50ページ目   株式

メルカリ上場

さて、今週のマーケットでビックイベントといえばやはりフリーマーケットアプリで国内最大手メルカリのマザーズ上場だっただろうか。上場当日の大手紙には大きな全面広告が出ていたが注目の初値は公開価格を66.7%上回る5,000円で形成、その後一時ストップ高まで買われた後は5,300円と陽線を立てて引けた。

過去この手の知名度が抜群なIPOといえばLINEが思い浮かび同じ上場延期組でも前者は成長ピークを過ぎてからのIPOであったが、こちらは未だ成長途上の分だけLINEを凌駕していると言ってもよく、足元の赤字を跳ね退け日経平均が400円以上も急落する中ストップ高まで買われたのも説明が付くとの意見も多かった。

その圧倒的な知名度を誇るユニコーンであっただけに国内の応募倍率は50倍超ともいわれたが、公開価格決定と共に投資家需要から海外向け公募株数を増加させたが注目すべきはこちらも20倍超となったという事。上場後の株価は続落模様となっているものの、時価総額1兆円が先ずはターゲットゾーンとの見方も一部に出ている。

IPOといえば本日はログリーが公開価格の約2.倍で初値を付けたが、IPOインデックスも目下のところ12年ぶりの高値圏にある。個人は初値売りの小遣い稼ぎが多い一方、対して海外勢は中長期の投資スタンスを取るケースが多いだけに上記の通り海外勢の注目を惹き付けたユニコーン企業のIPOは日本市場の重要な試金石となり今後もその動向から目を離せない。


保身脱却

本日の日経平均は米株式の5日続落や、取引開始前のトランプ米大統による中国製品を対象にした制裁の追加関税検討指示との報道に為替相場が円高に振れ400円を超える大幅続落となったが、そんな悪地合いの中をカプコン、積水化学工業、平田機工やWOWOW等が逆行高となっていたのが目立っていた。

上記の全ての銘柄に共通するのは買収防衛策を廃止した企業という点だが、コーポレートガバナンス・コード制定を背景に新年度に入ってからもこの買収防衛策廃止が相次いでおり今年は5月末で389社と前年より21社減少し12年ぶりに400社を割り込む見通しと過日の日経紙にも載っていた。

機関投資家も否定的な声が多数で防衛策には反対票を投じるケースが多くなり、新たに導入する企業も中には散見されるものの導入企業の総会では取締役の選任議案への反対票が増える傾向もある。株主も統治改善が漢方の如く株価に効いてくるとの認識が多くなってきている事で持ち合い株と共に今後も注目が向かいそうだ。


PER乱高下

本日の日経紙投資情報面には「ソニー、8年ぶり日立逆転」と題して、昨年度の電気ポストの純利益ランキングにおいて10年ぶりに過去最高を更新したソニーが8年ぶりに日立製作所を上回り第2位に躍り出た旨が出ていた。ところでその上の首位はといえば東芝であったが、これは米WH向け債権売却に伴う税負担減少効果に因るところが大きい。

同紙のランキング表では首位ながら同社のみ二部ポストであるが、規模が規模だけに投資のモノサシとしてのPERなど大揺れしているのが現状。今月は中旬に発表された決算で前期から純利益が2,600億円以上の増額となったことで、約10倍であった二部予想PERが一日で6.30倍と急低下する珍事?があった。

この辺に絡んでは当欄で一年くらい前に「二部の池に鯨」と題して、東芝同様に黒字転換となった上記ランキングの14位にランクインしたシャープと東芝で二部時価総額の3割を占めるに至りその弊害を懸念した事があったが、果たしてというか同社が決算発表をするたびに投資尺度が乱高下を繰り返している。

シャープが抜けたとはいえいまだに東証二部の時価総額のうち同社だけで約2割を占めているワケだから上記の通りその影響度は推して知るべしで、はたして東芝も何時の日か一部復帰が叶うのか否かそれまではこのクジラに振らされる展開が今しばらく続く展開になるか。


中小型人気

本日の日経平均は米株式が大幅続伸となっていたものの、円安一服を受けた利益確定売りが優勢となり4営業日ぶりに小反落となった。とはいえ値上がりランキングを見てみるとトップ10のうちジャスダックが6銘柄、マザーズが2銘柄、東証一部とETFが1銘柄ずつと中小型株の物色は旺盛である。

この中小型株といえば投信の世界では先月まで10カ月連続で中小型株投信に資金が流入、合計の純資産残高が先月末時点で約1兆円と1年前からほぼ倍増となるなど人気の高さから相次いで新規の申し込みを停止している旨の記事を先週の日経紙で見掛けた。その規模は東証マザーズとジャスダックの合計時価総額の1割弱に匹敵するだけに運用効率を考慮すれば致し方無いだろう。

ところで中小型モノ投信の新規募集停止で思い出すといえばやはり数年前にJPモルガンアセットが売り出した「ザ・ジャパン」か。新規売り出しで早々に信託金上限に到達したことで、その上限を倍にして新規募集を再開したものの僅か1週間で再度の募集停止となるほど人気があった。

組み入れ銘柄がディスクロされていた為に設定後はアクティビストが買い込んだ銘柄よろしく更にチョウチンも付いてそちらでも話題になったものだが、こうした中小型偏重は裏返せば大型系の成長力の乏しさを表しているともいえ過熱の反動とも併せ何所までこうした傾向が続くのか注視しておきたい。


リスク・パリティ

さて、4月小売売上高が前月から増加した事で米国債利回りが2011年以来の高水準に到達、企業収益や景気への悪影響が懸念され昨晩は9営業日ぶりに反落した米株式であったが、それまで昨年9月以来となる8日連続上昇でVIX指数も週末から週明けは12ポイント台まで低下していた。

この水準といえば世界的株価暴落が始まる前の今年1月下旬以来の低水準ということになるが、特にこの3〜4月にかけて警戒水準で高止まりしていたのと比較するに様変わりともいえる。テクニカルな観点でも緩やかな上向きを示していた200日移動平均線を同指数が約4ヵ月ぶりに下回った事も話題になっていたようだ。

近年では今年2月の当欄でも書いたようにリスク・パリティ運用等からVIXという尻尾が胴体を振り回す格好が増え、一晩で9割以上の価値が消滅した金融商品が続出した最中には同指数の不正操作疑惑まで出たほど。2月からの暴落で篩い落とし一巡感があるものの今なお同指数の影響力と市場構造を考えるにその動向に注目は怠れないか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

カテゴリー

アーカイブ

2024

11

1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30