50ページ目   商品先物

半官半民

さて、ちょうど一週間前には金融庁・経済産業省・農林水産省の副大臣と政務官らが、証券やコモディティなどの金融・商品取引に関する監督・規制を一元化する所謂「総合取引所」構想に絡んだ関係業者からのヒアリングが4ヶ月ぶりに再開されている。

この3省庁は本来であれば6月末までに結論を出す方針であったが、大震災によって協議が中断していた経緯がある。初日は取引員らが対象であったがこの商品界といえば直近で東穀取がコメ先物の上場を控える最中、東工取への農産物市場移管を白紙撤回すると正式発表するサプライズがあった。

このもともとの話は新規上場のコメを含めての移管ということであり、来年の移管を念頭に作業を進めていた東工取は「非常に遺憾で、普通の民間会社同士では考えられない」と会見の席上で不快感を露にしていたが、操り人形の如く方針を発表する東穀取社長を見るに大方察しの通り農林水産省の意向が強く影響しているのだろう。

その思惑については水面下でいろいろなシナリオが喧伝されているが、結局のところ東穀取というのは一応のところ株式会社を標榜してはいるもののいわば半官半民、東工取側の言葉を借りれば「普通の民間会社」とは似て異なるというものだ。日本の将来が懸かる構想で足並みを揃えなくてはならない時期に既得権云々と醜いが、こんなもので総合取引所構想の足を引っ張らないように祈るばかりである。


大山鳴動して鼠一匹

さて、今週は周知の通り欧州や米国の債務問題への警戒感などから、金が10日続伸の末に史上初めて1,600ドル台に乗せた。大台クリヤの度に当欄でも何度か取り上げているが、押し目らしい押し目も入れずに急ピッチな上昇が依然続いている。

そういえば今月の七夕の日には先の4月にCCCP(商品バスケット)の買い推奨打切リポートで話題になったゴールドマン・サックスが、コモディティに対する投資比率を引続き「オーバーウェイト」とするように推奨、投資期間は3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月で今年後半から2012年に掛けてコモディティのリターンがさらに高まると予想していた。このうち金価格に関しては、米国の低い実質金利を背景に2011年は上昇が続くとの見通しを示している。

今回より一層ナーバスになっているのは欧州というより期限のある米連邦債務の上限引き上げ問題か。これが合意出来ない場合リーマン・ショック以上のパニックが想定されるというが米国債は極めて安定、現実問題として東電じゃないがデフォルトしたらその影響は計り知れず国債増発のプロセスである程度の緊張を持たせたというところか。

危機を煽れば其れなりにマーケットは動きそこでまた商機も出て来るというものだが、そういえば上記のゴ−ルドマン・サックスは直近で第2・四半期の債券・通貨・コモディティ部門のトレーディング収入は53%減少して16億ドルにとどまり、2008年以来の低水準と大幅に落ち込んだことを発表している。同社アナリストが事前にコモディティ価格の下落を警告していた筈だが、トレーディングデスクにはそれが生かされていなかったという事になるか。


悲願のコメ

先月末あたりから農相などが「認可しない考え方に立つのは難しい」とほぼその方向が固まってきたコメ先物の試験上場であったが、周知の通り月替わり1日には、農水省が東穀取と関西商取に対してこの試験上場を認可することとなった。6/20付け当欄では「どちらのバンザイか?」としたが、東穀取と関西商取側が認可取り付けで一先ずは万歳となった格好だ。

株式市場でも一連の報道に絡んで先月末からコメ関連でやはりお約束のヤマタネなどが賑わっていたが、05年の申請で一度退けられたこのコメ先物も1939年以来、実に約72年ぶりの実現が見えてきた。それでは早速と商取系にありがちな遣っ付け作業も懸念されたがとりあえずは9月下旬が予定されているようでこの辺の調整も成功の鍵となるので重要か。

しかし新商品上場で毎度の事ながら意見が分かれるのは当然で、一部大手紙では投機資金の流入がコメ価格の乱高下をもたらす等と懸念するところも見られるが、TPPもしばしば論点に上る中を市場開放と自由化は政策の課題。何れ避けて通れない問題ならその一歩としてもこうした価格変動リスクを回避する手段を提供する市場の意味はやはり大きく、そういったことも懸かっているだけに軌道に乗せられるかどうかその責任もまた重い。


金を買う理由

昨晩の米株式はギリシャ債務危機への対応を巡る楽観的な見方から大幅続伸となったが、斯様に今週はこのギリシャが市場を振り回している。さてこのギリシャ、先週の英ファイナンシャルタイムズ紙ではデフォルトと銀行取り付け騒ぎに備え、市民が銀行預金を全額引き出して金を買う動きが活発になっていると伝えている。なんでも地元の貴金属業者によればリクイディティーの都合か金貨が金地金の5倍売れている状態と時事にも書かれていた。

ところで金といえばもう一つ、先のインドの5月貿易統計が発表され、その中で5月の金・銀の輸入は89.6億ドルと先月に比べて500%増加、前年同期日では222%の増加と金や銀の輸入が急増している事も判明している。

また先の日経CNBCでは「中国が金を買う7つの理由」として放映があったが、概ね昨年12月に放映した「北京の金需要最前線レポート」の再確認という感じであったものの、この7つの理由の一つには中国人民銀行が金投資を奨励しているというのがあった。上記のインドでもインド準備銀行が新たに7つの商業銀行に金の輸入代理店となるライセンスを付与しており、この辺はいずれも国策が窺える。

欧州とアジア、各々の金買い事情は異なるが、一昨日にも書いたモナコでのヘッジファンド業界のGAIM会議に出席したガイア・キャピタルのマネジングディレクター、コースト・ストレンジャー社長は会議の際のインタビューで、銅などのベースメタルには警戒的だが、貴金属については強気だとの見解を示している。日替わりで材料には事欠かない昨今、まだまだ弱気を謳うのは時期尚早か。


EXITの真意

今月は先にヘッジファンド業界の「GAIM会議」がモナコで開催されていたが、出席したヘッジファンド会社幹部らは銅などのベースメタル含むコモディティー価格はピークに達したのではないかとの見方を示し、先月の急落が今後の下落の前触れではないかとの懸念からこの部門への投資を避けている旨をロイターが伝えている。

この中の一人ガイア・キャピタルのマネジングディレクター、コースト・ストレンジャー社長は会議の際のインタビューで、投資家の関心の高まりや急騰する価格を背景に最近相次いだコモディティー関連のIPO(新規株式公開)は高すぎるようだとして警戒を促し、最近注目を浴びたスイスの商品取引大手のグレンコアなどの上場は、バブル的様相を帯びているとみているとも伝えている。

このグレンコア、先月ロンドン市場に上場した際に当欄でも少し触れたが、そもそもがこれまで非上場を貫いていた企業の変化はやはり気になるところだろう。資源に目利きの巨大商社がココをイグジットの好機と見るのもチャートを並べてみるとより一層そういった思惑が募るところ。

この辺に絡んでは先週末の日経紙にて「商品相場の過熱和らぐ」と出ていたが、同時に直近で行われたIEAによる石油備蓄放出決定を受けた原油相場一服もその効果は長続きしないとの見方もあると書かれていた。斯様に如何様にも予測されるところだが、何れにせよ株式交換など新規の武器も駆使できるようになった訳で今後の戦略にも一段と注目となろうか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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