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温泉からキノコまで

本日の日経紙企業面には「脱・創業家へ奥の手」と題して、東証二部上場の雪国まいたけに米投資ファンドのベインキャピタルが全株取得を目指して最大約88億円でTOBを実施する旨が出ていた。

最近では大塚家具で創業家のゴタゴタが続いているが、此処も長年創業家と外部招聘組との間のゴタゴタが絶えなかったという事が背景になっている。既に昨日の寄り前にTOB話が報じられていた事でここ数日新安値近辺をウロウロしていた同社株は買い気配スタートとなったが、意外だったのは寄り後にストップ高まで買い上げられ引け値もほぼその近辺で終わった事か。

とはいえ果たしてTOB価格に寄せる格好で本日は急反落となったが、最近この手のTOB話では予定価格以上まで買うパターンが多い。かつて幻冬舎がMBOを表明した時のような突如としてのファンド出現というパターンとは違うにしろ、今回の場合すかいらーくの立て直しで再上場を成功させ最近では大江戸温泉も買収表明したベインのネームバリューにプレミアムが乗った格好となったか。


15年の変遷

周知の通り先週は日経平均がほぼ15年ぶりの高値にまで上昇してきた。第一次安倍内閣当時の最高値をも上回った事から日経紙などでも一面で取り上げてあったが、15年前といえばITバブルピークでもありこれを奪回してきた今、当時からのさまざまな市場の悲哀こもごもも同時に蘇る。

この間は世界を震撼させた米同時テロもあったが、東京市場にとってまさに三重苦だったのはリーマンショック、民主党政権、それに東日本大震災だったろうか。この間の豪雨で地を固めた筆頭がやはりトヨタだろうが、この辺の地道な構造改革というのはある意味日本のお家芸ともいえるだろうか。

株主構造もまた同時に変化、持ち合い合戦の呪縛から解放され今や筆頭株主といえば外国人に変わった。もともと先週書いたように長期にわたるデフレ傾向と銀行の貸し渋りから守り経営を順守した結果、空前の貯め込み型になっていたところにこうした株主変遷があり、これに呼応するかのようにJPX400などの新指数が登場し企業もそれに即する如くROEに指針を見出してきた。

何年ぶり何十年ぶりというと指数や為替など単純に当時との指標比較に終始してしまいがちだが、内部に起こっている構造変化などを読み解くにROE一つ挙げてもまだまだ伸びしろがあり、そうした視点も含めて欧米との乖離はさまざまなところでまだ可也あるという感だ。


賛否両論

さて、昨日の日経紙一面(春秋)では、東京都渋谷区が同性カップルを結婚に相当する関係と認めて証明書を発行する条例を作るとした報道を挙げLGBTへの差別を問うてきた人々にとっては大きな一歩で、同性カップルの社会進出が著しい欧米に比べて周回遅れの対応にとどまっている日本社会に議論を促す施策である旨が書いてあった。

この手の件は派手な報道はないものの、これに関連した同性カップルの件では数年前に東京ディズニーシーで元宝塚劇団出身の女性が同性結婚式を挙げた事が話題になった時があったが、夢の国を謳うディズニーも紆余曲折を経ての英断だったであろう。

ほか一部外資系企業でもこうした向きに手を差しのべる動きがある。肉食系?のイメージがあるゴールドマン・サックスは、LGBT団体が開く同学生向けキャリア相談会に昨年から社員がボランティアとして参加し相談相手になる活動を続けており、またモルガン・スタンレーも昨年に初めてLGBT学生向けセミナーを開いている。

とはいえ冒頭にも書いた通り、現実にはまだまだ多様な性に関しては寛容とは言えない日本社会なのは否めない現実。欧米と乖離した土壌故にで極めて優秀な逸材獲得の機会を逃してしまう現実は勿体無い限りでそうした部分の発展途上を物語っているか。


投資と配分

本日の日経紙(一目均衡)には、今月にファナック株式を取得した米投資会社サードポイントと1兆円の資金を抱える同社が株式市場で攻防を繰り広げている旨が載っていた。かねてより豊富な資金を自社株買いに充てるよう要求していたようだが、同社は今週に国内の工場や研究所を新設することへの資金投入を発表している。

文中にはこの投資計画を差し引いても8,000億円以上の資金がさして利益も生まずに眠る旨も書いてあったが、こうした企業はなにも同社だけではない。こうした所謂貯め込み型の企業が続出した背景には長期にわたるデフレ傾向と銀行の貸し渋りがこれらを創造したのは想像に難くないだろう。

上記のファナックは本日も続伸し連日で上場来高値を更新してきているが、インカム期待だけでもアナウンス効果は高く短期でもそれによるキャピタルゲイン効果も高いのではないだろうか?勿論株主配分と成長投資の両取りを実施する優等生も居るが、JPX400創設でこれら双方に無関心であった向きが格段に少なくなってきているのは潮流の変化だろう。


内需の存在感

本日の日経紙マーケット面には「銀行株に資金流入」と題し、昨日の業種別日経平均株価「銀行」が前週末比3%上昇し、売買代金ランキングでも上位にメガバンクが並ぶなど出遅れ感のあった銀行株への資金流入が目立ってきた旨が書いてあった。

日経平均も昨日は18,000円大台を回復してきたが、こんな銀行株の堅調からTOPIXも先週は祭日前に日経平均が往って来いの反落となったものの、それを横目にTOPIXは3日続伸するなどそれ以上に強い動きさえ感じた。昨日は全36業種でこのセクターの上昇率が首位であったが、同指数の強さの背景にはこれらの堅調が大きく寄与している感もある。

長期金利が上昇し債券市場では金利低下の流れに変化が出てきている事が支援材料視されているが、当欄で先月中旬に「24年ぶりゼロ」と題して書いた通り昨年パンクした企業は8年ぶりに1万件を割り込み、その負債総額も前年比で32%減少し1990年以来24年ぶりに2兆円を割り込むなど金利同様にこちらにも変化が。昨年1年分の下落を取り戻せるかどうかこれらと併せ見ていきたい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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