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仮想の限界

さて、今月に入ってからビットコインの相場が2013年以来の最高値まで急騰して遂には金相場を抜いた事が話題になっていたが、先週末の日経紙夕刊には「ビットコイン急落」との見出しで、米証券取引委員会(SEC)がビットコインのETFを認めないとの決定を嫌気し10日には史上最高値から3割近く急落する場面があった旨が一面を飾っていた。

山高ければ谷深しの格言通り、ビットコインは年初の中国ショックの後は一貫して上昇基調を辿り今月に入り上記の通りの金価格をも上回る急騰で話題になっていたが、上げに拍車がかかったのもそもそもこのETFが初めて認可されるかもしれないとの思惑が背景にあったからに他ならない。

これが認可となればそれこそ金ではないが原資産にタッチする予備段階としての投資家層の裾野が格段に広がる可能性を秘めていたと思うが、やはりいくら旬のモノとはいえ政府による信用の裏付けも無ければその設計、ボラタイルな値動きに対するトラッキングエラーの問題などハードルは高かったという事か。

発行体を持たない事でソブリンリスクが意識される局面では金と共に括られてきたが、これで一先ずはETFの話はお預けとなった格好。決算手段も徐々に広がりを見せ同様に投資需要も盛り上がりを見せている最中、ETF申請の一件によって金と一括りに出来ない仮想の部分を見せられた感がする。


再考手段

昨日はこの時期優待権利取りに絡み売り繋いだ中小型株の逆日歩が急騰する例もある旨に一寸触れたが、本日の日経紙マーケット面には「空売り個人、試練の春」と題して信用売り残高がトランプラリーが始まった昨年11月上旬より3割多く、逆張りで売り手に回っていた個人にとって4月からの新年度相場は1兆円近くの規模を抱えて試練になりそうな旨が書かれていた。

冒頭には東芝と並んで東証一部で売り残高4位の丸紅が挙げられていたが、トランプラリー当初より空売りを仕掛けた場合はコストから推測するに昨日段階で7%強の含み損を抱えている旨が書いてあった。この丸紅といえばここ最近俄かに増えてきた空売りファンドの一つウェル・インベストメント・リサーチが、巨額の減損リスクを謳い昨年売り推奨した事があったのを思い出す。

このウェル・インベストメント・リサーチも今月あたまの日経紙に「売り推奨 株高呼ぶ」と題した文中に登場していたが、同じ商社で別なファンドに売り推奨された伊藤忠商事など売り推奨リポートをテコに株主還元策を打ち出し、株価がリポート公表前を3割上回る水準まで上昇した経緯がある。

他にも売り推奨をテコに株主還元の強化が意識され巡り巡って株高を呼んだケ−スが挙げられていたが、コーポレートガバナンスコードを背景にし上場企業に手元資金の使い道を再考する切っ掛けを与えたという面ではかつての村上ファンド等と同等の緊張感をもたらしているだろうか。


中小型コスト

昨日から株式市場ではROE等を基準に200銘柄を選定した「JPX日経中型株指数」の算出が始まったが、この日には早速ザラバで2006年から算出する参考値で最高値を付けている。中小型といえば日経ジャスダック平均等もまた週末こそ伸び幅は僅かであったものの実に21日続伸となっていた。

みなし額面換算のディスクロも明確でないので今一つ実感が湧かないが、株主優待を導入したり拡充したりする中小型株が資金の受け皿になっているのは確かで、値幅取りのみならず先週末の日経紙マーケット面には「権利落ち・IPOに不安」と題し、株価下落を避けて権利を得る為信用売りの組み合わせでコストが急騰する例も出されていた。

ここでは一例として昨年12月の湖池屋が1,000円相当の優待を得るために32,000円のコストが発生と書いてあったが、この辺は以前に当欄でも東京ドームの観戦指定席欲しさに数万株の繋ぎで数十万円の逆日歩がかかったとの笑えない話を書いた事もあったのを思い出す。当時から比べるに繋ぎの手段も商品開発が進み随分と選択肢も広がったが、それを使いこなせるリテラシーがあるか否かが要か。


3/21(火)日中立会より新規上場「プラチナスポット」取引開始!

東京商品取引所は、2月1日付で農林水産大臣及び経済産業大臣より白金限日取引(愛称:プラチナスポット)に係る業務規程等の変更について認可を受け、プラチナスポットは2017年3月21日(火)より新規上場し取引開始となります。

▼白金限日取引(プラチナスポット)の取引開始について

以下取引会社や関連サイトでのプラチナスポットまとめです。


掲載会社日付内容
東京商品取引所3/1白金限日取引(プラチナスポット)の取引開始について
みんなのコモディティ3/10『プラチナスポット』新規上場特設ニュース!
北辰物産3/13白金スポット取引、投資戦略の拡大に期待!
岡地3/13東京プラチナスポット概要

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3/21付でオアシス相場情報をリニューアル

岡地は、2017年3月21日(火)付で「オアシス」相場情報をリニューアル。リニューアル後のオアシスはJavaを使っていないため、Java更新作業は不要に。 それに伴い、チャートはどのブラウザでも利用可能に(タブレットやMacでもOK)

▼岡地:【オアシス】相場情報リニューアルについて


オアシス相場情報をリニューアル

オアシス相場情報をリニューアル


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あれから六年

あの東日本大震災が発生してから先週末でまる6年を迎えた。復興庁によれば避難者は前年比減とはいえ12万3千人に上り、行方不明もいまだ2,553人もいるのが現実だ。例年この時期になると各所でイベントやら物販、募金まで様々な活動が盛んになるが、政府も復興財源など無駄の無いよう予算采配を願いたいところだ。

渦中の東電福島第一原発の廃炉作業に中心的な役割を果たしている東芝も延期した明日の決算発表でさえ流動的なほど綱渡りの状況、膨らみ続ける米WHの損失が支障とならぬかも懸念材料に浮上しているほか、風評被害にしてもいまだ福島産の野菜や和牛、果物に至るまで震災前水準に及ばず伸び悩む状態が続いている。

この辺に関しては星野リゾートの社長など福島県の県名変更の覚悟も已む無しとの意見まで出ているが、一方で多くの企業が被災した東北では経営者の新陳代謝や起業が活発になっている旨も日経特集記事で載っており、電子部品メーカーの向山製作所など私も別な部分で名を知っていただけにその中でも目に留まった。

この会社、本業の陰りを危機と捉え独自のクリーンルーム技術の応用で副業としてスイーツに乗り出し、その品は先月の当欄でも取り上げた「サロン・デュ・ショコラ」で好評を博し今や売上の5割を占める事業に成長している事で有名。遅々として進まぬ懸案が山積みな一方、斯様な新陳代謝の息吹きも着実に芽生えている。


特A増殖の裏で

さて、今週気になった新聞記事といえば週明けの日経紙夕刊一面で「新潟産コシヒカリ43年ぶり安値」と題して、消費減少や39年ぶりの豊作等でこれまで代表格であった新潟産コシヒカリが43年ぶり安値にまで落ち込んでいる旨の記事であった。

また競合するブランド米の増加も背景にあるようだが、確かに最近百貨店の食品売り場等を通る度に新ブランドの売り込みがやたらと多くなった気もする。ついこの間までお偉いさん方が上京しトップセールスしていた新品種の試験品が姿を消し、早くも別の新ブランドの販促に余念がない様を見るに飽食化を感じないわけでもない。

そういえば週明けの日経MJでもコメの格付けである食味ランキングにおいて最高評価に新顔が3県入り、中でも神奈川に至っては初出品で獲得するなど当事者も予想外の結果だった模様で、今年は結局のところ特Aが過去2番目の多さであった旨の記事もあった。

最近では高齢化だけでなく若年層も糖質ダイエット等の流行りから米も敬遠され冒頭の通り消費も落ち込んでいるが、特A獲得で起死回生を狙う向きは多い。ふるさと納税返礼品等も最近ではブランド米の品揃えが各所充実してきているが、その裏で冒頭のように代表格の牙城が崩され業務用不足の問題も出てきた模様で今後これらのバランスをどう取ってゆくかが課題となるか。


時を経て再び

昨日のWBSでは「突然の社長交代劇 三越伊勢丹のカリスマに何が!?」として電撃引退した社長を巡る騒動が放映され、放映では当の社長や幹部らのコメントも度々出てきたが両者が統合したのが約10年ほど前、斯様に業界では近年合従連衡が進むなか一枚岩にはなれなかったというところだが三越の騒動再びという感もある。

三越の騒動といえばやはり三越の女帝といわれた愛人を囲い不当な利益供与をするなどやりたい放題の独裁政治を続けた挙句に解任された岡田社長の事件で有名だが、最近この事件を思い出させてくれたのは先の日曜日付けの日経紙一面・春秋で、38年前にヤマト運輸がこのワンマン社長のやり方に嫌気がさし三越の配送業務から撤退した旨の記事であった。

今、世間で話題になっている経済ニュースでは冒頭の三越トップの電撃辞任と共に昨日の日経紙一面を大きく飾ったヤマト運輸の報があったが、時を経てこの両者がまた違ったそれぞれの事情で大きなニュースになっている様は遠い所で何かしらの因果が感じられなくもない。


国際標準への課題

本日の日経平均は小幅ながら3営業日続落となったが、そんな中で寄与度の高いソフトバンクは中国華為技術製の大画面タブレット発売との発表で動意付く場面が見られた。ところで同社といえば借入金をテコに世界規模のM&Aを駆使した利益の上積みでROEを伸ばしている企業として注目されてきたが先週金曜の日経夕刊一面には「ROE3年ぶり上昇」の見出しが躍っていた。

昨年はタイトルにあるように上場企業のROEが8.3%と3年ぶりに上昇する事となったが、この8%台というのはこれまで機関投資家等が日本株に求める最多株主資本コストでこれの達成で9割超の投資家要求を満たすといわれてきた。丁度この水準をウロウロしていたのが約3年前であったからなるほど昨年の反発でまずまずといった感もある。

ROE等を基準に銘柄を構成しているJPX日経インデックス400も登場し専ら企業評価も自社株買いや増配等で不要資本を如何ほど減らすかの傾向になってきたが、とはいえ国際水準ではお世辞にも遜色ないレベルという状況でもなく今後もコーポレートガバナンス・コード等と併せ今後も如何ほど続伸出来るのかが注目される。


変わり種増加

さて先週末の日経紙投資情報面には「野菜直売や婚礼IPO多彩に」と題して、事業内容でくくった昨年のIPO企業83社が18業種となり、業種数は07年以来9年ぶりの多さになった旨が書かれていた。今年は今月末までに10業種の28社が上場し年間ではその裾野が更に広がりそうとの観測も出ている。

リーマン・ショック後に見られたゲームやバイオ一辺倒の傾向から業種に幅が出てきた背景には東証の上場審査厳格化で収益の先行き見通しが難しいモノの上場が逡巡された事もあるようだが、確かに同紙総合面のインタビューにも載っていたジャスダック上場予定の「ほぼ日」なども変わり種の部類である。

他に昨年も本来であれば秋口のオークネットや、年末には自動運転技術開発のZMPがIPO予定であったように需給とは別に個人が食い付き易いユニーク企業が控えていたものだったが、これらの仕切り直しも含め投資選択肢増加が個人マネーのカンフル剤となってゆくのかどうか今年のIPOも目が離せない。


逆輸入評価

さて、今月から日経紙「私の履歴書」は美術コレクターのジョー・プライス氏となった。同氏といえばこれはもういわずもがな日本絵画の世界有数のコレクターだが、特に伊藤若冲などプラスコレクションとしてこれまでも数多くの作品を特別展等で提供してきた経緯がある。

伊藤若冲といえば私も個人的に好きな画家という事で当欄でも9年前から何度か取り上げて来たが、TVやメディアが散々煽った影響もあって昨年の「生誕300年記念 若冲展」は最大5時間以上の入館待ちの行列が出来て総入場者や1日あたり入場者も過去最高となるなど異常な動員を記録した経緯がある。

同氏の若冲との出逢いはニューヨークの古美術店で見た「葡萄図」とあるが、若冲は生前に「千載具眼の徒を俟つ」として誰も理解出来なかった細か過ぎる拘りがある自分の絵を一千年後に理解してくれる人が現われるのを待つと語ったそうだが、遙かニューヨークで一つの掛け軸に惹かれた審美眼を頼りに逆輸入的に世に知らしめた功績は大きく、そんな人物の背景が1ヵ月読めるのが楽しみである。


ハナキン復活?

当欄では昨年の12月に一度触れているが、先週から毎月末金曜日の仕事を午後3時をメドに切り上げ、消費喚起や働き方改革を促す官民一体のイベント「プレミアムフライデー」が始まっており、近所でも百貨店などこれに因んだ催し物が開催されている光景などを目にした。

此のイベントを商機と捉え旅行やホテル業界も様々な商品を投入、サービス、小売りも特別イベントを開くなどの動きが見られ消費取り込みに余念がなかったようだが、事前調査では歓迎はするものの特に対策は考えていないとする企業が約45%との一部報道も見掛けられ、果たして如何ほどの企業がこれを実施出来たのであろうか?

経済効果は一回で1200億円との試算も某シンクタンクから出ているようだが、月イチ2時間ほどの時短とはいえ実施するのが難しい企業が数多あるのが現状。次回のプレミアムフライデーは3月31日、こんな年度末にはたして如何ほどの企業が仕事を3時に切り上げる事が可能なのか見ものだが、今後もこの動向を追ってみたいところ。