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ロビンフッター

これまで我が世の春を謳歌し世界の株式市場を牽引していた米ナスダック総合株価指数であったが先週後半は2日間で一時10%近い下げを記録、先に取り上げた主力のアップル株やテスラ株などは一日で10%近い下げを記録し前者の時価総額は史上最高値比で2900億ドル減というからその肥大化を改めて感じる。

ところでこれまでの急ピッチな上昇に一役買ったともいわれているのが先週末に一部で報道されたソフトバンクグループによる数千億円規模の米ハイテク株のコール買い等のデリバティブ取引というが、こうしたオプション取引といえば直近で取り上げたロビンフッダー等による少額取引も市場を席巻しているという。

既に市場推計では個別オプションの売買高は現物株のそれを上回り、個別ではテスラ株で行使価格の高いコールほど値段が高くなるという通常ではとても考えられないような珍事が起きた旨の記事も一週間前の日経紙で見た。それだけに先週後半からのハイテク系の急落でこれらのロングに傾斜したポジションが老婆心ながら大いに懸念されるところ。

日本でも新型コロナウイルスを背景とした株価急落に外出自粛が重なり新規のネット取引口座開設が急増したという報があったが、欧米でも2〜3倍に伸びておりその成長期待からブローカーの時価総額やリクイディティーに貢献する一方で先週も書いたように投資家保護が依然として課題だ。既にロビンフッドにはSECが調査に入ったというが急成長に歪は何時の時代でも付き物だ。


新旧交代

さて、本日は知人の医師と新型コロナワクチン関連など含めいろいろと雑談をしていたのだが、仏製薬大手サノフィの話から世界最大の独立系バイオテクノロジー企業である米アムジェンの話になったが、同社といえば昨日からニューヨーク株式市場のダウ平均株価を構成する銘柄に新たに組み入れられている。

新たに組み入れられる株あれば除外される株ありという事で、同ポストではアムジェン入りの一方で製薬大手ファイザーが除外となったが、ファイザーのような重鎮から100歳以上も若いバイオのアムジェンへのバトンタッチは新鮮に映る。重鎮といえばもう一つ、石油メジャー最大手のエクソンモービルも今回外れることになったのも非常に印象的だ。

ちょうど一週間ほど前に「優勝劣敗」として米の所謂GAFAMのたった5社が東証上場全企業の時価総額を上回って以降もその差が開いている旨を書いたが、斯様に上記のような積極的な新陳代謝がなされているか否かの積み重ねがこうした背景にもなっているという事の証左だろうか。


破竹のIPO銘柄

さて先週末は安倍首相辞任報道を受け急落した日経平均も本日は現官房長出馬検討の報で現政権政策継続性に期待する買いが集まり4営業日ぶりに反発となったが、値上がり上位に新興勢がズラリと並ぶ光景はやはり先週同様。QUICK IPOインデックスが先週約4か月ぶりに8日続伸となっていた通りとりわけこの手へのホットマネー集中が著しい。

先週新規上場となったインターファクトリーなど初日から3日目にして漸く公開価格960円に対し実に約5.3倍となる5,080円で初値を形成しあとストップ高まで一直線となり本日もストップ高となっているが、ココと同じく3日目にして初値形成といえばその前のニューラルポケットもまた然りで公開価格900円に対して実に約5.7倍となる5100円での初値形成となりその後十数分でストップ高まで駆け上がるなど両者破竹の勢いだ。

これ以外でも以前5月に巣ごもり消費で取り上げたBASEなども3月安値の700円台から先週アタマには上場来高値を更新し10,000円の大台に乗せるなど、無配予定ながら実に13倍以上の大化けを演じている。これら何れもマザーズ銘柄だがこうした背景もあってマザーズ指数も2年2か月ぶりに1100ポイント台水準を回復し、年初来騰落率で見ても日経平均やジャスダックのマイナスに対してマザーズは21%高と明暗分かれている。

何れにせよ現状の売買代金の膨らみを見るに個人資金の回転は効いているのは間違いのないところで、ナスダックの騰勢を背景としながらコロナ後を見越した新興株物色はITサービスを中心としたIPOモノ中心にまだしばらくは物色の回転が効く光景が継続されるだろうか。


TOB二例

さて本日の日経紙企業面にも「ファミマTOB成立へ」と出ていた通り、伊藤忠商事による子会社のファミリーマートへのTOBが期限をむかえ成立する事となった。株価が1000円台後半だった時にこの話が出て以降香港のオアシスマネジメントなどが買い付け価格引き上げを要求するなか、その株価はTOB価格を上回る状況がつい先週まで続いていただけに同成立が危ぶまれたものだったが取り敢えず一安心といったところか。

TOBといえばもう一つ、ファミリーマートと共に結果が注目されていた外食大手コロワイドによる大戸屋HDへのTOBは、その条件が変更され成立に必要な応募数が引き下げられその最終期限も9月8日まで延長される事となった。こちらの方は直近で大戸屋側がオイシックスとの業務提携を発表するなど反発が続いておりどういった結末となるのか今しばらく注目される。

しかし伊藤忠商事のTOBといえば昨年のデサントが直ぐに思い出されるが今回も下馬評を撥ね退け予定通りにTOBを成功させた格好で、快進撃の同社はその時価総額も資源価格急落に苦しむ三菱商事を上回り初の総合商社トップに躍り出ている。何れにせよコロナ禍で消費が落ち込むなかこの手で基盤強化を狙う向きが今後も増加傾向になってゆくのは想像に難くないか。


優勝劣敗

さて、先週は米アップルの時価総額が米国企業で初めて2兆ドルを突破したのが話題になっていた。今年に入ってからの同社の上昇率も実に5割以上に達し同社を1兆円保有する巨鯨GPIFもニンマリといったところだろうが、その辺は兎も角もこのアップルに限らずIT大手へマネーが集中する構図がここ顕著だ。

この辺に絡んでは先週の日経紙総合面でも「IT好調 米株二極化」と題して取り上げており、同文中にはS&P500の時価総額のうちこのアップル含めた所謂GAFAMで24%を占めると書いてあったが、その時価総額合計はこの5社だけで約740兆円と実に東証上場の全企業の時価総額合計の約640兆円を5月に逆転してから3ヵ月ほどで既に約100兆円も上回っている計算になる。

また先月にテスラを取り上げた時にこの1社で日本を代表するトヨタ、ホンダ、日産の時価総額合計を上回ると書いたが、これとて今や既にトップスリーどころか自動車9社をも上回っている。上記と併せコロナ禍での成長が期待出来る点が囃されている構図だが、同じコロナ下での成長を囃されている一部上場大手が日本の場合はニトリや西松屋等という現状を見るに、コロナ・ショック暴落から往って来い以上の過程で二極化が鮮明になった米との構図の違いを改めて感じる。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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