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PB下克上

昨日の日経紙企業面には「高品質PB集客の目玉」として小売各社が好採算の品質、価格が高めのPB集品を増やし集客の目玉にする動きが広がっている旨が載っていた。斯様に従来低価格を武器にしてきた業態の一部高価格帯への進出が最近目立っているが、この辺はつい昨日も吉野家の一部高価格牛丼の提供について書いたばかり。

またこのPBについても今月上旬にネスレを取り上げた際の末尾で、「最近ではこのPBもセブンゴールドの「金の食パン」が大ヒットし大手の追随を喚起する等なかなか面白い構図になってきている〜」と書いたが、この時に書いたイオンのPBが大手ネスレの主力製品を模倣する等が通常の光景なら、昨今の動きはまさに大手がPBを真似るというこれの真逆の現象が起きているところが面白い。

ナショナルブランドながら低価格競争が足を引っ張る一方で消費者ニーズを汲んだPBの下克上現象が起き、これに他社が喚起されるというこれまでの通例が崩れる構図は食の新たなパラダイムシフトか。思えば今迄こうしたものが無かったのが不思議な感もするが、胡坐をかいている大手はほんとうにうかうかしていられない環境になってきた。ブランド下克上は今後の消費構図をどう変えてゆくのか、まだまだ目が離せない。


これも具現化

本日吉野家の前を通った際にふと思い出したのだが、先週末にはこの吉野家が永田町に店舗を新規出店している。出店自体は珍しくないがココには特別メニューとして1,200円の「牛重」が登場し、初日の昼過ぎにははや完売御礼となった模様だ。

この辺は今年の夏にマックがプチ贅沢路線を打ち出したのを取り上げた際の当欄で「同じファストフードの他業態では値下げ競争が激化して久しい牛丼があるが、これは専門を謳っている見せも少なくこうしたところこそブランドが浸透しているところは高価格帯のプチ贅沢路線は選択の一つと思うが〜」と書いた事があったが、これまた当時書いていた事が具現化した格好である。

この吉野家、既に高級路線の店舗はかつて赤坂に出していた時期があり、実際は今回が初めてではない。此処には私も行ったことがあるが今回のロケーションも国会と一般向けではないにしろ永田町とこれまた赤坂地区、アンテナの意味合いがあるや否や今後の戦略が興味深いところ。


新種RIET続々

先週の日経紙投資面には「基礎からのRIET」として、NISAの対称にも入っているREITの基本的な仕組みやポイントが連載されていた。以前にも何度か取り上げたが株式と共に債券等に比べて魅力的な利回りや、小口が利く当の利便性からこうして同紙でも連載が組まれる等注目度も近年高まっている。

このREITに関しては近年多様化が進み今年出たユニークなパターンとして春先に当欄で取り上げた星野リゾートの所謂「旅館REIT」があったが、この時にも末尾で一寸触れたショッピングセンター等を組み入れたイオンのREITが来月後半にもこの手では初の上場となる見込みだ。

ショッピングモールの積極出店や、アジアでの小売シュアを確立するためにも効果的な資金調達が求められこのREIT等はその辺の試金石ともなる存在なのはいうまでもないが、初モノといえば更に来年には老人ホームや病院等介護・医療施設に運用対称を限定したREITも始めて上場する予定。

斯様に政府が創設を解禁することを受けて上記の通りRIETも多様化が加速しているのが現状だが、これに伴いこの分野でも投資家の選択肢が一段と広がってくる事になりそうだ。


運用改革

今週は週明けの日経紙一面に「中間配 5年ぶり最高」との見出しで、上場企業の中間配当額が5年ぶりに過去最高になる見通しとの記事が載っていた。株主配分に前向きな企業が増え、今後は企業が豊富な手元資金を成長投資などへ積極活用してゆくかが課題になるとも書いてあった。

5年ぶり最高ということだがその5年前の某日日経紙一面には、合計金額が前年比23%増加の13兆円と上場企業が株主への利益配分を強化している旨の記事が躍っていたのが思い出されるが、これに絡んではもう一つ週末の同紙記事にGPIF(年金積立管理運用独立行政法人)が2014年度にも上場企業の中から資本を有効に活用し収益力が高い企業を選ぶようにする旨も目に留まった。

この資本有効活用といえばROEだが、先に当欄ではJPXがTOPIXTP並ぶ株価指数にROEを目安に上位数百社を銘柄選択しその時価総額の増減幅を指数化という方針を取り上げたことがある。当然ながらGPIFはTOPIX基準からこの44年ぶりに創設する新指数等の銘柄選定で一部切り替えてゆくことになるが、こうした連携が上手い形でマッチングしてくれば市場環境もまた面白くなってくるだろうか。


スピードを感じる経営と株価

さて、このところ日経平均もなかなかモタついた毎日が続いていたが、本日は3日ぶりに14,000円大台回復となった。これまで指数への高寄与度銘柄がダレてこの辺も影響大であったが、そんな中でも唯一ソフトバンクが気を吐きなんとかこれらのマイナス相殺に一役買っていた格好。

本日はシティの格下げが響いて大幅続落したものの、このソフトバンクといえば直近では時価総額が一時9兆円の大台を超えてあの三菱UFJFGを抜いたのが話題になっていた。これまでほぼ定位置が決まっていた時価総額時上位の第2位にとうとう躍り出ることになりますますの影響力も感じるが、時価総額が9兆円を越えたのは13年ぶりのことでこの時はITバブルがはじける直前で改めて当時の勢力図等が思い出される。

ところで時価総額が名門企業を押えてその上に躍り出たとこれ以外に話題であったのは、5月のガンホー株か。同じエンターテーメント界の雄オリエンタルランドを抜き一時は任天堂さえも抜き去ったが、このガンホーもまたソフトバンク系である。

この離れ業をやってのけたのが連日のストップ高によるものであったが、今回のソフトバンクも約2ヶ月で時価総額を1兆円も増やしており、両者共経営のスピード感がそのまま時価総額増加にリンクしている恰好だ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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