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ブルースクリーン

周知のように先週末に世界を襲ったのは米MSのOS「ウィンドウズ」を巡る大規模なシステム障害であった。成田や羽田では欠航や航空券の予約・購入が利用出来ない障害が報じられていたが、ドイツ、オランダ、スペインやインドなど海外の空港でも運行に多大な影響が出ていた。他にもロンドン証取運営の英LSEGでは企業開示情報等の配信が停止、オーストラリアでは一部銀行で送金が出来なくなどその影響は世界中で広範囲に及んだ。

今回の障害は大手向けセキュリティーサービスを提供する米クラウドストライクのソフトの不具合が原因だったようだが、システムを守るセキュリティーソフトそのものが障害を引き起こすという何とも皮肉な事態になった。これまで効率化を求め挙って大手への集中化も加速してきたワケだがこれらの裏側に潜むリスクが改めて顕在化、現代のIT基盤の脆弱性が露呈した格好になったか。

ところでシステム障害といえばローカルな話になるが、システム障害による冷蔵品の出荷停止を巡り春から全国規模で出荷停止の憂き目に遭っていた江崎グリコのプッチンプリンが来月から出荷が順次再開される模様だ。ただ、他製品含め全面再開の時期については依然見通しは立っていないというが、今後AI等含めた最新技術への切り替えも予測されるなかグリコのような上場企業は兎も角、体力の無い中小企業などコスト面含めデジタル化の波に乗れない向きにとってまたこの辺は頭の痛い問題になるのは想像に難くないか。


真贋如何に

さて、今週は国内の美術館で所蔵されている絵画が贋作の疑いがあるということが相次いで判明したニュースに興味をそそられた。徳島県立近代美術館が所蔵するフランスのキュビズム画家ジャン・メッツァンジェの「自転車乗り」と、高知県立美術館が所蔵するドイツの画家ハインリヒ・カンペンドンクの「少女と白鳥」がそれで、月末より開催予定であった所蔵作品展等が急遽取りやめになっている。

これで久し振りに思い出したのが3年前だったか世間を騒がせた日本画の巨匠、東山魁夷や平山郁夫らの絵画を基にした版画の贋作事件だろうか。大阪府の画商の依頼で関西の工房経営者が作成しその流通量は800枚にものぼるともされ、オークションなどで売買されたほか一部大手百貨店が販売してしまった版画の買い戻しを進めるなど大問題になった経緯がある。

それはさておき冒頭の両作品共に、ドイツの天才贋作師といわれるヴォルフガング・ベルトラッキ氏の作品と疑われている。巧妙なのは実物が存在する作品を偽造せず、ターゲットになるのは大戦中に消息不明となったタイトルのみ判明しているような作品の類といい、模倣した贋作を消息不明の絵画を発見したと自作自演で発信する手口と、その絵のみならず詐欺の技術においてもまた卓越した才能を持っている。

その腕は著名画家50人分の画風を完璧にマスターしているといい、斯様な手法でこれまで300点を超える贋作を描き約80億円以上を手に入れたと言われている。しかしこれだけの腕を持ち切れる頭脳を持っているなら真っ当な道を歩んでも必ずや成功したと思われるが、凄腕の地面師よろしくかくも緻密に舞台が造られると対応もまだ限界があるか。放射性炭素年代測定など科学的解析も日進月歩だが、両者の鼬ごっこはまだまだ続きそうな感がある。


構成銘柄半減

さて、TOPIX(東証株価指数)が史上最高値を記録したのは先週11日のことだったが、この日の日経紙社説には「新TOPIXで企業改革の後押しを」と題しJPX(日本取引所グループ)がこのTOPIXの絞込みを含めた見直しを進めている旨が出ていた。既に段階的なコンサルテーションが為され、一昨年春に流動性に着目した見直しで市場区分との紐づけを廃止、その後は段階的ウェートの低減で100億円未満の銘柄削除を実施という運びになる。

つまりこの見直しではスタンダードやグロース市場でも基準を満たせばTOPIX銘柄として認めてもらえるという事になるワケだ。また直近ではちょうど先週にもアシックスが自社が保有する総額100億円超にもなる政策保有株の全てを今年中に売却する旨が報じられているが、この改革では既に一昨年に市場区分との紐づけ廃止と共に政策保有株を浮動株から除外ということになっており、明確な目的の無い持ち合い株の意義がここでも問われる。

市場区分見直し後も予想外?に東証の市場改革が粛々と具現化しているが、いずれにせ数年後には現行のTOPIX銘柄数は2100程度からほぼ半分程度に絞り込まれる予定となる。競争原理も自ずと働くであろうし上位ポストで胡坐をかいていたような企業も順次マーケットやアクティビストらの圧力を受ける可能性が格段に高くなるだけに、この改革においても市場の活性化に対する期待は大きくなる。


アクティビスト隆盛

ちょうど1週間前の当欄では複数のアクティビストが大株主となっていたダイドーリミテッドが従来の約20倍にもなる大幅増配を発表した旨を書いたが、その大幅増配発表でストップ高と急騰したところで大株主であったアクティビスト2社が揃って全保有株を売り抜けていたことがその後の大量保有報告書で判明している。これに歩調を合せ?先週にはアクティビスト側から選任された一部取締役も辞任ということでヤレヤ感は否めない。

それはさておき、物言う株主といえば先週の日経紙グローバル市場面には「物言う株主提案最多」と題し、アクティビストが世界で1~6月に企業に対して提案した提案・要求した件数が計147件と同期間で過去最多となった旨の記事があった。上記のダイドーリミテッドのような大幅増配の類というより、世界では不採算事業売却や経営陣刷新など経営に踏み込んだ提案が世界で増えているという。

この頁では米エリオット・マネジメントによるサウスウエスト航空やテキサス・インスツルメンツに対する経営陣刷新や事業戦略見直し提案が挙げられていたが、米では実際にアクティビストが取締役として舵を取る例を目にする。例えば日本でもオリンパスやセブンアンドアイHDに投資実績のあるバリューアクト・キャピタルは2014年から2017年までCIOを取締役として送り込みその在任中の株価が2倍以上に上昇、また他にも一昨年からセールスフォースに投資を始め同CIOはここでも取締役として送り込まれている。

日本最大のコンサルティング会社であるアイ・アールジャパンによれば、日本市場に参入したアクティビストは5月時点で72ファンドと5年前に比べて倍増しているという。そういった事を背景に先の株主総会で株主提案を受けた企業も3年連続で過去最多を記録しているが、日本でも上記のような積極関与が今後増加してくるのかどうかこの辺も注目しておきたい。


新紙幣と経済効果

今週いつものクリニックに行った際の会計で早くも新紙幣が交ざっていたが、周知のように今月から20年ぶりとなる新紙幣の流通が始まった。流通初日の全国の新紙幣対応の割合はATMなど金融系機器で9割以上、鉄道・バスの券売機で8~9割、一方で食券の自動販売機は5割、飲料自販機は2~3割程度での対応であったが、いずれにせよ新紙幣発行によるATMや自販機の入れ替え等でその経済効果は約1兆6千億円と試算されている。

初日から各金融機関には列を作っている人々がTV等で報じられ、中にはレアモノの記番号狙いで高額両替する向きも居たようだがこれらがそう簡単に一般の手にホイホイ渡るとも思えない。それでも流通初日からヤフオクでは出品禁止のハズのプレミアでも何でもない新紙幣がズラリと並んでいたからなんとも商魂たくましい向きが多いものとつくづく。

其れは兎も角も、ネットワーク社会でキャッシュレスの動きが加速する条件が整った中での新札発行というのはおそらく今までで初めての事か。飲食店等にあってはこれを機に券売機を新しく買い替えるのであればもうキャッシュレスの導入にした方がよいかという動きも広がっており、意外にキャッシュレス化の比率が上がって来るというのが経済効果で見えるのではとの指摘も一部にある。

経産省によれば、日本のキャッシュレス化は2023年度で普及率が39.3%、アジア圏では近隣の韓国が93.6%、中国も83.0%というなかにあって政府の目標である80%の目標には遠く及んでいないのが現状。これらの国に限らずインバウンド客はキャッシュレスに圧倒的に馴染みがあり、キャッシュレス決済は人手不足緩和など含め現場の生産性も上がるなどメリットも大きいだけに今後どの程度構図が変わって来るのかこの辺に注目しておきたい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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