120ページ目   雑記

金融政策株価明暗

さて先週行われた米FOMCと共に注目された日銀金融政策決定会合は、金融緩和長期化を睨みETFの購入を柔軟にしたり長期金利の変動幅を事実上広げたりして緩和の持続力を高める政策修正が行われる事となったが、特に前者のETF買い入れ政策変更は日経平均へのネガティブインパクトが大きく週末と本日の2営業日で1,000円を超える急落をもたらしている。

即ちETFは原則年6兆円としていた縛りを無くしその購入対象は日経平均型を止めTOPIX型に一本化するというものだが、個別では最も高寄与度で吸い上げ顕著とのイメージの強いファーストリテイリングは後場から急変、その株価は97000円台からものの30分程度で90000円スレスレまでの急落を演じ本日も4000円超の大幅続落と2営業日で10000円を超える暴落を演じた。

ネガティブインパクトといえば買い入れ上限据え置きとなったREITの個別もまた軟調展開を強いられたが、一方で許容する長期金利変動幅拡大との決定で貸出事業の収益改善期待から18日は銀行株の急伸が目立ち、翌日の週末は三菱東京UFJFG、三井住友FG、そしてみずほFGのメガバンク群が揃って年初来高値を更新していた。

予てより下げ相場の過程でも日銀によるETFの買い入れがパタリと止まった旨でマーケットはその「布石」にザワついていたものだが、やはり次に進む公表となると改めてその反応も顕著になるもの。出口を見据え保有構造の正常化に向けた応分の副作用もあろうが戦略の試行錯誤はまだまだ続くか。


復帰後の道のり 

本日は東芝の筆頭株主エフィッシモ・キャピタル・マネージメントとファラロンらアクティビストによる株主提案を審議する臨時株主総会が都内で開催された。同社は先月に2021年3月期の連結純利益見通しを上方修正し配当も上積みすると発表しているが、当欄でも昨年触れたところの定時総会運営を巡っての事務処理等の不適切処理や議決権行使を巡り一部圧力があったとの疑いに絡んだ株主側要求による異例の臨時総会開催となった。

この件でこれまで東芝側は集計作業その他について調査を実施した事で更なる調査の必要性は無いと反対していた経緯があったが、果たしてエフィッシモの提案が賛成多数で可決された。欧米等では電子的議決権行使が主流となっている現代において旧態依然な郵送形式に加え株主総会が集中する特異な形態という問題も背景にあったものの、やはり最も基本的な株主の権利を損ないかねない部分の是正は喫緊の課題ともいえる。

今後は6月の定時株主総会で結果が報告される予定となっているが、一方で昨年11月公表の新経営方針に関してファラロンから出されていた議案に関しては賛成少数で否決された。先にめでたく?二部から一部へ悲願の復帰を果たした同社も再建途上で株主構成など大きく変わりその影響から緊張関係が続いているが、一部復帰が株主との新たな関係を構築する契機になるか否か引き続き注目される。


サイダーとガバナンス

さて、当欄では昨年の11月にドン・キホーテがファミリーマートにTOBを仕掛けた際に当時の社長が知人に自社株の購入を不正に推奨した疑いで東京地検特捜部が動いている旨を取り上げたが、先週に行われた初公判の罪状認否ではその起訴内容を認め知人へのストロングレコメンドであった事が明らかになっている。

末尾では同氏の突然の退任もこの辺が絡んでいたのか否かと書いたが、トップがインサイダーに関与するというレアケースであった。インサイダー取引といえばもう一つ、先週の日経紙法務面にもデンソーとの業務提携に絡みマザーズ上場のモルフォ株を巡るインサイダー取引訴訟の判決も注目を集めている旨が出ていた。

こちらも元役員から従業員持ち株会に目を付けられた社員まで複数名対象となっていたが、一審では金融庁の認定が全面的に否定され一律の線引きに待ったが掛かった格好となった。今後の経緯が注目されるケースだが、何れにせよ企業側のこの手の規制に対する更なる周知徹底含めガバナンス体制の強化が今後も益々求められようか。


あれから10年

毎年この時期には防災啓蒙が活発化してくるが、本日で東日本大震災からちょうど10年が経過した。昨年は新型コロナウイルスの感染拡大で政府主催の追悼式が中止となり自治体主催の追悼式も同様に縮小ないし中止を余儀なくされるところも多かったが、今年は参列者を減らすなどコロナウイルス感染対策をとったうえで2年ぶりに開催された。

昨年は丁度この時期にコロナパニックで株式市場が暴落、大震災による原子炉のメルトダウンで当時の株式市場がパニックになったのを思い出させたものだったが、今年は先月起きた福島県沖の大きな地震に加え、先のみずほ銀行の大規模なATMトラブルも大震災直後に義援金の振り込みが集中した事によるシステムトラブルを思い出させ、何やら3.11を決して忘れてはならないと節目で暗示されているようにも感じるのはいささか考え過ぎか。

ところで上記の義援金といえば以前はこれが主流であったが近年では被災自治体へのふるさと納税やクラウドファンディングも定着しつつあり、某大手ふるさと納税サイトからは約30の災害で累計70億円の寄付金が被災地へ届けられたという。まだまだ永続的支援やコミュニティーの再構築等々課題を挙げればキリが無いが、私たちに出来る事を永続的に続けてゆきたいものだ。


金融分断

本日の日経紙金融経済面には存在感低下が指摘されてきた英が上場誘致の背積極化に乗り出した旨が出ていたが、英金融といえば先の日曜日の同紙にもEU離脱で事業の前提になる規制が変わりEU投資家離れなど金融分野の英国側への影響が如実に表れた事で金融取引のシェア低下に直面している旨が出ていたが、シティーの地位低下が英経済や世界のマネーの流れに及ぼす影響が懸念されている。

同頁にもCBOEの集計データが出ており、欧州株の売買占有率において昨年末には43.5%と2位の13.9%のフランクフルトを大きく引き離し首位に君臨していたロンドンであったが、完全離脱後の今年1月の同データでは21.7%とほぼ半減し4位だったオランダに首位の座を明け渡している。

英とEUの間で金融機能の分断が進行すれば域内全体に負の影響が及びかねないともいえるが、分断といえば一方でアジアでは米中対立の影響からIIPO企業が上場先として香港を選ぶ動きが顕著になり、米政府の制裁を受ける中国企業にも本土からの買いが膨らんだ事で香港取引所は純利益が過去最高となった模様。金融分断を巡っての明暗模様とも取れるが、何れにおいてもリスクとして燻り続けるという部分は否めないところで今後もこの辺は注視しておきたい。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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