制度変更続くふるさと納税

さて、ふるさと納税仲介サイトから10月の制度変更に伴う返礼品への影響等の案内が来ていたが、先週末の日経紙総合面では「自治体、窮余の独自サイト」と題しこうした民間の仲介サイトが主流のなか、ふるさと納税の寄付を直接受け付ける自治体独自の“官製サイト”も広がりつつある旨の記事があった。背景には仲介サイトへの手数料問題や国による経費規制の強化があるといい、総務省は経費率の上限をこの秋から段階的に下げる。

2.5%ずつの下げで2029年には50%から40%になる見込みとなるが、既に民間の仲介サイトが顧客や知名度が定着した中ではたしてどの程度利用者を囲い混むことが出来るのかこの辺は甚だ不透明と言えようか。そんな中、直近では総務省が返礼品に海外ワインを地域のトンネルや海底で貯蔵・熟成したものを地場産品として扱う自治体の実態調査に乗り出す旨の報があった。

これで思い出したのが今から3年ほど前だったか、これまで総務省と何度となくバチバチやってきた大阪の泉佐野市の人気の返礼品だった「熟成肉」を総務省が返礼品として認めない旨の通達を出した件か。この海外やほかの都道府県のモノを自治体で独自の付加価値を付ける構図は今回のワインと全く同じで、たしかにこれが野放しにされていたらこれを奪われた?泉佐野市も黙っていないのは想像に難くないか。

こうしたふるさと納税を巡る総務省と自治体の“いたちごっこ” の裏で昨年の全国の寄付額は過去最高ながらその伸び率は鈍化したという。冒頭の経費率の引き下げは更なる返礼品のお得感を低下させるものだが、これでふるさと納税は転機を迎えてしまうかには疑問符か。富裕層にとってたったの実質2000円で高額返礼品もいただき放題と魅力的な面には変わりなく今後もいたちごっこは妙な均衡を保ちつつ継続されるだろうか。


再挑戦のルルレモン

本日はカナダ発のスポーツアパレル大手の「ルルレモン・アスレティカ」が原宿で日本初となる旗艦店をオープンしている。昨日はこれに先行し開業イベントを開いていたが、私の周りでも昔からここのウエアは人気でその愛用者は少なくない。SNSで俄かファンになった向きも多いと思うが、かつては20年以上も前に日本進出を果たしたものの撤退の憂き目に遭った経緯がある。

店舗の再挑戦など意気込みは十分なものの、株式市場の方では関税の影響なども影響し今年に入って4割超も下落するなど低迷している。こうした傾向は同社に限ったことではなく、スポーツアパレルで世界シェアトップを誇る「ナイキ」の株価も同様に安値低迷に甘んじて米&P500に対する相対的な弱さは約25年ぶりの水準にあるのが現状だ。ちなみにこの原宿の旗艦店はナイキの跡地に建つあたりが何か因縁を感じる。

そういった意味では最近「オニツカタイガー」の事業部を分社化した「アシックス」は今秋に入ってからも上場来高値を更新と破竹の勢いといえようが、スポーツアパレルの株価も長年追いかけているといろいろ業界模様が垣間見られてなかなか面白い。いずれにせよこの店舗、プロダクトのみならずアートやコミュニティを通じ同ブランドの価値観を体験出来る空間に仕上がっており再挑戦の試金石として興味深い。


キティも保有増

本日の日経紙総合面では「海外投信、日本買い急増」と題し投信情報会社モーニングスター・ジャパン協力調査で、グローバル株式を運用対象とする世界の投資信託のうちアクティブ型の動向では、2026年1~6月の保有純増額が289億ドル(約4兆5000億円)と半期で過去最大規模になった旨の記事があった。

個別では個人でも物色人気が盛り上がったAI・半導体関連株で保有の増加が目立ったが、このAI・半導体関連株への物色偏重でダラダラと売られていた中でもしっかり積み増されているものがこちらでも明らかにされている。例えばサンリオ、好業績に分割発表でストップ高の後の続伸で高値から半値にまで落ち込んだ後のV字戻りが期待されたが、三日天下で急騰前水準をも割り込んだ。

ちょうどこの時期にはIP関連のETFも設定された時期でもあり、強固なIPを持ち好業績なうえにキャッシュリッチまで三拍子揃った同社は魅力的な存在であったものの、それ以上に意味不明なまま年初来安値を更新する様が気持ち悪く映ったものであったが、やはりというかそういった不気味なところでしっかりと腰が据わった買いが入っていたのがわかる。

同頁で載っていた保有株増加銘柄の中にはこのサンリオ以外でもそうした軌跡を辿った銘柄が散見されるが、こうした海外長期マネーの矛先はこの手の伸びしろのある銘柄を常に虎視眈々と狙っている。そういった意味でも今後振るいに遭う局面においては場味に惑わされない胆力も必要になってくるか。


Win-Winいつまで

さて、当欄では先月に株式市場で信用取引の買いがかつてないほど活況を呈し過去最大水準に膨らんでいると書いた事があったが、先週の日経紙総合面では「個人の株信用取引123兆円」と題し、7月の信用取引の売りと買いの合計額が123兆円と半年で2倍になり、現金取引を含む個人の売買代金に占める信用の比率は同月に83%と最高になった旨の記事があった。

以前に当欄でキオクシアHD株をマル信枠で目一杯張っている向きをチャレンジャーと称したことがあったが、このキオクシアHDの買い残高は今月上旬段階で1323万株、実に時価で6000億円以上にのぼっている。マル信はコストに金利が乗っている分、通常は現物よりも利食いを早めに入れる傾向があり信用評価損益率はマイナス圏で推移することが多いが、6月はプラス圏に浮上したというから異例だ。

それだけ上手く回転が効いたということだろうが、波に乗れた投資家だけでなくこれら信用の活況は胴元の証券各社にも収益をもたらしている。今月アタマに出揃った大手ネット証券の2026年4~6月期の合計純利益は前年同期比で2.3倍に膨らんだが、背景には信用取引の金融収支が貢献し各社これが大幅増加、収益全体に占める割合も大きく伸びてきている。

かつて手数料の引き下げ競争で遂にはゼロまで行き着き“不毛な戦い”ともいわれた時期があったが、当時はこの活況を誰が想像しただろうか?とはいえ需給面では過度な膨張はボラティリティーにも響くリスクも孕んでいるがこの辺は相場次第か。今後は米市場の23時間取引対応も年末から始まるが、いずれにせよ各社の更なる収益を睨んだ舵取りが注目されるところだ。


GPIFと政治

一昨日の日経紙投資面・一目均衡では「GPIF、予期された政治介入」と題し、7月の財務大臣の「GPIFをはじめとする年金基金により日本の金融資産にさらなる投資をしていただく方向で後押ししたい」との発言などから、GPIFの比率変更がある場面では世間が年金受給者ではなく政治のための変更だと受け止めかねず、はたして「自主性や創意工夫」を発揮できるのかとした旨の記事があった。

この辺に絡んでは先月も「官製相場色」として当欄で一度取り上げているが、うっかりなのか確信なのかGPIFを引用?した事でいまだ思惑が交錯している。現在のGPIFの配分比率は国内株式・外国株式・国内債券・外国債券で25%ずつだが、プラスマイナス6%までは許容範囲とされている。6%とはいえ約300兆円を誇る運用資産だけに1%変更だけでも約3兆円が動くことになるだけにそのインパクトは大きい。

実際にアベノミクス時代には債券から株式比率を増やしたことで円安・株高構図を創造した“実績”がある。冒頭の「自主性」という面ではその運用方針に合致すればその配分は独自に決められるが、政治利用に世間が敏感なのは前回も一寸だけ書いたようにバブル崩壊後にこのGPIFの前進を使って所謂“PKO”で株価を買い支えた苦い記憶があるからにほかならない。

ただ現在のポートフォリオは昨年の4月に始まったばかりで次のプロセスまでは時間がかなりあるが、そもそも論でGPIFのポートフォリオはあくまで年金積立金を増やすことが目的なわけで経済政策の援護射撃が目的ではない。先週末に公表された今年6月末の構成比率はほぼ基本ポートフォリオに沿った結果であったが、秋に公表される第2Qの資産構成にも注目しつつ今後も各所での官製相場を匂わす発言等には注意を払っておきたい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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