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遅ればせながら

さて、週末には楽天証券など先月度の各種ランキングを発表しているが、ETFではベスト10のなかにコモディティ系が2つ入ってきており、やはりというか三菱UFJ信託の純金およびSPDRとその何れもがゴールドとなっていた。

ところでこの金といえば先週の日経紙には「年金マネーは金を目指す」として、信託銀行が企業年金向け商品に金を組み込んだり、厚生年金基金の一部も金の運用を開始するなど日本の年金が金に食指の旨が載っていた。上記のSPDRが年金専門誌に広告を出し、もう一つの三菱UFJ信託も企業年金向けの商品ラインナップに「金投資」を加える等の動きがある模様だ。

株価の低迷で年金の運用難は既に彼方此方で報道され、斯様な事情から先のAIJのようなモノにまで引っ掛かるオマケ付きだが、そんな事も背景にあって本邦も漸く重い腰を挙げたような格好か。一方で米など公金運用に関しては流石に機動的で、金運用をしているものではテキサス州教職員退職年金基金や、テキサス大学基金が金先物の玉を現引きの話などは昨年の当欄でも既にコメントしている。

先にNY金先物は、米雇用統計の改善傾向等で金融緩和期待が一段と後退し約2ヶ月ぶり安値まで一服、米大統領選で共和党のロムニー候補が勝利すればドル高政策から更に金価格の下落に繋がるとされていたが、果たしてオバマ氏の再選が決まり再度金を始めとした国際商品の押し上げ圧力が掛かるとの見方も台頭してきた。これから金融緩和や中国景気を睨んで乱高下も予想されるが、今後どの程度裾野の広がりが見られるかこの辺も興味深い。


世論よりも

今週は周知の通り米大統領選は即日開票の結果、民主党のオバマ大統領が激戦州の大半を制した共和党のロムニー候補を破って再選となった。下馬評でギリギリの接戦も一部言われていたものの果たしてのオバマ氏勝利で米株式は300ドル超の急落、所謂「ねじれ」が確定し、年末に期限が来る「財政の壁」問題への対応遅れを懸念した売り物が膨らんだ格好だ。

ところで今回の米大統領選、今週初めにはアイオワ大が運営するIEMではオバマ氏が75%とロムニー氏の25%を大きく引き離す数値が出ており、こちらでは既に今回の結果を織り込む動きが確定していた模様だ。

斯様にこの電子市場は世論調査よりも実際の結果との乖離が少ないとかねてから言われておりユニークながら侮れない存在である。導入部分がシンプルならバイナリーオプションではないが、政治への非感心層への啓蒙もこんな導入手段で間口が広がるかもしれない可能性も秘めておりこの辺は日本もまだまだ勉強する余地があるのではないか。


引き下げ競争再燃か

さて、最近は株式関係のメールでも通常のニュース配信に混じって新たな手数料コースの告知と共に「業界最低水準」の文字が目立つようになってきたが、斯様に何れも今月末から来月初旬にかけて手数料の引き下げに動く模様である。

こんな波は2011年の年初にも報道されるなど数年おきの波のように思えるが、その前の2009年なんぞは1週間の間に計6回もの引き下げ発表が為され、更にその前の2006年なども他社発表日と同日に引き下げ発表が為される合戦が繰り広げられていた経緯があり、思えば牛丼やら家具やらジーンズ等の値下げ競争よりも歴史?は深い。

しかし数年前なら兎も角も当時から比べ今では市場環境も可也違ってきている。証券会社によってはマル信の建玉残高が増えたらとか、投信保有額が多くなったらとかの条件モノもありこんなのは僅かなポイント欲しさに欲しくもないものを金額合せで買うような構図にも似ていないか?

これらここ一連の規制緩和の副産物としてマル信の金利系から来た波だが、週初など2ヶ月ぶりの薄商いを記録するなどこんな市場低迷下でまたもあくなき消耗戦の勃発策。先の日経紙には別のネット大手社長の意見が出ていたが、そこには手数料の安さを競うネット証券ビジネスはもう終わりだとの意見が謳ってあったが果て何れが正解になるのか。


抜かれる構図

さて、ちょうどひと月ほど前には「新日鉄住金発足」として晴れて大型統合の運びに至った旨を挙げたが、この新日鉄住金といえば高性能の鉄鋼製品の製造技術を盗用されたとして、同社が韓国大手ポスコ等を相手取り同製品の製造販売差し止めおよび損害賠償を求めた裁判が先に始まっている。

この辺に関しては今年の5月にも当欄で取り上げたことがあったが、技術流出案件はその立証が難しい一方でこの手は素材産業やエレクトロニクス業界では後を絶たないという。昨今の家電業界の苦境で厳しいリストラが横行しているが、技術者の中には光る手土産があれば韓国大手等から引く手数多で更には高待遇が用意されているというから地獄から天国で揺らぐ輩も居るのは想像に難くない。

しかしその裏では転出先の大手から美味しい部分だけ抜かれて用済みとなった向きが早くも第二のリストラの憂き目に遭っているという噂も絶えない。形勢が逆転するととことん足元を見られる典型だが長年技術は日本の競争力の「要」であり、前にも書いたが不正流出に対する防衛策等を企業も政府も早急に講じるべきであろう。


拡大解釈なる便乗

例年この時期になると会計検査院による決算検査報告書が出るが、昨年度の税金無駄遣い等の経理処理が不適切と指摘したのは513件、計約5,296億円となり前年度比で1.2倍、過去最高であった21年度に次いで実に2番目の規模となった模様だ。

今の民主党政権といえば事業仕分けなんぞで歳出抑制が強調されていたものだったが、果たしてというか無駄使い放題といったところだろう。この中でもやはり酷いと思うのは昨年の大震災絡みの案件で、復興予算が被災地と関係の薄い事業に流用されていたのが次々と明らかにされたり、先月末の日経「春秋」には復興予算が東京スカイツリーの開業イベントに流用されていた旨も書いてあった。

また防災に絡んでは90億円以上を注ぎ込んだJ-ALERTが有効活用されていなかったというのもあったが、上記の復興予算など日経紙によれば「拡大解釈」という抜け道の便乗要求があるという。解釈といえば2006年のちょうど今頃の記事でも「解り合えない解釈」の題で、社会保険庁が売却予定美術品のデューデリにおいて美術品に有るまじき一律算定をした事がこの検査院から問題視されたことを書いたことがあったのを思い出す。

しかし、復興増税と消費税増税の負担を一般に求める一方でこんな杜撰な割り振りはほんとうに呆れる。飄々と所信表明をのたまうのもいいが、例えば直近のネット証券4社による証券優遇税制の延長要望など速やかに対応する姿勢こそ先ず持ってもらいたいものだが、今の政権にその辺を求めるのは無理というものか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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