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賛否両論

さて、昨日の日経紙一面(春秋)では、東京都渋谷区が同性カップルを結婚に相当する関係と認めて証明書を発行する条例を作るとした報道を挙げLGBTへの差別を問うてきた人々にとっては大きな一歩で、同性カップルの社会進出が著しい欧米に比べて周回遅れの対応にとどまっている日本社会に議論を促す施策である旨が書いてあった。

この手の件は派手な報道はないものの、これに関連した同性カップルの件では数年前に東京ディズニーシーで元宝塚劇団出身の女性が同性結婚式を挙げた事が話題になった時があったが、夢の国を謳うディズニーも紆余曲折を経ての英断だったであろう。

ほか一部外資系企業でもこうした向きに手を差しのべる動きがある。肉食系?のイメージがあるゴールドマン・サックスは、LGBT団体が開く同学生向けキャリア相談会に昨年から社員がボランティアとして参加し相談相手になる活動を続けており、またモルガン・スタンレーも昨年に初めてLGBT学生向けセミナーを開いている。

とはいえ冒頭にも書いた通り、現実にはまだまだ多様な性に関しては寛容とは言えない日本社会なのは否めない現実。欧米と乖離した土壌故にで極めて優秀な逸材獲得の機会を逃してしまう現実は勿体無い限りでそうした部分の発展途上を物語っているか。


投資と配分

本日の日経紙(一目均衡)には、今月にファナック株式を取得した米投資会社サードポイントと1兆円の資金を抱える同社が株式市場で攻防を繰り広げている旨が載っていた。かねてより豊富な資金を自社株買いに充てるよう要求していたようだが、同社は今週に国内の工場や研究所を新設することへの資金投入を発表している。

文中にはこの投資計画を差し引いても8,000億円以上の資金がさして利益も生まずに眠る旨も書いてあったが、こうした企業はなにも同社だけではない。こうした所謂貯め込み型の企業が続出した背景には長期にわたるデフレ傾向と銀行の貸し渋りがこれらを創造したのは想像に難くないだろう。

上記のファナックは本日も続伸し連日で上場来高値を更新してきているが、インカム期待だけでもアナウンス効果は高く短期でもそれによるキャピタルゲイン効果も高いのではないだろうか?勿論株主配分と成長投資の両取りを実施する優等生も居るが、JPX400創設でこれら双方に無関心であった向きが格段に少なくなってきているのは潮流の変化だろう。


内需の存在感

本日の日経紙マーケット面には「銀行株に資金流入」と題し、昨日の業種別日経平均株価「銀行」が前週末比3%上昇し、売買代金ランキングでも上位にメガバンクが並ぶなど出遅れ感のあった銀行株への資金流入が目立ってきた旨が書いてあった。

日経平均も昨日は18,000円大台を回復してきたが、こんな銀行株の堅調からTOPIXも先週は祭日前に日経平均が往って来いの反落となったものの、それを横目にTOPIXは3日続伸するなどそれ以上に強い動きさえ感じた。昨日は全36業種でこのセクターの上昇率が首位であったが、同指数の強さの背景にはこれらの堅調が大きく寄与している感もある。

長期金利が上昇し債券市場では金利低下の流れに変化が出てきている事が支援材料視されているが、当欄で先月中旬に「24年ぶりゼロ」と題して書いた通り昨年パンクした企業は8年ぶりに1万件を割り込み、その負債総額も前年比で32%減少し1990年以来24年ぶりに2兆円を割り込むなど金利同様にこちらにも変化が。昨年1年分の下落を取り戻せるかどうかこれらと併せ見ていきたい。


広がる選別色

昨日の日経経紙一面には「上場企業の3割増配」と題して2015年3月期の株式配当が2連連続で最高を更新する見通しとなり、増配または復配する企業が全体の3割に達した旨が出ていた。この辺の背景には近年のROE重視姿勢からの資本効率を高める狙いもあり、利益を配当として支払えばROEの分母に当たる自己資本の増加を抑えられる効果も見据えてのもの。

さてそんな感じで囃されている高ROE銘柄でも、当初はしりの頃の万遍なく物色する光景から最近は明暗が分かれてきている。この辺は先週末の日経紙にも載っていた通り、1年余りで株価が2倍になる銘柄がある一方で、3分の1に下がった銘柄も出てきており期待先行モノほどこの辺がより顕著に株価に反映され易くなっている。

下位にはゲーム関連も幾つか顔を出していたが、これまで度々下剋上の時価総額逆転劇で老舗企業をしのいだこの課金系もそろそろ息切れが目立つ。昨年に当欄でも「結果としての時価総額」としてゲーム系を取り上げた時に、ピーク時から半分以下まで急減したガンホー等も睨みながら市場は先行きを占っているようだと書いたことがあるが、このポストも期待先行で囃す相場は終わった感がある。


青天井期

さて、先週日曜の日経紙(日曜に考える)で取り上げてあったのは1980年代後半から90年代にかけて株式市場を席巻した光進事件であった。蛇の目を所謂「箱」にしたトンビこと飛島建設のシナリオに加担して一部政界までをも巻き込んだ一件であったが、関連銘柄は連日賑わい街の投資顧問会社の煽りにも一層拍車がかかったものであった。

携帯端末で株価照会など想像も出来なかった当時は、証券会社の店頭に置いてある小さなクイックが頼りでこの手の銘柄が出ると投資家は奪い合うようにこの端末にかじりついていた光景が懐かしい。同紙に出ていたこの蛇の目や藤田観光もそうだが、今の株価からすると想像も出来ないような青天井を形成した銘柄も多く、一つ一つを思い出す毎に背後に絡んだストーリーもまた同時に浮かんでくる。

そうして市場を席巻した仕手絡みでは、その後遺症で今や市場からまさかの撤退を余儀なくされた企業群も多いが、敗戦処理を経て上場を維持した銘柄でも仕手戦当時の乱高下から30年近くを経てもなお仕手戦前の健全体質には程遠くなってしまったものは少なくなく食い散らかしの代償は大きい。

しかし思えば昔ながらのカラを誘いつつ全員参加型の息の長い相場形成が特徴だった所謂本来の仕手の歴史は、現在と違ってはるかにユルかった規制や証取法を背景にあまりにも有名な誠備グループを中心として活動していたこの頃がピークだったなとつくづく感慨深い。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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