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年初来高値更新組

さて、週明けの本日は中東情勢の不安も背景にして「国内金現物販売価格」が約28年ぶりの高値水準を付け、税込みでは初めて4,000円大台に乗った。TOCOM先物もまた然りで、そうなるとこれに倣えでコモディティーもののETFも「SPDRゴールド・シェア」、「純金上場信託」、「純銀上場信託」、「ETFS金上場信託」、「ETFS銀上場信託」、「金価格連動上場投資信託」、「国内金先物価格連動型上場投信」等どれも軒並み年初来高値更新と、金・銀関連の独壇場となった。

このメタル系のETFといえば、ちょうど週末の日経紙夕刊にも「銀ETF」の説明が出ていた。王道の「金」などは注目されて久しいが、その裏ではかねがねこの「銀」や「パラジウム」もしばしば注目対象として各所に取り上げられ、とりわけ銀は年明けのウォール・ストリート・ジャーナル紙でも「金より眩しい」として取り上げられていた経緯がある。

事実この手のものでは日本では昨年の上昇率ベスト3に入っているが、「果実シリーズ」など登場した7月に5,000円を挟んでウロウロしていたところを拾って放っておけば既にそろそろ2倍化というワケだからさすがに関心も向くというものだ。そういえば「ETFS穀物商品指数ETF」など、1月中旬には2日連続ストップ高の離れ業をやってのけた経緯があるが、複数の商品価格で構成する指数連動モノで値幅制限一杯まで動くというのも珍しい。

しかしこの辺も良く取ればそれだけ注目を集めたということになろうが、売買代金が初日で500万円そこそこではリクイディティーの無さがこうした珍事?の背景にあるといっても間違いではないだろう。まあまだまだ国内では初物の部類でこの辺も致し方なしだろうが、途中のボラで値洗いが急変する荒さも総じて緩くコツコツ実績を積めばいずれ大きく育つ期待大か。


株主への手紙

さて、今週は中東情勢を睨んで米株式も乱高下しているが、その週明けは大幅高から始まった。この背景には原油相場下落を好感したこともあったが、もう一つ米投資会社を経営するウォーレンバフェット氏が26日に公表した「株主への手紙」で、米国の不確実性を一蹴するかのような将来の楽観論を展開した事も買い安心感を誘った模様。

「象を撃つ銃の弾丸をこめ直し、引き金を引く指はうずうずしている」という表現で、380億ドルの潤沢な手元資金を活用した大規模な買収の準備が整っていることを示唆した模様だが、米トムソン・ロイターによれば今年に入ってから2月第1週迄のM&A発表額は約25兆円以上と、前年同期日で69%増え2000年以来の高水準となっているという。

M&Aが盛んだったこの2000年はちょうどITバブル時で、ネット関連企業がやはりこうした舞台の主役であったが、今年はこれがエネルギーや素材関連に変わっているのが特徴。メジャー化の波については当欄で度々触れたが、資源等の需要増や価格上昇を見据え世界的に再編機運が盛り上がってゆくのは必至。

上記のバフェット氏の買収対象は残念?ながら日本企業ではないようだが、国内も政府が企業のM&Aを促す為の産業活力再生法改正案を閣議決定し企業のM&Aを促す方向で進んでいる。目下のところ新日鉄と住金の合併手続きに絡んでこの2兆円規模の大型案件の財務アドバイザーを巡って激しい提案合戦を繰り広げている最中だが、日本も一段と合併・再編が活発化してくるかどうか注目である。


コメ先物認可申請

さて、【FUTURES PRESS】の見出しにも出てきたが、先週末には東穀取と関西商取がコメ先物取引の試験上場制度の活用に関して近々に農林水産省に認可申請する方針を固める旨の報道が為されていた。官報公示期間は3ヶ月であるが、これが認可された場合には7月中旬からはれて取引開始となる予定。

東穀取社長は、現民主党政権から価格を維持しようとする政策は今のところ一つも出てきていないと述べ、価格変動のリスクヘッジの重要性を謳っていたが次の穀物指数も現在見据えている。

しかしこのコメを巡っては、かつて上場検討委員会の最終会合を前にして全農OBが突如として辞任したり、その後もやはりというかはたしての不認可となったりしてきたがそれからはや5年、今回の申請はこの間に米作を取り巻く環境が一段と厳しさを増していることの反映ともいえる。

現況、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)交渉へのハードル下げで農業関係者向けファンドの設立を盛り込んだ農業支援策なども提案している状況だが、これまた依然として反対派勢力も活発だ。しかし、このTPPはよく取り上げられるものの、同じ土俵にあって然るべきの大型商品にも係らず関連記事を伝えるところは僅かというような関心の無さこそまた問題でもあるか。


アノマリーあれこれ

昨日の日経紙Monday Nikkeiの項では、株価の周期性や割安・小型株効果等と絡めての所謂「株価のクセ」について載っていた。冒頭には米大統領選挙の前年には株価は堅調になり易い例が書いてあったが、確かにこれは長年いわれてきたことである。

この手では日本でも新首相誕生後は株価が上昇し易いとされるが、2000年以降では上昇といっても数日、時が経つほど下落し易いと或る意味誰でも納得できるのでショートするには一つの参考になるだろうか。

他には毎年年末年始あたりに書いている「干支と株価」、今年も年初に書いたが「卯、跳ねる」の平均騰落率は戦後で3位、そして次に続くのが十二支中で最強パフォーマンスを誇る「辰」ということで安心感があったが、日経紙にも出ていたように月別でもアノマリーがあり勝率、平均騰落率は1月が年間でトップ、日経紙には秋口に下落しがちと書いてあったが、ならばこれら二つのアノマリーから昨年末に仕込みすれば年明けには短期利食い出来る筈という構図だが、なるほど余程変なモノを掴まない限りどれを買っても確かに取れていた。

日経紙でも盲信は危険と書いてあったが、げんを担ぐのも一種の兜町イベント、しかし昔は笛吹きやらいろいろとあったものだが、今や凄まじい早さの高速取引が台頭しサロゲートやアバターよろしく生身の人間がタッチ出来る部分はごくわずかになり、こうしたげん担ぎもだんだんと少なくなったものだとつくづく。


非上場メリット

今日ではや二月も終るが、今月特に目立ったと感じるのはやはり上場企業のMBOの動きであろうか。中旬には紆余曲折あった幻冬舎もMBO成立の運びになったが、今月の新規モノではザッと挙げても、先ず上旬のワインのエノテカから始まってレンタル屋のCCC、引越しのアートコーポレーション、メッキの田中亜鉛鍍金と立て続けであり、今年に入ってからは合計で6社とこれは過去最多のケースではないか?

TOBの対象企業は当然ながら鞘寄せ急騰パターンが殆どで市場では次の候補探しに躍起になっているが、どれが来るか判らぬものより手っ取り早くとM&A助言会社などにも物色の矛先が向かっている。

それはともかくMBOの背景にはいろいろとその理由が考えられるもが、これは以前に業界のユニコムグループホールディングスを取り上げた時に書いた通りで、株価の長期低迷環境の中で資金調達の用と監査法人コスト等を天秤にかけるに無駄な部分も多く、他はやはり一部株主の鬱陶しさ?というのも大きい。まあ、単純に上場メリットよりも非上場メリットの方が大きいからに他ならないということだろう。

こうした動きに関して東証社長などは定例記者会見で「投資家を愚弄している」と苦言を呈していたが、上場承認したのも東証であるしあまり株価云々を持ち出すと薮蛇になりかねない。こうした動きも新陳代謝の一環と思い、IPOの誘致、サポート強化など課題があるのではないか。

そんなワケで、今年最初の当欄では最後に「今年もまたM&AやMBO等で商機ありという流れが個別で続くか」とコメントしたがやはり早くもそういった動きが加速、やはり上記の通り過去最多というのは確定で企業統治など今の構図を考えるに今後も親子上場の問題も加えてこうした動きが止ることはないと思われる。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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