135ページ目   雑記

ヘリウム高騰彼是

さて、今週アタマの日経紙科学技術面には「ヘリウム高騰 研究に支障」と題して、超電導などの研究に不可欠なヘリウムが供給不足に陥り2018年度に比べ価格が2倍以上に高騰した事を受けて、研究機関が予算などの都合で入手できず実験を中止するなど悲鳴を上げている旨が出ていた。

さてこのヘリウムといえばかれこれ今から7年くらい前から不足がいわれて久しいが、上記の文中に東大ですら再利用率は9割程度とあったが6年前に東大発ベンチャーが極低温の実験装置向けに液体ヘリウムを循環して再利用する装置を近く販売するといった報があったのを思い出す。

そのプライオリティの高さでは冒頭のような学術的モノには勿論のこと及ばないが、身近な娯楽分野でも例えばディズニーリゾートのエントランス近くで販売されていたキャラバルーンなどこの高騰で販売中止に追い込まれた経緯も記憶に新しい。本邦では完全自給の難しさを露呈している物が数多あるが、今更ながらこんなところにも及んでいるのに改めて気付かされる。


中途半端感

今週の日経紙経済教室では「5Gが切り開く未来」と題し、各国で次世代の無線通信網として大きな期待がかる5Gネットワークの整備が急ピッチで進められている旨が連載され、本日のマーケット面・どうなる来年の日本株なる座談会でも野村アセットのインベストメントオフィサーが5G関連銘柄の成長トレンドは今後も続くと述べていた。

ところでこの次世代高速通信に絡んで政府としては今月纏める経済対策でポスト5Gの技術開発助成に2000億円超の基金を創設する模様だが、直近で記憶に新しいのが農林水産業の産業化を狙った農林漁業成長産業化支援機構が複数の投資先不振で累損が100億円規模に膨らみ来年度末にも新規投資業務を停止する方向になった件か。

他に以前にも取り上げたジャパンディスプレイなど日の丸モノの官民ファンドも惨憺たる結果となっており、財務省などは同様に累損が膨らむ他の官民ファンドの業務見直しも急ぐようだが、高技術に対する期待の裏で微妙な金額設定に上記のような二の舞を演じないか一抹の不安が過るのは否めないところ。


ミシュランガイド2019

さて、ボージョレ・ヌーボーのイベントが終ると次はミシュランの番となるが、今年も先週末から書店では「ミシュランガイド東京2020」が販売スタートしている。今年の顔ぶれは三ツ星が11軒、二つ星が48軒、一つ星が167軒となったが、一般客の予約が出来なくなった三ツ星常連組のすきやばし次郎本店や鮨さいとうは評価対象外となりミシュランから消えることとなった。

ちょうどTVでもTBS系で星を獲得するために各々が夢を追うというドラマがスタートしているが、思い起こせば名誉の裏で数年前には秘密裡に偽造表示を行っていたレストランが二つ星を獲得したり、今年はお隣の韓国では星を売るコンサルタント疑惑で沸くなど話題には事欠かない。

こんな権威のあるモノでなくとも足元では公正取引委員会が大手3強のグルメサイトを巡って実態調査に動いている。当欄では今から4年ほど前に米のS&Pやムーディーズの格付け疑惑を取り上げた際に末尾で「モノは違えど何故か証券会社のレーティングからはてはミシュランまでがふと頭に浮かんでくるものだ。」と書いているが、その影響力に比例し自ずと蜜月疑惑が台頭するのは何所の世界でも致し方無いところか。


恩恵と誘発

先週末の日経紙一面には「株・投信、手数料ゼロの波」と題し、ネット大手カブドットコム証券と松井証券が年内にそれぞれ信用取引と投資信託の売買手数料を無料にするなど、ビッグバン以来2度目の大波となる手数料ゼロ化の動きが加速してきている旨が書かれていた。

この辺に絡んでは当欄でつい先月もゼロコストの投資商品が世界で広がっている旨を取り上げたが、純増面や金利収入が要となっているマル信でさえとうとうゼロ時代に突入かと思うと一寸した驚きで、カブコムは更に来年は現物取引においても無料化の予定と先鞭をつける。

また先にHFT業者についても一寸触れたがこうした業者に情報提供等を施しそれらからリベートを得る構図など米国で先駆しているが、それに伴う再編劇もまた然りで先月取り上げた際の末尾でも書いた通り今後業界の合従連衡を活発化させるトリガーとなるのかどうか対面事情とも併せて注目しておきたい。


文具争奪戦

さて、先に文具最大手コクヨは同業のぺんてるに対し敵対的買収方針を発表しているが、先週末に大手各紙では同社が株式買い付け価格の引き上げを報じており、背景にはこの買収劇に文具大手のプラスが参戦しぺんてる株を買い増す方針を確認した事があり買収劇はこの2社による争奪戦となってきた格好だ。

当欄では5月にこの買収劇に関して一度取り上げているが、その時の末尾には「〜ぺんてるが本当に株式を持ってもらいたかったのはTVのバラエティー番組でコクヨと共にぺんてる社の製品を絶賛していた同業大手プラスである〜」と書いておいたが、果たしてこのシナリオ通りプラスがホワイトナイトとして登場する事となった。

今年2月に放映したバラエティー番組ではぺんてる社のアートブラッシュをコクヨとプラスの社員が共に大絶賛していたのを思い出すが、同業他社同士和やかなムード漂うなかでぺんてるの強力な海外網を謳うなど今思えばこの一連の流れもそれとなく伏線を張っていたようにも見えてくるものだ。

敵対的買収といえば今年は廣済堂やユニゾホールディングスなどを巡る複数のファンドまで交えた争奪戦が記憶に新しいが、ホワイトナイト的存在であっても後に条件面での対立が浮上するなど途中から混迷模様を呈するなど思惑交錯する展開となっているが、こうしている間にも水面下で敵対的買収案として噂に挙がっているところが複数耳に入って来ておりまだこの手の話題は続こうか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

カテゴリー

アーカイブ

2024

11

1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30