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土用の丑2022

さてこの週末は「一の丑」だが、今年は周知の通り梅雨明けが殊の外早く加えて酷暑という事もあり丑の日のウナギ商戦も各所で盛り上がっている。また一の丑が土曜日でコロナ禍のなか家族指向が強まっていることで、大手スーパー等では複数人でシェア出来る特大サイズの蒲焼を過去最大で用意したほか白焼きも去年の5倍に増やしたが、既に先月段階で予約数は去年を10%以上上回っているという。

とはいえ今年はシラスウナギの漁獲量が昨年比で30%超以上減った為に、仕入れ値は昨年比で約50%高いとか。卸売市場での平均価格もキロあたり前年比で20%以上高くなっており一部専門店ではGW明けから値上げに踏み切った向きもある。ちなみに昨年の丑の日当日には日経平均が冴えない中を需要期待から吉野家やG-FACTORY等ウナギ関連株が逆行高を演じていたが、今年は先の三連休前に吉野家が年初来高値を更新する一方でG-FACTORYは年初来安値を更新と明暗であった。

ところでかつて東証マザーズに上場していた発電所建設のエナリスは発電時の温水でウナギの養殖事業に進出と報じられた時期があったが、近年北関東の一部太陽光発電所建設会社も太陽光発電を利用したウナギ養殖を始めている。ウナギ相場を読むのもなかなか難しいが、電気のコストが大幅に安く低価格でウナギの提供が可能になるという。これら確かに二酸化炭素の排出もゼロで環境にも優しく、ESGにも適っている事で今後裾野の広がりも期待出来るか。


2次入札へ

本日の日経紙総合面では東芝の再編案について1次入札の株式非公開化と上場維持を含む10件以上の再編案の応募から、JIP(日本産業パートナーズ)はじめ米ベインキャピタル、欧州のCVCキャピタル・パートナーズ、カナダのブルックフィールドの4陣営が2次入札に進んだ旨の記事があった。

非公開化を提案しているアジア系の一部ファンドは1株7000円という高額な買収価格を提示し逆にこれが資金的に実現性に乏しいとの理由で2次へ進めなかった模様だが、意外?にも応募さえしなかった米KKRは買収ありきのプレミアムが1年以上ついた実態以上の株価に適正な買収価格を提示出来る状態ではないとしている。

いずれにせよ今後2次入札に進む4陣営は詳細なデューデリを始めより実現性の高い再編案を絞り込んでゆく事になるが、ファンド間や事業会社を含めた連携が進み新たな枠組みの中で離脱したファンドの再合流等の可能性もあるという。何れにせよ原発から量子技術まで国の安全保障の一翼を担い、他とは一線を画す側面を持つ企業だけに通常買収に比べ再編の枠組みは困難を極めるのは想像に難くないか。


G7中最下位の現実

さて、世界経済フォーラムでは政治参加、経済、教育、医療など四つの分野で各国の男女格差を分析し毎年報告書を纏めているが、先週13日に発表された2022年度版では日本のジェンダーギャップ指数が146ヵ国中で116位であった。昨年の120位からは僅かに順位を上げたものの、前回に続いてG7(主要7ヵ国)の中では最下位と何とも情けない順位となっている。

全4分野の内訳のうち1位に輝いた教育水準や、健康と生存の医療へのアクセス評価は63位と高かったものの、政治参加は139位と下から8番目、経済では女性管理職の少なさや収入格差が足を引っ張り121位と下から26番目となり足を引っ張った。当欄でも女性管理職比率については度々触れてきたが、近年漸増傾向にあるとはいえ管理職の女性比率は未だ130位に甘んじている。

また収入格差に絡んでは政府が今月から男女賃金格差のディスクロを大企業に義務付ける事を決めたが、外部からはなかなか見え難い男女の格差の存在が数字でもって明らかになればその是正を促すある種の圧力になるだろうか。毎度の事ながら上位の面子は北欧が常連となっているが、組織の成長には多様性が欠かせないのは今やコンセンサスとなっており世界標準に日本が少しでも近づくのは何時の日か今後も注目しておきたい。


投資促進案

さて、衝撃的な事件を挟んだ参院選は果たして自民党が単独で改選議席の過半数を獲得した。当日のテレビでは各局が選挙特番を組み、TBSでは岸田総理が新資本主義の実行計画の中で示した貯蓄から投資をテーマにタレントが東大金融研究会のメンバーと対談する場面を見たが、先週の日経紙社説でも「貯蓄から投資へを促す具体策を示せ」と題し各党への具体策提示を希望する旨が書かれていた。

ここ最近でこの件に絡んで個人的に面白いと思ったアイデアをテレビでも見掛けたが、一つは上記の東大金融研究会の創設者である外資アセット出身者の案。学生メンバーの一人は投資の切っ掛けとして高齢者が持っている預貯金を贈与税とか相続税を安くして若者に渡してほしい旨のアイデアを語っていたが、同研究会創設者は「GoTo株式」と称し税率が徐々に下がる条件付きのもと株式をディスカウントで購入出来る仕組み等の提案をしていた。

もう一つは某生保系シンクタンクのチーフ株式ストラテジストの案で、政府から一人につき10万円ずつ投資限定の給付金を与えたらどうかというアイデア。多くは投資に対するアレルギーでなかなか一歩目を踏み出せないでいるが、習うより慣れよということで給付金で投資を始めてみてある程度免疫がついてきたら自分の資金を追加しようという人が増える流れを狙うという。

民間調査では投資に回せる貯蓄が無いとの意見が半数に上り、四分の一は投資に回せても50万円未満という回答であったというのをテレビで見たが、上記二氏のアイデアはこれらもカバーしつつなかなか面白い。勿論実際に可能かというと多くの障壁があり簡単な話ではないものの、何れにせよこれら政府方針の実現には金融リテラシーの底上げと共に政策の肉付けなど喫緊の課題は多い。


YCCの呪縛

さて一昨日の日経紙グローバル市場面には「国債売り 負けぬトレード」と題し、世界のインフレが波及するなか日本の長期金利に低下余地がほとんどない事などを背景に財務省統計では6月、週間で4兆円超と過去最大の売り越しを記録するなど海外勢中心に日本国債売りに拍車がかかっている旨の記事があった。

この辺に絡んでは当欄でも先月に日銀VSヘッジファンドと題して取り上げたが、この時は異例の連続指し値オペとしたものも今では毎日の実施となるなど日銀の防戦?は続く。前回に書いたように日銀としてはここで政策修正に及べば中央銀行としての信認が問われ円安より払う犠牲が大きいものの、YCCの副作用もまた深刻な状況に陥っている。

ところでこの日銀、その株価(出資証券)は今月に入って先週に年初来安値を更新している。日銀株について触れるのは連続ストップ高から連続ストップ安のジェットコースター相場を演じた昨年3月以来だが、今の合理性を欠く日銀政策に反旗を翻す市場機能を感じ取っての年初来安値なのか、円が約24年ぶりの安値を示現するなかそんな事を思いつつ目先は今月20日からの日銀金融政策決定会合に注目したい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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