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鷲のマークもMBO 

本日で今月も終わりになるが、今月の株式市場ではとりわけMBO実施が目立った印象だ。当欄では先々週にシダックスとベネッセホールディングスの2社の相次ぐMBOを取り上げていたが、先週末には大正製薬がMBO実施を発表している。ベネッセの時に国内MBOでは最大規模としたが、その規模を軽く倍以上超えて日本企業のMBOでは最大規模となる。

その買い付け価格もなかなかの高プレミアムとあってこれにサヤ寄せする格好で週明けからわずか3営業日で先週末終値から約6割もの急騰を演じ、これまで高値掴みで我慢してきた一部株主へは最後のささやかなプレゼントとなったか?ただ高プレミアムになったのも当然なところで、そもそもがMBO発表時で同社株のPBRは0.5倍台と低迷しておりこの急騰で6割高を演じた本日でも0.8倍台に甘んじている。

同社は市場再編で自らスタンダード市場を選択していたが、上記の株価指標と併せ今後の長期的な経営計画に伴う時間とリスクの前に株主の全面的支持を得るのは困難との判断によるものがこの度のMBOの背景にあるか。ベネッセも構造改革の長期化を見据え非上場化を選択したパターンだったが、あの「鷲のマーク」が株式市場から自ら退出するさまはやや驚きだ。

というよりむしろOTC市場においてブランドが浸透しているからこその退場かもしれないか。誰もが一目瞭然の鷲のマークが広く知れ渡っている今、上場継続のその対費用効果が見合わないという事なのかも。いずれにせよ今月の立て続けの大物?の非公開化決断を見るに株式市場の新陳代謝が本格化してきた感が窺える。


米年末商戦2023 

米では先週のブラックフライデーを皮切りに年末商戦が本格化し、今週はサイバーマンデー、トラベルチューズデーと続いた。コロナ禍の巣ごもり需要などを背景にここ数年好調な売り上げが続いてきた年末商戦だが、全米小売業協会では今年の伸び率は前年比で3%~4%と2021年の12.7%と2022年の5.4%から減速し、パンデミック前の2010~2019年の平均である3.6%増に沿ったものになるであろうとしている。

とはいうものの今年は小売り業者が前例のない規模の値下げや宣伝活動を打ち出すなど金利上昇やインフレ等が重荷となる中で節約志向を強める消費者を取り込む動きが見られ、調査会社のアドビでは今年の年末商戦のオンライン売上高は前年比4.8%増と昨年度実績の3.5%成長から加速して2218億ドルになるとの予想を出している。

実際に先週のブラックフライデーでのネット通販の売上高はアドビの96億ドルの予想に対して98億ドルと前年比7.5%増となり、サイバーマンデーの売上高も過去最高になった模様だ。特に若年層の消費は学生ローンの返済再開が不安材料であったものの、BNPL(後払い決済)等の新たな分割払いが日常生活に溶け込んでおり先週のBNPL決済は前年比47%増とこの懸念材料を吸収する格好となっている模様だ。

というワケで全米小売業協会の減速懸念をよそに堅調な雇用市場や賃金上昇率などを背景に、今年の年末商戦で支出する一人当たりの金額の平均は567ドルと前年比13%増の見込みで過去最高の更新をするとの予測も出ている。小売り企業にとって年間売り上げの4分の1を占めるといわれるこの年末商戦、FRBが高金利を維持するなかでも米経済を支える個人消費が引き続き底堅さを維持出来るかどうかに注目が集まる。


複合施設続々

さて、先週の日経紙の全面広告でも見られたように大型複合施設の麻布台ヒルズがオープンしている。高さ330メートルと東京タワーとほぼ同じ高さで日本一を誇り緑と健康がテーマ、というわけで敷地の3分の1を320種類もの植物が占め緑化されているのが特徴で、ホテルのような人間ドックの慶応義塾大学予防医療センターが入る。

また都心では最大規模のインターナショナルスクールが入居し、浅草の老舗パン屋のペリカンや、米でミシュランの星を取った鮨AZABUも逆輸入で入るなど店舗も面白い。そういえば先月には森ビルが進める再開発事業、虎ノ門ヒルズの最後の1棟である虎ノ門ヒルズステーションタワーもオープンしているが、この一連のプロジェクトではあのアマンが手掛ける300億円とも噂される超高級レジデンスも話題になったなと。

複合施設といえば虎ノ門ヒルズステーションタワーと同じく10月には旧代官山東急アパート跡地にフォレストゲート代官山が開業しているが、東急といえば渋谷。100年に一度の再開発のラストピースとなる来年に全面開業する渋谷サクラステージが先週お披露目されているが、冒頭の森ビル系と今後どう差別化してゆくのか?いずれにせよこうした複合施設が我々の生活に新たな提案をしてくれることを期待したい。


凍結解除の是非

先週に経済産業省が発表したガソリン全国小売平均価格だが、原油価格の下落に伴い政府の補助金の支給額も減っていることなどを背景に2週連続の値上がりとなっていた。ところでこの政府補助金といえば、ガソリン価格発表と日を同じく行われていた衆院予算員会で、国民民主党代表から補正予算案に賛成する条件としてトリガー条項の凍結解除を求められたのに対し総理は解除を検討すると表明している。

当欄ではガソリンが13週連続の値上がりを演じるなど高騰が止まぬ8月に「凍結されて久しい特例税率上乗せ免除なるトリガー条項が再度思い出されるが、そろそろ特例法改正の機運は出てこないのであろうか?~凍結解除に今はまさに好機だと思うが。」と書いていたが、政府側はこれまで解除には慎重な考えを一貫して示していた。

それでもなお財務大臣はトリガー条項を発動すれば1兆5千億円の巨額の財源が必要になると慎重な姿勢を崩さないが、ガソリン補助金の予算総額は既に6兆円超に膨らんでいる。先に発表された石油元売りの4-6月期決算は大手勢が軒並み前年同期比2倍以上の好決算に沸いていたが、GS価格への反映が見えにくいなかモヤモヤしている消費者も多いのではないか?

また直近の会計検査院検査報告では、このガソリン補助金の二重交付など過大交付が見つかり、基金の62億円を投じたGSの価格モニタリング調査も資源エネルギー庁調査と重複しているなど無駄遣いが指摘されている。そもそも論で政府の温暖化ガス排出量実質ゼロ目標に自ら逆行している政策との指摘がなされるなかはたして排除は叶うのかどうか、先ずは行方を見守りたい。


イルミネーション2023

本日から西のUSJではクリスマスイベントがスタート、ナイトショーも4年ぶりに復活ということだが、東の東京ディズニーリゾートでも4年ぶりにクリスマスツリーが復活とクリスマスムードが高まるこの時期に楽しみなのはやはり街のイルミネーションか。既にこの近所であれば東京駅から日本橋エリアまでを東京イルミリアが艶やかに日本橋さくら通りで灯っている。

都内では他に定番の六本木けやき坂や丸の内のイルミネーションも先週からスタートしたほか、近年はイルミネの名所になりつつある日比谷でも先週から日比谷ミッドタウン周辺5か所で「マジックタイムイルミネーション2023」がスタート、今年は5周年のアニバーサリーイヤーでコンセプトは“魔法のような瞬間”日比谷仲通りでは1本1本カラフルなカラーで彩られ、日比谷ステップ広場では7つのツリーが虹色に染まっている。

ところでイルミネーションといえば、今年も引き続きSDGsを意識した環境への配慮がうかがえる取り組みが目立つ。上記の日比谷では白熱電球からLEDへの変更で電力消費が約40%減少しており、ルミネーションに使う電力は日比谷ミッドタウン屋上のソーラーパネルを活用。この手では目黒川のイルミネーションも廃油原料のバイオディーゼルを燃料としているが今年も引き続きこれを踏襲している。

ちなみにココは家庭内で出た使用済み油を回収するアップサイクススポットも今年設置しているが、個人の貢献が煌びやかなイルミネの元になっているというような目に見える体感でその意識も変わってくるか。東京オリンピックで皆が持ち寄った都市鉱山がメダルで使われたパターンもまたこれと同じであると思うが、貢献の可視化に工夫を凝らすような動きが広がれば循環型社会もより一層進んでゆく事になるのではないか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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