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負の増益

本日の日経平均は、依然として内外景気の不透明感が強い事を背景に幅広く売られ、約2週間ぶりに13,000円の大台を割り込んでいる。

さて、そんな地合いの中を直近で主要証券の08年4-6期決算が出揃ったが、果たしてサブプライムローンの影響から市場混乱が長期化する中を軒並み減益、この中でインターネット証券も主力どころを筆頭に減収減益と投資家の株離れの様を如実に表していた。

ところでこの中で当期利益が前年度の何倍にもなっている証券会社があったが、そのカラクリは実は責任準備金の取り崩し、もともと計算対象の殆どが株離れの影響が顕著で無かった数年前でありその後のあまりの凋落ぶりに戻し入れが発生した向きもあったという事。

商品でもその決算において取引員が責任準備金の払い戻しを計上するケースもあったりするが、言ってみれば負の産物でその場限りで単純に喜んではいられない話。


美味しい独逸

そろそろ今月も月末になってくると、店頭での払い戻し期限が近づくのか配当関係の封筒を携えた株主が金融機関の店内には目立つ。

この配当といえば東証一部の前期配当総額は過去最高で確か7兆円近くに達するとかの記事を以前に見た事があったが、同様に株主配分の自社株買いを合計した物は日経紙報道によれば12兆円に達し実に純利益の5割に迫ったとかでROEを意識した動きが各社出ている模様。

ところで過日グランドハイアットに所用があった際にけやき坂の小綺麗なヒューゴボスのショーウィンドウを見たが、ここの配当は更に凄く実に純利益の3倍を配当に充てる大盤振る舞いだが、他にもメディアのプロズィーベンは純利益のほぼ全額を配当に充てる等、独系は証取も含めて株主様サマである。

この背景にはやはり大株主のファンド意向というのがあるのだがそれを割り引いても総じて欧州系は高配当が目立つ、日本における高配当企業は負の色彩が濃くこれらとは異質だがこれまたお手頃価格まで凋落した物にはそれこそファンドが御買い上げという事になるのだろうか。


転嫁難之図

本日の日経紙一面には東京電力が経常赤字4,250億円に転落する見通しと出ていたが、関西電力も9月中間期連結営業損失が850億円の赤字、単体でも赤字に転落する見通しを出しているがこれは実にオイルショックや米原発事故の影響を受けた80年以来29年ぶりの出来事という。

これら主因は勿論のこと、新潟中越沖地震で主力の柏崎刈羽原子力発電所の全面停止から火力発電比率が増しているところへ原油高から最近の急激な燃料価格の上昇を受けたものに因るところが大きいが、加えて「自助努力の範囲を超している」として電力料金の改定についても経済産業省に届け出たと発表している。

油系の業界以外でも実に転嫁までの業績の落ち込みとファイナンス事情の悪化も相俟ってスパイラルな景気悪化が展開しているが、そんなわけで地合いの悪さも手伝いここ原料の値上がりを全て価格転嫁出来ていない企業群はその株価も軟調極めている。

ただ、逆にPB絡みで先読みする動きも一部あり、どれだけこれらの中から株価が先行して浮上する向きが出て来るのかをマークしておくのも次に備えて一考か。


銀行が握る魔のスイッチ

本日の日経平均は後場から指数先物への断続的な買いから急反発となったが、そんな地合いの中でもズラリと値下がり上位を占めて目立っていたのはなんといっても不動産ポスト。

それもその筈東証一部からスルガコーポが衝撃の破綻をした後も100年以上の歴史を持つ真柄建が破綻、そして先週末にはゼファーが今年に入って上場企業10社目のパンクとなる等、名門?一部から次々といとも簡単?に消えてゆく様は不気味だが逆に今の時勢をよく表している。

真柄建にしても銀行主導で中期計画を纏めたばかりであったし、ゼファーも大和地所と共同で那須ガーデンアウトレットモールをオープンさせた翌日の破綻であったが、結局はファイナンスが付かなければ老舗だろうが上場企業だろうが簡単にパンクしてしまうという解り易い事例である。

既に融資保証等のビジネスも一部伸びていると聞くが、この業界も大手以外は一旦投売りさせて商機とみたファンドがそれをM&Aしてゆく過程で新たな業界再構築が図られるのだろうか。


選択肢の幅

今週はバーナンキFRB議長の弱気証言もあったくらいで株式も商品も崩落したマーケットであったが、もともと米政府系住宅金融会社の経営不安というとんでもない話が表面化していた折、売り方に取ってはまさに追い風であったか。

そんなわけで米金融株は96年来の安値に急落、金融セクターの時価総額は昨年記録した過去最高水準から半分以上が吹き飛んでいるあり様で、果たしてと言おうか早速米SECは上記含む金融株の空売り規制緊急措置を導入すると発表している。

対象銘柄には日本のみずほFGや大和證券Gも含まれている模様だが、みずほといえば思い浮ぶのは前身?であった興銀の90年代の下げの大相場か、ジョージ・ソロス率いるクォンタム・ファンドがイングランド銀行をも脅かす時世で魑魅魍魎のヘッジファンドのターゲットに次々と日本の銀行が餌食になっていったのを思い出す。

直近ではベアー・スターンズの件もあり其れなりに同手法に対しては昔と違って監視の目は格段に厳しくなって来たが、今の時代こうした規制下ではデリバティブ系のショートものETFもまた存在しこれらに資金がまたシフトという構図になるのだろう。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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