17ページ目   商品先物

下方硬直性

本日発表される米税制改革案への期待持続からリスク選好的なドル買いが継続、1ドル111円台に軟化した円相場を受けて本日もTOCOMでは金相場がしっかりの展開となっていたが、昨日の日経紙商品面にも「金に資金流入続く」と題しCFTC発表の18日時点の投機筋買い越し幅が5ヶ月ぶり高水準となるなど資金流入が継続している旨が載っていた。

ルペンリスクと警戒されていた23日投開票の仏大統領選では果たして欧州リスクが増幅する最悪のシナリオが避けられたものの、燻り続ける地政学リスクや米国の金融政策にも不透明感が漂い目先の雲が晴れてもその下げ幅が限られるなど下方硬直性が定着化しつつある。

こうした背景もあって今月に入って金とプラチナの価格差も昨年末から約3割、更に100ドル以上も拡大しているが、これまでにない長期逆鞘現象とされる時期もあったが恒常化を経てこの鞘もすっかり馴染み固定化されつつある。リーマンショック時に効いた裁定が通用しなくなったのは株の個別でも多々あるが、既にアノマリーそのものが崩れている証左だろうか。


リスク恒常化

さて、先週はFOMC議事録要旨公表後にドルが主軸通貨に対して下落し金が時間外取引で上昇する場面があったが、先週末の日経紙マーケット面にも「金買い、欧州選挙を意識」と題し、春先からのオランダ総選挙や仏大統領選など欧州選挙で金の国際価格が上昇基調を強める可能性が出てきた旨が書かれていた。

この辺は勿論のこと、昨年のブレグジットやトランプ大統領候補当選等の大衆迎合気運の台頭による予測不能のリスク回避の動きの長期化が背景にある裏返しだが、CFTCの発表ではニューヨーク市場の投機筋の金先物買い越し幅は年明けから今月はじめ迄に約20%増加、長期保有が前提のETF等も代表格のSPDRゴールドシェアが1月末で約799トンだったものが先週段階では841トン強になったという。

ところでSPDRゴールドシェアといえばもう一つ先にイスラム法に適合するか否か曖昧だったETFが、WGCの活動も下地となり助言会社の権威から最近お墨付きを貰った旨も報じられており、この認定でこれまで二の足を踏む姿勢から追い風に変わりイスラム圏からの投資も活発になる事も予想されこの辺と併せて今後の推移にも注目しておきたい。


商品の選択肢

本日の日経紙・一目均衡では「商品ETFという革命」と題して、08年に東証にも上場した主力級のSPDRゴールド・シェアなどさまざまな商品のETFやETNが世界の証券取引所に上場してきた旨が書かれていたが、投資家構成も日銀のマイナス金利政策の背景等から金融法人や年金も金を買う抵抗感が無くなってきた旨が書いてあった。

この主力の金と共に原油も取り上げてあったが、出来高もすっかり安定してきたのはココにも書いてあった野村の「日経・TOCOM原油ダブル・ブルETN」で投資家数も一昨年春先から昨年同期には5万3千人弱と2倍以上に拡大した旨が書かれてあった。組成元のヘッジを通じて市場に繋ぐ間接効果を考えれば、まさにTOCOMには救世主といっても過言では無い存在であっただろうか。

ただ先にも書いたように斯様なメジャー商品の裏で、取り敢えず品揃えで組成しました的なモノも数多く存在し板を見るのさえ無駄な出来申さず銘柄も野放しになっているのも現状。主力とてその構造が片道の仮需モノでは自ずと一方通行の圧力も増すというものでこの辺が更に整ってくるのかどうかも課題か。


低PBR事情

本日の日経紙マーケット面には「資源株に3つのリスク」と題して、昨日の業種別日経平均・石油が9年振りの高値圏に並び資源ポストに対して強気な投資家が増え物色の対象になっている一方で、外部環境の先行き不透明感もあり向かい風に変るリスクもはらんでいる旨が書いてあった。

確かに個別では出光が先月末に年初来高値を更新、資源の雄三菱商事は今月あたまに年初来高値更新、JXと三井物産も揃って昨日に年初来高値を更新と夫々勢いはあるものの、米のリグの稼働数が15年10月以来の高水準となっているなど年明け以降膠着状態を呈している原油相場を警戒する指摘は多い。

またCFTC発表のWTIにおける商業部門のショートは先月末時点で過去最高の154万9,219枚と過去最高、一方投機筋のロングも16年11月以降の価格上昇局面で膨らみ先月末時点で66万7129枚とこれまた過去最高水準となっており内部的にも警戒される。上記銘柄が直近で年初来高値を更新するも、何れも低PBRが目立つのはこの辺の事情も反映しているというのは否めないところか。


価値の根幹

さて、今週の日経夕刊・なるほど投資講座は「金投資のイロハ」シリーズとなっている。第一回目の今日は価値の根幹は希少性と題し、発行体を持たない事でソブリンリスクが意識される局面においては度々物色の対象になってきたキャラが謳ってある。

足元では前週末発表の米雇用統計において賃金上昇率が鈍化しFRBによる早期追加利上げ観測が後退、金利の付かない金は今週に入ってからも続伸し先物相場は3ヶ月ぶりの高値を付けているが、もともと米利上げ観測があった中においても米新政権の経済政策の不確実性等を背景にジリジリと上値を切り上げてきた。

昨年のテールリスクに続き上記の米新政権以外にも中東の地政学リスク、仏大統領選に向けた右派有力候補者のマリーヌ・ル・ペン氏などポピュリズムの台頭等々とリスクの種は続き、発行体を持たない無国籍通貨としては今年も注目される場面が度々出てきそうだ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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