3ページ目   雑記

総選挙と相場彼是

衆院選が公示され27日の投開票に向けての選挙戦がスタートした。総選挙と株価については投開票までは選挙公約に示される経済政策への期待等から買いというアノマリーを既に当欄で書いていたが、昨日の日経紙夕刊・十字路ではそれ以降の投票日直後から投票日1か月後の期間では下落回数の方が多く、どちらかといえば株価は軟調となる旨が載っていた。

ちなみにドル円相場も解散日から投開票日までを見てみると2000年~2021年まで8回のうち5回が円安方向へと動きやすい傾向が見られるが、本日の日経紙投資面でもこの為替に関しては衆院選の円相場への影響が与党で過半数を獲得した場合には「影響は限定的」との業界関係者の回答が68%で最多であった旨も出ていた。

冒頭の件でもこのスパンを3か月で見た場合では、与党第一党の議席数が大きく増えた時、もしくは微減にとどまった時は株高が続いたものの、大きく減った時は下落したデータがある。今回も与党で過半数を確保できるかが攻防ラインとなるが、序盤情勢分析では自民は大幅に議席数を減らし15年ぶりに単独過半数を割り込む可能性も報じられている。いずれにせよ選挙後の内閣の安定性はこれら相場を展望する上でも一つの重要な要素になると思われるだけに今後も注視しておきたい。


睡眠市場の伸びしろ

昨日の日経紙ビジネス面では、「起こせ!睡眠2000億円市場」と題し、ここ数年拡大する睡眠市場において旺盛な需要を取り込もうと各社が挙ってこの関連の提案を競っている旨の記事があった。この睡眠市場だが、富士経済によれば2023年は前年比17%増の1750億円となり、今年も9%増の1904億円に達する見込みという。

睡眠関連マーケットへの関心の高まりは数年前に「ヤクルト1000」が話題となり、コンビニやスーパーから駅の自販機に至るまでその姿を消したあたりから拡大が加速したような感があるが、前回も取り上げた際に書いたようにOECD30か国中の中でも日本人の平均睡眠時間は最短といわれているだけに伸びしろのあるマーケットとして商機は既に十分にあったといえようか。

睡眠関連といえば今年のノーベル賞ウィークでは生理学・医学賞で京大の森和特別教授や、阪大の坂口特別教授らと共に受賞期待がかかっていた人物に、睡眠・覚醒を抑制する神経伝達物質のオレキシンを発見した筑波大国際統合睡眠医科学研究機構の柳沢雅史機構長の名も挙がっていたなと。睡眠不足等による経済損失は25年には18兆円規模と試算されており、生産性の低さが課題と言われて久しい日本だけに今後も数多の企業がこの市場に参入してくるのは想像に難くないか。


社内昇格の壁

さて、先週末の日経紙ビジネス面には「女性取締役、社内昇格は1割」と題し、現状の女性取締役の属性では社内からの昇格が1割にとどまり社外の人材に頼る構図が鮮明になっている旨の記事があった。ちなみに日経クロスウーマンによれば現在東証プライム市場時価総額上位500社の取締役男女比は男性が80.8%、女性が19.2%となっている。

この比率だがコロナ禍の一桁台から見れば大幅な伸びとなっており、起用が加速した半面中身に課題といったところか。またプライム市場全社対象で女性取締役0人の企業は2024年7月時点で94社と記事にあったが、上記の調査対象500社で見てみると女性取締役が0人の企業は2022年に44社あったが、2023年には16社に、更に今年は4社とこちらは激減している。

社内昇格の壁が課題という事だが、現在女性取締役比率では50%とトップを走る大和証券など6人のうち2人が生え抜き人材、以前より着実な人材育成をしてきた感がうかがえるが他の上位企業も従前は女性取締役の存在など想像出来なかったような重厚長大企業が生え抜きの女性取締役を擁して上位に入って来るなど業界・業種も多彩な広がりを見せている点では今後が期待出来るか。

いずれにせよ政府の目標として2030年まで女性取締役を30%に引き上げてゆくというのがあり、もう一つの中間目標として2025年に19%にするというのがある。そうしたなかで上記のように生え抜き人材を登用する動きも徐々に目立ってきている模様だが、来年はこの中間目標の年になるだけに引き続きこの辺の動向には注目しておきたいところ。


マーケットと政治

本日午後に石破内閣は衆議院を解散した。15日公示、27日投開票の日程となるが、この選挙に向け政治資金収支報告書に不記載があった議員など合わせて12人を公認しないと発表している。衆院選は2021年以来3年ぶりのことだが、ちなみに今回の衆院解散は石破総理が今月就任して1週間そこそこの解散となり、総理就任から解散までの期間は戦後最短となった。

一方本日の日経平均は340円高と反発となったが、日経平均といえば先週は石破氏の「個人的には現在追加の利上げをするような環境にあるとは考えていない」とのコメントで約1000円の上昇を演じた経緯がある。併せて「株価の日々の動向について私からコメントすることはしない。株価の動向というのは冷静に見て行きたいと考えている」ともコメントしているが、衆院選を前にして株式市場を冷やしたくないという思いも垣間見えた。

この辺は思えば「バイ・マイ・アベノミクス」と訴えた安倍政権時から特に株式市場への配慮の重要度が増してきた感もあるが、利上げ方針など政治優先の踏み込み過ぎたこの一連の光景は日銀の独立性を損なう恐れもあるという市場関係者は多かった。金融政策に踏み込むといえばそういえば米でもトランプ前政権時にFRBに利下げを求めFRB議長を罵倒した一件が思い出されるもの。

斯様に米の場合、資産に占める株式保有比率は半分以上にもなるだけにいまだ10%台の日本とは違い、マーケットに配慮した発言や政策を取らざるを得ない構図になっているのは解るが日米共に金融政策の独立性は確保されるべきだろう。今後日本もこの比率が上がるにつれ、市場が発する警鐘含めマーケットとの対話が重要になってゆく構図に変貌してゆくか。


来年の太陽フレア

本日は北海道各地で「低緯度オーロラ」が観測された模様。これは太陽フレアに伴う磁気嵐に因るものだが、太陽フレアといえば今月1日夜と3日に相次いで大規模な太陽フレアが発生し地球の方向へのコロナガス放出も観測されている。特に3日のそれは7年ぶりの規模でこの影響から長距離通信などに障害が発生する可能性も指摘されていたが、先週末の日経紙社会面でも「太陽フレア 通信障害恐れ」と題した記事が載っていた。

太陽フレアの規模は5段階あって(A、B、C、M、X)で表されるが今回発生したのはその中でも最も大きい規模の分類となっている。国立天文台・太陽観測プロジェクトのXアカウントによればXに分類された今回の規模は史上15番目の大きさだったという。Xばかり出てくるがもう一つのX絡みでは、年明けの能登半島地震でも活躍したスペースX社のスターリンクも太陽フレアの被害に遭った経緯がある。

スペースXは2019年以降、スターリンク向けに多数の衛星を打ち上げてきたが、2年前に新たに打ち上げた小型衛星49基のうち太陽フレアが原因で40基以上が機能停止に陥ったことがあった。試算では太陽フレア等による経済損失は最悪の場合世界で650億ドル、日本円で10兆円以上とされている。太陽の活動は11年周期で活発になったり弱まったりするが、来年くらいに次の活発なピークが来ると予測されているだけに関係各所はこれらに向けた備えが求められるか。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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