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尻尾の振れ

本日のETF市場で一際目立っていたのは全市場値下がりランキング第2位となっていたETFSパラジウムの急反落だったが、【GOLD NEWS】の見出しにもある通りパラジウムが自動車販売台数の減少など現物の需要動向やリースレートの低下など地金不足の一服で今後の上値を抑える要因となりそうな旨が昨日の日経紙商品面にて載っている。

足元でパラジウムが日米で史上最高値を更新していた事からPGM系ではプラチナもニューヨーク先物が1週間で4%上昇、連れて世界のETF残高も価値の裏付けとして保有する現物が直近の合計で約73トンとこの一週間だけで4トン増加し年初からの増加率は16%に達している。

パラジウムといえば思い出すのが事実上の強制解け合いにまでなったあのスクイズ事件?が記憶に残るが、当時の高値を超えることはもうないだろうとの業界関係者のコンセンサスは時を経てあっさりと覆った。とはいえ宝飾業界などはプラチナとは逆鞘現象にはなっておらず専ら先物の振れが先行し話題を振り撒いている格好か。


現物デリバリー27年ぶり高水準

さて、昨日の日経紙商品面には「安値プラチナに底入れ感」と題して、ディーゼル車向けなどの需要減を背景にここ5年で国際相場が5割もの下落を演じたプラチナ相場に連動するETF残高が今年に入ってから増加に転じていることで長期的な相場底入れの兆しが出てきている旨の記事があった。

同紙によればここ数年減少が続いていた世界のETFが価値の裏付けとして保有する現物残高の合計が、今年に入ってから増加に転じ今月上旬時点で70トン程度と年初比1割多いという。一方、当欄では先月にPGM系金属について触れその時は純パラジウムETFが年初来高値を更新した旨を書いたが、こちらの残高はプラチナと対照的に1年で4割減少している。

現物の話といえばもう一つ、東京商品取引所での直近の納会(2月物)で受け渡されたプラチナの地金は3,086枚、数量にして1,543キログラムと実に27年ぶりの高水準に達している。この低迷期でもバイプロ目当てで減産機運は乏しいなどファンダメンタルズの劇的な改善があったワケではないが、上記のような現物手当はボディーブローのように効いてくるだけに低迷期から脱却する切っ掛けになるのか否か今後注目しておきたい。


PGM明暗

本日の日経平均は先週末の米中通商協議の進展期待を背景に再度反発となった米株式を受け反発となったが、売買代金の方はいま一つ盛り上がりに欠けるなか新興市場のバイオ関連が物色された。とはいえオプションマーケット3月限で、建玉別価格帯が最多となっているコールの権利行使価格21,500円を抜けて来た事で明日以降も注目される。

ところで上記のバイオ関連に隠れて地味?に上昇しているのが貴金属系のETFか。本日もETFSの金上場投信などが値上がりランキングに顔を出しているが、三菱UFJ信託の純パラジウム上場投信も本日は前場に4,200円高と急騰して50,000円の大台に乗せ年初来高値を更新してきている。

このパラジウム、昨年秋から国際価格は史上最高値を塗り替え今年に入ってからは16年ぶりに金を上回り話題になったものだが、排ガス規制強化による触媒需要増を背景に直近でも先週も1トロイオンス1,400ドルを超え新たに史上最高値を更新しており、欧州を軸とする脱ディーゼルを背景に恒常的安値から抜け出せないプラチナとは対照的。

もう一つ、上記のETFも旺盛な需要の受け皿が売却によって為され供給不足が和らいだ計算となっているが、ここから更に在庫をETF並みに取り崩せるところが他に潤沢にある訳でもなく今後在庫払拭思惑が台頭し其々の格差に更なる変化が出て来るかどうか注目されるところ。


構想再び

本日の日経紙総合面には「総合取引所へ統合検討」と題して、東京証券取引所を傘下に持つ日本取引所グループ(JPX)と商品先物を手掛ける東京商品取引所が、株式などの金融商品と商品先物を一つの取引所で売買出来る総合取引所の実現を目指して統合に向けた検討に入る旨が出ていた。

ちょうど今年は株価指数先物が取引を開始してから30年の節目にもあたるが、デリバティブの売買高といえば大阪取引所は17年度で世界16位にとどまるなど依然冴えない展開が続く。近年は主要取引所の成長事業の位置付けとしてはコモディティーがキーとなっており、アジアでは香港取引所が買収したLMEなど貿易戦争の追い風で取引が活況と復活を遂げつつある。

しかしこの総合取引所構想、これまで何度この言葉を耳にした事だろうか?本邦で実現が遅々として叶わないのはつまるところ縦割り行政の弊害というところなのだろうが、4年くらい前には創設がかなわぬ場合には議員立法云々の発言が出た経緯もあり、税制改正等とも併せいよいよ機運が熟したというか両取引所トップが今週中にも大阪で会談する模様だが、今度こそ具現化するのか否か今後の段取り等含め注目が怠れない。


上場から1年半

さて、先週は「ザラバ化の流れ」として大阪堂島商品取引所のコメ先物取引においてザラバ取引が始まった件を取り上げたが、東の東京商品取引所では白金スポット取引で先物価格を基に算定した理論値を大きく上回るという異例の高値がついている旨の記事を先週の日経紙で見掛けた。

この白金スポット取引、導入時には金に対する下鞘恒常化を背景にしタイミングよく建玉の規模を拡大させていったものだったが、今年に入ってからは売買高減少と共に個人のロングエントリー偏重が裏目に出たようだ。構造上日常の裁定が効き難い分理論値に回帰し辛い部分もあり見直しも課題に上ってくるか。

貴金属といえば一方で金は先週末の同紙商品面で「金、くすぶる先高感」と題し、持続的な米利上げを背景に売り越しを拡大させていた金市場が世界景気の変調による株安やサウジアラビアと米国の関係も緊迫し地政学リスクが台頭した事でカバーが入り易い素地になってきている旨が出ていた。

1,200ドル回復後は先週も週を通じ底堅い動きを継続させていたが、同紙では10月に入ってからハンガリーが金をそれまでの10倍の31.5トンに積み増すなど中央銀行も水面下では金を購入する動きが広がっている旨が書いてあり、今後の見えないリスクの顕在化に合せたリスク回避の動きが強まるようだとまた一段と弾みがつく可能性がある。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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