120ページ目   雑記

機能分散論

はや7月入りだが都内の新型コロナウイルスの新たな感染者数が今日は緊急事態宣言解除後として最多を更新、既に東京都が休業再要請をする基準として用いていた指標の数値も超えてきているが、先週に自民党は斯様な感染症などの事態を踏まえ国会や中央省庁、企業、研究機関等が一度に機能不全に陥る事態を防ぐべく首都機能等の分散をめざす議員連盟を立ち上げている。

このコロナ禍では各所のリモートワークなどで地方が俄かにキーワードになってきているが、こうした首都機能の分散・移転に関して本腰を入れて議論されるのは東日本大震災後に沸き上がったのが記憶に新しいところで、その3年後にも政府機関の移転など提言されたもののなかなか進展しなかった経緯がある。

首都機能分散に関しては年内にも具体策を盛り込んだ提言を取りまとめるとしているが、近年のSDGsの流れもあるだけにこの100年に1度ともいわれるコロナ禍でいよいよ一極集中のリスクに対して踏み込んだ議論からコロナ後を見据え現実味を帯びたモノが出て来るのかどうか注目されるところ。


相次ぐ有名処の更生法申請

さて、このコロナ禍の影響で劇団四季など劇場公演が中止になり一部小中学生など芸術鑑賞の授業が残念なことに無くなってしまったところもあるが、長引く劇場上演中止であのカナダのシルク・ドゥ・ソレイユ・エンターテインメント・グループが会社更生手続きに入るとの衝撃的な報が昨日あった。

同劇団といえば「アレグリア」の東京での初回公演に招待された時その演目もさることながらレネ・デュペレの曲にも魅了され、以降日本公演がある度にそれぞれのストーリーを観るのが楽しみであっただけに本当に残念な一件で兎にも角にも更生から一刻も早い興行復活が望まれるところ。

しかしコロナ禍により破綻の憂き目に遭った事例で誰でも知っている有名どころでは直近でも上記以外に高級食材の仏フォションや、米ディーン&デルーカなども衝撃的であった。何れも国内では大手百貨店や一等地に店を構え女子に人気で、幸いに国内事業に影響は無い模様だが著名ブランドをも侵食するコロナウイルスの憎々しさが改めて際立つ。


破竹のIPO

さて、米での新型コロナウイルスの感染再拡大により経済活動が再度制限され始めたことなどが投資家心理を冷やし日経平均と共に本日の東証マザーズ指数も3営業日続落となっていたが、そんな中で先週末に上場したECプラットフォーム関連事業のコマースONE HDが2日目にして後場に公開価格1,600円に対し漸く約4.4倍の6,970円で初値を付けたのが目を惹いた。

2か月半ぶりのIPO再開という事で溜まった鬱憤を晴らす?が如く上記のようにロケットスタートのものが目立つが、同じく先週に上場した機械学習を用いた画像認識ソフトのフィーチャーなどは連日の買い気配から上場3日目にして漸く公開価格520に対し実に約9.1倍の4,710円での初値形成と破竹の勢いである。

目下のところマザーズ指数は大引ベースではかれこれ12週間連続の続伸を記録し2003年9月の指数算出開始以来で最長となっているが、先に当欄で書いた通りその時価総額も東証二部を上回ってきている。IPO再開熱の一巡感が台頭してもなおコロナをテコに今後も暫く独り勝ちが継続されるのか否か、この辺には注目しておきたいところ。


オンライン商機

さて、春先には新型コロナウイルスの影響から年度替りの卒業式や歓送迎会などが総崩れとなり年間でも最需要期となる花卉需要が急減の憂き目に遭っている旨を書いたが、昨日の日経紙には「捨てられる花を救え」と題し、オンラインを駆使して商機につなげる試みが俄かに熱を帯びてきている旨の記事があった。

廃棄される道を救う試みとしては食品で同じく今年の始めに挙げたフードシァエサービスの「TABETE」などがあるが、他にも余剰食材を購入するクーポンを発行するアプリ「No Food Loss」なども登録店を拡大させており、更には業務用商品などまで含めて扱う「KURADASHI」なども最近は注目を浴びている。

またマーケットに出しても最近は思うような値が付かないのは高級魚類も同じでココもまたEC活用の動きが顕著になってきているが、先行している民間のアクションに農水の更なる強い後押しも望まれるところでオンラインならではの枝葉の広がりが今後も更に顕著になってくるか。


商慣習とガバナンス

さて先週末の日経紙には「もの言う株主がNO」と題し、オフィスビル賃貸の京阪神ビルに対し旧村上ファンドの元幹部が率いるストラテジックキャピタルが、社内取締役の過半を親密銀行のOBが占めている事から企業統治がゆがめられているとの株主提案を突き付け波紋が広がっている旨の記事があった。

同ファンドといえば以前からこういった特定企業OBによる企業の私物化懸念を問題にしており他にも投資先である東レはじめとして中堅ゼネコンの淺沼組や世紀東急工業、極東貿易などに株主提案を実施した経緯があるが、斯様なアクティビストから提案を受けた企業はアイ・アールジャパン調査では先週段階で昨年から6社増加し22社と最多となっている模様だ。

注目された16日開催の株主総会では結局のところこの株主提案は否決される事となったが、このコロナ禍で内部留保を背景とした一昔前のような増配や自社株買い要求が減少する一方でガバナンス絡みの提案へと変化してきているという。親密企業OBの天下りなど持ち合い株と並び典型的な従前からの商慣習の一つでもあるが、こうしたファイナンス絡みの後ろ盾もコロナ禍を経て漸く変ってゆく事になるのかどうか今後も注目されるところ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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