150ページ目   雑記

寄付文化醸成

さて、先週末には今月から受付を開始したふるさと納税の返礼品紹介の案内が来ていたが、この日の日経夕刊一面を飾っていたのは「ふるさと納税農家支援の輪」と題し、自然災害や天候不順で被害を受けた農家をふるさと納税により支援する動きが広がって来た旨の記事であった。

この手の被災地の救済を目的としたものは地震やら豪雨などで被災していない自治体による代理寄付などが近年では既に彼方此方で始まっているが、冒頭の試みと併せて復興支援の手法も多彩になってきているなどESGが高らかに謳われるなか今後も更にこうした動きが広がってゆくのは想像に難くないか。

ところでふるさと納税といえば周知の通り総務省と泉佐野市のバトルが記憶に新しいところだが、本日の日経紙社説にも「勧告に向き合わない総務省」と題し書かれていた通り国地方係争処理委員会が同自治体除外の根拠が不適切だとして再検討の勧告をしていたにも関わらず、総務省は今月に入ってこの新制度からの除外継続を決めた件は法廷に場所が移る可能性を仄めかせた。

かつてTVのバラエティー番組等では挙ってふるさと納税を取り上げ評論家と称する富裕層の豪華な返礼品生活を映し競争を煽った結果上記のような禍根も残ったが、斯様に各所ではこうした本来の趣旨である寄付文化へ回帰する動きが活発化しており、今後それをどう醸成させ根付かせてゆくかこの辺が焦点になろうか。


半世紀の歴史に幕

さて、今週アタマで90年代にビジネスから若者まで幅広く一世を風靡したポケベルが国内サービスを終了させその50年の歴史に幕を閉じた。今でこそスマホが普及し世を席巻しているが、今や中年ゾーンに入った当時のJK世代などにとってはまさに青春を支えた必需品で街の公衆電話が彼らに占領された光景がいまだ記憶に新しい。

それこそあの制限された僅かな文字枠の中で0840(おはよう)とか14106(あいしてる)等々如何に相手に都度の感を伝えるか駆使するさまはさながらスタンプのような感覚で、一方でサラリーマンなど酷暑や厳寒のなか喫茶店等で束の間の休息に浸っていると彼方此方で会社からの呼び出し音が店内に響き、似たような境遇の営業マンが苦笑いでヤレヤレと早々に店を出てゆく悲哀を感じる光景も頻繁に見られた。

急速なネット普及の過程でコミュニケーションの在り方も各層で大きく変わった事を考慮すれば、広い層が使用出来たスラング?の類としてポケベル打ちは最後のモノと言っても過言ではないか。そんな消えゆく機器を惜しみメルカリでは検索ワードが今月に入って急増、秋葉原ではポケベル葬なるものまで開催された旨が日経MJ紙でも出ていたがまた一つ昭和の産物が姿を消した。


機能の実効性

本日の日経紙一面には「社外取締役 初の3割強」と題し、3月期決算の上場企業の社外取締役数が4400人強と前年比で9%増え、取締役全体に占める比率は28.8%から31.5%に高まった旨が載っていた。また監査役や執行役を含む役員では女性が1000人を上回り外国人役員がいる企業数も過去最高となった旨が載っていた。

社外取締役の重要性について謳われているもののお飾りよろしく形骸化から第三者目線としての機能不全な現状が言われて久しいが、日経紙「私の履歴書」で先月の執筆を担当していた一橋大学名誉教授も日本企業はガバナンス強化の為に米に倣い社外取締役制度を導入したものの一般論でいえば社外取締役は必ずしもうまく機能していないのではないかとの私見を26日付で述べていた。

同氏は社外取締役は大きな視野に立った本質論を展開しなければならなく、細部議論に入る場では社内取締役に委ねるバランス感覚が求められるとも書いている。そういえば過日の朝日紙ではあの日産の社長退任劇において元レーサーの女性社外取締役が同氏辞任の口火を切ったと書かれていたが、あとCOOが詳細を詰めていったあたりはこの辺を印象付けるものであり、今後も実効性のあるタッグをどう組めるかこの辺に注目が集まりそうだ。


代替肉の拡大余地

さて、本日から12月下旬まで米マクドナルドは植物性原料でビーフパティの味や食感を再現した代替肉を使うハンバーガーをカナダで試験販売すると先週に発表したが、この日はダウ工業株30種平均が反落する中を同社株は一時16%高となり、同製品を作るビヨンド・ミートも急騰するなど逆行高を演じていた。

ハンバーガーといえば別の大手バーガーキングも代替肉をメニューに加えているが、ビヨンド・ミートは他にもドーナツで有名なダンキンの運営会社と提携を結んだほか、ケンタッキー・フライド・チキンも米の一部でビヨンド・フライド・チキンの試験販売に乗り出すなどその扱い店の増加がこのところ目立つ。

このビヨンド・ミートに関しては当欄で同社株上場の際に人気を集めた旨を先月に取り上げていたが、世界中に店舗を展開するこうした企業との提携効果等での拡大余地も含めて2029年までに世界の代替肉市場は1400億ドル規模に成長が見込めるとバークレイズなどではリポートを出している。

また国内でも不二製油ホールディングスや大塚ホールディングスなど代替肉関連株への関心がマーケットでは高まっており、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)もESG投資を積極化してきているが、将来的な競争激化など不透明な部分もあるものの直近の気候行動サミットと併せ暫くはまだ話題に事欠かないか。


アクティビスト攻勢

さて、昨日の日経紙一面には「物言う株主 日本に攻勢」と題し、同紙が行った重要提案を目的とする株式の新規・追加取得の集計が今年1月から8月は139件と同期間で過去最高になった旨が載っていた。株主要求が通り易くなったとみて世界のファンドが日本企業に注目、物言う株主が日本企業への投資を増やしている模様だ。

同紙に載っていた主なアクティビストには米国ファンドがズラリと並んでいたが、他に旧村上ファンドの流れを汲むエフィッシモは川崎汽船の他に最近ではリコーへ株の保有を純投資から株主提案に含みを持たせた内容へ変更したのが一部話題になっている。復調途上の同社だが株主総会で議案を通すためにアクティビスト側の要求も無碍には出来ないというところ。

彼らアクティビストによる出資の発表が増えたのは先月だが、直近まで米中貿易摩擦で不透明感が漂いバリュー株受難の時代が言われPBR格差が過去15年で最大を記録、先月は東証一部企業の5割強にあたる実に1152社が1倍割れと今年最多を記録しており、ここで出資の発表が増加したのも頷けるか。

ところで物言う株主といえば今月はバブル期に小糸製作所株の買い占めで関係者を震え上がらせた米投資家のピケンズ氏が亡くなった件が報じられたが、株の高値買い取らせの扇情的演出であったとはいえ株の持ち合いや系列取引等に言及するなど、まさにコーポレート・ガバナンスを突いた核心論を展開していた同氏の眼に最近の企業統治改革はどう映っていたのだろうか?


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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