111ページ目   雑記

東京2020

さて、いよいよ今週は東京五輪の開幕である。この東京オリンピック・パラリンピックは「人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証として世界に発信する機会としたい」と菅首相は常々発言してきたが、打ち勝つどころか対策分科会が警鐘を鳴らしてきた通り感染者数増加ペースが急上昇するなど一向に収束しないまま4度目の緊急事態宣言下で行われる。1年の延期が決定して以降の徹底的な検証・対策を怠り、場当たり的に希望的観測を抱き続けたツケが回って来た結果だろう。

しかしこの東京五輪、「お・も・て・な・し」のプレゼンで誘致が決定し日本中が沸いたのも束の間、新国立競技場に選ばれた当初のデザイン案が途中で断念撤回され、当初の五輪エンブレムもベルギーの劇場ロゴのパクリと問題になりこれまた白紙撤回、大会組織員会会長は女性蔑視発言で辞任に追い込まれ、開幕を週末に控えた直近では開会式作曲担当者が過去を掘り返され突如の辞任と何かとケチがついているが、ここまで祟られる?ともはやカオスである。

カオスといえば最近の「御触れ」もコロナ禍でも資金繰りを支えるように金融機関に求めておきながら、その一方で要請に従わない向きには立場を利用した融資制限を仄めかす民主主義の原則を無視した強圧的な態度で担当大臣が炎上したり、切り札とされるワクチンにしても需給を見誤りボトルネックの問題が起きているなど彼方此方の綻びが目立つ。

この令和の時代に昔の軍隊を彷彿させるような光景を見るとは想像もしなかったが、今更ながら政府はリスクコミュニケーションを再考し情報発信の仕方に全力をあげるべきか。今回のオリンピックも別な意義で開催ありきの話が進められていたならその旨明言したうえで対策を考えた方がよかったと思うが、何れにしろもう後戻りが出来ない現況下大過なく五輪を終えられるのを祈る。


サステナブル社会へ

過日所用で高島屋へ行ったのだが、エントランスを抜けた先で目を引いたのは新たに取り組みを始める「Depart de Loop」の大きなデコレーションであった。これは販売した服を回収し新たしい服に再生して販売するという完全循環型社会の実現を目指した同社のプロジェクトで今が旬?なサステナブル社会を意識した感が全面に出ていた。

この手の試みはアパレル業界では既にユニクロがこれと同様のダウン商品のリサイクルを昨年に始めているが、ファッション産業は世界で年間約9200万トンもの大量の服が廃棄されている事で非常に環境問題に対して負荷が高いと指摘されており、石油業界に次ぐ世界2位の環境汚染産業とまで言われているのが現状である。

洋服の6割を占めるポリエステルのリサイクルは廃棄量の大幅な減少に繋がり、先月の日経紙の広告でもクラボウが再生ポリエステルを原料とする次世代羽毛を開発した旨が出ていたが、上記のユニクロと並ぶファストファッションの雄H&Mも2017年にはサステナブル戦略を発表、ZARAもペットボトルからの再生を既に導入している。

但し現状リサイクルの手法によっては石油で一から創るよりコスト的に高くなり、冒頭の高島屋の製品に見られるように自ずと末端価格に反映されてしまうのは以前当欄で書いた廃材から創ったチョコと同様か。とはいえ斯様に百貨店はじめイオン等も再生ポリエステルを一部使用した衣料品を先月から本格販売するなど大手流通でも続々とこの手の動きが顕著になってきており、漸く各社サステナブルに本腰を入れ始めたのが肌で感じられるようになってきた今日この頃である。


鯨の存在感

先週末の日経紙マーケット面では「クジラが動かす欧米金利」と題し、GPIF(年金積立管理運用独立行政法人)が5年に一度のポートフォリオ見直しを2020年度に実施し空前の外国債券買いに動き、欧米を中心に海外の金利上昇を抑える一因になるなど債券市場でGPIFの動向に関心が集まっている旨が出ていた。

このGPIFといえば新型コロナウイルスを受けた主要国の経済対策で大規模な財政支出や金融緩和から主要国株価が大幅に上昇し斯様なポートフォリオ見直しも奏功した結果、先に発表された2020年の運用実績は37兆7986億円の黒字となり、その黒字幅や収益率共に過去最高となっている。

年度の運用実績が黒字になるのは2年ぶりの事だが、昨年の1~3月にこの損失額が四半期としては最大に膨らんだ際に当欄では国債等に振り向けるべきとの慎重論も出てきそうだが、断片的にスポットで見るのではなく過去と照らし合わせマクロな視点で捉える事も肝要かと書いておいた。

しかしGPIFほどのクジラ的存在になると、小さいところでは先に婚約?が決まっていたところへニトリがTOB参戦し手中に収めてしまった島忠の筆頭株主であったり、約1兆円保有しているアップルが大化けの波に綺麗に乗るなど世間の関心事にも密接に絡んでおり、株に興味等ない向きも年金を意識する都度頭の片隅にでも思い出したらより身近に感じるようになるかも知れない。


前代未聞からのV字

さて、OPECとロシアなど非加盟国の主要産油国でつくるOPECプラスが8月以降の減産縮小を決めると見られていたところ、一昨日はこれに反し予定していた閣僚協議が中止され焦点の8月以降の協調減産幅が宙に浮いてしまった事を受けニューヨーク市場のWTIは一時76ドル台に上昇、2018年10月以来約2年9か月ぶりの高値を付けた。

何とも今となっては昨年にWTI当限が「余りモノに値無し」で、史上初のマイナス価格という前代未聞の値で取引を終えた件が幻のよう。幻を手にするのはなかなか難しいが誰でも買えたところでシンプレクスのWTI連動型ETFは当時の400円台から昨日は年初来高値を更新し1,630円と実に3倍以上に、レバレッジものではJPX原油先物連動型のダブルブルも当時の130円台がこちらも昨日は年初来高値を更新し678円とこちらは5倍以上に化けている。

しかし斯様な原油高でガソリンの値段も5週連続の上昇となりSAで提示されているモノなどなかなかふざけた?値段になっている上に、緊急事態宣言やらまん延防止等重点措置などダラダラと繰り返される御触れで高速道路の休日割引適用除外も何時になったら終るのやらストレスが溜まる。さてここまで書いたところで政府は東京に対し4度目の緊急事態宣言を再度発出する方針を固めたとの報が・・ヤレヤレである。


提灯か連携か

先週末の日経紙マーケット面では「個人、物言う株主に追随」と題し、先の東芝の定時株主総会で会社側が提案した取締役のうち取締役会議長含む2名の選任案がアクティビストの行動を切っ掛けに否決された事などを背景に、企業を変え得るという事実が広く知れわたった事でアクティビストが対話を求める銘柄に幅広い向きから投資資金が流入している旨が出ていた。

しかしこうした提灯買い?は今に始まった事でなくハゲタカ時代のような一昔前からあり、かつては大量保有報告が表面化し吹いた場面は絶好の手仕舞いの機会だったものだが、最近のこの手のものは積極的にTOBを仕掛けるパターンで価格引き上げが行われるケースもあるなど息が長くなってきている背景もありかつてとは状況も変わってきているようだ。

公募投信でもこうした背景に肖ったモノも登場しているようだが、実際に同頁では4月以降に新たにアクティビストが大量保有を出した主な銘柄の3月末比との株価騰落率の一覧が出ておりベンチマークを上回る銘柄が多数、これら銘柄もアクティビストらの初動期に乗った場合は当然ながらこれをもはるかに上回るパフォーマンスとなっている構図だ。

斯様にアクティビストの審美眼を頼りに提灯でキャピタルゲインなど追究する動きもさることながら最近では世界が驚いた米エクソンの一件に見られるように気候変動を巡る対応強化などアクティビストと連携するケースもあり、国内でも先の定時総会で同様な気候問題を巡りアクティビストに賛同する彼ら以外の共闘も目立つようになってきた光景はハゲタカ時代とは隔世の感を禁じ得ない。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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