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胡坐と信頼

さて本日の日経紙一面を飾っていたのは「ソニー平井社長兼CEO体制に」という見出しでこのソニー始め、日本の電機大手が再生に向けた構造転換に踏み切る旨の記事。その下にはシャープの想定を超える大赤字の記事も出ておりこれら含め本日の寄付が気になったものの、周知の通り寄り前から東証アローヘッドの相場情報配信システムのサーバーに不具合が生じ、上記銘柄含めた東証上場241にも上る銘柄が売買停止の事態に陥る不始末があった。

ちなみに東証と同じ株式売買システムを使用している札幌証取も当然ながら売買停止。これによって日経平均株価算出はこれら売買停止銘柄の前日終値を指数計算に採用としているが、算出ルールに基づく処置とはいえ現物のトラッキングエラーから先物との裁定もヤレヤレという感じだっただろう。ましてや本日はソニーの決算発表の日、普段はマザーでない大証など同社株の商いは閑古鳥だがこの日は異様?な大商いを見せていた。後場から売買再開とはいえとんだケチがついた格好でソニーなど売買再開早々に大証高値比で一時急落する場面もあった。

そういえば昨日は東証の記者会見で、社長がオリンパスの上場維持とした判断の件で「間違った判断だとか、意外だったとの声はあまり聞こえてこない」などと言っていたようだが、こんな茶番を言っている間に数百億円も注ぎ込んだ自慢の高速取引とやらを少しは危惧したほうがいいだろう。引け後の市況解説にはシステムトラブルの影響は殆ど無かったとしているところが多かったが、主力銘柄の決算たけなわな重要な時期に通常通り売買出来なかったのは由々しき事態、外人投資家が漸く戻り始めた折こんな不祥事をあまり甘く見ないほうがよいだろう。


各紙に見るステマ?

依然として不安定なユーロを取り巻き市場の方も欧州問題に引続き神経を尖らせているが、昨日の日経紙一面には「欧州、危機下の消費増税」として、欧州各国で日本の消費税に相当するVAT(付加価値税)の税率引き上げが相次いでいる旨が大きく載っていた。

ちょうど一週間前にも当欄で消費税6%分不足なる同紙夕刊の記事を挙げたが、やはりその書き方からして増税に向けての下地作りに余念がないといった感は否めない。この辺は同日経済面に重ねて「国際利払い費20兆円に倍増」として、消費税率を引き上げても国債残高は21年度末に1,000兆円を超えるまで増え続け、21年度の国債利払い費は20兆円へと倍増する見込みの旨も記してあるあたりからも窺えるというもの。

また同じく先週にはオリンパスのスクープをよく取り上げた大手紙に、内閣府の資産から基礎的財政収支も20年の黒字化は困難とした記事が載っていたが、結局のところ黒字化には更なる税率の引上げが必要という纏め。直近では口コミ情報のヤラセで問題になっていたステマだが、所謂この手も広義ではステマの部類に入るのだろうか?


名門のいばらの道

昨日の日経紙・経営の視点には「反面教師のコダック破綻」として、技術の種追求は日本の長所と記してあり、異分野への展開や内部留保の使い道がコダックとは相違しこの辺が日本企業の場合奏功したと載っていた。かつてそのブランドの上に君臨した名門米企業破綻例ではこのコダックの他にGMもあったが、今やトヨタをも抜き復活の芽が出始めたGMとは違って同社はいばらの道が続くともいわれている。

この辺は競争が激しいIT業界にあってデジタル方面への事業転換や遺産切り売り等だけでは容易ではないというあたりに起因するものだが、確かに消費者相手のデジタル機器においては特許や技術が絶対的優位を持たないのはアップルなんぞを見てみるに一目瞭然である。苦戦を強いられているソニーはこの数でベスト10入りしているが、アップルなどベスト30にも入っていない。

今やわずか数年前に創業した企業がIPOし、名門と肩を並べる時価総額をあっという間に創出するのは珍しくない時代、コダックの破綻は最近では停滞の要因にされる日本的経営の美質と可能性を再認識させると同紙の末尾には書いてあったが、急成長勢の台頭でコダック同様の事例が出る可能性も依然秘めているといえよう。


連れ高SNS関連

週明けの日経平均は円の高止まりや海外株安を受け3日続落、そんな中で朝方から買い物を集め大幅高で寄ったのはデジタルガレージ。これは先週末にSNS最大手の米フェイスブックが2/1にもIPOを申請する方針と米ウォール・ストリート・ジャーナル紙が報じ、日経紙にも載っていたが早い時期から同社に出資していたとしてにわかに同社が物色されたというもの。

さてこのフェイスブック、もともと既存株主数も一定ラインを超え証券法の元では強制的公開の時期に来ていた折、セカンダリー・マーケットでの売買にも規制がかかりいよいよとされていただけにやっとというところだが、その規模は下馬評では米ネット企業としてはあのグーグルをも抜き過去最大となる見通しでマクドナルドにほぼ匹敵、日本企業で言えばNTTドコモクラスというから注目である。

とうワケで値決めもどの程度になるのかにこれまた関心が向かうが、米でも日本と同じようにこのIPO申請報道から昨年当欄で取り上げたリンクトイン等のネット系が一斉高となっている。成熟期に入っているだけによくありがちな大物公開でブームが天井ということもあり得、上記のデジタルガレージにしても暴落相場の中で敢行した公募の価格が壁として控えておりこれを舐めにゆくような相場がはたして持続できるのかどうか?この辺も見ておきたいところ。


仕手系ミニバブル

さて、本日の株式市場は3営業日ぶりに反落となったが、出来高累計帯ほか昨日は騰落レシオも大発会以来の120超となっていただけにモタつくのも自然なところか。ただ、個別では今週目立った点といえば低位仕手系の乱舞で商いの回転が非常によく効いたということだろうか?

仕手系といえばもともとは兜町をかつて一世風靡した某氏が久し振りに動きだしたとの煽りで大証銘柄が腕に覚えのある一部個人を惹き付けていたが、その後全員参加型の復興関連が順次立ち上がり、今週はその流れで橋梁、その次が海運、倉庫とテーマに乗って順番に個人好みの飛び付き易い銘柄が乱舞、株式投資から遠ざかっていた個人投資家がにわかに戻り始め裾野が広がってきた様相を呈している。

個人投資家といえば日経紙のマーケット面で、個人の投資意欲鈍るとして信用取引残高がリーマン・ショック後の最低水準を更新し、約8年7ヶ月ぶりの低水準まで減少している旨が乗っていたのが先週18日。また、20日付けの同紙には個人投資家が4週連続で売り越しとも出ていたが、いつもながらこの辺のこうした日経紙の報道は目先底入れの指標になるが果たして今回もといった感もある。

このなかで直近アッという間に株価3倍増超したのは日本橋梁や宮越HDのような非貸借モノがズラリ、規制の入らない分メチャクチャやれるというところだろうが、今週の相場は貸借モノも株不足を背景に駒井ハルテック然り共栄タンカー然りでなかなか面白い相場を演出してくれた。貸借モノは当局がすかさず規制を発動する経緯から、これでは相場も一日天下との認識が定着していた分この手のモノはカラ売りを誘導し易くなっていたワケだが、漸く逆にそれをテコにするエネルギーが出て来たとも取れこの分野のミニバブル再来に今後一寸期待したい感もある。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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