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選択肢多様化によるスイッチ

先に野村アセットマネジメントが実施した第五回の「投資信託に対する意識調査」によると貯蓄から投資へという国の方針について、およそ6割が見聞きした事があるとしている一方で、6割近くが投資は必要ないとの考え方を示していた模様だ。

さて、そうした投資は必要ない向きは兎も角として実際に取り組んでいる向きについては、週末の日経紙にて投資信託協会が15日に発表した09年の投信概況が載っていた。それによれば、新興国の株式などに投資するタイプに資金が集まる一方、分散投資でリスクを抑えたバランス型投信への資金流入は急減と、世界的な金融危機で損失を抱えた個人が市場の回復を狙ってリスクの高い商品に資金を移す動きが広がっている模様。

そんな折に週末に報じられたのがFUTURES PRESSでも既報の通り、国内市場の商品に直接投資する初めての投信となるTOCOMの金先物を対象とする投資信託を来月から販売する旨。

同投信が高リスク物にあたるや否やはともかく、日経紙では09年の投信販売額を金融機関別に見れば比較的リスクを取れる顧客を多く抱えた証券会社の販売額が全体の7割を超えているという。さてこの初モノ投信についてはまた後述するとして、現場レベルでも着実にこうして融合ムードが始動してきたなという感があるが、これもスイッチへの序曲となるや否やまた注目である。


インヴァスト証券のネット取引部門承継で基本合意へ

ドットコモディティは、インヴァストのネット商品取引事業を吸収分割の方法により承継することについて、基本合意を締結。

▼ネット商品取引事業の会社分割に関する基本合意のお知らせ


1.背景・概要
インヴァストは、取引所・店頭のFX取引、証券・商品CFD取引に加えて、ネットの商品取引(『COMパス』)についてサービスを提供しています。海外の商品市場が活況を呈する一方で国内の商品市場においては売買高等の減少傾向が続くとの現下の事業環境において、「集中と選択」を行なうことによって、企業価値を高めて更なる発展を目指すとのご判断に達せられました。

ドットコモディティが商品取引業界における口座数トップ(2009年3月末)、ネット商品取引における口座数・預かり資産・売買高トップ(2009年10月)の実績を有することについての高いご評価を受け、インヴァストとドットコモディティの両社はお客様の利便性の向上と相互の発展に資する提携について協議を行ってまいりました。

このたび、インヴァストのネット商品取引事業をドットコモディティに承継し、お客様にさらに利便性の高いサービスを提供することについて基本合意に至りました。


2.今後の予定
具体的な承継の方法について合意の上、2月上旬をめどに両社の間で吸収分割契約を締結し、監督官庁の認可を経て承継を実施する予定です。

基本合意書の締結            2010年1月15日(金)
吸収分割契約書の締結              2010年2月上旬頃(予定)
吸収分割の効力発生日          2010年3月下旬頃の週末(予定)


3.承継の概要
詳細については今後両社にて決定し、吸収分割契約締結を行ってお客様にご案内することを予定していますが、お客様の利便性を損なうことのないよう、ドットコモディティといたしましては、おおよそについて次のとおりを予定しています。

(1)建玉・預かりの承継
インヴァストの『COMパス』のお客様におかれましては、効力発生日の前日(金曜日)の大引けまでこれまでどおり『COMパス』にてお取引を行なっていただけます。翌週明けからは、新たな口座開設手続きを経ることなくドットコモディティの取引システム『Formula(フォーミュラ)』に「建玉」と「預り証拠金」を含めた口座が自動的に移管され、そのままお取引を継続していただくことができます。
(参考) 『Formula(フォーミュラ)』は、キャピタル・エフ社のレーティングにおいてトップのご評価をいただいています。

(2)取扱銘柄の拡大
ドットコモディティは、東京工業品取引所に加えて東京穀物商品取引所の銘柄も取扱っておりますので、インヴァストのお客様は新たに東京穀物商品取引所の銘柄もお取引が可能になります。

(3)特別な手数料の適用・キャンペーン
新たにインヴァストからドットコモディティに承継されるお客様については、インヴァストにおける手数料水準を尊重させていただき、十分な一定期間を設けて、特別な手数料を適用させていただきます。
また、承継に際してお客様への歓迎の気持ちといたしまして、特別な手数料の適用とは別に特別な各種キャンペーンを実施いたします。詳細については今後決定し、逐次ご案内させていただきます。

(4)プロ向けツールの提供
ドットコモディティにおいては、『Formula(フォーミュラ)』に加えて、プロ向けのリッチクライアントベースの取引ツール『DNA』を提供しておりますので、一定の要件を満たすインヴァストのお客様にはこの『DNA』を提供させていただくことが可能となります。

GOLDの犯罪いろいろ

さて、先の連休中の日経紙にも金投資のための基礎知識として金関係の話が載っていたが、週明けのNYでも約一ヶ月ぶりに1,150ドル台を回復してくるなど、再度金価格の上昇が話題になる機会が増えている。

そんな人気者?だけにこの年末年始の犯罪でもこの金絡みの犯罪が目立ったが、先ず複数件挙げられて目に付いたのが金地金の密輸モノか。オーストラリアや近場では韓国や香港などから金地金を密輸しそれを国内で換金、その消費税分を抜いてしまおうという労多くしての原始的なもの。

同じ抜くのでも、この手の消費税法違反や関税法違反ではなくて値幅を抜いて所得税法違反というパターンもあった。まだグラム1,000円そこそこの時から数年間買い付けたものを、06年以降価格が2倍以上になったところで順次売り抜け国税に目を付けられたというケース、これは相場に乗れたマトモな方か。

果ては振り込み詐欺系、その振り込ませる先がインチキ口座ではなくマトモな貴金属販売業者の口座に振り込ませ、貴金属業者には金現物を私書箱宛てに送らせ、後にそれを転売し現金化というパターン。この辺は銀行窓口でも業者への商品購入代金を振り込むパターンから警戒感が薄くなるという効果も見越し、一回200万円を超えない範囲とこれまた犯罪収益移転防止法まで抑えているあたり悪知恵のセンスが光る。

しかし盗品でも何でもそうだが、マーケットというのはそれぞれ最低限の構成があれば成り立ってしまう。上記のパターンもそうだが、EXITが比較的容易に実行出来てしまうその環境も今後再考すべき事項であろう。


主力事業の転向

さて、FUTURES PRESSでも既報の通り、先週末はスター為替証券が3/5をもって商品取引受託業務を廃止する旨が発表されている。スター為替証券といえば先に福証に上場し、現在はHDがヘラクレスをマザーにしている上場組。そういえば何時だったか数年前にこのニ市場でトコロ相場が話題になった時期もあったなと思い出す。

それはさて置きこうした取引員の中でも上場組といえば、年末には東証一部に上場する小林洋行もまた商品取引受託業務を廃止する旨を発表している。年末年始に相次いで上場組が今迄の主力事業から撤退という様は現況を如実に物語っているといえよう。

さて取引員ではないが主力事業廃止から上場を廃止にしてしまったものでは98年大証の淡路フェリーボートがあったなと何故かこれが急にアタマに浮かんできたが、これなど社名にもなっているフェリー事業を明石海峡大橋開通で廃止したもの。

上記取引員はまだ枝葉はあるものの、同様に社名にフューチャーズなどと付けていて主力事業を廃止した事から上場廃止になったパターンではSBIフューチャーズがあったが、主力事業撤退といえばそういえばその前のグローバリーなどはまた別なパターンで上場廃止になったなと。

しかし、昨今の業界模様を反映してか上場当初の万年低PBRの時代に戻ったかのような同指標の低さがまたぞろ目立っているが、上場企業はまあそれなりに株券も流通しているわけでこれら絡みでは本当に水面下でさまざまなドラマが展開されている。


国策支援の果て

連休明けの株式市場は後場からジワジワに浮上し、約1年3ヶ月ぶり高値の10,800円台回復となっていた。そんな中でやはり目立ったのはJALのストップ安であったか。

このJALについては昨年当欄でも「〜根本は特殊法人体質からの脱却遅れという部分が一番の問題だろうか」と書いた事があったが、ここ数日の間に会社更生法を活用しながら企業再生支援機構の支援で再建を目指す方向となり、上記の通り市場ではストップ安比例配分の憂き目に遭っている。直近では日本政策投資銀行のつなぎ融資枠が増額される見通しとかで急反発となっていたりしたが、なんとも株価も政党にリンクした動きではないか。

過去幾度となく再建策が論議されてきたが、債務超過問題にしても再生タスクフォースと監査法人を通した決算との数千億円もの内容相違は何処から来るのか今更ながら不思議に思う。帳簿がそうならOBも然りでこの期に及んで年金減額OB同意を渋る向きも居るなどなんとも往生際が悪い、幾つも或る労組などもそうだが機構側の解散というカードの存在を如何ほど認識しているだろう。

まあ昨年と違って株主責任を問う方向に大きく転換してきたのは前進が見られるが、此処でも形振り構わずの大型増資の受け皿組も泣くハメに。確かここは増資直前の株主総会でもこの件は一言も触れない酷さだったなと。次はマイレージ関係に目がゆくが大手紙で報道されているように完全保全の芸当が果たして出来るか、株式じゃないがこちらも一転して大幅減資?よろしくの措置が取られるや否や。

これらに絡んで優待マーケットやら新規225採用や業界関連銘柄の思惑なども次々と出るところだが、ANAと株価が逆転してからはや数年、残存社債の利回りでもそれが鮮明であったもののJALがこんな形になるとは長年に亘る国策支援のツケはやはり大きい。


Arrowhead始動

さて大発会のコメントでも書いたが、今週は東京証券取引所が2000年以来10年ぶりに株式取引システムを刷新しその「アローヘッド」の稼動が開始された。

このアローヘッド、主立ったところでは旧システムから瞬きより速いといわれる400〜600倍の処理速度になった他、併せて値幅制限の拡大や呼値の縮小などの変更が行われたがシステム変更後はお約束で当初様子見ムードという雰囲気か。それでも一昨日の不動産のゼクスなんぞを見てみると大発会が2,029円の終値であったが、寄付いてからわずか30秒そこそこで300円安の1,729円へ急落、その後は271円高の2,300円まで急速に切り返してあと再度急落、結局500円安の1,529円とストップ安で取引を終えるなどシステム変更ならではの動きを見せ付けている。

そうそう、そういえば商品先物でもTOCOMなんぞはシステム変更後にはプラチナやら石油製品やらで寄付き直後からこんな動きが見られたものだが、斯様な仕様になるとディーリングの中身も変わってくるだろうなと。ゲーマーでも教え込めばある程度は稼げた向きが苦戦するようになり、昨年当欄でも取り上げた早稲田OBマネーゲーム愛好会なんぞの見せ玉多用な活躍も難しくなる可能性あり。まあ、中には正統派への回帰でいい浄化作用だと捉える向きもあろうか。

斯様にシステムの大幅刷新を期に一気に海外の投資マネーを呼び込もうという目論みだが、現段階ではあらゆる事柄が未知数なのはいうまでもない。誘致の成功がありや否や、その裏では上記のような従前ディーリングの苦戦が予測されこれらが収益主体の向きは再考の必要性あり、個人ベースでもTOCOM同様に安易な成り行き注文などの執行リスクにも注意といったところだろうか。

しかし、思えば昔は営業マンが板状況を逐一報告するのが上顧客へのサービスだった時代から、誰でもネットで板一覧が閲覧出来るようになった時は感動を覚えたものが、はやこんなところまで来たとは時の流れを感じるが、これでも日進月歩だけにまた古くなる日が何時の時代か来るのだろうな。

PS・ところでこの(arrowhead)、長い間(矢尻)との認識であったが、今日は七草粥云々と雑談している途中で(慈姑)を指す事もあると初めて知った。その矢尻型の細い葉からの由来らしいが世の中まだまだ知らないこと多数。


欧州流のIR

休みも短く年が明けた実感もそう鮮烈にあるわけではないのだが、街ゆくビジネスマンなど暮れと同様に企業のカレンダーなんぞ幾つも手に歩いているのを見るとやはり睦月だなあと感じる。

さてこのカレンダー、昨年は多くの企業が経費削減とやらで刷るのを止めてしまったところが散見される。JALのキャビンアテンダントカレンダーなどは私も長年使っているがこれも残念ながらもうお終い。ココはなんでもカレンダーのみならずエコノミークラスなどは今後新聞までなくすのを検討中とか。まあ、今が正念場のJALだけに仕方がないのかもしれないが、カレンダーなど名物であっただけに知人のキャビンアテンダント達の中にもこれを惜しむ声が多い。

ところでカレンダーもIRよろしく見てもらってナンボとの部分が多いが、お堅い日本と違って一寸海外に目を向ければ近年やたらと増えているのセクシー系か。JALのカレンダーではさすがにヌード版など無いが、同じ航空業界ではいろいろとお騒がせなあの某格安欧州系では慈善団体基金集めの為とかでキャビンアテンダントのヌードカレンダーが存在するし、バークレイズが触手を伸ばしたロシアの某銀行なども上級マネージャー始めとして女性行員をモデルにしたヌードカレンダーが存在する。

そこで日本、大手メガバンクなど株主を嘲笑うかのように巨額のファイナンスを繰り返しているが、せめてもの罪滅ぼしで微々たる配当と共に株主優待でこんなカレンダーを配る試みなど如何?株数に応じて内容も変化させたりとくだらないアイデアは尽きないが、まあそんな器量というか逆立ちしても無理だろうな。ただこの手の緩みを持たせるような部分も時には疲弊した金融界には必要かとも思うが。


Killer contents

昨日あたりから巷の企業は実質始動となったが処が多いが、百貨店始めとして小売関係は今週が一年を占う意味でも要とその光景も力が入る。昨日までに出揃った09年12月の売上高速報は大手各社が11月比で減少幅は改善となってはいたが、これは歳暮や御節に加えセール前倒し等の特殊事情があってのもの。

さてこの百貨店、年末には御節を書いたがこれと共に年の初めといえば福袋、此処の近所の三越では開店前に数千人の行列が出来てその人気ぶりが窺えたが、その近所の銀座松屋では開店85周年を迎えるにあたって85万円の福袋を用意する一方で、ランチ弁当福袋などお買い得を謳う展開など益々キラーコンテンツ的な様相を強くしている。

そういえば此処銀座は昨今の浮世を反映して街の風景も変遷、直近では新築ビルでも入居予定であった高級ブランドがマルになって低価格大手が入居の運びへ、また店を構えていた別な高級ブランド群も次々と撤退しファストファッション群の看板へと次々に架け替えられている。

一昨年の夏頃に当欄で「銀座は変遷著しく、経済を肌で感じ易い街である。」と書いた事があったが、昨年は更にそれを実感した年であった。さて、今年もこんな変遷が継続するのか、はたまた有名ブランドの逆襲がありや否や、粛々と見てゆきたい。


寅、千里を走るか

皆様、新年あけましておめでとうございます。

さて、株式・商品共に大発会を迎えた本日であったが、両者共に堅調なスタートを切った。大納会で3年ぶりに前年末の株価を上回った株式の方はその地合いを継いで昨年来高値を上回る勢いを見せていたが、はて丑で躓いた分を今年は寅で走ることが出来るや否や?まあ、戦後の寅は殆どが下落しそんな格言通りにはいかない模様だが、実際のところはファイナンス絡めた需給と足元で課題を多く抱える政策の実効性が表面上はキーとなってこようか。

ところで当の取引所も東証では10年ぶりに株式取引システムを全面刷新、この辺はまた後述するとして名証もこのシステムを利用し迅速な取引が可能になったとの事だが、はて商品取引所の方のシステム統合は今年どの程度進展するのであろう?

一方、昨年夏には国内証取として初めてFX市場を開設させた大証の大発会では、同取引所社長の新年挨拶にて「総合取引所構想への対応など、新しい分野への進出にもチャレンジングに取り組む」との言葉も上記と併せやはり気になった点である。斯様に商品業界も今年は干支の格言よろしく、丑躓くから寅千里を走るの如くある意味で再生の兆しを掴めるか否かが焦点となってこよう。

本年もどうぞ宜しく御願い申し上げます。