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待ち遠しい再開 

さて、明日をもってあの「帝国劇場」が再開発による建て替えの為に休館となる。帝劇といえば誰もが一度は訪れたことがあると思うが、いわずもがなミュージカル・演劇の殿堂で1911年に日本初の本格的な西洋劇場として開設、現在の帝劇は1966年開場の2代目となるがミュージカルの不朽の名作レ・ミゼラブルなど上演された作品数は実に370を超えている。

数々の演目はさておき、やはりこの建物そのものが何度訪れても魅力満載だった。デザインはホテルオークラ東京なども手掛けた谷口喜朗氏だが、エントランスを抜けて直ぐ目に飛び込むステンドグラス、そして階段の手すりのパネルにはマホガニーなどの本物のスライスが入りバックライトの効果でその木目が美しく映し出され、階段を登り切ったところから下を見下ろせばスクエアではなくて台形が広がる“演出”も為されている。

また座席の古代紫もなんともいえぬ色調で艶やかだが、側面の壁もその木材をあえて大きさをバラバラにし角度を変えて置かれてこれによって縦縞の複雑な模様を創り出している技が光る。このクロージングに伴いこうした劇場資材を活用する商品も今後は発売予定というが、オブジェの幾つかはホテルオークラ東京もそうであったように新しい劇場でも引き継がれてゆく予定とか。

しかし最近はお気に入りだった建造物の休館や取り壊しが相次いでいる。ザッと挙げても同じ劇場では「国立劇場」も休館に、昨年末には「学士会館」も建て替えの為に閉館してしまったが、レトロな空間で上質な料理が食べられるレストランは本当に穴場だった。レストランといえば営業時代に馴染みの顧客によく連れていかれた松濤の「シェ松尾」も素敵な建物だったが、こちらも老朽化で建て替え困難なため先月に閉店してしまった。話は少し逸れたが、より進化して再開が叶うものは今からその日が待ち遠しいものだ。


クルーズ船の伸びしろ

週明けの日経紙では「幸を編む 至福の船旅」と題しこの夏に就航する郵船クルーズの「飛鳥Ⅲ」の大きな全面広告が目を惹いた。実に19年ぶりとなるこのクルーズ船、今の飛鳥Ⅱを超える総トン数となり日本最大級になるという。クルーズ船といえば昨年はOLCが上記の郵船と業務提携し3300億円規模を投資するディズニークルーズ事業に向け今年度中にも造船を開始すると報じられている。

世界のクルーズ市場の構図はコロナ禍で一時落ち込みを見せるもその後は大きく回復し23年は3170万人超とコロナ禍直前の19年を200万人ほど上回ってきている一方で、日本に限ってみればその人口は20万人足らずとコロナ禍前の6割弱の水準程度しか回復しておらず、今後の伸びしろを商機と見た各社がここに舵を切ってきた背景があるか。

上記のOLCなどディズニーというキャラを使って若年層や家族層に対してのリーチを狙っているといったところだろうが、他にも大手の商船三井クルーズも昨年末に「MITSUI OCEAN FUJI」を就航させ、テラスレストランには従来無かったようなビュッフェスタイルを導入して自由度を上げたかっこうになっている。これらを見るにこれまで市場を牽引してきた主力のシニア層以下の客層への訴求がうかがえるもので、今後順次就航予定の各社の戦略には注目しておきたい。


無店舗とデジタルの強味

このところ株式市場ではNT倍率が低下傾向にあり、本日段階で14.03倍と昨年の9月10日以来、約5か月ぶりの低水準になっている旨を日経が報じている。高寄与度の半導体関連株等が冴えず日経平均の足を引っ張る一方でTOPIXを支えているのは銀行ポストで、今年のTOPIX上昇寄与度において業種別では銀行業が首位となっている。本日も日経平均が500円超の急反落で3か月ぶりの安値へ沈む中を三菱UFJやみずほFGなどメガバンクは逆行高を演じていた。

そんな堅調持続している銀行株の背景にはいわずもがな国内金利の上昇による収益の改善期待があるわけだが、そんなポストのなかでも特にここ最近では市場の関心がネット銀行に集まっている旨が先週末の日経紙投資面スクランブルに書かれていた。実際今月に入ってから住信SBIネット銀行や楽天銀行等が急騰し揃って上場来高値を更新し、メガバンク勢を大きくアウトパフォームしてきている。

以前に銀行やライセンスを持った事業者が決済などの仕組みを他の事業者に貸す事で内製化の動きの流れが顕著化すると想定した場合、同事業の市場規模は非常に広いと書いたことがあるが、住信SBIネット銀行のIPOはその想定時価総額から大型案件であったものの、このBaaS事業などの強味が評価され米銀破綻という悪地合いの中でも初値は公開価格を上回る好スタートを切り、ヤマダデンキや高島屋とコラボしてネオバンクサービスを精力的に展開している。

また強力なポイント経済圏をバックにした楽天銀行もアドバンテージがあるが、こうしたポイント経済圏やスマホ決済の広がりで大手のメガバンクとて顧客情報を独占する従前の優位性も崩れてきており、顧客ニーズを汲み取るうえでサードパーティーである各種事業者などとの連携もポイントになってきている。本日は三菱UFJがネット専業銀行を新設する方向で検討している旨が報じられているが、金利のある世界が戻るなか引き続き各社の戦略には要注目である。


J-REITもTOB標的に

昨日の日経紙総合面には長期金利の上昇に弾みがつき約15年ぶりに1.43%に上昇した旨が出ていたが、この影響をもろに受けて冴えない展開を強いられて来たのが東証REIT指数か。個別の投資口価格も下落の一途を辿ってきたが、先週には阪急阪神リート投資法人に対してシンガポールの投資ファンド、3Dインベストメント・パートナーズがTOBを実施すると発表している。同ファンドといえば先月末にもNTT都市開発リート投資法人に対してTOBを実施すると発表しておりこれで2件目となる。

REITの低迷は上記の通り“金利のある世界”になった事もそのベースにあるが、新NISAにおける積立投資枠においては所謂毎月分配型が長期の資産形成にはそぐわないとしJ-REIT特化型投信がその対象から外された事などを嫌気した資金流出が続いた事なども背景になっている。そういった事で株式のPBRにあたるNAV倍率も直近でわずかに2銘柄を除いた残り55銘柄全てが1倍割れの状況となっており、なるほどファンドの食指が動いたのも頷けるか。

東証によるPBRの1倍割れ改善要請ではこの是正に向けて多くの企業が自社株買いなどに走った経緯があるが、上記の状況を背景にこのREIT市場でもこの自社株買いにあたる自己投資口取得が防衛的意味合いも含め昨年は一昨年の実に14倍超となり過去最高の実施件数になっている。そんな状況下にあって今回の立て続けのTOB発表があったわけで、如何に外部から割安と見られていたかがうかがえる。

今回TOBの標的になった阪急阪神リート投資法人は商業施設を軸足にホテルやオフィスも所有するが、足元の円安効果もありインバウンドが大きく影響しホテルは稼働率も客室単価も堅調、オフィスにしても空室率低下で稼働率も上昇している。冒頭の通り金利上昇の逆風も吹くが、上記の件と併せ不動産価格上昇で保有物件の含み益も過去最高水準にあるだけにこうしたTOBから今後この低迷にも転機が訪れるかどうか注目しておきたい。


制度改正に第一歩

さてビットコイン価格の上昇を背景にして、年金基金やヘッジファンドなどが24年第4・四半期にビットコインETFの保有割合を増やしたことがSECへの提出書類で明らかになっている。米では昨年1月にビットコインETFがSECに承認され大手のアセットが取り扱いを開始したことで機関投資家による大規模な資金流入の呼び水になった背景がある。

ところでビットコインといえば先週の日経紙金融経済面で金融庁が仮想通貨(暗号資産)を有価証券に並ぶ金融商品として位置付ける方向で検討に入り、法改正に向けて議論することが明らかになった旨の記事があった。当欄ではこれまでも投資信託の運用対象である特定資産という枠から外れているにしてもビットコインETFの国内承認が叶わないのだろうか?と書いてきたが、これで暗号資産等で運用するETF解禁につながる可能性も出て来たという期待も高まるか。

日本の現行税制は主要国と比較して相対的に最も高水率とされ投資家に大きな税負担を強いている状況だがビットコイン等に関しては最大で税率45%、そこに住民税やらが乗り最大で55%が課せられる計算になるが、ETFであれば分離課税の適用で20%という事になる。既に昨年末段階でビットコインETFは運用資産残高でゴールドETFを指呼の間に捉える規模までになってきているだけに、周回遅れともいえる日本も方向性含め制度改正が少しでも進むことを期待したいもの。


20兆円クラブ

本日の日経紙投資面では、昨日の株式市場で日立製作所の時価総額が終値で初めて節目の20兆円を超えた旨が出ていた。当欄では昨年の1月に任天堂や伊藤忠商事の時価総額が初めて10兆円の大台を超え「10兆円クラブ」の仲間入りをした旨を取り上げており、この同じ時期に日立製作所もまた同クラブの仲間入りを果たしていたものだが、その後の1年でその時価総額はこの3社間で大きな差が出ている。

日本では「総合〇〇」と称されるコングロマリット企業がディスカウントされる傾向にあったものだが、長らくのデフレ下の構造改革効果で不採算事業が減少、事業売却などで利益が出易くなり売却益などで投資や株主還元など資本の有効活用を積極化する向きが増えて来ている。そうした効果もあってかコロナ禍以降は特にこうしたセクターはTOPIXをアウトパフォームしてきており、コングロマリットディスカウントの一括りでは語れなくなってきている。

これまで日本企業はしがらみの多い組織体系故に事業再編自体が遅々として進まなかった部分もあったが、東証の踏み込んだ改革等も背景に今後は上記のように経営資源を稼いでいるセグメントに集中投資してゆく動きがより活発化してゆくとも考えられる。コングロマリットディスカウント企業も今後ROE向上等が顕著になってくればコングロマリットプレミアムへと変貌を遂げる一歩になるはずでこの辺に期待したいものである。


幻の構想が幻に・・

昨年12月にはホンダと日産自動車が経営統合に向けた協議を始める事で合意した旨を取り上げたが、周知のように先週にはこの協議を打ち切ると両社より正式な発表がされている。協議開始からわずか1ヶ月半のスピード破談劇であったが、当初の持ち株会社構想から遅々として進まぬターンアラウンド計画にホンダ側が業を煮やし買収提案へとなる過程で要は両社で経営統合に向けた合意点が見いだせなかったという事だろう。

正式にこの破談が発表された日には両社の決算発表もあったが、ホンダは当期純利益が4年ぶりのマイナスとなり、日産も最終損益は800億円の赤字となっていた。ちなみに主要他社のこれまでに発表された決算は最大手トヨタ自動車が増収増益のほかスズキやSUBARUも増収増益、25年3月期の業績予想もトヨタ自動車、スズキ、SUBARUは揃って上方修正しておりはっきりと明暗が分かれた格好になった。

上記の業績好調組はHVやSUVなど売れる車を持っていることが特徴だが、日産など売れる車が無いというのがそもそもの問題か。既に中国のBYDは既にホンダや日産を上回る世界2位に浮上し、国営大手の重慶長安汽車と東風汽車も経営統合する可能性があるとも報じられているがこれが実現すればBYDを抜いて販売トップになる。先端技術開発力を持ちながら再編で規模を拡大するなど時代は変革期を迎えているだけに両社がどう戦略を立て直すのか注目される。

日産のプライドもあろうが長らくの低迷を経てその時価総額は今やホンダの約5分の1なだけに対等を謳うのは素人目でも無理があるのは否めないところで、日産と対等な関係でありかつ日産を支えることのできるような都合のよい相手がはたして現れるのか?時価総額が落ち込めばそれだけ大手他社からの触手が伸び易くなるわけだが、いずれにせよ今後日産の経営陣がどのような方向性で会社を導くのか、その責任は非常に重いだけに去就が注目される。


Valentin’s2025

さて明日は恒例のバレンタインデー、昨年の今頃は日経紙で「足りぬカカオ豆争奪戦」などと題し、原材料の高騰でバレンタインチョコが一昨年比較で平均4.5%の値上げとなった旨などを書いていたが、今年もこの“カカオショック”の状況は変わらずこの2年でカカオのNY先物価格は約4倍に急騰しバレンタインチョコの平均価格は更に5.8%上昇している。

とはいえ銀座松屋調べでは本命、義理、そして自分へのご褒美共にその予算は昨年より大幅な伸びを示し、特に自分へのご褒美は昨年の約2.4倍となり価格も1万円の大台を指呼の間に捉えている。そんなわけで今や一大イベントに成長した「サロン・デュ・ショコラ」や、今がたけなわの「アムール・デュ・ショコラ」などで並ぶ人気のブランドモノは数粒で5桁の値札が付く商品でも飛ぶように売れ、今年も過去最高の売り上げを更新してきているという。

確かに最近はその味もさることながらパッケージでも魅せる商品が多くなってきた。今年の商品で個人的に目を惹いたのが「ジャン=ポール・エヴァン」で、その箱や袋は私の好きな「アンリ・ルソー」が描いた絵画をモチーフにしこれだけでも欲しくなる魅力的な物であった。またこうした場では近年エシカルも意識され、前回は見た目が原因で廃棄寸前のバナナを使った商品を著名シェフとコラボして販売していたが、今年も各名店が干し芋を作る過程で出る端材を活用した新商品を展開していた。

上記のように高額商品にどんどん注ぎ込む向き以外にも幅広く消費者を取り込むべくカカオの含有量が少ない焼き菓子やイートインの強化も百貨店で見られたが、高島屋など車両を貸し切りアムール・デュ・ショコラの催事に合わせた企画として「ショコラトレイン」を展開するなどしており、今後もカカオ豆の高騰と対峙しながらも“トキ消費”の特別感などどう演出してゆくか各社一層の工夫が求められようか。


取引所騒動彼是

昨日の日経紙グローバル市場面では「LME、信頼回復半ば」と題して、LME(ロンドン金属取引所)がロシアによるウクライナ侵攻により供給懸念からニッケル価格が暴騰したのを背景にしてニッケル先物の取引を一時停止して話題になった、所謂「ニッケル騒動」から3年が経過し売買が復調傾向となっている旨の記事があった。

当時の相場は記憶に新しいが、週明けから前週末比で2倍に急騰した相場は翌日も更に2倍以上に暴騰し遂に1トンあたり10万ドルの大台を突破するに至った。結局この時の10万ドル超の最高値での約定を無効扱いにまでしたことが後々まで関係者の物議を醸し出したわけだが、当時は彼方此方でマージンコールの嵐のなか某中国大手メーカーの看過できない額のショートポジションが市場全体に多大な影響を及ぼすとの懸念から発動された措置であったと推測されている。

東証でもこのニッケル暴騰劇を受けて“別子”こと住友金属鉱山が急騰したが、この22年の3月と4月で月足は見事に教科書的な「毛抜き天井」を6600円台で形成しいまだこれを抜けていない。またETFでも「WisdomTreeニッケル上場投信」はこれと同時期にたった2営業日でその価格がほぼ2倍に暴騰しその時に付けた6152円の上場来高値が大天井となっている。

そういえばもう四半世紀も前になるが、当時のTOCOMでも一部訴訟問題にまでなった「パラジウム先物強制解け合い事件」があったものだが、これもしばらくトラウマとなり以降取引は低調を強いられ、現在では極端な流動性低下を背景に各社は新規建玉の停止もしくは制限を設け殆ど休止状態に陥っている。今後もマーケット間の競争は激しくなると思われるが、結局は競合の有無や流動性確保が帰趨を決することになるか。


消えたコメの行方はいずこ

本日の日経紙には「餃子の王将」の価格改定の全面広告が出ていたが、値上げの理由として一行目に書かれていたのは「コメの価格高騰」であった。週明けの当欄でも「天丼てんや」や「崎陽軒」の今月からの値上げを取り上げたが、これらの背景も総じてコメ価格の高止まりによるところが大きい。一向に鎮静化のみられないこうした状況を鑑み、先週には農水省がコメの流通が滞っていると判断された場合、条件付きで政府備蓄米を販売出来るよう運用を見直すことを決めている。

この“令和の米騒動”、昨年の8月に当欄では新米が出回り暑さの落ち着きに歩調を合せ価格も落ち着きを見せるのか否か注視しておきたいと書いていたが、暑さが落ち着く頃どころか結局年が明けても末端の価格は高止まりしたままだ。コメが店頭からすっかり消えたあたりから備蓄米放出の提案が彼方此方から出たものだったが、ここまで慎重姿勢を貫いていた政府も上記のように漸く重い腰を上げたかっこうか。

そんな背中を押された背景には日経紙等でも“消えた”、“行方不明”などと報じられている通り、市場に出回らずコメが消えている?ことに農水側が懸念を示したのもある。公表されているところでコメの生産量は前年比で約18万トンほど増えている筈だが、囁かれているところでは食糧管理制度廃止で自由に販売出来るようになっている農家に異業種の参入業者などが挙って群がり、JAなど集荷業者より高値で買い漁り貯め込んでいるのも一因といわれる。

まるで転売ヤーの如きなんとも目敏い連中だが、この備蓄米放出の実行がいよいよ現実味を帯びてくるとなるとこうした連中が“投げ”に動くことも想定される。この辺はコロナが始まった頃の魑魅魍魎な連中のマスク買い占めが災いし一転暴落から各所で投げ売りが多発した光景が記憶に新しいが、政府としては相場に与える影響を考慮し市場が混乱しないタイミングと放出量をどの程度にするのかこの辺も思案所となるか。


高級酒バブル一服

昨日の日経夕刊の値札の経済学では「国産高級ウイスキー、2割下落」と題し、中国の景気低迷を背景に長らく高騰が続いていた国産ウイスキーの流通価格が昨年の半ばから下落が始まり最盛期から2割近く下がるなど落ち着いてきた旨の記事があった。国産高級ウイスキーはベースに世界的な評価の高まりから原酒不足も加わり、メーカー側の大幅な価格改定も相俟って投機対象に乗り易かった経緯もあった。

ところで高級酒といえば同じく中国の景気低迷を背景に、当の中国を代表する高級白酒を手掛ける「貴州茅台酒」の時価総額も先月末で1兆8000億元と1割強にあたる約2700億元が減少し、同じく白酒を手掛ける老舗の「瀘州老窖」の時価総額も約600億元減少しているという。かつて貴州茅台酒は国内で時価総額トップを誇るトヨタ自動車をも凌ぐ時価総額を誇りその高いROEで海外の機関投資家からも人気だったものだがすっかり色褪せている。

上記の高級酒以外でも同じ投機のテーブルに乗せられていたロレックスも一部人気モデルが大幅な値崩れを起こしている模様だが、考えてみれば本来は身に着けたり飲んでそれらを愛で楽しむものが、違う目的で値を付け投機対象になるのを異常な光景と見て来た向きも多かっただろう。顧客需要に支障をきたす場面も少なくなかった事でメーカー側も希望小売価格から大きく乖離した価格で流通する実態に困惑してきたものだが、図らずも中国の不動産不況がもたらした景気低迷がこれの是正の一助となることになる。


タリフマン砲

本日の日経平均は一転して急反発、トランプ米大統領がカナダとメキシコからの輸入品に対する関税強化策適用を1か月延期すると発表した事を好感してのものだったが、昨日はこの政策発動で世界経済の先行きに対する懸念からザラバで下げ幅が1100円を超える場面があり引けも1052円安と急反落の週明けとなった。日経平均に限らずアジア圏では春節で中国が休場となるなか韓国KOSPIや台湾加権指数なども同様に下落の憂き目に遭っていた。

為替市場も前週まで比較的底堅く推移していたカナダドルやメキシコペソが対米ドルで急落、今後は欧州も対象となり得るとしていたことでユーロまで下落が波及した。東証の個別では関税の影響が大きいとされる特に自動車セクターが直撃され、メキシコに生産工場のあるホンダやマツダが揃って7%を超える急落を演じ、もう一つのトヨタ自動車も5%安となり部品関連でもデンソーが8%を超える急落となっていた。

この政策で関連する国全体のGDPの目減りは年90兆円規模にのぼるといい、米の全輸入額トップのメキシコの実質GDPは関税実施の場合、2032年までに従来の想定から2%押し下げ要因になるとの試算がある一方で、JETROのアジア経済研究所では日本は対象国から米国への輸出が落ち込むなか、これらの国に代って日本から米への自動車関連の輸出が伸び2027年にはGDPが0.2%押し上げられると試算している。いずれにせよ楽観に傾きかけていた局面でもいつ冷や水を浴びせられるかわからなくなってきた事で暫くは身構える動きとなろうか。