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秋の味覚異変 

さて、今年は猛暑の影響で漁場の水温が上昇し台風や大雨によるしけも影響し先月の全国水揚げ量は過去最低の不漁といわれた前年の三分の一と記録的な不漁が報じられていたサンマだが、今月に入ってようやくその水温が下がった事などを背景に先週の北海道花咲港では今シーズン最も多い水揚げがあった模様だ。

斯様な背景もあって旬といわれる時期には巷のスーパーなどでようやく売られていたモノが一尾400円近くの値が付けられているのを見掛けたものだったが、これら脂ののっていない痩せたサンマの数倍はあろうかという同じ日に並べられていた立派な鯛などはこれと同じ値で売られており土用の丑の時期に書いた価格の逆転現象を思い出した。

こんな異常気象でサンマのような異常高の事例もあれば、一方でこれが最適な条件に合致し昨年の約10倍の収穫量と稀に見る豊作で異常安となっているのが同じく秋の味覚の代表格マツタケか。主要市場ではキロ当たり例年の二分の一から四分の一程度で取引され、成る程店頭に並んでいるのを見るに昨年同等のモノの約半分から店によっては五分の一程度にまで暴落?した値札が付けられていた。

しかし近年の異常気象で斯様な事例が恒常化してくるようであれば日本人が大切に謳ってきた季節感そのものも崩れようというものだが、今後は【旬】という概念が変わるのであれば我々消費者も無理をしてない物強請りをするのではなく、底値モノを大いに消費しいただくのが生産者にとっても我々にとっても互いにベストな構図となるか。


国際金融都市に向けて

ちょうど1週間前には東証がシステム障害により初の全銘柄の終日売買停止に追い込まれる事態となり当欄でもその旨を書いたが、先週末の日経紙・真相深層でも「東証縛った2つの約束」と題し2012年と2018年に起きた同様のシステム障害後に取り決めたよりよい運用を目指した約束が今回の件では裏目に出た格好との旨が書かれていた。

この項の末尾では「運用面でも様々な事態を想定した対策の準備が必要になる」と書いてあったが、今回の件もつい昨年末にシステム刷新した際に導入したばかりの運用系ネットワークにおける共有ディスクの故障が原因で事業継続計画にも再起動した場合のその後の手順は記載されていなかったという。

システム会社や会員などが一体となった体制作りが安定運用に欠かせないのは当然だが、前回も「親亀コケたら皆コケる」と他の地方取引所もこの影響を被った旨を書いた通り、今回改めてクローズアップされた斯様な取引所の一極集中という特異な形態も資本市場のインフラの根幹を支えている部分なだけに今後再考の余地が出てこようか。


儲かるGoToキャンペーン

さて、周知の通り政府による国内旅行の需要喚起策である「GoToトラベル」に今月から東京発着が追加されているが、コロナ禍の影響が多大だっただけにこの事業には期待の声が高く一部シンクタンクによればこの東京追加による個人消費の押し上げ効果は1年間で7700億円にもなるという。

とはいえメディア等が取り上げる中で目立つのはやはり実質的に半分が補助されるとあって一般には普段使いでなかなか手の出し辛い高級ラグジュアリーの類で、実際にこの手のホテルからの案内は彼方此方からある。斯様な事も背景にこうした中でお得感の少ない元々の単価の安いホテルや利用者の間でもその恩恵に歪が出ているとの指摘もあるが、この辺は富裕層ほど得をするふるさと納税と構図が似ているか。

そのふるさと納税も返礼品競争が過熱したのが記憶に新しいが、上記の背景もありホテルの中には誘致目的で独自の買い物クーポンを付与し実質自己負担分以上に儲けが出てしまうようなケースも早速出てきた。また自己負担分以上に儲けが出るといえば、同時に今月から始まった飲食店や農林漁業者を支援する「GoToイート」キャンペーンでも早速問題が出ている。

この辺は実施前から指摘されていた事だが、すなわちその高付与率に目を付け予約した店では僅か数百円の品だけ注文する行為を繰り返し実質支払い分を大きく上回るポイントを獲得しようとするさもしい輩がやはり出てきた。斯様に制度の盲点を突かれ、本来応援すべきものが逆に店を更なる窮地に追い込むケースなどこれでは本末転倒も甚だしい。

給付金の類もいろいろ問題が表面化したが、こうしたケースが出て来るのはひとえに制度設計がきちんと出来ていないまま見切り発車スタートしたという部分に他ならないか。本来の目的が本末転倒にならないよう例えば注文金額の足切り等きちんとした制度設計の見直しなどが今後早急に求められようか。


相次ぐ流出

さて、先週アタマの日経紙夕刊では国際的なマネーロンダリングに、違法な収益を紛れ込ませ易い海外との出入金が日常的に多い法人口座を持つ日本の中小企業が関与していたケースが相次いで発覚している旨の記事があったが、マネーロンダリングといえば先月話題になっていたものに米財務省金融犯罪取締ネットワークからリークされた所謂フィンセン文書がある。

世界88ヵ国の報道機関で400人以上の記者を投入し金融機関側やマネーロンダリングに関与した疑いがある企業や個人を取材したが、ここに記されていた不審な取引は2100件以上にのぼり、欧米の名だたる銀行が利益優先の為にマネロンなどの手助けに勤しむなどコンプライアンスを守っていなかったという。

このあおりを受けて英HSBCホールディングスの株価など25年ぶりの安値に沈む憂き目に遭っていたが、同じく英スタンダードチャータード銀やドイツ銀なども売りモノを浴びていた。しかしこれで思い出すのが数年前に各国首脳や著名人の名が挙がり世間がザワついたパナマ文書、またパナマほど騒がれなかったこの後のパラダイス文書等があったが、ここ数年の金融情報の流出劇は何を意味するのか思惑が募るところ。


利害の一致?

さて、新政権の目玉政策の一つとして菅首相が携帯通信料金の引き下げを強く表明した事から通信各社の株価は軒並み軟調展開を強いられ、その一つNTTドコモは年初来安値に沈む憂き目に遭っていたが先週は一転して急騰し今度は年初来高値を更新していた。言わずもがなこの背景にはNTTが子会社の同社をTOBにより完全子会社にすると発表した事がある。

実に親元?から独立してから約30年ぶりに出戻りという事となるがその会見でNTT社長は料金値下げをやる為にTOBするのではないと直接的なリンクを否定してはいるものの、冒頭の通り菅新政権が携帯料金の引き下げ意向を強く表明した矢先だっただけに政府側とNTTの利害一致が成せた業ではないかとの一部報も出ていた。

今や家に固定電話など置かない向きが殆どで世の携帯傾斜への流れから両者間には下剋上の構図もあった事で其れなりの確執?もあっただろうが、国が34%を保有する筆頭株主という構図と併せあながち噂で片付けられないか。何れにせよ今回の再編によって新たな成長戦略を描いてゆく事が出来るのか否かの試金石となろうか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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