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TPP大詰め

本日の日経紙商品面には「コメ先物、卸会社の取引拡大」と題して、大阪堂島商品取引所のコメ先物の売買高が6月まで5ヵ月連続で前年同月比プラスになるなどじわりと増えつつある旨が書かれていた。東証一部上場のヤマタネやジャスダック上場の木徳神糧など、大手コメ卸3社が同取引所の会員資格を取得するなど流通業者の取引拡大で先物も浸透しつつあるという。

この大阪堂島商品取引所といえば、先週に来月上旬に迎える試験上場期限延長を農林水産省に申請したばかりであるが、これで試験上場が始まってから2度目の延長である。上記の通り流通業者も先物が浸透しつつあるとはいえ、如何せん採算ラインを考えると未達で本上場というワケにはいかないのが現状だろうか。

とはいえ今まさにTPP協議が大詰めを迎え昨日からの閣僚会議の行方も注目されるところで、JAもこうした背景に挟まれ身の振り方が難しいところだろう。ただ市場は卸、生産者といったところの参加があってこそ先物価格も指標になり得、生産現場の利点も大きくなるのは事実である。


LMEX指数

本日の日経紙商品面には「国際商品、投機売り加速」と題して、米商品市場の投機筋による買い越し残高が金で1年7ヶ月ぶり、原油は3か月半ぶりの低水準となるなど投資ファンドの売り姿勢が鮮明になってきた旨が載っていた。

この辺に関しては先週も当欄で書いたようにドル高による割高感が直撃している格好になっているが、同紙の末尾にも書いてあるようにもう一つ中国経済の鈍化懸念もこれら相場の足を引っ張っており、同国が世界最大の消費国となっている銅などロンドン先物市場で投資ファンドは売り越しに転じている。

銅に限らずアルミも6年ぶりの安値圏にあり、こんな市況からLMEでは非鉄金属6品目で構成する「LME指数」は5月の直近高値から約2割下落し6年ぶりに安値更新している。この辺は東証の非鉄ポストにも影響を及ぼし昨日まで7営業日続落、お馴染みの別子などお約束の下落が続いているが、非鉄が軸の住友商事など商社株にも波及しておりどの辺で配当利回りが下落を止めてくるかこの辺もまた注目である。


隅田川花火大会・2015

先週末は東京の夏の風物詩、恒例の隅田川花火大会が開かれた。今年は第38回だがもうすっかり近くの東京スカイツリーとのコラボも見慣れた構図になり、その有難みも薄れてきたような感じもするが約96万3千人の見物客は天候に恵まれたとはいえ猛暑のなか2万発を超す花火に酔いしれていた。

さて序盤は兎も角も今年の各社の花火コンクールはなかなか楽しめた。一昨年の同コンクールが豪雨で中止に追い込まれたのは記憶に新しいが、個人的には昨年の株式会社イケブンの「WAVE!光でのグラデーション」に感動し、今年はやはりグラデーションを見せる物であったが昨年優勝した斎木煙火本店の「虹色の滝」が更に一段進化した格好で一際目を奪われた。

ここ数年当欄では、その技術は日進月歩で発色技術の向上には改めて感心と書いてきたが、毎年毎年色彩の向上が格段に進化している。東京三大花火大会でもこれと東京湾大華火祭は双璧で、もう一つの東京湾大華火祭りは来月に控えるがどういった進化系が登場するか今から楽しみである。


日本初債券系

本日の日経紙マーケット面には「国債VIX指数11月メド算出」と題して、日本取引所グループが指数算出会社のS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスと社と傘下の大阪取引所共同で日本国債の予想変動率を示す日本国債VIX指数を開発すると発表、11月をメドに算出を始める予定としている旨が載っていた。

現在VIX関係では本日年初来安値を更新しているVIX短期先物指数ETFを国債ならぬ国際が出しているが、VIX系も粛々と枝葉が育ちつつある。現在債券のVIX指数としてはCBOE米10年国債ボラティリティー指数があるが、これが日本では初で世界では2番目になるという。

このCBOEホールディングスといえば欧州市場開拓に続いて先物のアジア市場開拓を進めているが、本邦の日本取引所グループも新年度に新CEOが課題として挙げていたデリバティブ分野強化というものがある。先月には東証マザーズ先物創設構想やJPX400オプション取引も始める意向を示しており意欲的な創設に期待が持たれるところ。


吐き出し

さて、本日の全市場値下がり率上位には先駆した仕手系に交じって、商品指数連動型ETFが上位に出ていたのも目に付いた。昨日の日経紙夕刊一面も「国際商品下げ加速」と題して原油や金などの主力級の値下がりが顕著になっている旨が出ていたが、切り返し急であった株式相場とは値動きを異にしている。

先月に当欄では需給は全てに優先するとして金に対してのプラチナの逆鞘が長期化している旨を書いたが、上鞘の金も中心限月が8日続落し時間外で約5年5ヶ月ぶりの安値に沈み東京金も8ヶ月ぶりの安値、プラチナに至っては節目である1,000ドルを6年半ぶりに割り込んでいる。

節目の大台割れと言えば貴金属以外でも原油が4日続落しザラバで50ドルを割れ約3か月半ぶりの安値を付けるなどドル高による割高感が直撃する格好になっている。こうした過程で金のETF残高は代表格のSPDRで700トン割れとリーマン・ショック前の水準にまで落ち込み、同ショック後の安全資産として買われた分が手放された格好になった。

各アセットが組んでいる国内連動型のETFやETNなども、間接効果があるだけに2倍型など吐いた分がどの程度原資産に影響してくるのかこの辺も今後注意深く見守りたいところ。


画竜点睛を欠く

連休明けの日経紙一面を飾っていたのは「東芝、組織的に利益操作」のタイトル。この連休中に不適切会計を調べてきた第三者委員会がまとめた調査報告書を受け、同社が公表したものには経営トップを含めた組織的な関与があったとしているが上に逆らえない企業風土などまさに4年前のオリンパスを彷彿させる。

そのオリンパスだが今でこそ完全復活してその株価も年初来高値に迫る値位置まで来ているが、当時は上場廃止が論議され実に10日続落で400円を割ろうかというところまで暴落したのが思い出される。東芝もそのポストが気になるところだが、2013年の制度改正から先ずは特設注意市場というところかという一部指摘がある。

この辺が今回の東芝が発覚後にストップ安一発で終わり、続々と前経営陣の呪縛が明らかにされる中でも本日のように株価が反発出来た一因でもあるが、企業の闇もさることながら監査法人の不手際も問われよう。奇しくも上記のオリンパスの監査法人はBIG4の中でもガリバー新日本監査法人であったが、東芝の監査法人もこの新日本監査法人である。

市場の番人としての責務を問われる場面も今後避けられそうにないが、おりしもコーポレートガバナンス元年を謳って早々のこの発覚、経済界に影響力のあるポストを多く輩出した「母校」の汚点で日本企業のブランド力が毀損する事の無いよう願いたいところ。


血は争えない?

さて、今週はまたぞろ法廷へと場所を変えて大塚家具の父娘対立の報が彼方此方でされていたが、父と娘といえばもう一つ話題になっているものにあの村上ファンドがある。週明けの値上がり率上位にランキングし年初来高値を取ってきた物の一つに黒田電気があったが、これは村上氏の長女がCEOを務める投資会社の14%超保有が明らかになり100%還元を求めるなど揺さぶりをかけている思惑から人気化したもの。

こうなるともう連想ゲームの世界だけに、週明けに大量保有報告書で同家の5%超保有が判明した黒田電気と同じ半導体商社のエクセルも14日はストップ高の比例配分で引け、また同6%超保有のこれまた半導体商社の三信電気も急伸し年初来高値を更新、また保有比率が高いアコーディアゴルフも本日は年初来高値を更新するに至っている。

当欄では5月にこの村上ファンドについて、「〜時代が今ならファンド側も企業側もまた違ったタッチになり、村上ファンド以外でもスティール・パートナーズなど外資勢の展開や企業の政策もまた変わっていたかもしれない〜」と書いた事があったが、あれからそうした意志が村上氏の長女に引き継がれ矢面に立つ時代になったか。

とはいえやはり血は争えないワケで昔懐かしいそのカラーは時を経ても健在、なかなか友好的な対話とはいかないがそれでも一連の投資行動は漸く機が熟したというか時代が同氏の思想に追い付いてきたという認識に基づいてのものなのかというところで、まだまだ今後の行動が注目されるところ。


指標多様化

本日の日経紙マーケット面には「底割れ救った個人買い」と題して、直近での下落局面で資金が流入した値動きが2倍のレバレッジ型ETFによって機関投資家を驚かせるほどの売り物吸収効果から19,000円割れが阻止された構図が載っていた。

5月にもこのETFやETNの間接効果をコモディティーで書いた事があったが、レバレッジ型もその構造上先物等への波及効果は良くも悪くも多大なだけに目が離せない。また波及効果といえばGPIFを筆頭とする所謂「くじら」勢の動向も同様に目が離せないが、先週末に公表された運用状況では国内株式が22%にまで上昇した旨も話題になっていた。

斯様に近年は金融商品の発達や「数匹のくじら」の出現等によって、マーケットを取り巻く環境も変わってきた。単純に三市場残とか外人動向だけを眺めるさまが既にセピア色にも見えなくもないが、今後もまだまだ市場を測る参考指標が増えてきそうだ。


カオス

さて、昨日はなりふり構わぬ介入劇に揺れる中国の株式について触れ、本邦の投信解約等にも影響が出てきた旨について書いたが、その辺はなにも株式関係に限らずコモディティーの方にも影響が及んでいる。

先週に上海総合指数が続急落を演じた8日には、LMEや上海先物取引所の銅も急落し6年ぶりの安値を付けるに及んでいる。なにせこの銅は世界需要の4割を中国が占めているといわれ中国景気減速への警戒感が織り込まれた格好になった訳だが、もう一つこれをテコに中国本土系ヘッジファンドも暗躍しているとの指摘も先週末の日経紙にあった。

そこには週前半から中国の大手ヘッジファンドの利用先である同国2位の大手先物会社がこの銅への売り越しを拡大させている旨が書いてあったが、6洗車以上ある中でもその代表格が「上海混沌投資」なるファンドという。なるほど中国の市場にはピッタリなネーミングだが、昨日記のPKOメニューにもあるような悪意のある空売り調査対象として魔女狩り的にココも挙げられるのだろうか?


市場ルールと副作用

気になる週明けの上海総合指数は続伸となっていたが、昨日の日経紙・羅針盤には「PKOは経済を救わず」と題して、株価の急落に慌てた中国政府のなりふり構わぬ介入劇を、短期的には意味があるかもとしつつも構造改革の意思を鈍らせる危険薬物である旨の記事が載っていた。

なりふり構わぬ介入としているが、確かにちょうど一週間前に当欄で書いたようなIPO承認の停止や大手証券による巨額の買い支えに加え、その後も売買停止銘柄を実に半数以上にまで拡大させた上に悪意のある?空売り調査から証券当局人事にメディ規制までまさに力任せ操作のオンパレードである。

しかしこのまま落ち着くまで固めておくにも信用期日の対応等どうこなしてゆくのだろうか?PKO副作用を味わってきた側として興味津々で傍観と決め込みたいところだが、野村アセットは先週9日から「野村新中国A株投信」の購入・解約停止に他2種類の解約停止、また大和証券投資信託委託も同9日から「ダイワ・チャイナA」と「ダイワ深センA株ファンド」の2種類の購入・解約停止とする等の弊害が及んできており悪影響がヒタヒタと忍び寄る気配である。


ゴースト株主?

さて、昨日の日経平均は638.95円と急反落し約3週間ぶりに2万円の大台をあっさり割り込んだが、本日も引き続き前場に続急落のあと急速に切り返し終わってみれば高値引けとなるなど久し振りにボラタイルな展開になった。そんなここ2日のジェットコースター相場で日銀は昨日も本日も粛々と324億円ずつETFを買い入れていたが、年間買い入れ予定額をやや上回るペースの推移となっている。

そんな訳で今年上期の購入額は昨年下期の既に約2倍となっており、今や日銀は首位の外国人に次ぐ買い手になっている。このETF買いでは当然その構造上個別も買われることになるが、寄与度ナンバーワンともいわれているファーストリテイリングなど上記の年間買い入れ予定額満額の計算で日銀は2.8%の保有、これまでの買い入れ規模ベースでは約5%に上るという。

今月上旬に同紙の投資情報欄で連載していた「ニッポンの株主」では保有額の大きな個人株主としてファーストリテイリングの会長がソフトバンクに次ぐ2位で21.7%と出ていたが、これを勘案すれば見えない株主としてはその存在感というか影響力は可也のものになるだろう。

この辺に絡んで、既に当欄では5月に「吸い上げ副作用」と題して変動率の上昇が顕著になりリクイディティー低下が言われ始めた同じ高寄与度銘柄のファナックを挙げたことがあったが、高寄与度双璧の吸い上げは何所まで継続されるのか?何れ日銀もイグジットを探る時が来ることになろうが、その時の減額や売却がどの程度市場の波乱要因になるのかこの辺の未知数な部分こそタイトルのゴーストの如くか。


プライマリーの旨み

さて、ギリシャのデフォルト懸念に加えて下げ止まりを見せない中国株に対する懸念も強まり日経平均は週明けに急落、この反動から昨日は急反発し本日は再度急落しあっさりと3週間ぶりの2万円割れとなった。こんな乱高下のなかにおいても昨日まで順調に上げ年初来高値更新となった銘柄に野村HDがある。

特に先週末に上げが顕著となったが、これは当欄で約2週間前に取り上げたトヨタ自動車の「AA型種類株式」の発行・販売に伴う引受手数料収入に注目が集まり海外投資家の買いが広がった事によるもの。

さてこのAA型種類株式、蓋を開けてみれば決定した発行価格は決定前日の同社株の終値を3割上回る10,598円と想定していた仮条件の上限となり、その購入希望額も発行額の4〜5倍に達しているという人気ぶりとなっている。

当の野村はホクホク顔で、眠っているお金を資本市場に呼び込む受け皿になるとしているが、欧米機関投資家はこの株式の性格上株主間の不公平につながるとの声明を公表する動きを見せておりこの辺はまだまだ行方を見守る必要がありそうだ。