67ページ目   商品先物

埋まらない温度差と営業力

本日の東工取は主力の金が僅かに数円、また石油製品にしても寄り後はレンジ内での相場でロックされなんとも凪のような相場であったが、東工取といえば今週の日経紙には昨日そして今日と「東工取改革 多難な船出」としてここ新システム切り替え前後を絡めての記事が載っていた。

本日の?では同システム導入前から引き摺る東工取と取引員との温度差が指摘されていたが、例えば上場銘柄の問題一つ取っても別段東工取に限った事でなく他の取引所も意思疎通に疑問を感じる事は非常に多い。この辺は数年前からある取引所の統合論のあたりから既に醸造されているが、この手の規模どころか先の模擬売買のようなところの段階でさえリクイディティを提供する向きの意見が無視されるというのが現状である。

反面プロであるところの企業や投資家から吸い上げた意見は色濃く反映させ上層部としては自己満足一杯だろうが、主力層を一新したければカネを投入するだけでなくそれなりの営業力も要求されよう。

05年以降の勧誘規制強化などというのは一つのトリガーに過ぎず、カウボーイも常々指摘しているように、まあやはり今までの各種数値自体が常識的に他から見れば異常であったというのは否めまい。今後斯様にマトモであればというところへの数値回帰が粛々と進むであろうが、ただ諸外国との生い立ちの違いという部分を認識しなければいつまで経っても理想像には近づけないだろう。


下鞘は異例か?

本日のTOCOMは金・銀の先限が年初来高値更新、白金もここ棒上げしているが午後にはドル建て現物相場が約8ヶ月ぶりの高値を付け一段高となっていたのが印象的であった。

この白金、昨日の日経紙商品面にてGMに対する米政府の財政支援方針が好感されて白金が国内外で上昇している旨の記事が載っていたが、一方でGFMS(ゴールド・フィールズ・ミネラル・サービシズ社)あたりは自動車向け需要は弱く、GMにしても不透明感が強く白金相場の上昇は短期間で収束するとの見方をしている。

そういえばこの白金相場、昨年末は久し振りに金を下回った場面があったが、過去の例よろしくこれら下鞘は短命に終っている。百年に一度の危機とやらでGM筆頭にした斯様な自動車業界の惨状を見るに、今回はある種経験則も通用しないかなとも思ったりしたものだがそれも杞憂?に終ったか。

ただ、これから先を展望するに本日の日経一面にも出ていたように構造的な転換が訪れた場合は業界ランキングの入れ替わりや、こうしたコモディティーにしてもアノマリーが崩れる時がいずれ訪れるのだろうか。この辺はまたもう少し触れたい。


過剰流動性復活?

昨日も触れた原油だが先物はまたも大幅続伸、これで6営業日連続で急伸と破竹の勢いとなっている。

石油製品中心に需要期入り云々取り沙汰されているが、材料云々よりは以前にも書いたように単なるコモディティーというより金融市場としての性格に強く変遷しつつあり、懸念される国債あたりからの逃避マネーがこうした実物資産へとシフトしてきているのは間違いのないところだろうか。

これらコモディティーが倍化しているとなれば足元でのこれら関連株の方も推して知るべしだが、連想される代表的な商社モノからエネルギー比率の高い三菱商事などは本日前場で年初来高値更新、対象コモディティーとはきれいにリンクしているがこれも含めてモノによっては一足先に底入れしており今回もその指標性を発揮していたといえる。

ところで上記の通り材料が辛うじて後から付いているとはいっても、依然として相対的に在庫は多くまた足元の需要はお世辞にも旺盛とは言えないままである。こうしたマネー率いるヘッジファンドも、数年前のような投資余力というわけにはいかないだろうなど考慮するにいずれ現実を見る相場もあるだろうが、その辺の見極めもまた各種指標がいろいろヒントを出してくれようか。


原油投信

週末の原油市況は5営業日続伸し昨年11/5以来の高値へと躍り出たが、さてこの旬な原油を使った投資の新しいところとしては先に大証のETFを挙げたが、週末の日経紙経済面には大和が原油先物に投資する初の国内投資信託の販売を開始する旨が載っていた。

同商品、WTIリンクのロング・ショート選択型となるが、その運用は投資信託委託会社の伊藤忠系ITCインベストメントによりアストマックスが投資顧問会社として採用された模様。同社はご存知ジャスダック上場企業で、これが好感されたのかどうか本日は序盤以降はストップ高まで買い進まれていた。

これまでAMCI(商品INDEX)運用などを手掛けその辺の実績が高く評価された結果としているが、やはり幹事関係、株主構成やら2年ほど前だったかの第三者割当増資然りで役員絡めた系図の方が機械的に先ず最初に思い浮かぶものだ。

そういえばここも一寸前にはあのグローバリーが握っていた時期もあり、他の消えていった上場企業も絡めて株主構成の変遷もいろいろチェックすると面白い時がある。


国際標準には遠い全体像

さて、他の決算ラッシュに埋もれて商品業界でも上場企業の決算が先に出揃っているが、果たして商品先物受託業務を行っている企業は軒並み赤字計上となっていた。

思えば株価も昔は未収の加味等もあって万年低PBRといわれていたものだが、今や別な要因でPBRも物差しで無くなってきているという意見もある。今回ざっと見ると各社共に市場規模縮小が進む中で収益寄与というか緩衝材の役目となっていた物にディーリングがあったが、今後も収益の多様化という課題の部分で各社試行錯誤が続くか。

ところで昨日の日経紙経済面には東証の取引参加者が減少し、売買高も細って東京市場の地盤沈下が懸念される旨が載っていたが、まさに商品取引所も同様の状況に置かれているのは直近に始まった事ではない。同じ会員数の減少で地盤沈下を謳っていても証券と商品ではその影響度も全く違う物となってくる。

世界標準を目指しそこそこ纏まった投資を足元ではしていたとしても、世界標準で起きている巨大取引所の再編という構図は今の縦割り行政も複雑に絡みまだ当該取引所にとっては他人事で、各取引所サイドと会員組織との間の温度差が縮むのは何時の事になるのだろうか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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