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ハラル

先週金曜の日経紙一面には「日本初ハラルファンド」と題して、イスラムの戒律に沿って投資する「ハラルファンド」が、広銀等の出資でベンチャー投資会社とマレーシア政府系投資機関等の組成によって日本で初めて誕生した旨が載っていた。海外輸出を目指す日本の食品企業などに投資し、製品のハラル認証取得をはじめイスラム圏での事業に不可欠なノウハウも提供するという。

このハラルだが大使館の多い麻布・広尾近辺のマーケットではハラル認証製品が前々から並んでいるのは目にした事があるものの、しかし最近はハラルに関する報道が多い。昨年暮には成田空港ではVIPラウンジ等でハラルミールのケータリングサービスの提供を開始し、更には今年の夏までには専用キッチンで調理された料理を提供するハラル認証レストランを導入する予定となっている。

またエアラインの方もANAなどではマレーシア拠点で世界最大のハラル機内食プロバイダとの業務提携を開始、今後は自前調理でそのメニューラインナップを広げるというが、これまで人気店の導入や炊立ての提供など食に関して他社に抜きん出た試みを行ってきた同社だけにこんなところも注目される。

そうそう食といえば、あの京懐石の美濃吉もハラル御膳やハラルコース、懐石を既に提供している。ホテルも礼拝のセットをそろえているところも多くなったというが、東京オリンピックも決まり、その数20億人前後とされる市場規模は日本円で50兆円とも試算されるだけに各業界も斯様な対応を必要とする段階に入ってきているということなのか。


羹に懲りて

今週の日経紙に「NISA 5000億円流入」として、今年から始まったNISA(少額投資非課税制度)を通じ個人マネーが開始後3か月間で5000億円規模にのぼった旨の記事があった。うち女性の利用が全体の4割を占め、3か月調査で年代別では中高年層に偏っている状況が浮き彫りになったという。

なるほどそんな層を映してかNISA開始3か月で買われた銘柄別ではトップが武田薬品工業、それに続いてみずほFG、キャノンといった高配当イメージな銘柄がベスト3を占め、それら以外にはソフトバンクなども見られた。冒頭のベスト3を見るに所謂キャピタルゲイン狙いというよりはインカムゲイン重視といった選好具合がヒシヒシと伝わってくる。

このトップに輝いた武田薬品だが今週は降ってわいたようなアクトス訴訟問題で懲罰賠償金60億ドルとの陪審評決が伝わりザラバ400円を超える急落の憂き目に遭っている。年初来安値更新でそれこそ年間配当もたった数時間で吹き飛ぶような値下がりだが、これ以外のソフトバンクも今や裁定のオモチャに振り回され乱高下が続いている。

ディフェンシブや高成長イメージなど安定人気の銘柄もあの東日本大震災で崩壊した東電然りで昨今は何が起こるかわからず安穏としていられないのが現状。NISAは投資未経験者の開拓が課題としているが、付和雷同的な銘柄一辺倒で予想外な動きに泡を食ってロスカットでもしようものなら損益通算も使えず枠は消滅、やはり怖いものだと羹に懲りて膾を吹くというようにならぬよう各々留意されたい。


会見に想う

周知の通り本日は、STAP細胞騒動に揺れる理化学研究所のユニットリーダーが大阪市内のホテルで記者会見を行った。私も思わず見てしまったが、あのノーベル賞を受賞したIPS細胞より簡単に作製出来ると衝撃の発表から数か月、よもやこんな会見を開くとは誰も予想でしなかっただろうが真理はベールに包まれたまま時間がかかりそうだ。

しかしどんな時代でもその期待を映してすかさず反応するのは株価や商品など値段。1月の発表時には日経平均が新興国からの資金流出懸念の再台頭で土砂降りの急落をしている悪地合いのなか、このニュースでバイオ株はそれぞれおもいを込めて大商いで上昇したものだった。

しかし思い出せばあのプラチナやパラジウムを連日乱高下させた常温核融合発見の報だって当初より懐疑的な見方が燻り、いまだ工業などに転用できるような核融合は成功していないがそれでも粛々と研究は続いている。現状ではまだ関連企業や商品の価格変動要因の材料にしかなっていないが夢は捨てず長い目で見てゆきたいものだ。


匿名組合という隠れ蓑

さて、週末の日経紙には「一般投資家へ販売規制」として、従来投資のプロである機関投資家を対象とするため規制を緩くしていた投資リスクの高い所謂プロ向けファンドの販売を、投資経験の乏しい向きへの販売などでトラブルが急増していることを理由に投資家保護のため規制強化する旨が載っていた。

これまで機関投資家が1社投資していれば49人まで勧誘・販売がフリーになっていたが、この要件が金融資産3億円以上など一段と引き締められる案になっており、VCなどのマトモな関係者までもがこのハードルを前に投資が適わないというような事も想定できるというが、やはり一番の要はファンドも投資家もその中身だろうか。

いまだ手元に懐かしい目論見書があるが、一昔前に組成された私募のなかには細かいことを言えばいろいろ証取法上突っ込みどころも出たであろうものの、本当に物凄いパフォーマンスを叩き出した物もあり、またそういった商品は極めてハードルの高い人選がなされたものだった。近年では節操なく大多数に販売したり、果てはその資金流用まで明るみになっているモノが発覚したりと詐欺的色彩のモノが横行しているのは なんとも残念な光景である。


HFTの功罪

昨日の日経紙国際面には「米、超高速取引を規制」として、所謂HFTを活用する投資家の勝ちすぎに対してあまりにも不公平との批判が浮上し米国で各当局が調査に乗り出している旨が載っていた。

この米国ではHFTの売買が全体の5割程度にのぼっているというが、東証でもコロケーションの提供によってHFTの割合は一日平均で売買高の4割超にまで膨らんでいるが現状。確かに個人に無縁とされたこの手の取引も最近は中小型モノなどで明らかに個人の板を読んで刈り取る動きに出ているモノも見受けられるが、年明けから段階的に実施している呼び値変更もまさにこうしたHFTに対するお膳立てとも取れなくもない。

あまりに露骨な板の出し入れを見るに、市場はこれらに包囲され操作されているという一部の意見も信憑性を帯びてくるものだが、最近ではこれに加えて最近はSNS解析も絡めて動作させる向きも増えつつある。従前では想像もしなかったようなアルゴが走り何れもブラックボックスなだけにこの辺が何所まで進化するのか一寸不気味でもある。

フロントランニングめいた?ものも今や合法の範疇な時代になり大義名分的にリクイディティーに厚みをもたらすという点で社会的意義はあるものの、一方では冒頭の通り投資家間の平等性という点で均衡を探る課題が残るか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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