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技術も情報も

さて、昨日の日経紙夕刊一面には「社員の発明対価に指針」として、政府が決める「知的財産推進計画2012」でサラリーマンが仕事で発明した対価として企業が支払う額について政府が指針を作ることを含めて検討する旨が載っていた。

この辺に関しては当欄でも今月の8日に「人材草刈り場」と題し末尾に、企業の事情が絡みインセンティブの国際標準を考慮するのも難題としたが、政府として漸く重い腰を上げたというところか。また併せて技術流出にも触れたが同計画では新日鉄の機密情報にあたる鋼板製造ノウハウが韓国鉄鋼大手ポスコに流れた問題を受けて防衛策を来春までに纏める事も盛り込むとしている。

この新日鉄問題はポスコのみならず所謂「二次流出」で中国の宝鋼集団にまで及んでいるが、それこそ株のインサイダー情報よろしくその対応には限界があるのは明白。この手の一件はグローバル競争を展開している日本の全産業界にとって間違いなく脅威で、経産省あたりも早急に防衛策を求める声が高まってこようか。先のエルピーダメモリ破綻後に中国勢の影がチラついた経緯があったが、直近ではこれに続き今度はルネサスエレトロニクスが土俵際に立たされている。


食い潰しの果て

さて東京穀物商品取引所の取締役会が明日に控えるなか、先週末の日経紙では同取引所の4商品を来年2月をメドに東京工業品取引所に移管、またコメについては関西商品取引所に移すことで合意した旨が載っていた。ここまでなかなか公式な発表が無いなかで来る株主総会までにその去就を決定するということであったが、大手紙では順次既成事実として最近この手の発表が相次ぐ。

ちなみにこのコメに関して今年2月に当欄では「こんな記事を目にするとイヤでも関西商取が消去法で出てくるワケで〜皆に期待された大型商品であったが、天下り陣の既得権益の具にされていたとしたらそれこそかわいそうな商品〜」とコメントしたことがあったが、いろいろ派生モノも出てきた矢先のコメだけに移った先の処遇が気になるところである。

しかしこれまでなしくずしし的に手持ち不動産、有価証券を順次売却し最後の砦である自社ビルまでも殆ど一存で売却してしまう暴挙と併せ、大風呂敷の事業計画を得意気に謳ってきた様はなんとも酷い。天下り組は食い潰しでも食うに困らないだろうが会員や一般は本当に犠牲者とも言えよう。

迷走の軌跡も板寄せからザラバへ移行、不発に終わってまた板寄せに戻すなどの繰り返し、今回の東京工業品取引所への移管でもコメ上場を期にそれを白紙撤回したかと思えば、不発に終わりまたも白紙撤回したのを撤回するという繰り返し。最近けっこう引用が見られる「1度目は悲劇として、2度目は喜劇として」というマルクスの言葉があるがなんともなあという感じである。


大山鳴動鼠一匹

さて、今週は国内では月曜日の「金環日食」、そして翌日火曜日の「東京スカイツリー開業」と立て続けにビッグイベント?が並んだが、直近で世界規模のビッグイベントとなったのはやはりあのフェイスブックの上場だろうか。

注目された初値は42.05ドルと公募・売り出し価格の38ドルを約11%上回る水準となったものの、その後はズルズルと急落し物議を醸し出している。同社人気が波及する期待があったジンガやグルーポン等のSNS関連株も急落、フェイスブックのカラ売りは出来なくとも、日本でもジャスダックやマザーズなどの新興市場では先駆してこの関連で買われてきた手垢の付いた銘柄群がゴロゴロ、今週はこれらのカラ売りで軽く一回転が利く始末だった。

ところで史上最悪とまでいわれたこのIPO、上場初日に取引障害という失態を晒したナスダックが現況ヤリ玉に上がってはいるが、寧ろ主幹事のモルガンあたりの方がこれの主因のような気もする。日本でもそうだが初値形成は主幹事のカラーが結構出易く今回はまさにその通例通り、加えてディスクロの不透明さは今後も追求されて然るべきであろう。

踊らされて高値を掴みに行った向きも多かっただろうが、ちなみに以前にも触れた大統領選等の予想市場「イントレード」では同社初値を予想する取引も開始されていた。まあ斯様にトンだケチが付いたものの、曲がりなりにも初値での時価総額は約1,150億ドルとあのマクドナルドを上回るという水準、世界の株式市場が戦々恐々とした不安定な中でこんな超大型上場をこなしてしまうあたりも上記の派生モノと併せ改めて米株式市場の懐の深さをしみじみ感じる。


先物活躍の場?

さて、昨日の日経紙商品面には「コメ専門店、半数に」として街のコメ専門店減少が続いている旨が載っていたが、コメといえば東京穀物商品取引所の5/18のコメ5月限の受渡価格は、今後の端境期を控えコメ現物扱い業者が在庫確保を優先し先物市場での販売を手控える動きが広がったとの事で60キロ当たり17,940円と上場来の最高値を付けた。

そんな動きに先行して先々週の「eワラント」上昇率ランキングでは「コメ・2012年9月のコール4回」がトップとなっていたのを思い出した。個別の上場企業や日経平均等の指数に交じって個別の商品がランキングに出てくるのは一寸違和感さえ感じる光景だが、何でも素早く商品化するこの手の商品ならではと改めて実感する。

さて、このコメワラントについて当欄では「日経平均VI先物」開始の時に一寸触れたことがあったが、現在コール9月4本、プット9月3本、コール10月4本、プット10月3本の品揃え。メーケットメイクだから殆どは取ってくれ、あのパンクしたエルピーダでも破綻前にはけっこう遊ばせてくれたものだ。ところで、本家の商品オプションは今どうなっているのだろう?こんなワラントあたりに商いが集まるようになったらいよいよ世代交代か。


匠の集大成

本日は、今春開業の東京新名所の中では最後発となった「東京スカイツリー」が本日開業した。生憎の雨に見舞われたものの多くの人出で賑わったが、首都圏の地上デジタル放送を一手に担うこのツリー、武蔵にちなんでその高さは634メートルと電波塔としては世界最高という。

そんな世界最高のタワー、建設中から前を通る度に思ったのだが東京タワーの足元からするに此処の足元は心配になるくらい狭い。それで高さが東京タワ−の約2倍というから今更ながら現代の技術力の高さに関心、また本日の日経紙全面広告でも此処のエレベーターが紹介されていたが、「iPhone」よろしく唯一無二の技術を誇る企業群の集大成ともいえようか。この辺は併設のソラマチもまた然りで、此処には大手ゼネコンの人工海水製造技術を使った水族館が入り、その上でも大手複合機メーカーの製品が使われたプラネタリウムも入る。

さて昨日の金環日食では経済効果にも触れたが、このスカイツリー擁する墨田区ではそれを年間880億円と弾いている。いままで下町の観光地といえば浅草が定番であったが墨田区はその浅草のある台東区の小売業売上高の半分くらいであった。既に此処は開業前から新たな人の流れを生み出していたが、上記の経済効果を鑑みその構図が一変してくるかどうかこの辺も注目される。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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