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戻り続くか

昨日の日経紙総合面には「原油価格、底入れの兆し」と題してロンドンの北海ブレントが先導する形でアジアの指標であるドバイ原油が上昇している旨が書かれていた。ここ1年の間に原油価格はその水準が半分以下にまで暴落し、今月上旬には思惑交錯でファンド等の参戦から国際市場の取引規模が昨年末比で約2割増えている旨が報じられていたが再度中東リスク等も出てきている。

日本の原油輸入価格も反転しガソリン店頭価格も2週連続で上昇というが、確かに過日ガソリンを入れた際には久し振りにみる価格に随分と安くなったなと実感したものだ。金融商品も上旬にはこの機に乗じ関連商品に資金流入している旨を書いたが、依然ETF系の人気は衰えず個人投資家以外にも陸運会社が燃料費ヘッジにETFを使いたいとの問い合わせも証券会社にきているという。

こういった向きは併せて東商取の先物という選択肢は無いのかどうかも気になるが、それは兎も角もまだまだ相場は思惑含み。米シティーグループなど、市場の供給過剰と在庫も貯蔵能力いっぱいまで積み上がる可能性が高い事で第2四半期が始まる迄に20ドルのレンジになると更にここから半分になる予想まで出しているが、さてシティーの杞憂に終わるのかどうか引き続き注視しておきたい。


値上げラッシュ第二波

弥生月になってすぐ本日はもう桃の節句であるが、数年前にも書いたように近年では人形を飾らない向きが軽く半数を超えているのが恒常化している模様。とはいえ毎年この時期になるとリヤドロ等の商品案内が必ず舞い込み、街の小洒落た店の特設コーナーには所謂自分用にと芸術的な品が鎮座する光景など目にする機会が多くなる。

ところでこのリヤドロといえば今年1月から日本代理店価格が値上がりしている。この辺を扱っている向きを一寸調べてみたらこれに少し遅れ来月からはクリスタルの巨匠といわれるバカラ、ハンガリーのヘレンドからアメリカのレノックスまでも、日本代理店価格が値上がりする予定となっている。

そういえば驚いたのがアールデコ期を代表するフランスのラリックだ。一昨年に以前より欲しかった花瓶を購入したのだが、それから1年もしないうちにその価格はいきなり50%もの値上げになっていた。

高級ブランドなど円安に株価上昇傾向が明確化し何れ値上げ必至と一頃駆け込み購入現象が起こったものだったが、ヴィトンなどの段階的値上げは止まらず、宝飾系では先月のハリー・ウィンストン、今月はダミアーニやブシュロンの値上げも予定されている。一見便乗をも超えたヤリ過ぎとも思える値上げ攻勢との意見もあるが、強気一貫を通せるところはやはり圧倒的に不変な購買層を抱えているところ。ステージは違うがディズニーリゾートもそのパターンだろうか。


北風政策だったハゲタカ

先週末の当欄で「消えたトラウマ」と題して書いた中でアクティビストとして挙げたのは「村上ファンド」、「スティール・パートナーズ」であったが、先週末の日経紙マーケット面には「元スティール銘柄開花」と題し、過去にこのファンドに狙われた銘柄の上昇が際立っている旨が書いてあった。

そこには一覧表のトップに出ていた名村造船の4倍化や記事の冒頭にあったハイレックスコーポレーションのここ2年での株価3倍増が挙げられていたが、一覧表に見られるアベノミクス期間の上昇以前にもここが目を付けた銘柄は度々取り上げられていた経緯がある。

例えばこの日経紙タイトルで思い出したのだが、今から数年前にもこのスティール・パートナーズが投資した約40銘柄が何れもすこぶる好調な旨の記事を見た記憶があり、その内容は同ファンドが銘柄選定後にこの約40銘柄全てに投資した結果、シミュレーション期間中のTOPIXが約10%下落した一方でこちらは配当を控除しても約25%の利益となったというもの。

最後は東京高裁から濫用的買収者のレッテルを張られヤレヤレの持ち株売却をさせられたスティール・パートナーズであったが、常々どう見ても割安なものに投資するからヘッジは要らないと言うのが彼らの弁だった。アプローチこそ結果的に間違えたものの、基本の選択眼は間違いのない物であったといえ軌跡があるだけにまだ投資のヒントが隠れているかもしれない。


消えゆくトラウマ

ちょうど一週間前の当欄で「投資と配分」としてファナック株式を取得した米投資会社サードポイントの事を挙げたが、その週末の日経紙スクランブルでも「物言う株主株高誘う」と題して、このサードポイントがアクティビストとして登場していた。

アクティビストといえば一昔前の東京スタイルやニッポン放送はじめ多くの企業の株集めが有名だった村上ファンドや、ソトーやユシロ化学に敵対的TOBを仕掛け内部留保を吐き出させるのに成功したスティールパートナーズ等が直ぐに思い浮かぶが、結局最後は村上氏が証取法違反容疑で逮捕され、スティールは東京高裁から濫用的買収者と認定されるなど、後味の悪い結果からそのイメージもあまりいい物ではなかった感がある。

ただ最近は「日本版スチュワードシップ・コード」なる行動指針が導入され、三井信託銀行は経営改革を促すファンドに出資表明し、みずほ信託銀行も年内に同様のファンド創設に動くなど信託大手にまで物言う株主にシフトする動きも出ており、昨今の報道もアクティビストに対し以前とは一寸イメージが違ってきているように見える。

事実冒頭のサードポイントに対しカネにモノいわせ会社を揺さぶり資金を吐き出させる投資家という表現や、批判の声も上がっていないあたりは昔のアクティビストのトラウマが薄れた感さえあるが、今はスチュワードを定めるなど政府側もこれをアベノミクスの柱の一つにしようとしている姿勢あたりで決定的に違うのだろう。

そういえば今から4年前に上記アクティビストが司法に裁かれた時の事を書いた当欄では末尾に「〜裁く側からすれば水が清くなったのだろうが、外から見れば特異な非常識を日本に感じている業界関係者は多数。彼らがいい意味での緊張感をもたらしていた当時から比べるに、現在の株式市場は売買代金ひとつ取ってもその凋落ぶりが著しい。株主の変遷を見るにつけそんなことが頭に浮かぶが、水清ければ魚住まずもまた市場か。」と書いていたが、さて最近の水は少し変わりつつあるか?


爆買い

さて昨日まで中華圏の旧正月「春節」休暇であったが、巷で報道されている通り全国各地に中国人が大挙して訪れ所謂「爆買い」が彼方此方で見られた。判明しているところで百貨店など三越銀座では期間中5日間の免税売上げが前年比で3.3倍に達し、高島屋主要店も3倍、大丸松坂屋主要店が同4倍、松屋銀座は2.5倍になったという。

爆買いといえば今から5年前の当欄にて、三越一階のコスメフロアにて資生堂コーナーを占拠した中国人観光客団体が在庫品までほとんどカラになるほど買い漁りをしていた光景を書いたことがあったが、今回は昨今の円安による割安感が更に購買意欲を刺激してか一段とその勢いに拍車がかかっている。

自国の模倣品ではやはり満足がいかないのか、これら化粧品をはじめステンレスボトルや家電では定番の炊飯器に加え温水便座も爆買い人気が急上昇という。こんな直接の現場でなくともその恩恵は早くから株式市場でも見られ、上記の百貨店含めて春節前から家電量販店やドラッグストアなど所謂インバウンド関連は地合いに関係なく結構な値上がりを演じたものだ。

国内の個人消費が振るわないなか、わざわざ大挙来日して便座など大量にお買い上げいただき一角の株高にも貢献してくれたのだからお約束のマナーの悪さもクローズアップされるものの、今回はそれに目を瞑る程度は消費低迷を埋めるのに一役買ってくれたか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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