127ページ目   雑記

需要減に救いの手

さて、今年のホワイトデーは当にコロナショックの直撃でそんな日本独自のイベントを楽しむ雰囲気にも無かったが、この辺に絡んでは先週末の閣僚後記者会見で農林水産相がコロナウイルスの影響で生花需要が大幅に減っている事を受け花卉業界を支援するためにホワイトデーにぜひ花を贈ってと呼びかけていたのが印象的だった。

花といえばブックオフ運営のリユース店もバレンタインの時期に規格外で通常廃棄されてしまう生花のテスト販売など行う動きがあったのを思い出すが、この手では感染拡大防止の「巣ごもり消費」の需要に応えるべく冷凍事業のデイブレイクも規格外の果物や野菜を原料にスムージー等の飲料販売をネットでスタートさせている。

ともあれちょうど年度替わりで卒業式や歓送迎会などこの時期は年間でも花は最需要期となっているものの、今年はこれが殆ど総崩れでとりわけ日持ちがしないという商品の特性上大きな痛手だ。折しもお花見の自粛要請まで出たという事でフローリストでは巣ごもりに絡んで桜の枝と行き場の無くなったこうした花を抱き合わせてセット販売する動きも出てきた。

思えば新型コロナウイルスのパンデミックによる連日の金融市場混乱で辟易している日常もせめて家庭で花を愛でる一時の癒しも一考というものだが、降って湧いたような需要の減少や規格外で廃棄されてしまうモノを生産者から買い取って活用するなどまさにSDGsの時流に乗った動きでもあり、今後もこの手の上記のような枝葉が広がってゆくのは想像に難くないか。


全てが安い

本日の日経紙・市場点描には「ヘッジファンド盟主も苦境」と題して、英ファイナンシャル・タイムズがコロナウイルスショックによる相場暴落で米ブリッジウォーター・アシスエーツ創業者が運用する旗艦ファンドの年初来成績がマイナス20%に達するなど急速に悪化している旨が書かれていた。

末尾にもあったが氏といえば世界最大のヘッジファンドを率い株式、債券、商品の各資産のリスクが均等になるよう分散投資するリスクパリティ運用の発明者で有名であったが、ここ30年の運用で年間収益マイナスがわずか3年、2008年のリーマンショックの時でさえプラスで乗り切った同氏もコロナウイルスはこれまでと勝手が違ったようだ。

確かに金などコロナウイルスの感染拡大につれて株が急落する中を当初は7年ぶりの高値まで大きく買われたものであったが、斯様な有事の金買いも暴力的相場下でパニック時の金売りに転じ昨年秋口の株式、金、債券等の「全部高」構図が今月に入って一転して「全部安」の構図になったという感じだ。

そんなワケで2008年のリーマンショックの時でさえプラスで乗り切った上記のファンド創業者もコロナウイルスの前には常勝の方程式も通用しなかったようだが、FRBも3日に続き事実上ゼロ金利政策に踏み切るなどこれら金融政策を背景に一相場を形成してきた金の逆戻しも続きこのまま「全部安」相場が継続されるのか否か、今後も各相場からは目が離せない展開か。


市場が語る期待度

先週末の米株式の暴騰を受けた週明けの株式市場だが結局日経平均は乱高下の末に大幅続落で引けた。新型コロナウイルスパンデミックで激震収まらぬ金融市場だが、先週のECB理事会では年末までの量的緩和策の規模拡大を決定したものの注目されていた政策金利の引き下げに関しては見送りとなった。

これに限らず金融安定化策として各国がどういった事を取り得るのか注目されていたが、FRBは3日に続き臨時の会合を開き政策金利を一気に1%下げ事実上のゼロ金利政策に踏み切る事を決定、先週はこのゼロ金利を織り込む動きが進んでいたが果たしての決定後今日のグローベックス米株価先物はサーキットブレイカーが発動されるほど急落の憂き目に遭っている。

一方で本邦も日銀は明後日から予定していた金融政策決定会合を前倒しで開き、ETF買い入れ年間目標額を現行の6兆円から当面12兆円に拡大する追加金融緩和策を決めた。ちょうど一週間前の当欄では日銀御ETF買い入れコストも意識されると書いたが、ETF買い入れ額は既に今月に入ってから先週12日まで累計で5000億円を突破し先月の1か月分に迫る勢いとなっている。

日銀の金融緩和はETF買い入れ目標額を拡大した2016年7月以来約3年8ヵ月ぶりとなるなど取り急ぎ各国とも現状で出来得る事の最大級の措置を打ち出して来たとみられるが、今日は何所のマーケットもその慌てぶりがかえって疑心暗鬼を誘う格好になってしまい肩透かしの展開。伝家の宝刀である金融緩和もこれで出尽くし感が台頭するようであるとその神通力にも陰りが出て来てしまうというものだがさて明日以降如何に。


逆オイルショック下の珍事

本日も日経平均はWHOによるコロナウイルスのパンデミック認定を嫌気し急落、ザラバでの1,000円超えの急落はこれで今年は4回目となるなど金融マーケットは今週も大揺れが続いたが、急落の憂き目に遭ったのは原油も然りで週明けのWTIは一時33%安となるなど1991年の湾岸戦争以降で最大を記録した。

まさに「逆オイルショック」ともいえる暴落だが、こんなオイル安の状況下にもかかわらずつい最近まで目立っていたオイルショック時の買い占めを彷彿させるような珍事といえばトイレットペーパーの品薄現象か。漸く購入が困難ではなくなってきたが、政府やメーカー側が潤沢な在庫があり買い占めは慎むように繰り返したものの、結果的に切羽詰まって必要な向きが入手困難だったのは事実で説得力に欠けた声明だったのは否めないところ。

かつてのオイルショック時もデマの連鎖がモノ不足への恐怖を煽り今なお語り継がれる買い占めに人々を走らせたものだったが、しかし今や中高年層になった向きが幼少期に経験した斯様なトイレットペーパー買い占め騒動があれから50年近く経ったこんな現代でも起きたのは時代が変わっても人の行動原理は変らないという証左であるのは言わずもがなか。


あれから9年

本日で東日本大震災から9年が経過した。今年は新型コロナウイルスの感染拡大で政府主催の追悼式が注視となり自治体主催の追悼式も同様に縮小ないし中止を余儀なくされるところも多かったが、各地でインフラの整備が完了に近付く一方で今なお被災地では48000人近くが避難生活を余儀なくされている。

当時は3基の原子炉が次々にメルトダウンを起こすというまるで映画のようなシーンが現実に起こり、金融市場もサーキットブレイカーが短時間に2度も発動されるなどパニックになったのが鮮明に思い出されるが、皮肉なことに今年はちょうどこの期にコロナショックで金融マーケットが同じような事態に陥っている。

一部の小学校などではこの時期に防災啓蒙で各種の非常食が配られるのが恒例となっているが、これまた今年の場合はコロナの影響からくる巣ごもり消費とやらで非常食の引き合いも強くなっている。何れにせよ政府が復興・創生期間と位置付けた震災10年まで残り1年、復興への思いを風化させず真摯に課題と向き合ってゆく事が重要か。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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