インボイスの憂鬱
インボイス制度開始まであと数日というところだが、昨日は首相官邸前にフリーランスなど多数の人々が集まりインボイス制度導入に反対する集会が開かれていた。周知の通りこの制度、10%やら8%やら複数ある消費税の税率を明確にするため現行の請求書に登録番号や税率、税額を追加したインボイス(適格請求書)を導入するもの。
この制度により現在は消費税の納税が免除されている免税事業者が課税事業者となってインボイスを発行しなければ発注元の事業者が消費税の仕入れ額控除が出来なくなり二重課税で負担が増えてしまうワケだが、課税事業者となれば当然ながら今まで払ってこなかった消費税を払わなくてはいけなくなる事で税負担が増える構図になる。
そうなると現状維持という手もあるものの、領収書の問題もあるので替えの利く事業者が複数ある場合は契約減少や、取引価格の引き下げ要求が為されるリスクも同時に付いてくる。実際に東京商工リサーチが都内企業に方針をヒアリングしたところではこれまで通りが57.9%、取引しないとの回答が7.2%、取引価格の引き下げが4.6%となっていた。
事業者によっては進むも地獄退くも地獄といったところも出てこようが、これらを鑑みて国としても激変緩和措置として課税業者に転換した向きの消費税の暫定期間軽減措置や、課税事業者に対しても免税事業者から仕入れ分についての暫定期間減免措置などを講じる模様だが、いずれにせよ来月からはこのインボイスはじめ最低賃金からふるさと納税、新型コロナに関する支援まで生活や家計に影響が及ぶ制度変更が予定され各所の対応が求められる。