338ページ目   雑記

あれから一年

昨日で東日本大震災から一年が経過した。一年経ったのがうそのように今でも当日の様子は鮮明に脳裏によみがえるが、先週末には東京タワーや東京スカイツリーに特別仕様のイルミネーションが灯り、銀座の和光では「その」時間に鐘が鳴らされる等、全国各地はじめ海外まで追悼行事が行われる哀悼の祈りに包まれた一日となっていた。

この日各紙にはこれまでの震災被害状況が出ていたが、人は勿論のこと企業も上場企業が震災損失4兆円を計上、関連倒産も阪神の4.2倍に上る等あらためて本当に酷い数字である。企業といえば7日には文部科学省のプロジェクトチームからは従来の想定を上回る震度7規模の首都直下型の可能性ありとの分析結果を公表していたが、これに先駆けて財閥系の錚々たる大企業が揃って大阪に本社移転という噂もまことしやかに流れたりもした。

「安全神話の崩壊」によって物の考え方が厳しく問い直されている。想定の範囲を何処に置くかだが原発然りまた東電の株然りで生半可なパラダイムシフトでは何時でもまた阿鼻叫喚な光景が何処でも訪れるということだろうか。加えてこの一連の災いはまた官の杜撰さと責任転嫁の狡猾さを如実に露呈、斯様にいろいろ課題が在り過ぎていまだ何処からとう感じだが、一番大切なのはやはりこの災いを風化させてはならないということだろうか。
あらためて被災された方々に深く哀悼の意を表すると共に再生に向けての進展を祈りたい。


巣食う天下り

本日の日経紙一面には、今問題になっているAIJ投資顧問に絡んだ厚生省の調査で2009年5月時点で全体の3分の2にあたる399の厚生年金基金に、旧社会保険庁職員ら国家公務員OBが全体で646人も天下りしていたことが明らかにされた旨が載っていた。

先の東電でも早くから当欄で指摘してきたような長年にわたって続いた続天下りの悪しき構図が明らかにされたばかりだが、何か問題が起これば当然こうしたところにも深く巣食う天下りの構図も次々と炙り出される。しかしAIJの販売拡大にこうしたOB人脈が深く関与していたということだが、詐欺会社に有名人が小遣い稼ぎで名前だけ貸すパターンと然程変わりがない。

こんな外面で次々と成約してしまう現状を見るに基金側も企業側も果たしてどれだけ金融に通じているのだろう?という疑問も出てこないわけではない。悪しき構図といえば、そもそもこの基金を所管するのは厚生労働省、一方で金融庁は運用する業者を所管するといった具合に現状監督官庁がまたがっており、こうした部分が問題をややこしくしかねないところもどこかの業界と似ているなと。


消える産業のコメ

さてAIJ投資顧問の問題がいまだ世間を騒がしている最中に、昨日引け後に今度は「日の丸半導体」ことあのエルピーダメモリが会社更生法の適用を東京地裁に申請したとの報が駆け巡った。そんなワケで本日の日経紙一面にはこのAIJとエルピーダの記事で仲良く二分されていたがいやはや突然の報には驚き、ちなみに国内製造業の破綻では過去最大規模となる模様。

ところで、同社といえばつい先週に減資と株式発行枠の倍増を発表したばかりでありパンクさせる予定にしては極めて不可解、このタイミングは一寸想定外といえるだろう。想定外といえば株主も同様でこの減資発表の日、奇しくも同社株を米ゴールドマン・サックスやクレディ・スイスが大量保有していることが判明、オリンパスの連想もあってザラバ急騰したがここで飛びついた向きはほんとうに目が点という感じだが、この破綻で戻ってこない公的もこれまた国民負担ということになる。

しかし今回の件で政府の国を挙げて蘇生し外国勢に対抗するという産業政策も頓挫、繰り返しになるがこの公的資金300億円が注入された産業活力再生特別措置法適用第一号となった同社の一連の行動というか破綻劇には些か不可解な点が多過ぎる。また、特定企業に肩入れが許されるのかという議論が当時は起こったものだが、そろそろいい加減に政府責任の議論も起こるだろうし、今後控えているエルピーダと同様の背景の大手企業らによる事業再編から作られる企業に出資される案件には厳しい視線が集まりそうだ。


隠れ蓑さまざま

直近の当欄では「魑魅魍魎対決」として、手口が巧妙になってきた証券詐欺について触れたのだが、周知の通りその翌日の日経紙一面には「年金2,000億円大半消失」のタイトルで国内独立系投資顧問会社であるAIJ投資顧問が、企業年金から運用受託していた約2,000億円の大部分を消失させていることが証券取引等監視委員会の検査で判明、金融庁が業務停止命令を出す旨の記事が載っていた。

こちらはまた随分とスケールの大きな詐欺?に見えるが日本橋高島屋のほぼ向かいに位置する同社は、確か痴漢やら何やら二度も迷惑防止条例違反で逮捕、起訴されたことのある某経済評論化がかつて顧問をやっていたところか?そのHPには「お客様の資産運用に係わる者として、常にコンプライアンスに努め、良識ある行動体制を確立してお客様の信頼に応えます。」と謳ってある。同紙によればオプションで相場変動に左右されずに安定して高い収益を上げる「絶対収益」の獲得を目指す運用戦略とのことであったが、セルボラ中心であったようにも一部報道されていることで昨年の大震災でヤラれたか?一方で流用説もあり何れにしろ続報が待たれる。

しかし近年でこの手は2008年のナスダック会長によるヘッジファンドの詐欺事件等もあったが、今回はアドバンテストや安川電機など東証一部の名門企業も引っ掛かっていたところを見るに思い出すのが、やはり一世風靡したプリンストン経済研究所だろうか。規模は今回の約半分ながら当時も東証一部の名門が何社も嵌り、帝国ホテルで行われる恒例の同社セミナー当日には同ホテル近所が上場企業の役員車で溢れていたのが思い出される。

このプリンストン経済研究所はクレスベール証券(懐かしい!)、そしてAIJはアイティーエム証券がフィルターになっていたワケだが、これで金融庁は他の同業に加え管理側の信託銀行も一斉調査に入ったようでとんだとばっちり?か。とはいえ、まあ至極マトモなことを言っている真面目な運用会社も含めやはり全てに共通しているのは資産を減らそうが信託報酬なんぞ無情にも徴収されるワケで、その辺の整合性やいろいろな受け皿にされる素地というものもこの辺で一度見直される時というところか。


魑魅魍魎対決

さて、今週は日経平均がスルスルと9,500円を越え、長らく眠っていた東証二部なんぞは株価指数が実に37年ぶりに27営業日連続で上昇するなどさながらミニバブルの様相を呈してきた株式市場である。こんな株式の温まりと共にドサクサ紛れで最近は架空増資事件やら、直近では日本風力開発株をめぐり、兵庫県内に住む主婦がインサイダー情報による株の売り抜けで5,000万円以上の損失を免れていた旨の記事もチラホラ。

こんな普通?の主婦の情報源は当該企業の社長だったという話だが、犯罪も明るみに出てくると一体彼らはどんな関係だったのやらといろいろプライベートも詮索されるものだ。それはともかく、風力といえば原発事故で風力発電所建設が増えるとかで投資を募る詐欺も最近出ているとかで、この辺が今週21日付けの日経紙でも「証券詐欺 手口巧妙に」と出ていた。

業界でも一昔前はよく取引員の上場話を使った未公開モノが一部ドロップアウト外務員の間で横行したこともあったが、FX熱を読みながらマイナー通貨モノや金やら上記の風力開発やらと時事モノを上手く織込む技はかつての営業で鍛えられた賜物か?我々から見ればおかしいのは瞬時に判断できるが、ヤラレる方も生半可な経済知識がかえって災いしている例も多分にある。

しかしこの記事の末尾、「なぜ、本物の証券市場に資金が集まらないのに詐欺の被害は拡大しているのか」の一文は当たり前といえば当たり前ながら苦笑。まあこの手は時流を読みながらまだまだ新手のモノが出て来るだろうしイタチゴッコになるのは目に見えているが、だからこそ先手先手の啓蒙が常に必要になってくるだろう。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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