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個人への課題

過日の日経紙法務面には「個人投資家 物言う株主に」と題して、少数株主の意見を経営に反映させる目的で導入された株主提案権の利用が権利意識に目覚めた個人株主の台頭で増えてきている旨が載っていた。

今から二年前ほど前に当欄では「日本版スチュワードシップコードの行動原則がどの程度意識されているのか各社の姿勢も注目されるところ。」と書いたが、昨年はコーポレートガバナンスコードと共に二つのコードが始動となり、このタイミングで鳴りを潜めていた村上ファンドも久し振りに始動したものの他の一件で別の大物と共に再度葬られた感じもする。

このファンドも一頃は新興ファンドなど形態を変えた総会屋かと揶揄された時期もあったが、プロキシーファイトにまで発展する事案ならずとも近年では随分と個人の垣根も低くなったような気がする。総会屋活動が鳴りを潜めアクティビスト・ファンドも悉く司法の壁の前に退場していった今、漸く個人も日の目を見る事が出来るようになり今後は対話のあり方が課題になるか。


デリバティブ拡充

昨日の日経紙総合面には「金利先物の拡充検討」と題して日本取引所グループが2016年度からの3か年の中期経営計画で、17年後半には清算システムを12年ぶりに全面刷新して多様な商品を上場し易い環境を整え、金利の先物などデリバティブの拡充を目指す旨が出ていた。

既に東京金融取引所では短期金利関連を上場させているが、大証もまた現状で未上場の超長期や中期の金利オプション、短期金利先物等を候補に検討を始めるという。上場のはこびとなれば投資家としてはそれ以外の国債との金利差を利用した裁定取引等が可能になってくる構図だ。

日本取引所のデリバティブの課題については統合当時から当欄で何度も触れているが、いまや先進国取引所の収益の柱はデリバティブが時代の趨勢、取引所間競争はここを押えずして勝ち残りの芽は無いが本邦の場合もう一つそれと並行し、先の税制改正でも叶わなかった損益通算等こちらの整備も望まれるところか。


マクズウェア

今週週明けの日経紙の文化面には「ハマの陶工命浮き彫り」と題して、真葛香山研究家の田辺哲人氏による陶芸家の真葛香山の作品と解説が載っていた。これが目に留まったのもちょうど先月中旬から下旬まで日本橋で「超絶技巧・世界を驚かせた焼き物 真葛香山展」が開催され、私も終盤にこれを観に行っていたという事がある。

日経紙に出ていた作品写真はこの真葛香山の代表作でもある「高取釉高浮彫蟹花瓶」であったが、実物はやはり圧巻であった。もともと私が真葛香山に興味を持ったのもこの作品が、私の好きなエミール・ガレの名作「ストローブ松」や「蜻蛉文脚付杯」、ドーム兄弟の「チューリップ文花瓶」に見られるようなアプリカッション技法を彷彿させるようなものだったからである。

さながらヨーロッパが誇るガラス技法を東洋がポーセリアンでやったようなもので、今にも動き出しそうな写実的造形の完成度に衝撃を受けたものである。他にも茶道具の逸品の数々、三代目の「帆立貝魚柄磁器匙」のような欧州を意識したような焼き物から「乾山意松竹梅大壺」等に実際に生花を生けたコラボ作品まで久し振りに素晴らしい展を堪能出来た。


需要と思惑

本日の日経紙マーケット面には「金先物、上昇に一服感」と題してFOMCを前にして金先物へ利益確定売りが出ている旨が載っていたが、昨日の商品面にはSGX(シンガポール取引所)やSGE(上海黄金交易所)などアジアを中心とした新規参入の金取引が十分に機能していない旨も出ていた。

やはり欧米をコアにして築かれたマザーマーケットの構図を変えるのは容易ではなさそうだが、相場には「需給は全てに優先する」の格言があるが価格に限らず需要が喚起されなければその枝葉の広がりも望めないというところだろうか。

そんな金取引のなかで昨年TOCOMがスタートさせた限日取引の商いが順調とも書かれていたが、次期取引システムへの移行時に金オプション取引の商品設計も変更するなどして再上場に向けた動きも始まっている模様だ。先週は原油のオプション市場を一寸挙げたがこうしたマザーと比較すれば休止状態となっている現状は見る影もない。アジアの覇権を狙う各所の思惑はまだまだ続きそうだ。


地銀ポスト

本日の日経紙マーケット面には「さまよう地銀マネー」と題して日銀のマイナス金利政策により債券投資で窮地に立たされる地銀が、ETFに加えて短期で高配当狙いの株式投資に活路を見出そうとしている旨が書かれていた。

地銀と言えば本日も東証一部に富山第一銀行のIPOがあったが、注目の初値は公開価格470円を6.4%上回る500円でスタートし、意外?に堅調な滑り出しとなった。パッシブファンド物色思惑もあるが、これ以外の地銀全般もメガ同様に先月はつるべ落としのような崩落の憂き目に遭っていただけに本日も全般堅調地合いとなっている。

確かにマイナス金利の重しが今後どの程度まで業績を侵食してゆくのか一概に大手各社のリポートも額面通りには受け取れない部分があるが、逆日歩も可也目立つようになってきた今の株価が一歩先迄完全に織り込んだのかどうか今暫くこの辺を見守りたいところ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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