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往って来い郵政G

週明けの日経平均は米株安や俄かな地政学リスク台頭で前場は大幅続落となっていたものの、あと円高一服から急速に切り返しを見せ急反発して17,000円大台回復して引けた。主力は万遍なく高かったが、そんな中ひっそりと年初来安値を更新していたものの一つに日本郵政株、かんぽ生命等があった。

この郵政グループに関しては先週の日経紙経済面にも「熱狂去り見えた弱点」と題して、昨年11月に鳴り物入りで上場を果たし個人を中心に人気を集めた日本郵政グループ3社が、日銀が決定したマイナス金利政策を背景に株価も往って来いになってきている旨が書いてあった。

中でも品薄感を背景に三社の中でも一際値を飛ばしたかんぽ生命の反動は激しく、高値からほぼ半値水準まで下落している。他も含め抽選組の水浸しは衝撃的だが、上場時には知名度に加え配当利回りから長期投資が根付く切っ掛けになるとの期待感もあった。追加株式売却への思惑の燻りも絡め、NTT株の学習効果が何所まで生かせるか注視しておきたい。


レセプト国内版

さて当欄では昨年11月にも一度触れていたレセプト債だが、先週はこれを発行したファンド3社と運営会社破綻に絡み証券取引等監視委員会が債券を販売したアーツ証券に行政処分を出すよう金融庁に勧告、これを受けて金融庁は同日に金商法違反の「虚偽告知」にあたるとして同証券の登録取り消しの行政処分を下し同証券は東京地裁に破産手続き開始申し立てとなった。

この「レセプト債」、ファンド資金で医療機関から診療報酬請求権を買い取り投資家には後にファンドに入る診療報酬を原資として償還・配当というカラクリだったものの、ファンド側は債券発行を始めた直後から自転車操業で出資金の流用が始まっていたといい、結局ファンドの破綻で約2470の法人・個人に発行された約227億円が償還不可となった。

記憶に新しいところで、このレセプトの即金屋的なカラクリを標榜し破綻したものでは米MRインターナショナルもあったが、証券会社を隠れ蓑にした挙句にパンクした地場証券会社といえば金融当局を無視して南ハイイールド・ボンドなる社債を売った上に預り金まで消えていた一昔前の南証券などもまた思い出される。

また、単純に顧客資産を横領し数年前に破綻した仕手筋御用達で有名だった地場証券会社もあったが、この手の会員は「ハコ」にされるケースがやはり多く顧客側も会員や扱い商品への審美眼が問われよう。


豆マキと恵方マキ

さて本日は節分だが、旧暦で大晦日にあたるこの日も最近では恵方巻のPRが豆撒きにとって代わり先月末あたりからチラシなどでやたらと目に付くようになっていた。斯様に主流であった豆撒きの豆などチラシから随分と姿を消しこの期の店頭でもひっそりとした佇まいになりつつあり新旧交代といった感さえある。

この恵方巻、節分の食べ物といえば鰯という連想もあって東の人間には今一つピンとこないがバレンタインのチョコーレートの如くコンビニかはたまた海苔屋なのか、マーケティング努力が浸透してきたのかどうか最近ではケーキなどへと進化を遂げバリエーションも豊富になってきている。

それは兎も角も、長年「鬼は外、福は内」で豆(魔目)をぶつける恒例行事で育ってきたものだが、節分という事で昨今では児童絵本の「おにたのぼうし」がまた教育現場でも話題になってきている話をふと思い出した。定説で悪いとされる事も別の方向から見ると評価が変わる事例が多くなりつつある今日この頃である。


マイナス金利の功罪

昨日の金融市場では先週末のマイナス金利導入決定を受け長期金利が2営業日続けて過去最低を更新していたが、当日のサプライズで直後の日経平均は緩和効果への評価が交錯し、仕手株が作るイナゴタワーのような急騰から急落、そしてまた急騰とジェットコースターのような乱高下を演じた。

また個別の方では定番の不動産株やREITが急騰し、一方で銀行株が急落と明暗分けた構図となった。日銀に預けてある当座分という事で個人は直接的な影響はないものの、市場金利の低下で貸出の利鞘が縮み財務基盤が脆弱になれば預金金利や貸し出し等へ少なからず影響が出てくる懸念が出てくる。

もっと身近な例ではこれまで証券会社口座内の置き場所で定番だったMMF(マネー・マネージメント・ファンド)が、国債価格の上昇で金利が低下した影響で昨日から販売を取り止める運用会社が相次ぐ事態となるなど、マイナス金利導入で市場へ資金流入が加速するというメリットばかりではないようだ。

一本加え三次元というが、一般から見れば政策目標は金利なのか量なのか今一つ曖昧な感は否めない。互いに相反する政策なだけに上記のように国債を保有し今売られている金融機関も株価が示している通り運用難の懸念が残るが暫くその影響を見極める必要がありそうだ。


負の間接効果

週末の日経紙マーケット面では「東京原油、影響力増す」と題して、先週の日銀金融政策決定会合でマイナス金利導入が伝わったと同時にドバイが急伸、同時間帯のWTIも連れて値上がりするなど東京商品取引所のドバイ原油先物の売買が増えているのを背景に同市場の動きが米国市場等に影響する場面が出ている旨が載っていた。

先月の売買高は70万3000枚と2ヵ月連続で過去最高を更新し、国内の商品別売買高で初めて金先物を抜いたというから随分と急成長した感があるが、この背景には数年前に上場したETNの存在も大きい。同紙の末尾には原油低迷で同ETNの投資家の大半は含み損を被っているとあったが、二週間前の当欄でも主力ETNがこの1年のうちに約八分の一の値段に沈んだ旨を書いている。

この主力ETNの先週段階の信用倍率は実に1,200倍台とシコリ感満載な状況となっているが、個人は同銘柄でのショートは実質不可能な為にロングはそっくりチャブついているともいえる。価格形成において売買高が多い市場がマザーとなり影響力を持つのは自然な流れだが、背景にあるETN等が更にマージンで着膨れしている様は間接効果が高い物だけに都度の期日到来が懸念されるところでもある。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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