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テンバガー玩具

さて、世論調査では安倍政権の支持率が30%割れの急落となり、センティックスによる経済・投資環境に対する信頼感調査で米国の先行き指数も続落しマイナス1.5に沈むなど、日米政治リスクに備えるような構えで今週はオプション市場では8月・9月限で190プットが大きく出来高を増やす場面が見られた。

プットが堅調な日は対照的にコールのプレミアムが一気に半値以下まで値を消すなど超乱高下の値動きだが、今週は株式でもこんな動きに終始したモノが先に破綻したタカタ株であった。七夕の安値から1週間で実に10倍以上に化けたあと2日後には6分の1に暴落、昨日の値下がりランキング1位が今日は一転して値上がりランキング1位に躍り出るなどまさにオプションさながらである。

いよいよ来週には最終売買日を控えながら今日の大引は値上がりランキング1位で40円。こんな光景で思い出すのが、ほとんど無価値になるはずの最終売買日の大引値が14円と異例の二桁となった一昨年のスカイマーク株か。遡れば10年以上前の足銀や、20年以上前の京樽等もそうだったが電子化で券面コレクションも不可能な今のご時世、オプションSQならぬ最終売買日は果たして如何ほどで引けるのか注目しておきたい。


後ろ盾無き通貨

本日の日経紙金融経済面には「ビットコイン一時停止」と題し、利用者や取引量の急増で送金等への影響が出始めその解決策を巡っての各所の対立から取引所サイドが顧客保護の名目で来月1日からビットコインの入出金を停止する発表をし、一部海外取引所も先駆けてこれに倣う動きの旨が報じられていた。

こうした分裂騒動を嫌気し当のビットコイン相場は先週後半には1,900ドル割れまで下落する場面が見られるなど約2ヶ月ぶりの安値水準まで急落の憂き目に遭っているが、連動するようにこれまで当欄で取り上げて来たリミックスポイントやトレイダーズHD等の仮想通貨関連株もこの1週間で2割強の下落と連れ安を演じている。

週明けになって分裂回避の見方も一部に台頭してきたものの、これらの関連株は本日も依然として軟調推移と不透明感は払拭されていない。仮想通貨の弱点としてETF認可が流れる一因ともなった政府や中央銀行の後ろ盾が無い点が挙げられていたが、こうした光景を見るに改めて黎明期の紆余曲折を感じる。


消えゆく白紙委任状

さて先の日曜日の日経紙総合面には「株持ち合い縮小10%割れ」と題して、上場企業が取引関係の維持等を目的に保有する持ち合い株を減らす動きが加速し、野村証調べでは2016年度末の保有比率が9.9%と初めて10%の大台を割った旨が書かれていた。

この持ち合い解消だが、直近では支持率急落の憂き目に遭っている安倍政権の隠れた成長戦略のターゲットでもある。日本企業にガバナンスを効かせようとした場合にやはり障壁となるのが株の持ち合いで、こうした関係の中心の存在となってきた銀行もここ近年は積極的に株の売却を加速してきているのが現状か。

斯様な事情を背景に一昨年からコーポレートガバナンス・コード適用も始動した事で漸くというか岩盤であった10%の牙城が崩壊、先の株主総会でも物言う株主の提案が8年ぶりに承認されるなどスチュワードシップ・コード効果も出てきておりWコードの動きが今後も目に見える形で加速しそうだ。


乳製品黒船

さて、今週のはじめには大商いを伴って彼方此方で急騰しているビットコイン関連株を取り上げたが、それとは対照的に軟調推移であったのが食品ポストか。この辺の背景はいわずもがな日本政府とEUがEPA締結で大筋合意となった事で安い輸入乳製品等の拡大で競争が激化するのではとの懸念が台頭した事か。

欧州産の乳製品が大量に入って来ることになると上記のような株価が気になる上場企業でなくともこれまで大半を供給してきた酪農家としても戦々恐々ということになるが、乳価の行方等この辺は未知数だ。逆に日本からは自動車関税が撤廃される方向になったが、先行している韓国勢等と競争条件が同一となる事で攻勢の好機となり得るかどうかが注目される。

またこのEPA締結で地理的表示を認め伝統的な食品産地ブランドを互いに保護する事になるが、神戸ビーフや但馬牛など始め粗悪な偽造品が出回っているモノにとっては朗報か。とはいえこれまで一部商品名として定着してしまっているイタリア特産モノを冠した商品名やメニュー等の使用が出来なくなる事も考えられるが、この辺についてはまた後述したい。


本上場の審判

さて昨日は東京商品取引の限日取引が建玉増に寄与している旨を少し取り上げたが商品取引といえば昨日はもう一つ、西の大阪堂島商品取引所が約6年にわたり試験上場してきたコメ先物の本上場への移行を8月7日の期限を前に臨時総会で申請議案を全会一致で可決、同日夕に農水省に申請している。

コメ上場に関して再延期を控え東証一部上場のヤマタネやジャスダック上場の木徳神糧等の大手が大阪堂島商品取引所の会員資格を取得、最近もジャスダック上場のフジオフードシステムも入り、また銘柄も新潟コシヒカリという屈指のブランドによるテコ入れ策が奏功し売買高も増えてきている。

当欄でコメ先物について触れたのはちょうど2年前の試験上場期間延長申請の時であったが、もうその2年が経過と時の流れの早さを感じる。過去を遡ってもこれ以上の延長事例が無い事から実質的にこの商品のラストチャンスとなるが、さてその悲願の審判はどう下されるのか先ずは注目したい。


限日商品の寄与度

本日の日経紙商品面には「東商取、建玉半年で5%増」と題して、昨日の東京商品取引所の
建玉が56万7千枚と昨年比で5%増加、2014年春の比較でも約2倍に増えるなど回復傾向にある一方で、売買高が1〜6月に2割減るなど低迷している旨が載っていた。

この建玉増の背景にあるのが東京ゴールドスポットや、今年3月に上場したプラチナスポットといった限日取引の商品比率の高まりといい、この2商品とETNとも絡む原油取引含めた3商品で東商取全体に占める建玉比率は実に6割に達する。既に金の方は先行しているが、プラチナスポットも約3ヵ月で建玉が標準の8割を超えるなどその規模は拡大している。

こうした一方で冒頭の売買高低迷に関して取引所側としては「TOCOMリアルトレードコンテスト」等を通じて個人の先物取引への理解を深めてゆく方針のようだが、プラチナスポットは金に対する下鞘恒常化を背景にタイミングよく長期目的の投資資金を誘致し参加者多様化に一役買った部分は大きいといえるか。


大化けの裏で

さて、先週末に本日売買分から委託保証金率70%以上(うち現金40%以上)とする等の信用取引に関する臨時措置が入ったトレイダーズHDだが、本日もこれらの諸規制をものともせずに続伸して年初来高値を更新するなどビットコイン関連が依然として大商いを集めている。

ビットコイン関連株に関しては、先月も当欄で子会社がビットコイン取引所を運営するリミックスポイントが1ヵ月そこそこで9倍以上にも大化けした旨を取り上げたが、ブロックチェーン推進協会の事務局を務めるインフォテリアも同協会が新仮想通貨を発表するとの報に先週は年初来高値を更新、こちらも3ヵ月そこそこで株価が約3倍に大化けしている。

このインフォテリアはマザーズで出来高ランキング2位、冒頭のトレイダーズHDはジャスダック全体で1位と市場を席巻しているが、こんなビットコイン関連株活況の裏で仮想通貨の匿名性を悪用化した事例も進化してきておりこれらが同時並行的に動いている構図。世界最大だったビットコイン取引所が破綻した事件もあれからはや2年が経過するが、明日はこれの初公判である。


第1回TOCOMリアルトレードコンテスト、中間ランキングを発表

東京商品取引所は、商品先物市場における取引の活性化、商品先物市場への参入促進等を目的として実施している「第1回 TOCOMリアルトレードコンテスト」。6月19日からスタートしましたが、この度6月末時点での中間ランキングTOP20を発表。

▼TOCOMリアルトレードコンテスト「2017年6月末時点のランキングを発表!」


第1回TOCOMリアルトレードコンテスト、中間ランキングを発表

第1回TOCOMリアルトレードコンテスト、中間ランキングを発表


【6月末時点のリアルトレードコンテスト参加企業】
北辰物産、コムテックス、フジトミ、岡安商事、サンワード貿易、フジフューチャーズ、岡地、日産証券、岡藤商事、フィリップ証券、KOYO証券、クリエイトジャパン、セントラル商事、EVOLUTION JAPAN

※口座開設をご希望の場合は、各運用会社にお問い合わせください

第1回大会のエントリーは7月末まで大丈夫ですので、我こそは!と思うトレーダーのみなさまは是非参加ください!

尚、リアルトレードコンテストの成績優秀者には賞品として金貨を贈呈するほか、TOCOMが開催するセミナー等において講師としてトレード手法についてお話しいただく機会も設ける予定です。

詳細については公式WEBサイトで。


シャンシャン総会終焉

さて株主総会も先週ピークを過ぎたが、既報の通り機関投資家の多くは今年から議案毎の賛否を開示することになり、個人も先に書いたようにお土産目当てでない真面目な?株主が総会で様々な発言をするようになり、シャンシャン総会もいよいよ過去のものになり提案等の票の集まりを挙げてもスチュワードシップ・コードの影響が出て来た感もある。

この辺が垣間見られたのが29日に開催された黒田電気の総会で、大株主であるところのあの村上ファンドが関わる投資ファンドのレノが提案した人事案が承認された一件か。一昨年には臨時株主総会において同ファンドが推した社外取締役の株主提案が60%の反対で否決されたのは記憶に新しいが、今回は相変わらずの会社側の反対にも関らず遂にこれが承認の運びとなった。

斯様に「物言う株主」の提案が承認されたのは実に8年ぶりのことになるが、上記の件により検討に値する株主提案が増えつつあるというのもあろうが、やはり他からの視線に躊躇し正当案でも賛成票を投じられなかった姿勢に変化が出始めた証左だろう。経営陣と株主との間にあった見えない壁が崩れ本来の方向へ動いて来た感じがした今年の総会であった。


不穏なテーマ

さて米市場が独立記念日で休場となり、北朝鮮を巡る懸念が燻る空気のなか本日も気迷いの日経平均を他所眼に個別の材料株が賑わっていた。中でもやはり目立つのは直近で大阪港で女王アリとみられるものが見つかった強い毒を持つ「ヒアリ」関連株か。

環境省から当初発表があった際にいち早く反応し始めたのが二部の殺虫剤会社フマキラー株であったが、実にバブル期の1989年以来約28年ぶりの高値を付け、引き続き本日も続伸して年初来高値を更新している。他にも本日は防虫忌避製品を手掛けるジャスダックのニックスがストップ高まで買われ、名前の似ている一部の白アリ防除のサニックスも急騰して年初来高値を更新とアリ関連株が破竹の勢いである。

日経紙に書いてある通り過去何度も天井として立ちはだかった東証一部時価総額600兆円の壁の前に材料株へと活路を見出すのは自然な流れだが、こんな危険な外来種やら狂気のミサイル発射で石川製作やら細谷化工、豊和工等の防衛関連やらがストップ高交えて急騰する様を眺めるに物色も不穏なテーマ揃いだなと複雑な気分である。


前半戦好調

本日の日経紙マーケット面には「IPO39社 高水準続く」と題して、堅調な新興市場が追い風となって今年の1月から6月に新たに上場企業の仲間入りを果たした国内企業が39社と、ここ10年で最多だった15年の43社、そして昨年の40社に次ぐ多さとなった旨が出ていた。

当欄では5月の中旬にも「中小型偏向」のタイトルで、過去1年間に上場した企業の値動きを示すQUICK IPOインデックスが約10年4ヶ月ぶりの高値を付けるなど指数が高水準になっている旨を取り上げたが、先月も日経紙で今年に入り上場した35社のうち9割強の32社で株価が公開価格を上回っている旨を報じている。

とりわけこうした新興モノは個人の懐具合を測る目安になるが、直近のGameWithもマーケットからの吸収金額が16億円超の案件であったものの初値は公開価格の2.34倍となっており、信用評価損益率の連続改善等この辺に因るところも大きいか。斯様な投資余力の回復で循環物色が今後もうまく回ってゆくかどうか引き続き今月のIPOも注目される。