの地合いを継いで下げ止まらない展開であったが引け間際に急上昇、全市場値下がりランキングでは1位から7位までがマザーズ銘柄がズラリと並び指数は4日続落となっていた。

これから早晩ETF等の枝葉も広がってゆくのは想像に難くないが、レバ系の創設如何では荒れを予想する向きもある。この辺は構成銘柄如何に懸かって来ると思われるが、それ以前にSQ一つ取っても品薄現物の全てが常に約定可能なのか否か裁定のオペ等も併せて今後に注目してゆきたい。


都会の試金石

本日は大手町の「星のや東京」がはれて開業となった。明日なら大安だったのに何故わざわざ仏滅の今日にオープンしたのかとも思ったが、かつて社運を賭けリニューアルオープンした「星のや軽井沢」の開業日が7月20日であった事からこれに合せたというところだろうか。

この星のやは18階建てのビルをまるごと旅館に仕上げた形態となっておりそのコンセプトは「塔の日本旅館」としているが、星のや東京の至近距離で先に開業している「アマン東京」も明らかに日本旅館を意識した作りとなっている。初の大都市圏で「旅館」が通用するのか否か、将来的にNYやロンドンまで見据えているだけに失敗は許されないところ。

ところで高級宿泊施設といえば今月下旬には赤プリ跡地だったところに「ザ・プリンスギャラリー東京紀尾井町」も開業が予定されている。他にも外資系含め続々と開発計画が挙げられており、東京五輪を睨んで富裕層をターゲットとした都内の高級ホテル競争がまたぞろ激化しそうな気配だ。


LINE上場

先週末は周知の通り対話アプリのLINEがNYSEに続いて東証ではれて上場となった。一足早かったNYSEの方は公開価格32.84ドルを27.9%上回る42ドルの初値で好調スタート、これを反映し東京市場も差し引き約670万株の買い気配でスタートし注目の初値は公開価格3,300円を48.5%上回る4,900円で形成となった。

当欄でLINEについて直近で触れたのが先月の2日で「三度目の正直」というタイトルを付け、その約2週間後に日経紙も全く同じタイトルで取り上げていたが、IPO観測が出た当初がまさにSNSバブルだった事で時間総額の急減が云われていたものの、初値ベースでの時価総額は1兆円超えの約1兆290億と今年のIPOで最大規模となった。

任天堂やFリテイリのストップ高など他の値嵩も大騒ぎの資金争奪戦だったが、OLCの時もそうであったように需要が集中する一方で、関連銘柄とされ先駆していたアドウェイズやネットイヤーグループが急落、そしてメディアシークやネオスに至ってはストップ安まで売り込まれるなどの憂き目に遭っていた。

ところでこの後年内のIPOで個人に身近な企業で注目を集めそうなものでは旧国鉄で4社目となるJR九州があるが、このLINEが下期IPOを上手く牽引するや否や通年では昨年並みの100社程度とみられるIPO社数だが、この辺を境として堅調持続するかどうかもまた注目か。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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