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再上場機運

9月末配当権利落ちの本日の日経平均は、円高進行に対する警戒感が燻るなか終始マイナス圏で推移し反落となったが、IOP組は破竹の勢いで昨日値付かずであったチェンジが公開価格の2.5倍で初値形成、またシルバーエッグ・テクノロジーは公開価格の2.9倍で初値形成のあとストップ高に張り付いての引けとなっていた。

ところでIPOといえば、先週末にはテーマ・パークのユニバーサル・スタジオ・ジャパンを運営する「ユー・エス・ジェイ」が東京証券取引所に株式の再上場を検討している事が報じられている。ご存知此処はかつてマザーズに上場していたが、業績不振から09年にゴールドマンサックスの公開買い付けを経て上場廃止になっていた経緯がある。

今やハリー・ポッターをテーマにした新エリア大人気の追い風もあって機と睨んだのだろうが、投資マネーもまた世界的な低金利下の運用難からファンドに集まり易くなっている。ユー・エス・ジェイと同じパターンでは「あきんどスシロー」等もあるが、こちらも再上場を狙っており後半から来年に掛けてはこの手の再上場組も注目を集めそうだ。


短期受難

日経平均は昨日で東証一部時価総額が6月8日以来約3ヶ月ぶりに500兆円台を回復することとなったが、本日も米早期利上げ観測後退を受けた円高から反落となったものの、それでも日銀によるETF購入期待で後場からは底堅い展開となり17,000円大台を維持しての引けとなった。

最近の相場は何かにつけてこの日銀ETFの思惑が付いてまわるが、直近のレバ系ETFの売買代金の少なさも本日の日経紙にも出ていたが日銀ETF買いが影響し短期志向のこの手の投資家の一寸した障壁になりつつあるようだ。

以前は野村アセットが新規設定を停止するほど個人マネーを吸い上げたものだが、日中のボラも薄く小幅な往って来いが目立ってくるとその構造上元指数比でパフォーマンスが落ちてしまうのは否めない。本来ETFは長期向けなものの、レバ系への傾斜が鮮明な本邦は投資家の短期嗜好が顕著に表れているか。


往って来い

本日の日経紙投資情報面には「空売り専門会社思惑外れ?」と題して、米グラウカス・リサーチ・グループが伊藤忠商事の売り推奨リポートを出して以降、昨日で株価が急落する直前の株価を終値で約1ヶ月ぶりに回復してきた旨が載っていたが、同社の株価は本日も続伸し完全に急落直前水準を抜いてきた。

このグラウカス・リサーチ・グループについては当欄でも7月から取り上げていたが、コストやカバーの進展具合、残高詳細も解らず果たして担がれているのか否かも不透明だが、腰の入った売り方が担がれた例ではかつてミクシィや日本マイクロで某外資大手が大きく担がれた事が記憶に新しい。

他にもっと関係者が注目した事件?では2008年のVW株暴騰で複数のヘッジファンドが壊滅的に踏まされた件もあったが、これらとは浮動玉規模が違うので往って来い程度の穏やかさ?となっているものの、このまま静かに初戦の幕が下りるのか否か引き続き今後も株価と共にその動向が気になるところ。


格差是正

昨日に東京証券取引所が発表した26日申し込み時点の信用取引の買い残高は2週連続で増加、一方で信用売り残高は3週連続増加で約4ヶ月ぶりの水準に膨らんでいたが、信用取引といえば先週の日経紙一面には「株の信用取引 夜間も」と題し、東証が閉まっている早朝や夜間も私設取引所などで信用取引が出来るようにする規制緩和に乗り出す旨が報じられていた。

この件に関しては今から2年ほど前に、大手ネット証券会社が実施したアンケートのお願いの中で「信用取引があったら便利に思うか?」という質問があったのを思い出す。PTSは刻み値などで一歩先を歩んで創設来売買代金の増加が続いてきたものだったが、こんなアンケートから2年で漸くマル信にも切り込んできたかという感じ。

とはいえ昨年にはカリブ海の島にある投資会社の不正売り抜けの舞台としてPTSが使われたり、リクイディティーの面などまだまだ課題は多い。また同紙にも書いてある通り利益相反の問題等もあるが、既に個人投資家の売買においてマル信は半分以上を占めているだけに取引所との格差是正で利便性向上に期待がかかるところ。


くじらPKO

昨日の日経紙一面には「公的マネー、筆頭株主に」と題して、同紙の試算で公的年金を運用するGPIFと日銀を合せた公的マネーのパッシブ運用等で東証一部上場企業約1970社のうち4社に1社にあたる474社の実質的な筆頭株主となっている事が分かった旨が報じられていた。

所謂「くじら」のGPIFについてはこれまで何度となく当欄でも取り上げて来たが、日銀のETF買い入れも年間購入額を6兆円とほぼ倍増することを決めて以降、今やその経験則や買い入れペースを読みながらのトレードで市場は一喜一憂し一部限界論の台頭もあって戸惑いも否めなくなってきた。

かつてのPKO時代から時は過ぎ、当時は存在しなかったスチュワードシップコード等が導入された現代、形態を変えてのPKOとの比喩が喧しい。後半戦も米国の利上げを巡る思惑が燻るなかくじら勢はこれら踏まえて購入スケジュールをどう図ってゆくのかこの辺がまた注目される。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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