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挙げられ続けるサイダー

本日の日経平均は8営業日ぶりに漸くというか小反落となったが、先週末までストップ高を交えて上場来高値を更新していたカルソニックカンセイも本日は漸く一服となっていた。周知の通り同社はKKRが傘下ファンドを通じてTOBするとの報で、同価格にサヤ寄せする格好から買いが殺到していたもの。

斯様にTOB価格が発表時時価より上方乖離しているケースなど事前に情報を掴めればサヤ寄せで濡れ手に粟の如くリスク無しで儲けられるワケだが、先週末にはかつてジャスダック上場の卑弥呼株式のTOBを巡って同社関係者の男性3人がインサイダー取引の疑いがあるとし証券取引監視委員会が金商法違反で強制捜査した事が報じられていた。

またその二日後にもあのライザップグループの子会社元社長について証券取引等監視委員会が資本業務提携におけるインサイダー取引疑いで強制捜査していた旨も明らかになっている。インサイダー取引に関しては当欄で約1か月前に取り上げていたばかりだが相変わらず新興ポスト中心に摘発のネタは尽きない。

今後これらの具体的な処分も明らかになって来ようが、この手のサイダー情報の「漏れ具合」は一昔とほぼ変わらないものの、その摘発率は諸々の要因から前にも書いたように各段に高くなっている事を関係者は念頭に置いておくべきだろうか。


ラストカード

さて、昨日の日経紙商品面には、39年ぶりの豊作で2016年産の新潟産一般コシヒカリの卸間取引価格が下落した旨が載っていたが、新潟コシヒカリといえばこうした需給の緩みから転作思惑が意識され先物相場の方は取引を開始した約1ヵ月前から1割高と上昇している旨も先週末の同紙に載っていた。

この「新潟コシヒカリ」、業務米対象の「東京コメ」と一般コシヒカリを指標化した「大阪コメ」に次ぐ新たな銘柄として取引が始まったものだが、特定産地に的を絞り現物決済時に産地倉庫で受け渡しを可能にしたほか売買単位も既存上場商品に比べ小口化するなど利便性を狙い米では初モノで登場していた。

これらから解る通りピンポイントで生産者を呼び込もうとしている様が窺えるが、それもそのはず農水省は前回の試験上場延長時に生産者等の幅広い参加を得ているかどうかを本上場申請時には検証すると明言しているからに他ならない。

ともあれこれも含め農産物先物の試験上場はかつて3回以上延長された事は無いだけに今回はラストチャンスともいえる。18年度をメドに国はコメの減反政策を廃止するが、生産者等の側もリスクヘッジの重要性がますます高まるのは必至。それだけに本上場をクリヤ出来るか否か今後の動向は要注目となってくる。


オルタナティブドラゴン

さて、先週末の日経紙商品面には「中国に投機資金、騰勢拍車」と題して製鋼原料の原料炭が、中国やオーストラリア等からの供給減を背景に中国大連商品取引所の原料炭先物へも投機マネーが流入し過去5年前の水準に迫るまで高騰している旨が載っていた。

先高観が強まった9月からは売買高も約7倍に急増し政府はメディアを通じて投機筋に警告を発し、今月に入ってからは先物の証拠金や取引手数料の引き上げ措置を取るまでに至っている。オルタナティブを探す投機マネーは政府の思惑を超えて動き鋼材市況に影響を与えるとも同紙では書いてあったが、もう一つ中国では現在ニンニクの卸売価格も1年前に比べ90%も上昇している。

この背景には冷害で主要産地の収穫量の減少を察知した投機筋が一儲けを企み買い占めに動いたとする説が流れているが、しかしニンニク投機で思い出すのが今から7年前に同じニンニクが対象になったバブルか。確かあの当時はインフルエンザに有効との材料をテコに価格は実に前年同期比で120倍以上まで跳ね上がり、その次に狙われた唐辛子も同約5倍にまで跳ねた記憶がある。

投機マネーとしてはポスト不動産というあたりも前回と構図が似ているが、暗躍している筋も所詮は関連投機筋。不動産の前には株式からの逃避があったがニンニク関連株だけはこの半年で約8割高となるなど循環しているあたりが毎度の回帰現象を匂わせる。買い占め用の倉庫を急造してしまう機敏さもさることながら、投機マネーにマッチするマーケットがある限り繰り返されるのは自然な流れか。


BEAUJOLAIS NOUVEAU 解禁

ご存知の通り例年この11月の第3木曜日がボージョレ・ヌーボー解禁日という事で、レストラン等からはそうした関連モノの案内等が今月に入ってから時折来て、昨晩はタイムリーに近所の酒屋でも「真夜中のワイン会」等と称したイベントが催され逸早くこれを楽しむ人だかりが見られた。

なんでも今年は春の天候不順で葡萄の成長が遅れたものの、夏場からは夜間に気温が下がり日中は日差しに恵まれる成熟に理想の天候となった模様。個人的にこの手に関して全く造詣が深くない私にはその辺の背景やらイベント招待の類に興味も湧かないが、渋谷での生産者団体のカウントダウンイベントでは数百名が盛り上がった様など報道されていた。

ボージョレ・ヌーボーを当欄で書いたのはかれこれもう10年以上も前の事で、確か当時鳴り物入りでオープンしたばかりであったゴードンラムゼイの強気な値段のワインを取り上げた記憶があるが、今やそのラムゼイも日本を撤退し店はない。それは兎も角も箱根では恒例のボージョレヌーボー風呂が始まり、都内では上記の如く各所でイベントが催されハロウィーン後のポストを少しずつ構築しつつある。


対話型へ変遷

本日の日経投資情報面には「日立、市場との対話重視」と題して、日立製作所が決算説明のみならず中期的に描く成長の道筋を分かり易く伝え安定株主づくりにつなげる狙いで、約5年ぶりに個人投資家向けの経営説明会の開催を始めた旨が載っていた。

これまでも当欄で触れてきたように、コーポレートガバナンス・コードとスチュワードシップ・コードが制定されより企業と投資家の「対話」がキーになってきたが、この辺は態度一変で先鞭をつけたファナックなど記憶に新しい。四半期毎の決算短信のみでIR部門さえ設置しないその閉鎖性が有名だったがWコード始動後IRは様変わりしこうして後に続いている。

斯様にコードの諸原則順守を心掛け多くの企業が後続しているが、先の投資ファンドによるさが美のTOB劇に見られたように黎明期?なだけにまだ末端までこれらが浸透している感はない。同紙マーケット面の大機小機にはWコードは海外からの輸入品で日本の実情には合わないとの意見も根強いと書いてあったが、上記の件等も含めどう変遷してゆくのか見守りたい。


想定外?

本日の日経紙商品面には「投資家が不満 売買低迷招く」と題して、先の米大統領選の影響で相場が乱高下を演じた10日に注文件数が処理能力の上限に達した事で、全商品の取引を一時停止するなどシステムを刷新したばかりの東京商品取引所でシステムの不具合が相次いでいる旨が書かれていた。

この東商取の新システム刷新に関しては当欄でもこの導入の一週間後に触れた事があったが、そこでは注文処理速度も従来と比べ向上、高速売買を手掛ける海外のプロップハウス等の誘致を視野に入れているとしたが、果たして移行後20営業日の1日平均売買高は移行前20営業日平均から減少している旨が報じられていた。

またシステムの都合上裁定が効き辛くなったのも影響して、この後の売買高も9月、10月と2ヵ月連続で前月を下回っている状況という。キャパオーバーで取引停止の事態といえばあのライブドアショックの時に東証がパンクしたのがいまだ記憶に新しく、「想定外」という言葉も東証パンクにまで使われたが、誘致を狙っていた層の信頼回復は今後の為にも早急の課題か。


売る人・買う国

さて昨日の日経紙の、今週の市場羅針盤の冒頭にはドラッケンミラー氏が米大統領選の投票日に保有する金を全て売却し、グローバルに債券を売り建てした旨が書いてあった。直近のインタビューで金保有の理由が全て消えつつあるように思われると発言していたが、成長加速と金利上昇の見通しに賭けたといったところか。

ところでこの金と言えばもう一つ、ちょうど一週間前に中国人民銀行が発表したところによると、中国の中央銀行が保有する金準備が今年10月末時点で5,924万オンスに拡大している。月間増加幅こそ少ないものの、5ヵ月連続の持ち高増加となり金準備の積み増しが進んでいる旨が窺える。

これまで金準備に関しては当欄では新興国を中心として積み増しが進んでいる旨を書いてきたが、この中国は以前より米国と同水準にまで金準備を引き上げると明言している。現状国別では世界5位とはいえ、外貨準備全体に占める比率は欧米諸国と比べてまだまだ極端に少ないだけに今後も同国の金準備政策の動向が注目される。


2016年度ネット取引データアンケート調査返答結果

11月11日(金)から11月25日(金)の期間で実施しております「2016年度商品先物ネット取引データアンケート調査」の返答結果を日々こちらにて掲載して行きます。


※アンケート調査のご案内については11日(金)9:00までに全社配信済みです。もし未達の場合はメールにてお問合せ下さい。

【アンケート回答企業一覧(返答順):11社】
岡地、北辰物産、フジトミ、楽天証券、岡藤商事、日産証券、岡安商事、EVOLUTION JAPAN、サンワード貿易、フジフューチャーズ、コムテックス
(11/28現在)


未曾有ゾーン

世界が大注目した米大統領選だったが、周知の通りトランプ氏がクリントン氏との大接戦を制することとなった。しかし、世界が注目する大イベントといえばブレグジットの時もまさか離脱が現実のものになるとは誰もが想像していなかったものだったが、今回の大統領選も同様な構図であろう。

昨日のマーケットもこれを映し日経紙マーケット面で株安を警戒する動きからまとまった買いが入ったと書いてあった16,000円プットは、寄り付きの15円からトランプ氏優勢が喧伝された昼過ぎには205円まで暴騰。ディープアウトの14,000円台の行使価格も寄り付きの1円、2円から昼前には10倍〜15倍まで化けるのだから毎度イベントで勝負に出る向きはこの中毒からなかなか逃れられないのも理解できる。

ところで勝負と言えば前回のブレグジットでは英ブックメーカーの多くが大きな損失を被った模様が報道されていたが、アイルランドのバディーパワーは、既に先月から今回の投票を待たずクリントン候補に賭けた利用者に総額100万ドル以上の賞金を支払い始めていたというが、今回賭けには既に200億円近くが集まっている模様でこの辺はどう処理するのだろうか?

まあその辺は兎も角も、本日のマーケットは悪夢再来?の昨日から一転して今年最大の上げ幅で急反発とまさに「往って来い」となり、上記の16,000円プットも本日の寄り付きは2円と冗談のような紙クズ価格に。往って来いで往復ビンタを食らった向きも少なくはないのではと思うが、いよいよ未曾有の世界が始まる事になる。


密輸熱

大注目された米大統領選に関してはまた明日触れたいが、本日はトランプ氏当確との見方ら株式急落の一方でETFはSPDR始め三菱UFJ純金やETFSまで金関連が一斉高となった。ところで金といえば先週末には財務省が今年6月までの一年間に全国の税関が金の密輸で罰金や刑事告発等の処分件数が、前年同期の1.7倍に上ったと発表している。

これに絡んでは約一年ほど前に韓国から下関に到着した活魚運搬車から密輸しようとした金が摘発された件があったが、今年も6月にマカオからプライベートジェットを使って大量の金を密輸しようと試みた事件を当欄で取り上げた事もあり、密輸に伴う脱税額は2.6倍となり上記の処分件数と共に2年連続で過去最多を更新している。

国別では上記の韓国と香港で8割近くを占めているというが、泥臭い方法ながら付加価値税と関税還付、そして消費税狙いと悪知恵は尽きず、前回の当欄で末尾に「〜今後も増税の度にこの手の密輸事件が表面化してくる気配である。」と書いたように果たしてという感じで今後も当局とのいたちごっこは続く気配が濃厚か。


結果待ち

本日の日経平均は5.83円安、後場に入ると殆ど凪のような相場展開であったが米大統領選を間近に控え取り敢えず模様眺めモード一色といった状況か。心理の方を覗いてみれば今年のブレグジット時よろしく先週末の日経VIは7月29日以来となる25.54まで上昇、ちなみにこのブレグジットの時は40超を見せていた。

米市場でもベンチマークとなるS&P500種は36年ぶりとなる9日続落を演じ、同指数オプションから弾き出されるVIX指数もまた週末まで9日続伸して週後半には節目の20の大台を超えてきている。それ以前の年明けの世界的株安時もVIは急騰した経緯があるがその山は徐々に低下し収斂型に見えなくもないものの、大化けを秘めるオプション等々虎視眈々と「落ちるナイフ」を狙う向きは多い。

いずれにせよ明日の前場には開票作業が進み途中経過等を見ながらそれ如何でマーケットも乱高下というところで、大方の予想通りになったとしても僅差の場合はまた再集計やら訴訟やらの可能性で上記恐怖指数も高止まりリスクパリティ戦略への警戒もまた燻り続けるという事態も考えられるが、先ずは世界が注目する結果を見てみよう。


ハロウィーン経済

さて、秋の一大イベントになりつつあるハロウィーンから1週間が経過したが、今年の渋谷も初の交通規制導入するもあまり費用対効果が得られなかった模様だが、1,000億円の大台を軽く超えバレンタインを既に抜いていると言われた経済効果の方は果たして如何ほどであったのだろうか。

この辺の経済効果に関して最近では草食化する若者を背景にした恋愛減少からこのハロウィーンがバレンタインの市場規模を侵食したとする見方も出てきたが成る程妙に説得力がある。ところで経済と言えばもう一つ、ハロウィーン翌日を高値に急速に値を崩した日経平均だが「株はハロウィーンに買え」との格言がある。

2000年以降の16年間を検証してみると外れたのは5回ほどで、その平均騰落率は2000年以降は7%ほどのプラスとなっていると日経紙で見掛けた所謂アノマリーだが、昨年から今年にかけてはこの間に日経平均が12.7%下落した外れパターン、さて今年はアノマリーの期待に適うや否や米大統領選を挟む注目のサンプルである。