直美問題

Netflixの「ダウンタイム」を見た。ネトフリのシリーズを見るのは一昨年の「地面師たち」以来のことだったが、ネトフリが選ぶテーマが相変わらず鋭く面白い。所謂“ダウンタイム”期間が確保できるチャンスの広がりなどでコロナ禍から俄かにその体験者も広がった美容整形業界だが、“美”を追い求める人々の欲望に双方の裏側に潜む光と闇を境目なく描き出し人間の本質をあぶり出すさまはいろいろと考えさせられる。

この美容医療といえば先の日曜日の日経紙一面のチャートは語るでは「美容医療に流れる医師」と題し、都市部を中心に美容医療機関が集中し地方の他の診療科の勤務医が高給などの好待遇に惹かれ転職が増加してくれば医師不足問題も出てくる可能性を指摘していた。もう一つ書かれていたのは医学部卒業後2年間の臨床研修を終えそのまま美容クリニックに就職する所謂“直美”問題。

ちょっと前のデータになるが、厚労省が2022年に行った調査ではこの“直美”がここ10年で約12倍にも急増していることが明らかになっている。美容医療はほぼ自由診療なのでなにしろ客(患者)単価も高く、報酬面でもこれが顕著に表れて初年度でも一部では2000万円を軽く超えるといわれる年収目当ての向きがほとんどだ。

ところで総務省が先に発表した全国841の公立病院の昨年の決算では81.2%が経常赤字となっており、5年前の42.8%からほぼ倍増している計算になる。直美の背景もあり特に人材確保が難しくなっているというが、私の知人の医師も指摘していたところで直美の経験値の少なさを危惧する声も多い。赤字や直美問題解決には診療報酬はじめ労働環境まで諸問題山積みだが、今後の医療のバランスを考える上でも喫緊の課題か。


1.5度目標の行方

今日は少し雨が降ったとはいえ暖かく湿った空気の影響もあって日中の気温も各地が25度以上と東京は今日で9日連続の夏日となった模様で、10月にここまで夏日が続くというのは統計史上初めての事とか。気温といえば世界的にも9月の平均気温が16.27度と、同月として過去2番目の高さだったと昨日の日経紙夕刊が一面で報じている。気候変動対策の「1.5度目標」を2か月連続で超えたという。

また今年は毎月のように台風が発生しているが、これまた統計開始以来数回しかないことだとか。こういった年はスーパーエルニーニョ現象が発生しているというが、今回のエルニーニョは史上最大規模になるという。9月、10月と高温の影響もあり野菜から食肉まで各種の生育不良が相次ぎ“猛暑インフレ”の様相を呈していたが、今年も豪雨などもありそれに輪をかけ野菜はじめ生育不良が各所で報じられていた。

こういった気象を鑑みアパレル各社も1年を二季として定義するなど商品構成を細分化する動きやナイトタイムエコノミーの伸びしろを探る動きも各所で広がっているが、上記のように“猛暑インフレ”も今後ますます加速する可能性がある。冒頭の1.5度以内に抑えるには2035年に2019年比で60%の温暖化ガス削減が必要とされているが、生態系にさえ関わってくる事だけに不可逆的なものとして各所の取り組みが注目される。


持ち合い解消包囲網

先週末の日経紙一面には「持ち合い株売却 8.8兆円」と題し、日経紙が3月期決算の上場企業約2300社の有価証券報告書集計において、政策保有株の売却額が8兆8900億円と過去2番目の高水準であった旨の記事があった。予てよりコーポレートガバナンス報告書等で東証プライム市場上場企業の約7割が持ち合い株を削減する方針を示していたが、アクティビスト等の圧力も背景にはあろうか。

当欄ではこれまでトヨタグループはじめとしてアシックス、大手損保なども政策保有株ゼロを打ち出してきた旨を書いていたが、今回の纏めで業種別に売却額が多かったのが保険と銀行で互いの政策保有株圧縮が表れているか。企業別で売却額が大きかったのも東京マリンでその資金を買収原資に充てるといい、上記アシックスも資金活用が奏功しかつての赤字から今や売上高1兆円超が目前に迫る。

先にTOPIX見直し第2弾を書いたが今回は年間売買代金回転率と共に浮動株時価総額でもふるいにかけられ、政策保有株はこれにカウントされないので自ずとこういった部分においても解消促進効果はあるか。まさに各所から包囲網といった感じだが、かつてはこの持ち合いも適正化水準まで10年以上かかるともいわれていたものがこれらで各段に進むと思われるだけに今後もその推移を見守りたい。


ジェンダーギャップ指数2026

さて、簗(やな)農水相の過去の失言を巡り国会で“嫌な”農相だと激しい追及で絶賛盛り上がっているが、彼は先の内閣構造役員人事において初入閣した人物。この度の人事だが留任組が8人に上り初入閣はこの失言農相を含め7人となっており、もう一つ女性閣僚であるが当の首相を除くと上記の8人の中に入るところの片山財務相と小野田経済安全保障相の2名で新たな起用は行わないという形になっている。

ところでこの内閣改造と同じく先月にはWEF(世界経済フォーラム)が2026年版の「ジェンダーギャップ指数」を発表しているが、昨年の10月には当欄で、「自民党立党70年で初の女性総裁が誕生したことでこのジェンダーギャップ指数の政治分野が寄与して少しでも格上げされるのか?」と書いていたが、はたして日本の総合順位はといえば145か国中で117位であった。

昨年が一昨年と同じで118位であったから1位ほど順位を上げた形になるが、結局ここ3年でほとんど変動がないという感じある。この数年で女性役員登用も目立って来ていたがこの動きも一巡したことで経済分野などは後退、政治分野の前進と相殺?か。政権骨格維持の思惑もあり新たな女性起用も見送り、女性役員登用も一巡感のあるなかで今後の浮上の芽はあるや否やだが、引き続き各項目各所の取組に注目してゆきたい。


ノーベル賞ウィーク2026

今週は10月恒例のノーベル賞ウィークだが、既に5日の生理学・医学賞を皮切りに翌日の物理学賞と順次発表されておりここまで有力候補で挙がっていた日本人の受賞はなかったが、本日7日は化学賞の発表があり各メディアではどこも上位候補に挙げていなかった東京理科大名誉教授の硤合憲三氏と、パリ南大のアンリ・カガン氏の2名が受賞することとなった。

同氏は「不斉自己触媒反応」を発見した功績というが、この化学賞の受賞が決まるのは昨年この賞を受賞した京都大学の北川理事に続き2年連続の快挙となる。明日は文学賞だが、もう10年以上も有力候補常連として挙がっている村上春樹氏が悲願の受賞なるか注目され、明後日の平和賞、そして来週はこれまで唯一日本人が受賞したことがない経済学賞と続くがはたしてどうなるか。

ところでノーベル賞といえば近年は従前ではその“枠”としてはみなされていなかった分野でも受賞する例が出てきているという。冒頭の物理学など5年前の日本人受賞の時の気候変動のような地球科学分野や、他にもこの後には最近賛否両論のAI含む情報科学分野の受賞があり、この辺はより今後重視してゆくべき現代の社会課題を示唆した方向性も感じられるか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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