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今回は茶器

さて今週で終了となってしまうが、過日は「茶会への招待-三井家の茶道具-」と題して同家伝来の茶道具の数々を展示している三井記念美術館へ行ってきた。

この美術館には直近では昨年末の能面と能装束の数々を展示した「神と幽玄のかたち」以来で比較的日が経っていないが、今回は他のところで観た重要文化財の俊寛の黒楽茶碗も出るということからやはりこの辺は見逃せない。人によっては一見ラフにも見えるこの碗だが、果たしてというか茶が入った絵を想像するになんとも計算され尽くされた一品である。

他の桃山時代からは、業平の伊賀耳付花入などえもいわれぬ素晴らしい色合いであったし、珍しいところでは如心斎の横物「老来無力且坐喫茶」は短いながらその言葉に深い意味合いを感じたものだが、この辺は写真さえ出回っていなく初めて観たものであり他も含めて此処へ落ち着いた個別の経緯など見るにやはり三井家の懐の深さが毎回感じられる。


システム障害週

昨日は東京金融取引所で午前中にシステム障害が発生し、約1時間にわたり金利先物など4商品の取引が出来なくなった件があった。さて、システム障害といえば昨日も中央三井と住友、中央三井アセットの三信託銀行が経営統合して発足したばかりの三井住友信託銀行でシステム障害が発生し、一部のATMで振込みが出来ないという件もあり連日なだけにどうしても目立つ。

しかし三井住友信託銀行同様に、統合初日の営業でシステム障害が発生したといえば記憶にあるのがやはりみずほ銀行だろうか?もう10年も前のことだが新年度のあの混乱は記憶に新しく、それでもなお昨年の震災直後にまたまた大規模なシステム障害を起こしたのが同銀行であった。

システム障害は何処でも起こり得るが、こと金融インフラに関しては世間の見方も厳しい。各機関には猛省を促したいが個人もこの手は常に起こり得るというリスクを想定しつつヘッジは張っておきたいものだ。


意気消沈の海外勢

さて、先月末の日経紙にはオランダING銀行が、東証の「TOKYO AIM取引所」の社債市場「東京プロボンドマーケット」を通じて資金調達する旨が書かれていた。東証AIMは昨年5月に同市場を開設したが欧州債務危機の影響で1号案件が出ていなかったという。

ところでこの「TOKYO AIM」だが、先に東証は英ロンドン証取が49%出資して設立したこの新興市場を解散し、同様の仕組みの市場を東証内に設ける方向で最終調整に入ったと先に報道されている。

「TOKYO AIM」に関して当欄では第一号のメビオファ−ム上場の様子を取り上げ、末尾に「先ずはこの第一号がどういった歩みをするのかが注目されよう」としたが、結局はVCの痺れを切らした投げ場提供の場となっただけになったのは否めない。

ロンドン証取といえば加TMXグループに食指を動かした経緯があったり多くの取引所と提携しているものの、これほど牛歩且つ提携効果が見えてこないパターンも稀。そんなことから上場第一号をトリガーにロンドン側は降りる観測が強かったが果たしてという感じだ。また、東証の海外合弁?といえば確か数年前にNYSEとの業務提携話もあったはずだが、これもすっかり熱が冷めてしまった感じ。目下目先の合併で手一杯だろうがこの辺が等閑になってしまっているのは惜しい限りである。


体制改正は焦眉の急

さて、新年度スタートだがいまだ混乱収まらない中で企業向け電気料金の値上げが始まった。ところで東電といえば3/30付けの日経紙春秋にも東電にはシロアリがたかっているとし、本業との関係がどれほどあるのかわからない高コスト体質の子会社や関連会社の数々に社員OBらが天下りしているとの指摘があったが、まったく酷い話だ。

天下りといえば以前にも度々触れているが、先週には厚生労働省が全体の3分の2にあたる366の厚生年金基金に、旧社会保険庁OBら国家公務員が役員として天下りしていたと発表している。この天下りした国家公務員OBの総数は721人、基金の資産運用を担当していた402人の9割が資産運用業務の経験がなかったというから年金不信も今後更に高まるのは想像に難くない。

そんな素人集団だから運用期間の選定では運用実績を重視とした基金が4割と最も多く、運用プロセスやリスク管理の方法を重視する基金は1〜2割程度にとどまり、高い利回りを謳う運用機関に飛び付き易い傾向がうかがえたという。強制的なものがこんな連中に委ねられている現実も信じられないがこれを機に金融系専門知識の有資格者しか担当者になれないようにするとか何らかの改正が必要だろう。

しかし厚生労働省でこの規模であるから他の省庁も一つ一つ見ていったら更に驚愕な構図が展開されているのが想像出来るが、改めてこんなシステムで国が回っていると思うとなんとも複雑な思いである。


箱の末路

本日は所用があり久しぶりに茅場町まで歩いていったのだが、東京証券取引所を通り過ぎると大手に混じって中堅含め地場証券の面々が乱立している。そんな中を歩きながらかつて活況であった頃の兜町を思い浮かべている折にふと気になったのはやはり先日に破綻してしまったあの丸大証券であろうか?

ココは仕手株好きならこの会員の名前を知らないものは居ないほどそういった筋の機関店として活躍した経緯があり、直近の特定銘柄の崩落はこの辺が大きく影響したという説も一部に出ている。それは兎も角も、既に登録抹消となっている同社の預かり資産の運転資金や給与流用で喪失した顧客資産は日本投資者保護基金が補償するという。同社は群馬桐生から東京に進出したが、そういえば同じ群馬出身の南証券なる会社も詐欺事件でこの補償基金による補償適用となった経緯があったなとこれまた思い出される。

ちなみに近所のメインストリートでも向いには老舗の十字屋証券も店を構えているがここも今月に証券業の廃業が決定している。まあ十字屋証券の場合は紳士的でこれらとはまったく違う背景だが、問題となった丸大や南は結局のところオーナーチェンジで箱にするにうってつけの会員であったというところだろうか。負債額は丸大とほぼ同額ながらあまり派手には報道されなかったものの、業界でもタイコム証券なんぞは広義ではこのパターンともいえるだろう。

金融緩和から一寸した過剰流動性相場で株式は久し振りに沸いている中でも、こうした件の露呈は何気に業界事情を物語っている。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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