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肥大化に歯止め

さて、先週末の日経紙一面には「東証一部企業絞り込み」と題し、東京証券取引所が優良企業の集まる上位市場の位置付けを明確にして日本市場の国際競争力を高める狙いで、現在2100社超ある東証一部の上場企業数を時価総額の基準引き上げや英文開示の義務付けなどで絞り込む旨が載っていた。

この辺に関しては同じく先週末に毎日紙が東証一部の上場・降格基準を厳格化し日本経済を牽引するプレミアム市場を創設する旨も報じられていたが、何れにしてもこうした背景にはやはり二部やマザーズ経由での所謂内部昇格が恒常化し、時価総額や売買代金でその格差が看過出来ないところまで露呈されて来ているという部分もあるか。

当欄でもこうした上場区分の見直し機運に関しては昨年10月末に「並存解消機運」と題して新興市場など一寸触れた事があったが、元はといえば今のJPX創設前における上場誘致を巡っての東証と大証が誘致合戦していたところに起因し、02年に東証が出した内部昇格基準等が今になって自身に跳ね返ってきている格好だ。

何れにせよこれによって一部上場企業数の3割強にあたる約720社が除外される計算となってくるが、現状JPXは19年世界の取引所のブランドランキングで12位に甘んじているだけに上位市場を明確にし日本市場の国際競争力を高めるためには致し方なしとの見方もあるが、統合後の市場改革が手付かずだったが為に降格対象企業は翻弄された格好になったか。


解消と受け皿

さて、昨日の日経紙夕刊一面では「株主優待最多の1500銘柄」と題して株主に自社製品や金券などを贈る株主優待制度の導入が個人に安定的に株を持ってもらいたい企業の意向もあって、今年の1月末で1500銘柄を超え実に上場銘柄全体の4割に達するなど過去最多となった旨が載っていた。

当欄では約4年前に企業側が優待に力を入れ始めている背景には、持ち合い解消促進とその後の受け皿としての個人株主の存在があると書いた事があったが、当時伸びしろがあるとした通り最近は長く保有するほどより優遇する仕組みが増えておりその割合は優待の3割を占めているという。

ふるさと納税も返礼率5割が当たり前だったバブル当時にはふるさと納税評論家なる輩が彼方此方で登場していたが、株主優待生活を前面にアピールした一部タレント化した投資家も彼方此方で露出が多くなって来た昨今、上記の件と絡め長期保有への啓蒙も進みつつあり今後は優待先行の弊害に不満を持つ機関投資家ともESG等絡めどうバランスを取ってゆくかも課題になろうか。


非公開市場

さて、本日小反落で引けた二部の松尾電機が回路保護素子の新製品を開発した報を囃しPTSでストップ高と急騰しているが、取引所を経由しないPTSのような私設モノに関して先週の日経紙には会員の中で投資家の取引注文をつき合わせるダークプールの実態把握に金融庁が乗り出した旨が載っていた。

FX業務も所謂デスクというヤツがあったが、ダークプールの利点としては株価に影響を与える大口注文でも他の取引参加者に晒されずに売買出来、価格の刻み値を取引所に比べて小さく出来るためにより有利な価格で売買出来るというのが特徴とされているがはたして成立価格が本当に有利なのか、また個々の認識の下で執行されているのか等々も点検の方向と。

ところで一部投資家によっては上記のような利点より売買の秘匿性を重視するというケースもあるようだが、仮想通貨も大口注文で他の取引参加者に晒されずに売買出来る事でこのダークプールが使用されているケースがあるようで、同時に更に秘匿性も高くなってくる事でその辺含めこれが今後どう捉えられてゆくのか金融庁の動向と併せ注目される。


地方証取の課題

昨日は東日本大震災から8年という事で改めて防災全般が意識される日であったが、本日の日経紙金融経済面には「地方証取 災害に備え」と題し、昨年9月の地震で終日取引を止めた札幌証取や福岡証取などが災害時の影響を最小限にするための体制づくりを急いでいる旨が載っていた。

この札幌証取に関しては昨年当欄でもブラックアウトと題し札幌証取のBCPが機能し無くなった旨を取り上げたが、地方証取といえどもスター的銘柄が存在しており差し詰めこの札幌証取のケースでは売買代金の実に9割を占めるあのRIZAPなどがそれに当たるワケで地方証取とはいえ何かのイベントなどと重なっていたら大変な事態になったとも限らない。

この時の件を踏まえ札幌証取は昨年末にBCPの更新を行い今年発生した地震時には昨年のような混乱は免れる事となったが、何れにせよ金融庁の要請等々もあって今後を見据え重複上場などが課題になって来るケースがあるかどうか、監視業務代行やシステム連携など東証が担う役割も益々重要になってくる。


あれから8年

毎年この日には一部小学校などで防災啓蒙の為各種の非常食が配られるのが恒例になっているが、本日で東日本大震災からまる8年を迎える。ちょうど一年前に当欄であれから7年として触れた時点での避難者は前年から約4万9千人減少の約7万3千人であったが、今年は更に減少したとはいえいまだ約5万2千人が避難生活を続けているのが現状だ。

銀座では無きソニービルの壁面に津波の高さを表示したヤフーの広告がかつて掲げられた時期もあったが、同社は今年も3.11の検索で復興支援団体に10円を寄付するチャリティ企画を開始、その銀座では今年も鐘の音に合わせあの時刻に一斉に黙祷をする人々の姿が見られ千代田区の国立劇場では政府主催の追悼式が開かれた。

今朝のニュースでも復興関連特集など組まれていたが、巨額の政府予算投入で被災地のインフラ整備はや住宅再建は一定のメドがついたものの一部地域で人口減少に歯止めがかからないなど官製復興の限界も感じる。政府の復興・創生期間が終わる2020年度末まで残り2年、永続的支援やコミュニティーの再構築などまだ課題は多い。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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