366ページ目   雑記

カンニング変遷

さていまだに紙面をにぎわせているのが、京大始め複数の大学の入試問題が試験中に流出した例の事件か。この事件を受けて直近の公立大二次試験関係では携帯電話を封筒に入れさせて回収している光景など見られたが、当初一般的には想像もしていなかった被害届とか逮捕にまで発展するに至り事は穏やかでない。

この騒ぎで株式市場でも不正受験監視関連銘柄が突飛高し、池上通信機や三精輸送機等が物色された。特に池上通信機などは発行済み株式が7千万そこそこしかないところに先週末はまるまるこれが回転してしまう1億株以上もの出来高となる異常人気を呈した。その辺はともかく容疑は偽計業務妨害としているが、これが杓子定規な適用かどうかいろいろ論議も出そうだ。

基本的に入試関係というのは暗記を問うのが殆どと長年認識しているが、捻る部分の無い中で時間も限られる形式行事と考えるなら効率を図ってしまうのも違法行為という面を除外すればある面頷けなくもない。逆に入試問題も暗記色の薄いものへ変わればもう少し「考える」という部分で本来の姿になるのではないか。

しかし先の海上保安庁の尖閣諸島ビデオ流出事件といい、今回のカンニング?事件といい、まさにネット系の縦横無尽。便利な一方万人が使い方一つで犯罪にまでなってしまうに諸刃の剣でこんな黎明期?にはいろいろと考えさせられる事例がまだまだ続くだろうか。


株主への手紙

さて、今週は中東情勢を睨んで米株式も乱高下しているが、その週明けは大幅高から始まった。この背景には原油相場下落を好感したこともあったが、もう一つ米投資会社を経営するウォーレンバフェット氏が26日に公表した「株主への手紙」で、米国の不確実性を一蹴するかのような将来の楽観論を展開した事も買い安心感を誘った模様。

「象を撃つ銃の弾丸をこめ直し、引き金を引く指はうずうずしている」という表現で、380億ドルの潤沢な手元資金を活用した大規模な買収の準備が整っていることを示唆した模様だが、米トムソン・ロイターによれば今年に入ってから2月第1週迄のM&A発表額は約25兆円以上と、前年同期日で69%増え2000年以来の高水準となっているという。

M&Aが盛んだったこの2000年はちょうどITバブル時で、ネット関連企業がやはりこうした舞台の主役であったが、今年はこれがエネルギーや素材関連に変わっているのが特徴。メジャー化の波については当欄で度々触れたが、資源等の需要増や価格上昇を見据え世界的に再編機運が盛り上がってゆくのは必至。

上記のバフェット氏の買収対象は残念?ながら日本企業ではないようだが、国内も政府が企業のM&Aを促す為の産業活力再生法改正案を閣議決定し企業のM&Aを促す方向で進んでいる。目下のところ新日鉄と住金の合併手続きに絡んでこの2兆円規模の大型案件の財務アドバイザーを巡って激しい提案合戦を繰り広げている最中だが、日本も一段と合併・再編が活発化してくるかどうか注目である。


遅々として進まず

さて、今週は郵政・金融担当相が閣議後会見にて一次産品の価格高騰は予断を許さない状況と説明、「総合取引所」を進める議論はより一段優先度が高まったと思うとの認識を示していたが、この辺に絡んでは先週末の日経紙経済面に「総合取引所」の在り方を検討する副大臣級の会合が約2ヶ月ぶりに再会した旨も載っていた。

「総合取引所」に関しては先に今国会への提出を断念する方針が伝えられ、12年の通常国会での関連法案の提出を目指すものの、調整が難航すればさらに遅れる可能性が指摘されている。もともと昨年末に公表した中間整理において両論併記になっていた段階で暗雲漂っていたわけだが、やはりというか農水がネックになっている模様であるしそれ以前に政治主導を謳うその政治そのものが混迷極めている状況では何とも厳しいところ。

内閣支持率が約20%程度と末期的な状況で、本日も農水政務官が農水相に辞表を提出したりと自壊作用の話題には事欠かないが、周りが斯様な状況であるから各取引所サイドも模様眺めに回っている感じで、既にまな板の鯉状態になっている取引所はともかく、外枠がハッキリしてこないことには各所も腹を括っての動きはなかなか取り辛いか。

このところ書いてきた通りこの数週の間に世界の取引所はさながら風雲急を告げるような再編の構えを見せているが、そんな中で数年前に日本に歩み寄ったNYSEなどはゴタゴタの中で疎遠になってしまっている。諸外国の開拓も進められず共同歩調も取れない土壌を作っている行政の責任は重いと言わざるを得ないだろう。


対日M&A

さて、今週に内閣府が発表した2010年の日本のGDP実額は、年間を通じて初めて中国の名目GDPを下回った。1968年以来、日本は米国に次ぐ世界第2位の経済規模を保ってきたが、とうとうその座を中国に明け渡した格好になった。

このGDPは既に大方予想されていた事だが済成長はやはり著しい。GDP逆転だけでなく斯様な背景で拡張するチャイナマネーも近年日本株投資の他、企業買収等へ振り向けられている。年末には中国系と見られる2つの投資ファンドが、日本の所謂「01銘柄」等を始めとした一部上場85社で10位以内の大株主となっていた事が判明している。

また中国企業による日本企業のM&Aも増加、平成22年の件数は年末の段階で前年度比約42%増の37件、ここ4年で2.2倍になった旨が報じられている。これに関連した件では2/12付け日経紙夕刊一面で、中国の大手会計事務所「信永中和」が日本に会計監査の拠点を設置する旨が報じられていたが、こうした中国系の監査法人が国内に設置されるのは初めてという。

日本企業の対中投資等のサポートもあるだろうが、この辺の動きは当然上記のような対日M&Aを睨んでのものだろう。積極化するチャイナマネーの旺盛な海外投資意欲を受けて、この手のグローバルな会計ネットワークが今後広がる可能性があると同紙では指摘しているが、ファンドの動向等併せてますます目が離せない。


ショコラの波

さて、昨日はご存知「バレンタインデー」であったが、今年は平日にあたり職場等においては義理?が発生するぶん例年アテの少ない殿方も束の間のイベント気分に浸れたと思うが、この平日になるのは3年ぶりのこと。

こうしたイベントものと絡めて必ず登場する行動ファイナンス理論だが、ちなみにこのバレンタインデーではここ20年間バレンタインデー当日の日経平均株価は71%の高い確立で上昇し、直近10年間では全て値上りしているという。なるほど昨日も日経平均は上昇し昨年4月30日以来、約9ヶ月半ぶりとなる高値水準で取引を終了している。これでまた一つ実績?が追加されたことになるか。

それはともかくチョコ系といえばここ近年は欧州著名店の日本進出が著しく感じられる。昨年はデフレがいわれる中を所謂売れ線だったのは高級チョコばかりであったが、今年はこれに更に拍車が掛かっておりマーケティングも応分のものになってきている。「サロン・デュ・ショコラ」などもそうだが、この辺はバレンタイン云々ではなく文化の相互理解の観点からも益々発展しそうな感もある。

ところでこれら原料のカカオといえば昨年はヘッジファンドのスクイズ観測等から暴騰するわ、今年は有力生産国の禁輸措置で先物が約30年ぶりの高値水準に達するなどで話題には事欠かないが、今後も先物、製品いずれの世界でもまだまだ熱いシーンが見られそうな気配だ。


クラウディア

大学卒業後、大手取引員法人部から大手証券事業法人部まで渡り歩き、その後に投資助言関連会社も設立運営。複数の筋にもネットワークを持ち表も裏も間近に見てきた経験で、証券から商品その他までジャンルを問わない助言業務に携わり今に至る。

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