22年ぶり首位交代

本日の日経紙では「仏にデータ拠点14兆円」と題し、ソフトバンクグループがフランスで最大14兆円を投じてデータセンターを建設する旨の記事が一面を飾っていた。新設するデータセンターは同社として欧州発のAI拠点となるが、AI(人工知能)に必要な計算資源を米国だけでなく欧州でも確保することが目的で、将来的な収益寄与拡大を期待した買いの矛先が向かい本日も同社株価は大幅続伸し上場来高値を更新している。

このソフトバンクGの上場来高値更新によって同社の時価総額は終値でも49兆円に迫り、これで遂にこれまで時価総額トップを誇ってきたトヨタ自動車を上回り国内企業の時価総額トップに躍り出ることとなった。トヨタ自動車が首位の座を明け渡すのは実に22年ぶりのことになるが、一昨年には約50兆円も開いていた差がわずか2年で埋まり逆転したことになる。

当欄でも昨年の8月に一寸触れているが予てより同社は投資会社の色彩が濃くNAV(時価純資産)で大幅ディスカウントが指摘されてきており、本日の急騰の一因も仏のデータセンター新設と共に傘下の英半導体設計アーム・ホールディングス株が上昇したことも大きい。これら含め期待される成長部分が将来のキャッシュフローとして実現してくるかどうか、引き続き投資企業の動向含めこの辺を見ておきたい。


金の密・輸・出

今週あたまの日経紙総合・経済面では財務省の貿易統計による金地金などの金の輸出額が出ていたが、それによれば金の輸出額が昨年25年度に4兆884億円と1兆734億円増加した旨が出ていた。36.5%の増加だが統計で遡れる1988年以降で最大量という。25年度の輸出量と輸入量の差は200トン超えと金額換算では前年度から1兆円近く伸びているが、金の産出量等から勘案するに密輸品の流出拡大が推測されている。

先週も大阪で香港から金を密輸して日本で換金し国外へ持ち出す行為を繰り返していた疑いのある男らが税関から摘発されていたが、昨年の金密輸の摘発件数は192件となり20年の実に3.7倍、押収量も約425㎏と同2.8倍にのぼる。摘発の約4割を香港からの密輸が占めるというが、これはいわずもがな消費税の無い香港と10%の消費税がある日本の“鞘抜き”を狙ったものだろう。

この密輸、その方法も今だに体に巻き付けるなど原始的な輩も捕まっているが、年々巧妙化してきており国際線から国内線の切替わりで税関検査の無い部分を突いたり、上記の例では輸出手続きの為に出入り出来る許可証を悪用するなど如何に穴を見つけられるかが成功率のカギだ。こうした新事例が出る度にその都度税関とのいたちごっことなるわけだが、もう知恵比べの領域に入ってきている。

折りしも来月には平凡な主婦らが闇バイトを通じてこの“金の密輸”に手を染めるというストーリーの映画「マジカル・シークレット・ツアー」が劇場公開される。史上初ともいえる東京税関とコラボしたイベントまで行われ、映画化されるのはある種もう社会現象ともいえるのだろうが、近年の価格上昇で“うま味”は増しているだけに限界のある水際対策だけでなく受け皿も含めた包括的な対策が求められてこようか。    


世界最弱通貨?

本日の日経紙総合面には「円、「最弱」トルコに見劣り」と題し、様々な通貨に対する円の総合的な実力を示す「実質実効為替レート」が変動相場制移行後の安値を更新した旨が出ていた。一部異論が出ているものの元ゴールドマンサックスの為替チーフストラテジストであった米ブルッキングス研究所シニアフェローは「日本円がトルコリラを下回り世界最弱通貨になった」と投稿しているにも話題になっているという。

これと並んでもっとざっくりしたモノに「ビッグマック指数」があるが、当欄では2月に「指数に見る日本の位置」と題し今年の日本のそれは下から数えた方が早い48位に沈みウクライナにも及ばない状況というのを書いている。ウクライナにトルコとかつては比較対象の俎上にもあがらなかった向きが今や見上げた上に位置するという始末だ。

ところで冒頭のトルコといえば自国の通貨防衛のために各国中銀が金準備を積み増す中でこれら外貨準備を減らしていることが報じられているが、曲がりなりにもそれが奏功し実質実効為替レートは上昇し日本のそれとは明暗を分けている。片や日本は商いの薄い時を狙って対処療法的な為替介入しか打つ手が無くなってしまっているが、さて来月の利上げはどうなるのか日銀の判断とやらに注目したい。


沼るボラティリティー

本日の日経紙投資面には「株価の乱高下、新常態に」と題し、AI・半導体関連株にマネーが集中しボラティリティーが高まったことで日経平均の取引時間中の値幅が1000円を超える日が相次ぎこれが“新常態”となっている旨の記事があった。日中値幅が1000円以上になった日数では今年は昨日迄で41日と最多を記録、月間変動率も昨年10月以来、半年ぶりの高水準という。

上記の通りこれらを創り出しているのが一部のAI・半導体関連株で、筆頭格はやはりキオクシアHD株だろうか。本日も上場来高値を更新した後は反落となっているが、この値段だけに値幅も悪魔的で昨日は寄り付きで最低単元買っただけでも引けで約15万円の値洗い益が、反対に今日の寄り付きで最低単元買っていたら大引けの値洗いで約35万円が飛んだ計算になる。

こうした動きは若年層をも呼び込み本日の日経紙の別の頁ではバイトでためたお金でキオクシア株を買った高校生の話も出ていたが、これを見ていると分割ラッシュと話題性で沸いたかつてのライブドア株を小遣いをためて買ったという小中学生の映像を思い出す。その後同社は上場廃止の憂き目に遭ったわけだが、勿論キオクシアの方はしっかり裏付けもあり全く別物とはいえマル信枠で目一杯張っている向きなど見るにチャレンジャーだなと感心する。

まあ余計なお世話だが、今のAI・半導体株はかつてのまだ上昇半ばにあったビットコインの如くなのかどうか?期待値から株価が業績に見合わないケースは多いが、今のこれらは逆で業績に株価が追い付いていないとみられている。なのでバリュエーションからまだまだイケるという理論だが、宴の行方をいましばらく見させてもらおう。


お茶の明暗構図

本日は抹茶を点てていただく場に招待いただいたのだが、抹茶といえば先週末の日経紙夕刊では「抹茶、海外向け増産」と題し、欧米を中心とした日本食の広がりや健康志向の高まりを背景に抹茶の引き合いが強まっている事で製茶問屋などが海外向け抹茶生産を増やしている旨の記事があった。そういった事も背景に農水省の方でも先にこれを増産する方針を発表しており、大手企業などでも生産能力を倍増させる動きも一部出てきている。

以前も書いたと思うが、一昨年の荒茶の価格は煎茶が1㎏1197円、対して抹茶の原料のてん茶は1㎏3278円と約2.7倍となっており生産量も10年前から2.7倍に膨らんでいる。そういった事で抹茶を含む緑茶の輸出額は約10年前の2015年で100億円くらいだったものが以降右肩上がりが続き、2024年には364億円、昨年2025年には前年比98%増の721億円にまで拡大している。

こういった事で国の動きもさることながら東京都も煎茶から抹茶への生産切り替えを支援し、茶農家の間では煎茶からの転向組が急増してきている。とはいえ茶葉に直接日光を当てる露地栽培とは違って、抹茶の生産では畑でカバーをかけ日陰で葉を育てる被覆栽培というカバーをかける手間がかかる作業が必須で高齢農家には厳しい環境になっている側面もある。

加えて若年層の茶離れや冠婚葬祭向け需要の減少など煎茶消費は縮小傾向になってきており、これと相俟って製茶業者の休廃業は過去最多になっている。抹茶人気の裏でこうした陰の部分も露呈しつつある構図だが、サプライチェーンの縮小に対し加工に注力など生き残りをかける動きもみられるが、いずれにせよ抹茶ブームが業界に多大なる影響を与え転換期に差し掛かっているのは間違いのないところだろう。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

カテゴリー

アーカイブ

2026

6

1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30