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代替品逆転

新米の流通が始まったことで各所店頭ではコメのラインナップも以前の光景に戻った感があるが、先週末の日経紙総合面には「コメ高騰、代替品に特需」と題し、コメに代わり乾パスタなどの製品に食品各社が力を入れている旨の記事があった。先の消費者物価指数でもコメの価格が49年ぶりの上げ幅と報じられている通り、これによりコメの販売量が前年同期比で大きく減少するなど消費者の購入控えが目立っているのが背景という。

しかしこんな現象を見るに、つい2年前は国内消費の約9割を海外から輸入する小麦がウクライナ危機に因る国際相場上昇や円安で高騰が止まらないなか、ドミノピザやピザハットなどピザ業界が相次いでピザライスボウルやごはんMYBOXなどコメを使った新商品を投入し高騰する小麦の代替を模索していた光景が記憶に新しい。

国内需給率がほぼ100%を誇り価格の変動も少ないとされていた国産穀物の代表格もすっかり需給の構図が変わり、上記の代替品の構図も再度逆転してしまっているあたりいろいろ考えさせられる。思えばにわかおにぎり専門炭等も小麦代替がいわれていたあたりから増殖していた気もするがこの原材料高騰で試練の時だろう。今後日本の食のスタイルは何処へ向かうかだが、この構図が続けばまたコメ離れに拍車がかかるのが懸念されるところでもある。


東京ゲームショウとIP株

さて、先週にサウジ政府系ファンドのPIFが任天堂の保有比率を低下させたことが明らかになっているが、PIFといえばこの任天堂はじめ日本のゲーム株保有が有名なところ。ところでゲームといえば先月末まで「東京ゲームショウ」が幕張メッセで開催されていたが、今年の出展社数は985社と過去最高となった模様で、この幕張メッセでもサウジが大型ブースを構え今後も日本への投資を進める考えを示していた。

ところでこの東京ゲームショウの期間中に歩調を合わせるべく株式市場では年初来高値を更新するゲーム株が多数出たのがひときわ印象的だったが、上記のサウジ政府系ファンドが大量保有してきた経緯があるカプコンはこの初日に年初来高値を更新、ちなみに同じく同ファンドが買い増しを続けて来た東宝もまたこの期間中に年初来高値を更新してきている。

他にもこの日に同じく年初来高値を更新していた銘柄にコナミグループや先週に年初来高値を更新してきたバンダイナムコHDもあったが、こうしたエンタメ関連株は先に経団連によるコンテンツ予算増提言も報じられていた通り、政府からのサポート期待も支えにこの期間に限らずともここ数か月の混乱相場やその出直りにおいてもTOPIXを大きくアウトパフォームするなどその堅調さが目立っている。

また上記所銘柄はそれぞれ例えばバンナムはドラゴンボールやワンピース、コナミも桃鉄など有力IPを保有しているが、前にも書いた“ゴジラ”や親子世代にわたるゲームなどと同様に登場して既に数十年経ってもなお多くのファンを抱え、同時にマネタイズが進んでいる点などからもIP関連株には今後も引き続き注目しておきたい。


総選挙と相場彼是

衆院選が公示され27日の投開票に向けての選挙戦がスタートした。総選挙と株価については投開票までは選挙公約に示される経済政策への期待等から買いというアノマリーを既に当欄で書いていたが、昨日の日経紙夕刊・十字路ではそれ以降の投票日直後から投票日1か月後の期間では下落回数の方が多く、どちらかといえば株価は軟調となる旨が載っていた。

ちなみにドル円相場も解散日から投開票日までを見てみると2000年~2021年まで8回のうち5回が円安方向へと動きやすい傾向が見られるが、本日の日経紙投資面でもこの為替に関しては衆院選の円相場への影響が与党で過半数を獲得した場合には「影響は限定的」との業界関係者の回答が68%で最多であった旨も出ていた。

冒頭の件でもこのスパンを3か月で見た場合では、与党第一党の議席数が大きく増えた時、もしくは微減にとどまった時は株高が続いたものの、大きく減った時は下落したデータがある。今回も与党で過半数を確保できるかが攻防ラインとなるが、序盤情勢分析では自民は大幅に議席数を減らし15年ぶりに単独過半数を割り込む可能性も報じられている。いずれにせよ選挙後の内閣の安定性はこれら相場を展望する上でも一つの重要な要素になると思われるだけに今後も注視しておきたい。


睡眠市場の伸びしろ

昨日の日経紙ビジネス面では、「起こせ!睡眠2000億円市場」と題し、ここ数年拡大する睡眠市場において旺盛な需要を取り込もうと各社が挙ってこの関連の提案を競っている旨の記事があった。この睡眠市場だが、富士経済によれば2023年は前年比17%増の1750億円となり、今年も9%増の1904億円に達する見込みという。

睡眠関連マーケットへの関心の高まりは数年前に「ヤクルト1000」が話題となり、コンビニやスーパーから駅の自販機に至るまでその姿を消したあたりから拡大が加速したような感があるが、前回も取り上げた際に書いたようにOECD30か国中の中でも日本人の平均睡眠時間は最短といわれているだけに伸びしろのあるマーケットとして商機は既に十分にあったといえようか。

睡眠関連といえば今年のノーベル賞ウィークでは生理学・医学賞で京大の森和特別教授や、阪大の坂口特別教授らと共に受賞期待がかかっていた人物に、睡眠・覚醒を抑制する神経伝達物質のオレキシンを発見した筑波大国際統合睡眠医科学研究機構の柳沢雅史機構長の名も挙がっていたなと。睡眠不足等による経済損失は25年には18兆円規模と試算されており、生産性の低さが課題と言われて久しい日本だけに今後も数多の企業がこの市場に参入してくるのは想像に難くないか。


社内昇格の壁

さて、先週末の日経紙ビジネス面には「女性取締役、社内昇格は1割」と題し、現状の女性取締役の属性では社内からの昇格が1割にとどまり社外の人材に頼る構図が鮮明になっている旨の記事があった。ちなみに日経クロスウーマンによれば現在東証プライム市場時価総額上位500社の取締役男女比は男性が80.8%、女性が19.2%となっている。

この比率だがコロナ禍の一桁台から見れば大幅な伸びとなっており、起用が加速した半面中身に課題といったところか。またプライム市場全社対象で女性取締役0人の企業は2024年7月時点で94社と記事にあったが、上記の調査対象500社で見てみると女性取締役が0人の企業は2022年に44社あったが、2023年には16社に、更に今年は4社とこちらは激減している。

社内昇格の壁が課題という事だが、現在女性取締役比率では50%とトップを走る大和証券など6人のうち2人が生え抜き人材、以前より着実な人材育成をしてきた感がうかがえるが他の上位企業も従前は女性取締役の存在など想像出来なかったような重厚長大企業が生え抜きの女性取締役を擁して上位に入って来るなど業界・業種も多彩な広がりを見せている点では今後が期待出来るか。

いずれにせよ政府の目標として2030年まで女性取締役を30%に引き上げてゆくというのがあり、もう一つの中間目標として2025年に19%にするというのがある。そうしたなかで上記のように生え抜き人材を登用する動きも徐々に目立ってきている模様だが、来年はこの中間目標の年になるだけに引き続きこの辺の動向には注目しておきたいところ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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