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泥船避難

さて、一昨日の日経紙には「代表がインサイダー疑い」と題して、上場廃止になったジャスダック市場の機器輸入販売会社T&Cメディカルサイエンスの社長が上場廃止前に同社株を不正売却し損失を免れた件で、証券取引等監視委員会がインサイダー取引の疑いで関係先を強制調査した旨の記事が書かれていた。

今回のケースと同様な破綻売り抜けパターンとして直近では、先月に証券取引等監視委員会が課徴金納付命令を出すように金融庁に対し勧告したエアバッグ大手タカタが民事再生法の適用申請を公表する前にこの情報を内部で知り自身の保有するタカタ株を売り抜けていた元社員の例が記憶に新しい。

同紙には他にスミダコーポレーションやALBERTの元役員のインサイダー例が出ていたが、更にその前には東京スタイルと経営統合し今はその名が市場から消えたサンエー・インターナショナルの社長もファイナンス公表前に所有する自社株を売り抜けて利益を上げていたのを思い出す。

新興ポストは一頃上場ゴールなる造語が喧しかった時期があったが、そうした部分も含め新興企業に限らず上記の件も自社株保有しながら敢えて新株予約券を行使して株取得し即売したというから確信犯だろうが、今後もコンプライアンス絡めこうした問題が無くなる事は難しく課題として残り続けるか。


ETFでマネー誘致

本日の日経紙一面には「日中ETF、相互上場へ」と題して、昨年10月の日中首脳会談で金融協力合意の一環として日本と中国の主要な株価指数に連動するETFが5月にも相互に上場する旨が報じられていた。

既にマーケットには野村の上証50連動型やサムスンのKODEX200、チャイナ・アセットのチャイナAMC CSI300や中国南方アセットの南方FTSE中国A株50、それにシンプレクスは中国H株でブル・ベアまでラインナップがあるものの、商いの方はリクイディティーを確保しているモノ、そうでないモノと明暗である。

これで更なる枝葉でラインナップも広がるというものだが、日本株ETFが中国で上場するのは初、そうした事で同時に今回の相互上場では間接効果から日本のマーケットに流れ込む中国マネーに期待がかかるというところで、今後の試金石としても今回の相互上場の行方が注目される。


去りゆく

さて、昨日は新年度という事で平成最後となる新入社員の入社式が各所で執り行われ平成元年入社組は去りゆく平成を名残惜しむなど新時代の到来を前にいろいろな想いが交錯、本日は小反落となった株式市場もまた新年度入りによる資金流入への期待や新元号発表のご祝儀ムードで昨日は大幅続伸となっていた。

去りゆくといえばこの株式市場でも先週は昨日出光興産と経営統合した昭和シェル石油株が最後となる取引を終えたのちに上場廃止となった。もう一つ、上場廃止といえばこの日は老舗音響機器メーカーでカーナビも有名だったパイオニアも上場廃止となりその80年の歴史に幕を下ろしている。

しかし日経平均の構成銘柄に長らく君臨し我が世の春を謳歌していた90年当時に7000円に肉薄する株価を誇った同社も最後の株価はわずかに65円と百分の一に、今後の再建が期待されるが昭和シェル・出光両社も2015年の協議開始から4年、漸く統合実現の運びとなったが三強体制となった業界の行方や今後の他業界の再編も含め目の離せない年度となる。


資本論理と業界秩序

さて、先週の祝日の日経紙投資情報面では「旧村上F系がTOB」と題して、現在投資ファンドと組んでMBOを目指している東証一部上場の廣済堂があの村上世彰氏が関わる不動産会社と投資ファンドが同社に対しTOBを開始する報告を受けたと発表した旨が出ていた。

廣済堂といえば先に発表したMBOについて、米ベインキャピタルと経営陣が実施するTOBの買い付け価格の引き上げを先に発表したばかりだがこれに対抗した格好か。ところでTOBといえば注目を浴びていた伊藤忠商事によるデサントへの敵対的TOBが先に成立の運びとなり、本日はデサント側が伊藤忠側に大幅譲歩する経営陣大幅刷新内容の発表があった。

先月に当欄でもこれを取り上げた時に王子HDの時を彷彿させる敵対型の再来となっており紙戦争の時の三菱商事のようなホワイトナイトが現れるのかどうかと書いたが、資本論理より業界秩序の維持が優先されたかっこうになったこの時の事例を塗り替えるべく大手企業同士で初の成立案件となった。

13年ぶりに動き出したこのケースだが敵対的という言葉だけが独り歩きするという環境も変って来た昨今、一部株主の排除や利益が損なわれる懸念などの課題を踏まえつつ日本ではレアケースとされる敵対的TOBが今後企業価値の向上に繋がってゆくのかどうかこれらの事例と併せ注目して行きたい。


春のIPOラッシュ

さて、昨日IPOの共栄セキュリティーサービスに続いて本日も建設業特化人材派遣のコプロHDに、「みんなの株式」を運営するミンカブ・ジ・インフォノイドなど立て続けの新規上場があった。注目の初値はコプロHDが公開価格を14.6%上回る2,395円で初値形成、ミンカブの方は公開価格を33.3%上回る1,400円で初値形成と好スタートとなった。

また明日は明日でIT人材仲介ベンチャーのギークスが新規上場の予定となっているが、先月の2019年第一号のIPOとなる識学が初日には値付かずで上場2日目にして公開価格の実に2.5倍の初値形成となった事が今月のIPOの好地合いに繋がっており、明日のギークスにもロケットスタートの期待がかかっている。

それは兎も角も今年1〜3月のIPOは前年同期の16社を上回る20社強と一寸したIPOラッシュとなりそうだが、昨年末にマザーズへの上場申請関連書類で内部統制の運用状況詳細を記載する旨の改正が今年7月から適用となるなど一段の審査強化の影響が後半戦にどう出るのかという一抹の不安要素もある。

IPOのハードルが高くなればベンチャーキャピタルの投資回収などにも何れ影響が出て来ようが、来月の働き方改革関連法の一部施行のタイミングで上記のような人材系スタートアップが出て来ており、成長期待の高い予備軍も控えるなど展望は期待のできるものであり新年度以降も引き続き注目されるところ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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