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集約の為の一枚岩

昨日の日経紙には、来年1月に合併して「日本取引所グループ」になる東京証券取引所と大阪証券取引所が、決済機能一本化で市場効率性を高め市場拡大に繋げる狙いで来夏をメドにデリバティブの決済業務を東証子会社の日本クリヤリング機構に集約する旨が載っていた。

集約といえば先月末にも総合取引所の設立に向け、各省が取引所首脳陣を集めて意見交換会を開いていたが、ここでは参加者が取引活性化のために取引口座や税制の一元化などを要望した模様。一元化が叶えば投資家は株や商品先物を一つの口座で取引出来る為に利便性が高まるのは当然だが、これには先の当欄でも書いたように税制面等も含めて課題は満載。

ところでそれ以前に商品勢が合流するか否かが焦点にはなっているものの、先の会合では当のTOCOM側からは現時点では何も決まっていないとの声が聞こえる。この会合後に発表されたTOCOMの4-9月の売買高は1,188万枚と16年ぶりの低水準となり、ピークの2003年と比べると実に7割強の減少である。

斯様な環境から考慮しても各々の方向性を確定させるのは焦眉の急ともいえようが、一元化もその前提の一枚岩が求められやはり各省、行政の本気度が今後注目されようか。


(不?)惑の四十

週末の日経紙には「国と国をつなぐのは一人一人。」と題し、田中角栄・周恩来の両首相が杯を交わす写真と共に日中国交正常化40周年を謳う全面広告が載っていた。

こんな広告を見るたびに哀しさというか仰々しさまで漂ってしまうのは、やはり直近の中国各地で起きた野蛮極まりない反日デモ暴動の影響だろうか。その被害額も機会損失まで入れると多大になるだろうが、先月末に予定されていた40周年記念式典まで中止にされてしまっている。

一方で、同じ日の同紙一面にはこんな反日デモ暴動等もあって「対中ビジネス減速」と題し、日本企業が出店を遅らせるなど対中投資を見直す動きを載せていた。こうした投資や生産活動停滞は中国景気を冷やしひいてはこの辺が諸外国の景気へスパイラルに跳ね返ってくる悪循環になる。近年の関係悪化は国力も絡んでいるのだろうが一刻も早い事態の収拾が望まれるところである。


On the rise&花魁

さて、早いもので長月もそろそろ終ろうとしているが、ご招待をいろいろ各方面から頂いた都合もあって今月のカルチャーものとしては「池坊展・いけばなの夜明け」、「アートアクアリウム展」など過日観てきた。

池坊といえばここ数年は春行事の幕開けで桜の季にご招待頂いていたのだが、今年は秋の展ということで楽しみにしていった通り果たして今回の展も素晴らしいものであった。やはり季節柄その作品もオーガスターの枯れ葉、蓮の花托や枯れ葉、栗といった秋ならではの素材が多用され、それらとモンステラ、胡蝶蘭、グロリオサなどの組み合わせが斬新であった。他にもヘリコニアに女郎花、鬼灯にキングプロティアなど縦横無尽な和洋の組み合わせの完成度は流石の一言に尽きる。

また青年部の「誰もが知っている私のSTAR!」なるスターをイメージしたコーナーではやはり「LADY GAGA」が多数目に付き、他にはやはりロンドン五輪で注目された田中理恵選手や男子競泳といった旬?なものをイメージした作品が並ぶなどこの辺も面白い企画であった。

一方、ダイナースクラブの「アートアクアリウム&ナイトアクアリウム展」も相変わらずなかなかのものであった。水族館や街中の専門店でも見たことがないオパールのような五色琉金や黒い琉金、出目金のアルビノ等々、珍しい種もさることながら無数の金魚を巨大な鉢に放流させている「花魁」、「華魚繚乱」、風流な「水中四季絵巻」等こちらも圧巻であった。

今年は共に近所での開催で纏めて展を味わうことも出来とても満足のゆくものであったが、双方やはりその見せ方にはセンスが光りまさに巧の技、次回にまた期待が膨らむものであった。


今度は胡桃?

本日の日経紙には「マネー・農業共に育つ」として、農産物の値上がりを見込んで流れ込む先物市場への投機資金やそれに絡む関連ファンドの多様化などが載っていた。まさにメタル等と同様にアグリ系もここ最近では本当に商品が多岐にわたり、コモディティー金融化の流れがひしひしと感じられる。

ところでコモディティーでも一寸毛色の違うものとして、中国で「胡桃」投資熱が高まり年代物で大きく均整の取れた胡桃に数万ドルの値がついている旨を過日ロイターが報じていたのを思い出した。しかしこんな小物もこうなるとまるでチューリップ投機状態になるが、数年前の「プーアール茶」投機もまさにそのミニ版だった。また記憶に新しいところでは当欄でも前年同期比で値段が120倍にもなった「大蒜」、また「唐辛子」を取り上げたこともあったのを思い出す。

当の中国では目下経済成長率が政府目標である前年比7.5%を下回る懸念が指摘され始めており、株式や不動産など低迷から抜け出せない状態。こういった伝統的資産への投資リターンが低迷する反面、依然前回のバブルで暗躍した投機資金は温存されている状態で行き先の無い過剰流動性の存在が折に触れクローズアップされるところ。


海運も「逆転現象」

本日の日経平均は手掛かり材料難のなか、為替相場に左右されながら辛うじて反発となったが、主力の中身は疲弊感漂い中国関連の海運や鉄鋼セクターなどは週明けからの下げに続いて本日も引き続き軟調展開を強いられていた。

とはいえこのなかでも海運セクターは先週大きく戻りを入れていたものだが、これは教科書通りのバルチック指数の大幅上昇、とりわけケープ船(大型ばら積み船)の用船料相場が急騰したことが大きい。このケープ船用船料といえば通常であればパナマックス船(中型ばら積み船)がその運航コストの安さから半分程度なのであるが、ここ最近はこれら逆転現象が暫く続く異常?な状況が続いていたものだ。

それが先週は今年1月以来約8ヶ月ぶりにこの逆転現象が解消され話題になっていたが、この辺はリーマン・ショック以降度々指摘されている。これで連想されるのがやはりメタルの「金・白金逆転現象」か。当欄でも度々取り上げ、直近ではロンミンの鉱山ストもあってその鞘が変化したものだが、近年逆転現象は時価総額まで含めいろいろなところで起きている。どれを以って正常とは一階に言えないがこの辺に関してはアノマリーも次々と崩れつつあるのは間違いないところ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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