67ページ目   商品先物

ヘッジニーズとモデル転換

本日は、先にドットコモディティを取次先として石油デリバティブ事業の共同展開合意の発表があった石油仲介業者のギンガ・ペトロリアムが、TOCOMの石油製品価格を活用したデリバティブ取引を始める方針を正式に明らかにした。

この辺に関しては先月、TOCOMが全国の石油販売業者を対象に実施したアンケート調査の結果を発表しているが、スポットより割安であった等の理由でガソリン・灯油の卸値についてTOCOMを指標にした業者が40%以上になっている事も明らかになっているが、一部の会計士に言わせれば現況の月決めや週決めもいずれ日々決め単位になって来るともいわれ、これらの動きが今後スタンド等の淘汰のトリガーになってくるのは明らかか。

ところで主務省である経産省も先にこうした他に原材料乱高下下で中小企業支援策として商品先物市場の活用を呼び掛ける方針を固めているが、振興協会あたりも中小事業者に先物市場を活用してもらう目的で設置した「ヘッジ取引普及検討会」会合等を開いたりしてその啓蒙も市場死活問題の側面も絡んで力が入ろうというもの。

折しも本日は外資のノーブル・ジャパンが取引資格を取得、取引所も悲願の期近へのリクイディティ誘致に期待が掛かるところだが、この石油にしても元売り勢からは油種の多様化が強く求められている。中部軽油にしろ取組ゼロ状態でここ半年もデリバリーも無い状態、先月中旬の日経紙夕刊一面に「TOCOM、石油先物を拡充」と出ていたがいろいろと今回は正念場である。


受け皿になれない構造

さて、先に中国株投信の人気再びを採り上げたが、昨日まで上海総合指数は続伸し4営業日連続で年初来高値を更新。なんとも勢いがいいが今年第一・四半期の中国GDP統計に関する楽観的な見方が支配的となり非鉄相場までも破竹の勢い、本日前場の上海先物取引所の亜鉛相場などはストップ高まで買われている。

この非鉄といえば他もLMEの在庫減少を囃して東京非鉄現物は軒並み高となっているが、さすがにジワジワと反応してきた関連株も今日は派手に値を飛ばす物もあり、東証一部業種別株価指数でも同セクターの値上がり率は目立っている。

余談ながらメッタ売りに遭った相場において王道の主力モノを拾いソッと寝かしておくのも一つだろうが、懐疑の中で戻す相場では一月足らずで株価倍増が続出するのはやはり低位の三番手クラスが常でそのパフォーマンスは抜きん出ている。

こうなると当然ワラント市場でも対象銘柄のコールなんぞは90%を超える上昇率を見せるなどなかなか面白いが、こうした関連モノへのマネーの流れを見るにつけつくづく商品先物市場における関連モノの衰退というか撤退はなんとも残念。もっとも過去野菜が高騰した際でも全く反応しなかったのが記憶にあるがこれも消え、現存している物でも全くリンクしないでその存在意義の無いもの多数であるがこの辺がやはり根源なのだろう。


東と西の夫々

さて、今週の日経ヴェリタスの特集にあったのは「証券取引所サバイバル時代」、大型再編が一服しながらも地盤沈下が懸念される中どのように生き残るのか東証や大証のコメントも出ていたが共に新市場創設を睨みその成功もキーとなってくる。

東証は先月末に一度当欄でも触れたが09年度中に予定していた上場計画を今回またも延期、AIM開設を控え諸問題を抱える中デリバティブ清算業務を含め市場活性化策に力を注ぐと言う。一方の大証は今月に入ってからすぐにデリバティブ市場全体の取引高が前年度比32%増加と5期連続で過去最高を記録したと発表、こちらもジャスダックと絡め次期振興市場をどう融合してゆくかが課題。

さてこの大証と提携しているナスダックOMX社長の弁も出ていたが、目に留まったのが日本の清算・決済業務は時代遅れかとの問いに対してはっきり肯定している点。ところでOMXといえばもう一つTOCOMが同社のソフトを採用しこの鳴り物入りのシステムももうあと一ヶ月ほどで始動するが、清算・決済業務に関しては先週末の日経紙に出ていたようにFIAがこのTOCOMの傘下に新たな清算機構の設置を求める等JCCHに対する不満は強い。

確かに誰がみても積立金ひとつ取っても他比較で数十分の一で中期経営計画もどこか虚しい、日本の商品先物市場再生のカギはJCCHの改革、清算機構の復活に掛かっていると日経では結んでいるがさてこちらもどうなるのであろうか。


脱税の背景

本日の朝日紙には金属クズの取引に絡んだ業者の脱税容疑の告発があった旨が出ていたが、そういえばつい先週も所謂「ヒルズ族」の非鉄金属回収や同卸売りの二業者が東京国税局から東京地検に告発されたとの報道があったばかり。

共通するのはなんでも06年以降の中国好景気の影響で金属の市場価格高騰が売り上げを飛躍的に上昇させたのが背景となっている模様だが、そういえばこの時期といえば当欄でも採り上げたが金属泥棒が流行っていた時期、公園の滑り台まで無くなったのには呆れたものだが後になってこうした事が出てくると成る程と再認識させられる。

この脱税の背景になった錫からアルミニウム、銅、ニッケルまで何でも高騰していたこの非鉄だが、最近では年明けから三割近い上昇を見せ国内物も中国の買い付けが顕著になって来た銅とは対照的にアルミは軟調を強いられている模様で、やはりインフラ絡めて中国の影響力が依然として強い。

ところでこの非鉄の国内先物市場、既に先月中部大阪商品取引所のニッケルは上場廃止となりアルミニウムもヒッソリと休止になっているが、残ったTOCOMアルミ市場も本日は実質的に商いが先二本で50枚にも満たない超閑散、こちらはなんとも寂しい限りである。


思惑の相違

本日の日経紙経済面で目に留まったのが、東京証券取引所が09年中に予定していた上場計画を現況の環境下でのファイナンス含めた効果は疑問として同計画を来年以降に延期する方向で検討に入ったという件。

東証といえば所謂プロ投資家向け専用市場『TOKYO AIM』の立ち上げ課題等を抱えており、取り急ぎこうした件を最優先にするとしているが、指定アドバイザーの件一つ取っても業界関係者の間では所謂「労多くしてナントカ」ではないがけっこう好意的に受け止める向きは少数派とか。そうした会員サイドの事情といえばその件もさることながら、それよりもこれで昨年の夏だったか当欄で触れたこの上場を首を長くして待っている経営がキツくなっている一部会員の失望感は推して知るべしか。

さて取引所と言えば変って商品業界では逸早く嵐?の中を株式会社化したTOCOMが13年度中の上場を目指しているが、合併待望論が出ている東穀取に関しては「時宜を得ない」と素っ気無く、当の東穀取側も自主独立路線を依然として掲げておりこの辺は外部から?の決定待ちか。

余談だが一部取引員も数年前は主幹事を決めて上場計画したものの、市況環境もあってか結局マルにしたパターンもあったがその後数年間で業界は様変わり受託業務からも撤退、結果的によかったのか否かこの辺はいろいろ考えさせられる。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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