漸く最終局面
先週1日付けの日経紙総合面には「持ち合い解消 最終局面」と題し、先月末に損害保険大手4社が延べ5900社あまりの政策保有株、金額ベースにして約6.5兆分を全て売却すると表明した旨が出ていた。企業向け保険料の事前調整問題を受け、予てより金融庁が損保各社に対して政策保有株の見直しを要求していた件に対するもの。
当欄では、この政策保有株に関して2015年にコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)が導入される前に今後は持ち合い株の最後のあぶり出しが促進される可能性が高くなるかと書いていたが、ここ数年で急速に壁が崩れてきた気がする。特にグループの持ち合い構造が強固な事で知られたトヨタグループが、昨年秋にアイシンが政策保有株ゼロを目指す旨を打ち出したのはこれを象徴する。
これらの好感度は解り易く株価に反映され、この記事が出た1日にはMS&ADが年初来高値を更新し、週明けの本日にはSOMPOHDが年初来高値を更新してきている。また昨年登場したアクティブETFでも「政策保有解消推進ETF」なる商品が登場し、上記のトヨタグループをはじめ東京海上日動火災保険など冒頭の損害保険大手もこれに組み入れられているが、これも先月に年初来高値を更新してきている。
この強固な壁が崩れ始めたのも東証や政府が本腰を入れたところによるものが大きいが、もともと持ち合いなるものは安定株主作りやら取引の継続等の目的から構築されたもの。総会屋が跋扈していた時代から時は過ぎ、今や持ち合い株は高度経済成長期時代の過去の産物になりつつあるだけにこれらが順次姿を消してゆくのはその要因はどうあれ自然な流れだろうか。