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体験型消費喚起

昨日の日経夕刊「ビジネス戦記」にはアメックスのロバート・サイデル氏のコメントが出ていたが、そこには消費を上向かせるためには潜在的なニーズを掘り起こす「体験」の訴求力を生かすことが有効だと考える旨が出ていた。

自身の体験でも観光地で製造工程をガラス張りで見せていた土産品を思わず買ったという一文と共に、減退する購買意欲を何とか刺激しようと最近日本の小売店で実演や体験の場が増えている旨も書かれていたが、確かに大手百貨店でも著名ブランド始めとしてこの手が近年ほんとうに増えていると実感する。

そうそう百貨店といえば、デパ地下で常に黒山の人だかりが出来ているスペイン発の某キャンディー店などもこのパターンか。流行っているところを失礼とは思うが、確かにいくら見た目がポップとはいえ切り落とした飴を小さな瓶に入れただけのものをただ陳列しているだけでは1,000円近い金額をこれに出す奇特な人はそうそう居ないだろうと思う。

これはこれで消費刺激の効果抜群なワケで、そんなことから実際に上記のアメックスのポイントプログラムでもこの手が増えてきたが、デフレの産物で出てきたマーケティングも対面回帰へのトリガーに成り得るかどうかこの辺は興味深い。


アグリの金融化

週明けの日経電子、注目投信ランキングではコモディティーで運用する投信のランキングが出ていたが、それによると過去3年の騰落率首位投信は農産物に特化した指数に連動するユーロ円債に投資するものであった。総じて食料間連モノが上位を占め、逆に原油関連指数に連動するタイプはマイナスということであった。

この辺は今年の9月に当欄でも、農産物の値上がりを見込んで流れ込む先物市場への投機資金やそれに絡む−関連ファンドの多様化に付いて触れたことがあったが、伝統的資産の投資リターンが間誤付くなかを近年脚光を浴びてきているコモディティーもの、とりわけアグリものへの選好を表している。

この手の農産物系はETFも近年続々上場しているが、リクイディティが確保されていないものなど板がまだスカスカなだけに突如として突飛高したりするモノが時折目立つが、こちらのETFも順調に新手のものが増加している。今月に出たものではiシェアーズのフロンティアマーケットものが3つあったが、iPath系もリクイディティが出てくれば更なる選択肢が広がるのではないだろうか。


倫理観を越えるとき

さて、昨日は日経平均が揉み合うなかで値上がり寄与の銘柄には東京海上やMS&ADなどの保険株の一角が上位に並んだが、債券高の期待からこのところ第一生命保険なども確りした歩調を歩んでいる。

ところで生命保険といえば昨日の日経紙大機小機には「長生きの処方箋」と題して、老後設計を念頭に置いた「長生きするほど得をする保険」としてトンチン保険について触れていたのが目に付いた。この手の倫理の是非を問われるモノとしては、高齢になるほど買い取り率が高くなる生命保険を証券化したデスボンドなる物や、果ては保釈金の証券化など中にはなかなか面白い?モノも存在する。

確かに現在では同紙にも書いてある通り「反道徳的商品」に位置付けられ国内販売こそされてはいないものの、年金など考えれば基本構造として一理あるのは否めない。まあ、同紙に書いてあった30年というスパンだとインフレ等その環境変化等が未知数でそうした部分の問題はあるが、社会の高齢化は既に認識されておりいずれはそのエッセンスを組み込んだ形で登場してくる日も来るのではないか。


LNG市場

本日の日経紙企業面には、関西電力が北米の市場価格に連動するLNGを2017年から調達するとの旨が出ていた。原発再稼動が遅れる中を割高とされるLNG調達コストの低減に繋げるということだが、このLNGといえば先週には経産省が世界初の先物市場創設を検討する協議会を開催、TOCOMや取引員含む18社が参加した模様だ。

LNG先物については当欄でも夏場に電力先物と共に上場要請があった旨に一寸触れたことがあったが、石油先物市場をよく使っていた当業勢もかねがねこのLNG待望論を口にすることが多く、取引所の中期計画内でも上場検討商品でA重油を外しLNGを加えていたことからこの流れは自然なところで、経産省も実現の暁には市場は需給に応じた価格になるとしている。

ただこれまた独特の商慣習が存在しており、この辺が壁になって今迄他の市場でも数々の新規上場商品を打ち出したものの、食品から産業資材までそのリクイディティーの無さから可也足元の需給とは乖離した相場が続いていたのが記憶に新しい。新規上場商品でなくとも、例えば東穀取でかつてスタートさせた「eコマース」等もこの壁が障害になったいい例でありこの辺をどうクリヤするかが課題となろう。


あり得る環境

週明けの本日も引き続き円安や政権交代期待を囃して日経平均は続伸となり、主力中心に個別も堅調相場となっていた。「家電御三家」も全般の雰囲気に呑まれ恐る恐る戻りに入っているが、直近ではパナソニックが1975年以来、実に37年ぶりの400円大台割れとなり、シャープは既に40年以上前の安値を更新、またソニーも1980円以来の32年ぶり安値に沈むなど最近では年足がしばしば活躍する始末となっている。

ここまでボロボロに売られた背景はパナソニックやシャープなど予想をはるかに超える巨額の赤字がサプライズであったが、黒を確保したソニーの場合、突如として15%超えの希薄化を生むCB発行の報がサプライズとなった模様で安心買いが付いた分余計にそのその投げ物も大きいものとなった。

ところでソニーといえば、社債でもCBならぬ株式連動社債が今年の夏場に外資系の発行体から売られたのが思い出される。その頃の株価は1,000円の大台を割ったり戻したりを繰り返しているような水準であったが、このノックイン判定水準が当初価格の60%の設定となっており約600円というところ、この手は販促のパンフ等の錯覚?効果もありノックインまで可也遠いという感覚に陥り易いがその後上記の通りの急落で一気に値位置が変わる等その行方は一気に不透明漂うモノに。

このノックイン債、幸いにも3桁の値頃感がある程度働いたことで105%で設定していた早期償還判定水準に抵触し第一回目で難無き?早期償還となったワケだが、昨今市場を取り巻く環境を鑑みるに株価にとっては寝耳に水のサプライズは何処に潜んでいるか分からず、この手の商品には十分な注意が必要なのはいうまでもない。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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