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試金石―TOCOM

本日は、出光興産が既報の通りガソリン等の石油製品の卸値をTOCOM等の製品マーケット価格を指標として週単位で改定する方針に変更することで、毎週木曜に公表(次回からは金曜に変更)という事に則しての第一回目公表日であった。

新日石も同様に今月からこの方式に移行するが石油製品を巡っては、予てより末端には相応のタイムラグが生じ消費側に不信が出ていた事もさることながら、元売り側に取っても交渉難から転嫁が一部しか叶わないという問題がこれで改善の道を辿るかのようにも見えるがさてどうだろうか。

ただでさえ通常の交渉が難航していた給油所の問題があったがやはり今回の件でも「TOCOM市場は価格操作が容易に可能ではないか」等の懐疑心が満載、当の元売りもこれに付いては問題視しており新日石なんぞは特約店の選択方式にするとか、数年前に休止されたままになっている軽油含め市場設計に対する注文も当然出てくるのは想像に難くない。

先ずはこうした件を切っ掛けにリクイディティの復活化なるか、この辺が順調に進んで初めて安易に連呼されている「産業インフラ」というのも現実味を帯びてくるのではないか。


サードステージ開花

さて、オリエンタルランドが本日発表した2008年度上半期の入園者数は過去最高を記録した模様であったが、もう一つこのディズニーリゾートには創立以来7,000万人の観客を動員しているあの「CIRQUE DU SOLEIL」の日本初の常設劇場である「CIRQUE DU SOLEIL THEATRE・東京」が総事業費140億円をかけ開幕の運びとなった。

既に夏場からトライアウト公演が展開されていたが、演目の「ZED」は初のオペラ演出家が手掛けるもので世界でも初演、タロットカードからインスピレーションを得て生み出したものというがこのコンセプトを常設劇場作品だけにどのように魅せてゆくのか期待も膨らむところ。

この手は言語を限定せずにアクロバットなどの人間の動きが観客にメッセージを伝える言葉になるといわれているが、アーティストは世界約40カ国から約1,000人を擁し徐々に日本人も増えこの「ZED」でも元世界チャンピオンクラスの精鋭が登場とか。

ともあれ他と競合しないというか作品に合せての劇場創設なだけに、このディズニーリゾートのサードステージの目玉であるこの事業、関東周辺という視点より全国や海外からどれだけ観客を誘致出来るかが鍵となってくるか。


疑われる資金調達目的

今月も本日で終るが、今月に入ってからの上場企業のパンクには拍車がかかり確か実に7社が破綻、非上場でもその名が知れ渡ったモノありで従来の不動産一辺倒という構図から他業種にまで破綻の波が及んで来た事は景気後退色が一段と進んできた感じもする。

そんな中で今月破綻のトップを切ったジャスダックのトランスデジタルは本日付でヒッソリ?と姿を消すわけだが、異色なのは管理ポストとか整理ポストではなく通常ポストで破綻前に株価が既に1円を付けていた点か、これなら破綻のニュースでみるみるうちに株価が紙屑になってゆくショックも無いと笑えない冗談もあったが確かヘラクレスにもこれと似たような例があった気がする。

それにしても酷いのは上記のトランス以外の全社が上場後に僅か2〜4年で破綻の道を辿っている点か、またトランスとてというかこれ含め株価一桁モノの多くは株券製造機の如く幾度にも亘るファイナンスを繰り返した結果の希薄化は一目瞭然だろう。

これらいずれも資金調達の目的は何だったのか素朴な疑問が出てくるのは自然な成り行き、こうした件が続くようであると取引所の審査含め当局の運営のあり方に対する抜本的な見直しが求められようが、既に株主責任を負わされた向きはなんともやりきれないだろう。


便乗是正

さて、この休みの間にゆうちょ銀行は不満が殺到していた定額小為替の手数料を来年3月にも実質的に値下げする方針を固めた模様だ。この件に関しては約一年前の当欄でも触れて、「〜酷いのは定額小為替で一枚10円の発行手数料が今後は100円と10倍の引き上げに至っては随分と思い切って便乗したもの〜」と書いた事があったのを思い出す。

当時、更には欧州ブランドを引合いにしてこれらの前ではこういったブランド品の便乗値上げも大変かわいいものに見えてくるとも書いたが、やはりというか民営化移行のサービス低下代表例と大手紙が報じているようにこうした措置になるのは時間の問題であったと言えよう。

郵政公社最後?の仕事になったか届けられた「たいせつなお知らせ」という冊子小包にはこうした件が一切触れておらず何処が大切なのか?と思ったりしたものだが、何れにしても民営化からまもなく一年、JPの初代社長は大手紙で「民間企業として経営基盤の確立に力を注いできた。まずまずの滑り出し」と言っているが、官の時代からの悪しき名残の浄化はまだまだ必要か。


垣根消滅過程での再編

さて、金融混乱から一旦は冷めた投機熱だが一方で商品市場の長期的なファンダメンタルズから再びホットマネーが商品市場に流入する可能性が高いと予てから言われて来たが、NY金が史上最大の上げ幅を演じたり今週は週明けに一部スクイズもあってWTIも史上最大の上げ幅を記録する等、再び国際商品市場がボラタイルな展開となっている。

一方、一連の米金融機関再編劇の過程で事業戦略としても、例えば商品事業を縮小していたバンク・オブ・アメリカはメリルリンチ買収で、また英バークレイズはリーマン・ブラザーズの非中核事業買収で商品先物事業拡大の機会をもたらす可能性が出てきたとロイターの記事で見掛けた。

こうした一連の再編劇で米はとうとう銀行・証券の垣根消滅という賛否両論が出る歴史的な転換点を迎える事になった訳だが、はや年明けから海外拡大を競い合って来たメガバンクも三菱UFJがモルガン・スタンレーに巨額の出資を行う等その国際的な存在感が強まっており、この段階で大きな関心を集めていたゴールドマン・サックスは果たしてかな本命視されていた三井住友が数千億円の出資を決める方向で調整している事が明らかになっている。

そういえばこの三井住友も今年度から商品先物市場を利用したデリバティブ担当グループを独立させ、関連商品の開発を強化していると時事の記事で見掛けたが、いずれも当然の事ながらそのフィールドとなるのは指標性を持った市場、こちらの方も整備促進から再編は必至だろう。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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