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金環日食

本日は周知の通りで金環日食。当初は首都圏の天候が懸念されたものの、雲は薄く7時前後から近所の東証隣の鎧橋には人が集まり、蛎殻町界隈の取引員の屋上でも三脚をセッテシングしてなんとかこの瞬間を捉えようとする人々が見られた。なにせこれが首都圏で見られるのは173年ぶり、今回のように国内の広範囲で見ることの出来る機会は300年後というからちょっとしたお祭りである。

さて観察には日食グラスということだが、週末は大手家電量販店から書店に至るまで全て売り切れの札。ちなみにこうした関連グッズの売り上げやら観測ツアーやら諸々でその経済効果は合計160億円前後という試算も出ていたが、数分間のショーでこれほどの額が弾き出されるのも凄い。

経済効果といえば市場のアノマリーはどうだろう?過去23回の金環日食や皆既日食があった日の株式市場は前日比プラスが6割、金環日食のあった3回は全てプラスという。ただもっとスパンを広げてみると日食の前後1ヶ月の株価は総じてマイナス、年でいえば87年のブラックマンデーや09年のリーマン・ショック後の暴落という出来事もありその取り方次第といったところ。何れにしても滅多に無い出来事だけに、諸々良い方向に作用するのを祈りたいところだ。


投機かヘッジか

国内の前3月期決算発表もピークを過ぎたが、なにぶん地合いが悪過ぎてそこそこの決算でも多くの個別は売られる始末という相場が今週は続いている。そんな地合を作った一因にJPモルガンがあるが、周知の通り突如としてデリバティブ取引で20億ドルの評価損が出たとの発表に金融系は動揺し東証でも個別で数銘柄は可也の影響が出ていた。

この取引はCDSに絡んだものといわれているが、ロイターではその裏付けとなる現物債市場の発展で同社がヘッジの再構築を迫られスワップの上にスワップを重ねる取引を行ってポジションの構造が複雑化し1つのスワップの利益で別のスワップの損失を穴埋め出来ないリスクが高まっていたというなんともデリバティブらしい話。膨張して動けなくなったところを餌食にされたというが、この辺は株の仕手崩れさながらである。

この一件が何ともタイミングが悪いというか、金融機関による自己勘定取引とその他の投機的な取引を原則的に禁止する所謂「ボルカールール」に絡んだ議論を再燃させている。渦中のモルガンはヘッジだと強調する一方で、米大統領などこの問題について改革が重要な理由がまさに示されたとして米金融規制改革の必要性を改めて強調しているが、当のルール詳細が確定していないことには結論を出すのは困難極める。

しかしこと金融系は立場が違えば言い分も違う。そういえば国内でも大手石油会社が原油に絡んだヘッジ取引で更正処分を出した国税庁とヤリ合っていたことも数年前にあったのを思い出したが、ルール解釈を巡って広義ではこれもその部類だろう。明確なルール未確定のものは得てして最後は政治力がキーになってくる。


東穀取農産物指数公表中止

昨日は東京穀物商品取引所が、農産物の値動きを総合的に示す「東穀農産物指数」の公表を今月末までで中止するとの発表があった。同所の凋落と共に上場商品の廃止が進み指数の役割が果たせなくなったとの事だがこの公表が開始されたのが2008年、当時の10商品からすれば直近も構成銘柄であるアラビカコーヒーの廃止が決まるなど商品半減ではやむなしだろう。

この指数、東穀取側では「〜世界ではじめての日本仕様の農産物指数で、金融商品の運用機関の方々などに指数を積極的に利用していただくことで、新たな資産運用ニーズに応えるツール云々〜」と謳ってあるが、およそ国内の商品先物で「世界ではじめての〜〜」と謳う類で軌道に乗って成功した例が如何ほどあるだろうか?

この指数も構成状況を見るに近年とてもベンチマークになるような代物ではなかったし、相次ぐ上場商品廃止の経緯からもっと早くに消えていてもおかしくはなかった。しかし指数の類は育て方によっては無限の可能性が広がり活性化の起爆剤に充分成り得るモノだが、この農産物に限らずTOCOMの方でも指数は凋落、もう時遅しかもだがこの辺は他から早急に学ぶ必要があったのはいうまでもないか。


復活モノ

さて決算酣といったところだが、前週末に出揃った注目の自動車業界は日産の営業利益がトヨタを上回ったというのが話題になっていた。連結決算の開示開始以来始めての事というがまあ日産の方が海外生産比率が高い点で為替への抵抗力が光ったというところだろうか。

ところでその日産、先の日曜日付け大手紙ではTV東京系番組の広告にてハイブリッドで復活した「シーマ」が取り上げられていた。このシーマに関してはちょうど2年前に「バブル期のノスタルジア」と題してこのシーマが生産終了される旨を書いたことがあったが、当時フラッグシップモデルをチェンジ云々と言っていた割に意外にも早い復活劇である。

そういえばこの時に消え行くバブル期の象徴として一緒に載せていた「ヴェルサーチ」も昨年暮れには有楽町の新生阪急に復活をしている。この世代の娯楽系の復活劇は前からあったが、やはりこの手の消費系を掘り起こしてくる辺り未だ実感はないものの先週書いた高額消費復活の芽はあるのか。


オーバーストア

週末に飛び込んできたニュースのなかでやはり目立ったのは、ビックカメラによるコジマの買収か。今迄も業界内では小粒のM&Aが粛々と行われてきたが、いよいよ本丸へ切り込んだ業界上位同士による再編劇にステージが変わってきた感じだ。

この家電業界に関しては当欄では既に今から4年前に「消費パイ縮小」と題して、「家電量販店も構造的にはいずれオーバーストア、この業種もまた再編が吹き荒れるか。」と末尾にコメントしていたが、あれからテレビを巡る環境やら何やらでこの辺でまた大きなウネリが出て当時のコメントが現実化してきたというところだろう。

再編といえばこんな家電業界と並んで飲料業界もまた最近は騒がしい。サッポロやダイドー、UCC等が相次いで海外戦略を睨んでM&Aを進めているが、つい先週にはアサヒが味の素から1,000億円以上をつぎ込んであのカルピスを買収、3位以下がある意味混戦状態であったがこれでこの業界も再編が吹き荒れるのであろうか?

ところで当のコジマ、本日は66円安と週末のストップ高がウソのような往って来いの急落、希薄化が嫌気されてのものなのは明白だが、それにしても何とも単純というか短絡的な一連の動きである。今回は第3者割当の形を取ったワケだが、これがTOBなんぞであったらこれはまた相場的には展開が可也違っていた筈、直近ではアスクルもヤフーに割当増資し急落するなど株主も買収形態に一喜一憂と振り回されるが、まあ結局企業の都合が最優先されたといったところか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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